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事件 昭和 41年 (ワ) 11570号
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裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1969/12/22
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告ワンダフル産業有限会社は別紙イ号図面および説明書記載の座卓用の折畳自在脚を、被告有限会社瑞穂製作所は別紙ロ号図面(ただし、第六図は、その一のみ。)および説明書記載の座卓用の折畳自在脚をそれぞれ製造し、販売してはならない。
2 原告【A】に対し、被告ワンダフル産業有限会社は金四万円、被告有限会社瑞穂製作所は金七万円およびそれぞれこれに対する昭和四二年三月一日から支払いずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。
3 原告らのその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は四分し、その三を被告ら、その余を原告らの各負担とする。
5 この判決は第一、二項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
一 当事者双方の申立および主張は別紙記載のとおりである。
二 証拠関係(省略) 理 由一 原告らが登録第五八五、七六六号実用新案権を共有していること、右登録実用新案が原告ら主張のとおりの構成より成り、原告ら主張のとおりの作用効果を有することは、当事者間に争いがない。
二 そこで、被告らの座卓用折畳自在脚の製造販売行為の有無について検討すると、被告ワンダフル産業有限会社(以下、「ワンダフル」という。)が昭和四一年一一月から原告ら主張のイ号図面(第六図の一、二とも)および説明書に示されている折畳自在脚の製造販売を始め、翌四二年三月まで続けていたこと、被告有限会社瑞穂製作所(以下、「瑞穂」という。)が昭和四一年二月からロ号図面(第六図は、その一のみ)および説明書に示されている折畳自在脚の製造を始め、同年五月から販売を開始し、同年一二月までこれを製造販売していたこと、イ号図面(第六図の一、二とも)およびロ号図面(第六図の一のもの)ならびにその説明書記載の折畳自在脚が原告らの主張するように(a)からまで(i)までの構造を備えていることは、いずれも当事者間に争いがない。しかし、被告らが前記以外の折畳自在脚をかつて製造販売し、また、原告らが主張しているすべての折畳自在脚について現にその製造販売の実行をしていることを認めるに足る証拠はない。
三 よつて、被告ワンダフルが製造販売したイ号図面および説明書記載の折畳自在脚と被告瑞穂が製造販売したロ号図面(第六図の一のもの)および説明書記載の折畳自在脚(以下、「被告らの製品」という。)を本件登録実用新案と比べると、被告らの製品の(a)から(i)までの構造は本件考案の(イ)から(リ)までの要件に順次対応する。そのうち、被告らの製品の(e)の構造が本件考案の(ホ)の要件を満たしていることは当事者間に争いがない。
そこで、被告らの製品の(a)(b)(c)(f)(g)(h)(i)の構造の点について検討すれば、それが外見的には本件考案の(イ)(ロ)(ハ)(ヘ)(ト)(チ)(リ)の構成に適合するものを左右対称的に重複して設けたものと認めて差支えなく、そのこと自体は被告らもあえて争つていない。ところで、被告らの製品は長孔を穿設した中空支柱と中空脚杆と縦長状板バネの三者を軸12で枢着したものであるが、中空支柱の長孔33´の両端は一側に折曲げられて係止孔44′および55′が設けられ、係止孔44′の内角面にアール面が形成されており、
縦長状板バネは長孔33′を案内として回動するようになつている。この事実に成立の争いのない甲第二、第三号証と証人【B】の証言を参酌すれば、被告らの製品は(a)(b)(c)(e)(f)(g)(h)(i)の構造をとつているので、
中空脚杆を起立させるときは、係止孔44′にはアール面があるので押ボタンを押さなくても係止面と係止孔との係合が解かれて回動が可能となり、一たん起立した後は、係止孔55′にはアール面がないので係止面が係止孔に強固に係合され、また、折畳みの際は、押ボタンを押せば中空脚杆の回動が可能となるのであつて、中空脚杆の起立折畳みを容易確実に行うという作用効果を奏するが、被告らの製品においては、対称的に設けられた長孔33′縦長状板バネ88′等の構造がそれぞれ単に並置された状態においてこの作用効果をもたらすことに寄与していることが認められる。
したがつて、被告らの製品の(a)(b)(c)(f)(g)(h)(i)の構造は本件考案の(イ)(ロ)(ハ)(ヘ)(ト)(チ)(リ)の構成の所期するところと同一の作用効果をもたらすものを二組並設したにすぎないものであるといつてよい。そして、このように同一機能のものを二組設けてその機能の確実性を増すことはその機能の本来持つている性質を変更するものでないことはいうまでもない。
このように考えられるから、被告らの製品の右構造は外見上だけでなく実質においても本件考案の右構成に当るものを左右対称的に二組並べたものであるということができ、右構成を満足している。
つぎに、被告らの製品の(d)の構造を本件考案の(ニ)の構成と比較しよう。
本件考案のものは縦長状板バネの下端を中空脚杆の一側内壁に固定するものであるが、縦長状板バネは軸12に板バネの軸孔10を遊嵌し、また、中空脚杆に押ボタン7を突設しており、これらによつてその装着位置は定まるところからみて、固定は板バネの位置決めのためよりも板バネに弾性を付与するための手段であることがわかる。ところで、本件考案の全体を観察するに、縦長状板バネが長孔に形成された係止孔に係合するため弾性を持つことは欠くことができないけれども、その弾性をどのような方法によつて付与するかは、特に限定して解しなければならない根拠は見当らない。一方、被告らの製品をみれば、その縦長状板バネ88′は、軸孔1010′が軸12に遊嵌され、また、押ボタン77′を突設しているのでその二点において装着位置は定まるものであり、下部がU字状または丸状に折曲げられているのは専ら弾性を付与するためである。そこで、この縦長状板バネ88′を分析すれば、板バネの下端を半孤状(被告らの製品の下部がU字状の板バネの場合はコ字状に近く、下部が丸状の板バネの場合は半円に近い。以下同じ。)に折曲げて弾性を付与した板バネ8と、同じく下端を半孤状に折曲げて弾性を付与した板バネ8′との二本の板バネをそれぞれ独立に装着すべきところ、両者を合体して下部が折曲げられた縦長状板バネ88´となつていると考えてよい。このことに、なお、成立に争いのない甲第五号証の一ないし六によつて明らかなような折曲げによつて弾性を付与することは一般に広く知られた方法であることを参酌し、さらに、前記甲第二、第三号証および証人【B】の証言を参照すれば、被告らの製品の折曲げによるものは、本件考案の固定によるものと同じ作用効果を奏するばかりでなく、その差異は型の考案とみた場合設計者が適宜選択し得る程度のことであつて、技術手段として実質的に同一のものと解するのが相当である。また、それは当業者なら誰しも容易に推考し得ることと考えられる。したがつて、被告らの製品の板バネを折曲げたものは、本件考案の固着によるものと類似のものということができる。
この点に関し、被告らは板バネを固定するときは、長年の使用によつて剥離したり固定部分の弾性がそこなわれるのに対し、折曲げによるものにはそのような欠陥はなく、両者は全く異ると主張するが、被告ら主張のように折曲げたものが優れた性能を示すと仮定しても、本件の場合その点の優劣は技術手段として同一であると認めることの妨げとならないから、前記認定を左右するに足りない。要するに、被告らの製品の(d)の構造は本件考案(二)の要件を満足するものである。乙第四号証および証人【C】の証言のうち以上の認定に反する見解は採用できない。
以上のように、被告らの製品には本件考案の構成を満足するものが左右対称的に二組設けられていると認められるから、本件考案技術的範囲に属するものといわねばならない。
なお、被告らは実用新案の技術的範囲図面中心に解しなければならないというので附言する。本件実用新案権は旧実用新案法(大正一〇年法律第九七号)施行当時の出願に係るものであるから、実用ある新規の型の工業的考案に対して与えられた権利である。したがつて、型の考案を保護の対象とするものであるから、類否の判定に際し図面が重要な意義をもつことは否定しえない。しかしながら、型の考案といつても図面に表示されたところだけに厳密に限定されるわけではなく、図面の表示と多少異なつても類似のものとして保護の範囲に包含されることがあるわけである。本件において、被告らの製品の板バネを折曲げたものは本件考案の固着によるものと類似のものであると認めるべきことは前記のとおりであつて、図面中心に解すべきであるということを理由として被告らの製品が本件考案の構成の範囲外にあるということはできない。
四 以上のように被告らの製品は本件登録実用新案の技術的範囲に属するところ、
被告らが現にその製造販売を実行していることを認めるに足る証拠はないけれども、被告らは本訴において勝訴した場合には製造販売を再開する予定であると言明しているのであるから、被告らに対し予防請求として製造販売の禁止を求める原告らの請求は理由がある。
五 つぎに、原告【A】の損害賠償請求の点について考察する。
被告ワンダフルが昭和四一年一一月から翌四二年二月までの間に折畳自在脚を合計二、〇〇〇セツト製造販売し、それによつて合計八万円の利益を挙げたこと、および、被告瑞穂が昭和四一年五月から同四一年一一月までの間に合計三、五〇〇セツトを製造販売し、それによつて合計一四万円の利益を挙げたことは当事者間に争いがない。
ところで被告らが原告らの本件実用新案権を侵害したことは前記認定のとおりであり、その侵害行為について被告らに過失があつたものと法律上推定されるところ、この推定を覆すべき事由についてなんら主張立証がないから、被告らは原告【A】が被つた損害を賠償する義務がある。
進んで、損害の数額について検討すれば、原告【A】は実用新案法第29条第1項の規定によつて被告らが得た利益の額はすべて同原告の損害の額と推定される旨主張している。しかし、原告本人【A】の供述によると、本件実用新案の実施品の製造は共有権者である原告【D】が専ら担当し、原告【A】はその全製品を買い受けて転売しているのであつて、原告両名とも本件実用新案を実施してそれぞれ利益を挙げているのであり、各自の挙げている利益額はほぼ相等しいことが認められる。ところで、共有権者が共に実施による利益を挙げているとき、
実用新案法第29条第1項の規定による推定は、各自の挙げている利益額の比率に比例して働くものと解するのが相当である。したがつて、前記被告らの得た利益額の五〇%は原告【A】が受けた損害額と推定される。
してみれば、被告ワンダフルは原告【A】に対し金四万円、被告瑞穂は同原告に対し金七万円の損害賠償義務を負担しているといわねばならない。
六 以上の理由によつて、原告らが予防請求として、被告ワンダフルに対しイ号図面および説明書記載の折畳自在脚について、被告瑞穂に対しロ号図面(ただし、第六図はその一のみ)および説明書記載の折畳自在脚について差止を求め、原告【A】が被告ワンダフルに対し金四万円、被告瑞穂に対し金七万円とそれぞれこれに対する訴状送達の日の後の日である昭四二年三月一日から民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める請求は正当として認容し、その余の請求を失当として棄却する。よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第92条本文、第93条第1項本文、仮執行の宣言につき同法第196条第1項を適用して主文のとおり判決する。
追加
(別紙)原告ら申立一、被告らは、別紙イ号およびロ号図面ならびにその説明書記載の座卓用の折畳自在脚を製造し販売してはならない。
二、原告【A】に対し、被告ワンダフル産業有限会社は金八万円、被告有限会社瑞穂製作所は金一四万円およびそれぞれこれに対する昭和四二年三月一日から支払いずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。
三、訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決と仮執行の宣言を求める。
主張(原告らの実用新案権)一、原告らは共同で考案した座卓用折畳自在脚について、つぎの実用新案権を共有している。
登録番号第五八五、七六六号実用新案の名称折畳自在脚出願昭和三四年九月一七日公告同三七年三月一四日登録同三八年一〇月一六日(本件考案の構成、作用効果)二、(一)本件考案は、つぎの構成より成る折畳自在脚の構造にかかるものである。
(イ)天板1を上端外方に突設した中空支柱2の一側より底面にかけて長孔3を穿孔し、該長孔3の両端を一側に折曲げて係止孔4、5とし、これが係止孔4の内角面をやや削落してアール面6を形成すること(ロ)押ボタン7を一側に突設した縦長状板バネ8の上部を両側より折曲げて係止面9を設けること(ハ)縦長状板バネ8の上端部に軸孔10を穿孔すること(ニ)縦長状板バネ8の下端を中空脚杆11の一側内壁に固定すること(ホ)中空脚杆11の上端部一側を削落してコ字状とすること(ヘ)中空脚杆11の削落側に長孔3を穿孔せる一側が露呈するごとく中空支柱2を中空脚杆11の上端に嵌挿すること(ト)中空支柱2、中空脚杆11を貫く軸12に縦長状板バネ8の軸孔10を遊嵌して中空支柱2、中空脚杆11を軸12を中心に回動自在に枢着すること(チ)脚杆11の起立時に縦長状板バネ8の係止面9は係止孔5に係合すること(リ)折畳時には縦長状板バネ8の係止面9が係止孔4に係合すること(二)本件考案の作用効果はつぎのとおりである。
考案は、長孔の両端を一側に折曲げて係止孔45を設け、かつ、その一つの係止孔4の内角面にアール面を形成したところに技術的特徴があり、さらに、板バネの弾性を利用しているので、押ボタン突設側に弾撥位置する板バネの係止面は、中空脚杆の起立折畳みに際して長孔内を回動し特別の操作を要しないで係止孔に係合し、逆転することはない。すなわち、起立させる際は、アール面があるので押ボタンを押さなくても中空脚杆を回動させるだけで係止面と係止孔の係合が解かれて回動が可能となる。起立時においては、係止孔5にはアール面がないから係止面は係止孔に強固に係合される。折畳みの際は押ボタンを押せば中空脚杆の回動が可能となる。
このように、本件考案によれば至極簡単に、しかも確実に脚の起立、折畳みを自在にすることができる。
(被告らの製品)三、(一)被告ワンダフル産業有限会社(以下、「ワンダフル」という。)は昭和四一年七月二八日設立された会社であるが、設立以来、また、被告有限会社瑞穂製作所(以下、「瑞穂」という。)は昭和三七年六月一八日設立された会社であるが、同四一年二月頃から、いずれも別紙イ号およびロ号図面ならびにその説明書記載の座卓用の折畳自在脚を製造販売している。
(二)(1)被告らの製品には、イ号図面に示すように中空脚杆の丸筒形のものとロ号図面に示すように角筒形のものとがあり、さらに両形とも内装される縦長状板バネの下部を第六図の一、二に示すようにU字状に折曲げたものと丸状に折曲げたものとがあるが、その構造は別紙説明書に記載した(a)から(i)までのとおりである。
(2)認める。
(三)被告らの製品は、本件考案の長孔と縦長状板バネとを対称的に重複して設けたものにすぎず、本件考案と全く同じ作用効果を有する。
(本件考案と被告らの製品との対比)四、被告らの製品を本件考案と比べれば、被告らの製品の(a)から(i)までの構造は、本件考案の(イ)から(リ)までの要件に順次対応する。
(1)被告らの製品の(e)の構造は、本件考案の(ホ)の要件を満たしている。
(2)被告らの製品の(a)(b)(c)(f)(g)(h)(i)の構造は、
本件考案の長孔と縦長状板バネを対称的に二個づつ設けたことに基づく構造であり、本件考案の(イ)(ロ)(ハ)(ヘ)(ト)(チ)(リ)の要件を満たしている。
(3)被告らの製品においては縦長状板バネの下部をU字状または丸状に折曲げてこれを中空脚杆に内装し、その部分を中空脚杆の両側内壁に当接している。しかし板バネに弾撥性を付与するためにこれを固定する代りにU字状ないし丸状に折曲げて内装することは、従来一般に行われている常套手段であり、被告らの製品のように折曲げて内壁に当接したものは本件考案の内壁に直接固定したものと同じ効果を奏するから均等の手段ということができる。
したがつて、被告らの製品の(d)の構造は、本件考案の(ニ)の要件を満たしている。
以上のように、被告らの製品は本件考案構造のものを二個対称的に設けたものにすぎないのであつて、本件考案の構成をすべて満足しており、本件考案技術的範囲に属する。
(差止の請求)五、被告らは、本件実用新案の技術的範囲に属する別紙イ号およびロ号図面ならびにその説明書記載の折畳自在脚を現に製造販売して原告らの実用新案権を侵害しているから、その製造販売の停止を求める。
かりに、被告らが現在製造販売をしていないとしても、被告らは遠からずこれと同一構造の製品を製造販売する旨公言しているものであるから原告らは侵害の予防としてその製造販売の禁止を求める。
(損害賠償の請求)六、原告【A】は折畳自在脚の製造販売を業としているものであるが(原告【D】は製造販売をしていない、)被告両社は前記のように別紙イ号およびロ号図面記載の折畳自在脚が本件実用新案の技術的範囲に属することを知り、または過失によつてこれを知らないで製造販売し、原告らの実用新案権を侵害し、原告【A】につぎの損害を被らせた。
被告両社はいずれもこの折畳自在脚を毎月平均少くも五〇〇セツト(一セツトは四本)製造し、一セツト当り金二六〇円で卸売販売をしたが、製造原価は一セツト当り金二二〇円であるから、被告両社は一セツト当り四〇円、毎月少くも金二万円の利益を挙げている。
したがつて、被告ワンダフルは、昭和四一年一一月から翌四二年二月までの四月間に少くも二〇〇〇セツトを製造販売して合計八万円の利益を挙げているから、実用新案法第29条第1項に基づき原告【A】は同期間中に同額の損害を受けたものと推定される。
被告瑞穂は昭和四一年五月から本件訴状を提出した同四一年一一月末までの七月間に少くも三五〇〇セツトを製造販売して合計一四万円の利益を挙げているから、
原告【A】は同期間中に同額の損害を受けたものと推定される。
よつて、原告【A】は、被告ワンダフルに対し金八万円、被告瑞穂に対し金一四万円とそれぞれこれに対する昭和四二年三月一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
被告ら申立一、原告らの請求を棄却する。
二、訴訟費用は原告らの負担とする。
との判決を求める。
主張(原告らの実用新案権)一、原告らが本件実用新案権を共有していることは認める。しかし、本件考案は訴外【E】が原告【D】と共同して完成したものである。
(本件考案の構成、作用効果)二、(一)認める。
(二)認める。
(被告らの製品)三、(一)被告両社が原告ら主張の日に設立されたこと、被告ワンダフルが昭和四一年一一月から原告ら主張のイ号図面(第六図の一、二とも)および説明書に示されている折畳自在脚の製造販売を始め、翌四二年三月まで続けたこと、被告瑞穂が同四一年二月からロ号図面(第六図は、その一のみ)および説明書に示されている折畳自在脚の製造を始め、同年五月から販売を開始し、同年一二月に本件訴状の送達を受けるまで製造販売していたことはいずれもこれを認めるが、その余の事実は否認する。
(二)(1)認める。
ただし、被告ワンダフルの製品は前記のようにイ号図面の第六図の一、二のものであり、被告瑞穂の製品はロ号図面の第六図の一のものである。
(2)なお、事情としては述べれば、被告らの製品はつぎの実用新案権の実施品である訴外【E】、同【F】は共同で考案した家具用脚についてつぎの実用新案権を共有している。
登録番号第八二六、一六五号考案の名称家具用脚出願昭和三六年三月二日公告同四〇年六月二二日登録同四二年四月二六日被告ワンダフルは昭和四一年七月末会社設立と同時に、被告瑞穂は同四一年二月、訴外【E】から前記考案に基づいて折畳自在脚を製造販売することの各許諾を受け、(この許諾について、訴外【F】は同意している。)被告両社はそれぞれこれを実施したものである。
(三)被告ら製造の折畳自在脚は前記の訴外【E】らの実用新案に基づくものであるが、この折畳自在脚においては、U字状または丸状に折曲げられた縦長状板バネの下部が中空脚杆の内壁に当接しているけれども、内壁に固定されてはいない。
したがつて、原告らの本件考案によるもののように、内壁に固定した部分が剥離したり、また、固定部分の板バネの弾撥性がそこなわれるようなことが生ぜず、U字状または丸状の彎曲部は常に弾撥性を保つ効果がある。
(本件考案と被告らの製品との対比)四、(1)認める。
(2)争う。イ号およびロ号図面記載の折畳自在脚の(a)(b)(c)(f)(g)(h)(i)の構造は、外見的には本件考案の(イ)(ロ)(ハ)(ヘ)(ト)(チ)(リ)の要件に適合するものを左右対称的に設けたもののようであるけれども、それは縦長状板バネの下端をU字状または丸状に折曲げたことに関連する構造である。元来、実用新案においては図面は説明書とともに登録出願の成立要件であり、考案技術的範囲図面中心に解しなければならないものであるから、
縦長状板バネの下端を固定したことに基づく本件考案の前記の要件とイ号ロ号図面の折畳自在脚の前記の構造は相異なるものである。
(3)本件考案のもののように縦長状板バネの下端を固定した場合には、長年使用すると、固定した部分は剥離し、また固定部分の板バネの弾撥性がそこなわれる。しかし、下部をU字状または丸状に折曲げて中空脚杆の内壁に当接したものは、内壁に接触しているだけであるから、剥離したり板バネの弾撥性をそこなうことがないのであつて、本件考案におけるように固定したものとは全く異なる。また固定する代りにU字状ないし丸状に折曲げて弾撥性を付与することは常套的手段とはいえない。
元来、実用新案は図面中心に解すべきものであることは前記のとおりであつて、
本件考案の場合には固定したものに限定して解すべきであり、固定していないものをもつてこれと均等とすることはできない。
したがつて、(d)の構造は、本件考案の(二)の要件と異るものである。
要するに、イ号およびロ号図面記載の折畳自在脚は、本件考案技術的範囲に属しないものである。
(差止の請求)五、争う。
ただし、被告らは、本訴において勝訴した際には従前取り扱つていた本件折畳自在脚の製造販売を再開する予定である。
(損害賠償の請求)六、つぎの事実はこれを認めるがその余は争う。
(1)被告両社はいずれも折畳自在脚を毎月平均少くも五〇〇セツト製造販売し一セツト当り金四〇円、毎月二万円の利益を得たこと。
(2)被告ワンダフルが昭和四一年一一月から翌四二年二月までの間に二〇〇〇セツトを製造販売したこと。
(3)被告瑞穂が昭和四一年五月から同四一年一一月までの間に三五〇〇セツトを製造販売したこと。
被告瑞穂は昭和四一年五月から本件訴状を提出した同四一年一一月末までの七月間に少くも三五〇〇セツトを製造販売して合計一四万円の利益を挙げているから、
原告【A】は同期間中に同額の損害を受けたものと推定される。
よつて原告【A】は、被告ワンダフルに対し金八万円、被告瑞穂に対し金一四万円とそれぞれこれに対する昭和四二年三月一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
(別紙)<11574-001><11574-002><11574-003><11574-004><11574-005><11574-006><11574-007><11574-008>イ号図面およびロ号図面の説明書一、図面の説明第一図は斜視図、第二図は正面図、第三図は右側面図、第四図は回動例を示す右側面図、第五図はその縦断面図、第六図の一、二は縦断正面図、第七図は中空支柱の斜視図である。
二、構造の説明別紙図面のように(a)天板1を上端外方に突設した中空支柱2の一側より底面にかけて長孔33′を穿設し、該長孔33′の両端を一側に折曲げて係止孔44′および55′とし、
係止孔44′の内角部にアール面66′を形成し、
(b)縦長状板バネ88′の両側に押ボタン77′を突設し、その上部はややコ字状に折曲げて係止面99′を設け、
(c)縦長状板バネ88′の上端部に軸孔1010′を形成し、
(d)縦長状板バネ88′の下部をU字状(第六図の一のもの)または丸状(第六図の二のもの)に折曲げ、該下部を中空脚杆11(イ号図面のものは丸筒形、ロ号図面のものは角筒形である)の両側内壁に当接し、
(e)中空脚杆の上端部一側を削落してコ字状とし、
(f)中空脚杆の削落側に長孔33′を穿孔せる一側が露呈するごとく中空支柱2を中空脚杆11の上端に嵌挿し、
(g)中空支柱2、中空脚杆11を貫く軸12に縦長状板バネ88′の軸孔1010′を遊嵌して中空支柱2、中空脚杆11を軸12を中心に回動自在に枢着し、
(h)中空脚杆11の起立時には縦長状板バネ88′の係止面99′は係止孔55′に係合し、
(i)折畳時には縦長状板バネ88′の係止面99′が係止孔44′に係合してなる折畳自在脚以上
裁判官 荒木秀一
裁判官 吉井参也
裁判官 宇井正一