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事件 昭和 47年 (ワ) 3297号
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裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1977/03/11
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 原告の被告らに対する請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者双方の申立
一 原告「被告会社は別紙(一)図面及び同説明書記載の飴菓子製造装置を使用してはならない。被告会社はその占有にかかる右の飴菓子製造装置を廃棄せよ。被告両名は原告に対し各自金一億一二五〇万円及びこれに対する昭和四七年一月一日から、金二億六八七五万円及びこれに対する昭和四八年一月一日から、金三億一二五〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から、金三億一二五〇万円及びこれに対する昭和五〇年一月一日から各支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言二 被告ら主文同旨の判決
請求原因
一 原告は次の登録実用新案(以下、「本件登録実用新案」といい、その考案を「本件考案」という。)の実用新案権者である。
登録番号 第九五三四五三号 考案の名称 飴菓子製造装置 出願日 昭和四三年一〇月一二日 出願公告 昭和四六年七月一四日 設定登録日 昭和四七年二月七日 実用新案登録請求の範囲図面に示すように、上下を開放した飴菓子型1と通気孔2とを交互に多数並設した組体aと、受板3とを等間隔、等速度に移行させ、その移行の初めの位置で泥飴を型1内に注入する際には、受板3を組体aの下面に接当し、型1内の飴が冷却固化するに従つて受板3を型1より外づすようにした、飴菓子製造装置。」 二 本件登録実用新案の構成要件及びその目的とする作用効果は次のとおりである。
(一)本件考案は次の構成要件からなる飴菓子製造装置である。
(1)上下を開放した飴菓子型1と通気孔2とを交互に多数並設した組体aと受板3とを等開隔等速度で移行させること (2)その移行の初めの位置で泥飴を型1内に注入する際には受板3を組体aの下面に接当すること (3)型1内の飴が冷却固化するに従つて受板3を型1より外すようにすること (二)本件考案は右の三つの要件よりなる飴菓子製造装置であることにより、次のような作用効果をあげることをその目的とするものである。
(1)泥飴を型1内に注入する際には受板3で型1底を造り、泥飴が型より流出するのを防止する。
(2)飴が固化する際には底を除き冷却固化を速進させる。
三 被告会社は業として別紙(一)図面及び同説明書記載の飴菓子製造装置(以下、(イ)号装置という。)を使用している。
四(イ)号装置は次のような構造上の特徴及び作用効果を有している。
(一)(イ)号装置の構成要件を分説すると次のとおりである。
(1)上下を開放し型aと通気孔体bとを交互に数個並設した組体Aを適切な等間隔でその両端を無端鎖体dに連結して、該鎖体dの移行でこれを無端状に移行させ、また、組体Aと同長の受板Cを組体Aと等間隔に配置し、その両端を無端鎖体eに連結し、この両鎖体d或はeを等速度に同一方向へ移行させること(2)その移行の初めに型a内に飴素材充填機Bより泥状の飴を注入したときは、
受板Cが組体Aの下面に接当すること(3)型a内の飴が冷却固化すると受板Cを型aの底部より外すようにすること(二)(イ)号装置は右の如き構造を有することにより本件考案の飴菓子製造装置と同一の作用効果をあげるものである。
五 (イ)号装置と本件考案とを対比すると、(イ)号装置は本件考案の三つの構成要件のすべてを備えており、また、その作用効果も本件考案の目的とするそれと同一であるから、(イ)号装置は本件考案技術的範囲に属するものである。
六 被告会社は(イ)号装置を使用しており、右装置は前記のとおり本件考案技術的範囲に属するものであり、被告会社の右行為は本件実用新案権の侵害となるから、原告は右権利に基づいて、被告会社の右行為の差止めを求め、また、被告会社は右(イ)号装置を所有しているので、原告は右権利に基づいて、その廃棄を求める。
七 被告【A】は被告会社の代表取締役であるところ、その職務の執行として(イ)号装置を使用するに当つては、原告の本件実用新案権の存在を知り、したがつて、右使用が右権利の侵害となることを知つていたか、過失によつてこれを知らなかつたものである。
したがつて、被告会社は被告【A】がその職務を行うにつき原告に加えた後記損害を賠償すべき責任がある。
被告会社は(イ)号装置の使用により昭和四六年七月一四日から同年一二月三一日までは一億一二五〇万円の、同四七年一月一日から同年一二月三一日までは二億六八七五万円の、同四八年一月一日から同年一二月三一日までは三億一二五〇万円の、同四九年一月一日から同年一二月三一日までは三億一二五〇万円の各利益を得た。
したがつて、原告は右と同額の損害を被つた。
よつて、原告は被告らに対し各自一億一二五〇万円及びこれに対する昭和四七年一月一日から、二億六八七五万円及びこれに対する昭和四八年一月一日から、三億一二五〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から、三億一二五〇万円及びこれに対する昭和五〇年一月一日から各支払ずみにいたるまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
請求原因に対する被告らの答弁
一 請求原因一ないし五の事実はすべて認める。
二 請求原因六の事実中、被告会社の使用している(イ)号装置が本件考案技術的範囲に属するものであること及び被告会社が(イ)号装置を所有し、これを使用していることは認め、右使用行為が本件実用新案権の侵害となることは争う。
三 請求原因七の事実中、被告【A】が被告会社の代表取締役であることは認め、その余の事実は否認する。
被告らの抗弁及び補助参加人の主張
一 被告会社は本件考案の内容を知らないでこれを考案した補助参加人の従業員である【B】から知得して、本件登録実用新案出願の際(昭和四三年一〇月一二日)、現に前記肩書地所在の本社工場において本件考案の実施である事業の準備をしていたから、本件実用新案権について先使用による通常実施権を有するものである。
つまり、
(一)補助参加人はオンレーター(温冷筒、以下同じ)、高圧ポンプ等の化学機械の製造販売を目的とする会社であるところ、昭和四〇年初め頃訟外豊田通商株式会社(以下、訴外会社という)から原告に納入するための飴連続製造装置の開発依頼を受けたので、まず、訴外会社を介して原告の工場見学を要請し、同年二月頃代表取締役【C】及び従業員【B】らが右工場に赴いて原告における飴の製造方法を確認した。
それによると、原告においては当時泥飴を銅製の鍋に入れて加熱し、水分を蒸発させて適度の濃度にたき上げ、これを鍋から手作業で一定の飴型に流し込み、一定時間そのまま冷却固化させ、固化した後に手作業で飴型をひつくり返して飴をたたき落すという方法により飴を製造していた。
そこで、前記【B】らは泥飴を常に一定の濃度にたき上げ、これを順次自動的に飴型に注ぎ込み、一定時間に冷却固化させる工程を連続的に行わせる装置を開発考案する必要に迫られたところ、同人らは補助参加人において製造しているオンレーターを使用して飴をたき上げ、これをコンベア状にした型内に充填するという基本的な構想を抱き、同年三月頃原告から原料の提供を受ける等して補助参加人の工場内においてオンレーターによる飴のたき上げテストを行つた結果、右オンレーターによるたき上げの後に、更に蒸発オンレーターを使用して水分を蒸発させれば原告の要求する水分の小さい飴ができるという目途がついた。
次いで、補助参加人の従業員二名は同年四月頃原告会社工場に赴き、飴のたき上げ温度、その粘度、色あい、成型器に注入する際の飴の温度、成型器に注入後の冷却時間等に関する資料集めを行つた。
更に、前記【B】は同年五月頃補助参加人の取引先である無妙工業こと【D】と一緒に原告会社工場に行き、オンレーターでたき上げた飴を成型器に注入することの可否につき確認したところ、充填機を使用できる見通しが立つた。
かくして前記【B】らは飴連続製造装置の開発に必要な基礎的なデーターを集め、同年五月頃これらの資料を基礎として机上計算を行い、設計担当者が右装置の成型器を含む各部分の製造設計図の作成に着手し、同年六月頃にはこれを完成させて、本件考案を含む飴連続製造装置の考案が完成したものである。
(二)そこで、補助参加人は同年六月一五日訴外会社との間で同人が別紙(三)図面及び同説明書記載の飴剤成型部装置を含む黄金糖連続製造装置二式を製造して訴外会社に対し次のとおりの条件で売り渡す旨約した。
(1) 代金 一式当り一、〇〇〇万円 (2) 受渡期限 昭和四〇年八月三一日 (3) 受渡場所 大阪市<以下略> 株式会社瀬戸口製菓所 (4) 受渡方法 納入場所据付試運転完了渡し ところで、右黄金糖連続製造装置の概要は、まず原料溶解槽で原料を溶解して原料受槽に送り、受槽の糖液を加熱オンレーターに送つて糖液を一定温度にまで加熱した後、濃縮オンレーター(蒸発オンレーター)に送つて糖液から水分を蒸発させて濃縮し一定温度にして充填機に送り、充填機から成型器に一定量をノズルから自動的に滴下させ、右滴下される飴の量に合わせてコンベアーによつて一定速度で回転移行している成型器において一定時間冷却し、成型器が冷却固化した後、自動的に作動する打落装置によつて固化した飴を成型器から取り出すものである。
補助参加人は右契約に基づいて同年九月頃から右装置の据付工事を開始し、同月末頃これを完了して試運転を行つた結果、右装置は前記各資料に基づく机上計算により製造されたものであるため、次のとおりの問題点が発生したので、補助参加人はこれを次のとおり改良した。
その第一点は、蒸発水を排出するクーラーが機能しないことが原因で濃縮オンレーターにおいて水分が十分に蒸発しないことである。
そこで、右クーラーを取りはずして蒸気排出フアンを取り付けた。
しかしながら、それでも飴の含水量を十分に減少させることができなかつたので、濃縮オンレーターの出口調圧弁を除去して糖液を充填機に送る配管を太くした。
けだし、右試運転の結果、糖液の水分は単に濃縮オンレーターの中においてだけでなく、同オンレーターから充填機に送られる過程及び成型器に充填後コンベアーにおいて冷却固化される過程においても絶えず排出されることが判明したからである。
更に、飴の色を濃くすることなく、その含水量を原告が要求する程度にまで減少させるために濃縮オンレーターと充填機との過程にフアンを取り付けた。
その第二点は、成型器内の飴が十分に冷却されないこと及び成型器内での飴の脱水が十分でなかつたことが原因で成型器から固化した飴が容易に抜けないことである。
そこで、成型器を一定速度で移行させるコンベアーを延長し、また、打落装置を改良するとともに冷却中に飴から放出される水分が十分に拡散するように改良した。
(三) 他方、被告会社は昭和四二年三月一〇日頃補助参加人の勧めによつて高温処理飴の製造計画に着手し、同年七月一七日に補助参加人より別紙(二)図面及び同説明書記載の飴剤成型部装置を含む飴連続製造装置の見積書を提出させて製品の品質、形態、意匠、品名等の検討を始めたところ、従来被告会社が使用していた一〇kg/cm2圧力ボイラーでは高温処理ができないため、一六kg/cm2高圧ボイラーを導入する必要に迫られたので、翌四三年三月一九日頃吉嶺汽罐工業株式会社から右高圧ボイラーを購入し、その設備完了後の同年七月二〇日補助参加人から右飴剤成型部装置を含む飴連続製造装置を買受けた。
次いで、被告会社は補助参加人から昭和四三年八月二三日に成型器の、同年九月一〇日にポンプの各図面を、また、同月一四日に設備配置決定承認図をそれぞれ受領し、その後山本金属の斡旋により株式会社神戸製鋼所に対し成型器のダイキヤスト製造を依頼し、同製鋼所より同月二四日に製作手配書を、同年一〇月五日に型決定承認の図面をそれぞれ受領した。
そして、右飴連続製造装置は約定どおり同年一〇月末日に被告会社に納入された。
(四) しかして、別紙(二)、(三)各図面及び同説明書記載の各装置は、
(イ)号装置と同様に本件考案と同一の技術思想にもとづくものというべきである。
二 仮に右主張が認められないとしても、本件登録実用新案は登録を受ける正当な権利を有する真の考案者に与えられたものではなく、また、本件登録実用新案の考案は出願前より公知であつたから、本件実用新案登録は無効審判により無効とされる蓋然性がきわめて高いものである。
よつて、右のような瑕疵ある登録によつて成立した実用新案権に基づいて第三者に禁止権を行使することは信義則に反し、権利の濫用として許されないものである。
被告らの抗弁等に対する原告の答弁及び主張
一 被告らの抗弁等一の(一)の事実中、補助参加人の営業目的、【B】が昭和四〇年二月頃原告会社に赴いたこと、原告会社においては当時被告ら主張の方法で飴を製造していたこと、補助参加人の従業員二名が原告会社に赴き飴のたき上げ温度、その粘度等に関する資料を集めたこと、【B】が同年五月頃被告ら主張の【D】とともに、原告会社工場に行き、オンレーターでたき上げた飴を成型器に注入することの可否につき確認したことは認め、【B】が本件考案考案者であること等その余の事実はすべて否認する。
本件考案は、訴外【E】が昭和三七年頃原告の依頼を受けて、その開発に取り組み、同四〇年初め頃これを完成させたものである。
そして、原告は訴外会社を介して補助参加人に対し本件考案を含む飴連続製造装置のうち定量ポンプ、加熱オンレーター、濃縮オンレーター、戻し受槽、戻し槽、
充填機、冷却コンベアー、受板コンベアー、飴送りコンベアーのみの製作販売を依頼したにすぎない。
ところで、原告は従来のキヤラメル、ドロツプ、キヤンデー等と異なり、添加物を混入せずに硬度の高い斬新な風味を有する飴の量産を目的としていたので、砂糖をできるだけ多く配合し、原料の濃縮効率を高め、水分含有量を極力少なくし、また、流動性を大にして飴型への注入を容易にするとともに注入後に冷却固化した飴を容易に取り出すことができるようにする等の必要があつた。
そこで、原告は訴外会社との間で、従つて訴外会社は補助参加人との間でその契約において次のことを必要条件とする旨を約したものである。つまり、
(1) 飴の色は淡黄色とする。但し、サンプルを原告より提出し、それと比較する。
(2) 飴に泡のないこと。
(3) オンレーターは摂氏一七〇度から一八〇度まで加熱できるようにする。
(4) 飴の水分は〇・〇二パーセント以下とする。
(5) 飴にバリのでないこと。
(6) 飴一個当りの重さは五グラムとする。
(7) 飴には結晶の入らないこと。但し、約一ケ月後には結晶するものとする。
したがつて、補助参加人としては右条件に合致したオンレーター等を製作する必要があつたので、その従業員が原告会社を訪れ、訴外【E】の指導の下に飴のたき上げ温度、その粘度等について実験研究したのである。
同一の(二)の事実中、補助参加人と訴外会社との契約条件が、その目的物を除いて被告ら主張のとおりであること、黄金糖連続製造装置の概要が被告らの主張のとおりであること、右装置について被告ら主張のとおりの問題点が発生したので、
その後これをその主張のとおり改良したことは認め、その余の事実は否認する。
水分の排出を促すために濃縮オンレーターと充填機との過程にフアンを取り付けること及び第二の問題点の改良事項を指摘したのはいずれも【E】である。
同一の(三)の事実はすべて不知。
同一の(四)のうち、(イ)号装置が本件考案の技術思想にもとづくものであることは認め、その余は争う。
二 同二の事実は争う。
証拠(省略)
理 由一 原告が請求原因として主張する一ないし五の事実は当事者間に争いがない。
したがつて、(イ)号装置が本件登録実用新案の技術的範囲に属することは当事者間に争いがないところである。
二 そこで、先使用の抗弁について判断する。
補助参加人がオンレーター、高圧ポンプ等の化学機械の製造販売を目的とする会社であること、【B】が昭和四〇年二月頃原告会社を訪れたこと、原告会社では当時被告ら主張の方法で飴を製造していたこと、補助参加人の従業員二名が原告会社に行き飴のたき上げ温度、その粘度等に関する資料を集めたこと、【B】が同年五月頃訴外【D】と一緒に原告会社工場に赴き、オンレーターでたき上げた飴を成型器に注入することの可否につき確認したこと、補助参加人と訴外会社との契約条件がその目的物を除いて被告ら主張のとおりであること、黄金糖連続製造装置の概要が被告ら主張のとおりであること及び右装置について被告ら主張のとおりの問題点が発生したので、その後これをその主張のとおり改良したこと、以上の事実はいずれも当事者間に争いがないところ、右事実にいずれも成立に争いのない甲第三号の一ないし五、第一一、第一二号証、第一八号証の一、二、乙第八号証、第一六、第一七号証、丙第一ないし第三号証、第四号証の一、二、第五ないし第一三号証、いずれも証人【F】、同【B】の証言により成立の認められる丙第一四ないし第一七号証、証人【B】の証言により成立の認められる丙第一八ないし第二六号証、いずれも弁論の全趣旨により成立の認められる甲第四号証の一、二、第五号証の一ないし五、第六号証の一ないし四、第七号証の一ないし三、第八号証の一ないし八、第九号証の一ないし三、第一〇号証の一、二、乙第一号証、第二号証の一ないし五、
第三号証の一ないし三、第四号証の一、二、第五号証、第六、第七号証の各一、
二、第一三ないし第一五号証並びに証人【B】(第一、二回)、同【F】、同【G】(第一、二回)、同【E】(但し、後記措信しない部分を除く。)、同【D】、同【H】の各証言及び補助参加人、原告会社(但し、後記措信しない部分を除く。)各代表者の供述を総合すると、次の事実が認められる。
すなわち、
(一)オンレーター、高圧ポンプ等の化学機械の製造販売を目的とする会社である補助参加人は、昭和四〇年初め頃、古くからの取引先である訴外豊田通商株式会社から原告に納入するための飴連続製造装置の開発依頼を受けた。
そこで、補助参加人の技術部長である【B】らは、まず、同年二月頃、原告会社工場を見学して原告における飴の製造方法を確認した。
それによると、原告においては当時泥飴を銅製の鍋に入れて加熱し、水分を蒸発させて適度の温度にたき上げ、これを鍋から手作業で一定の飴型に流し込み、一定時間そのまま冷却固化させ、固化した後に手作業で飴型をひつくり返して飴をたたき落すという方法により飴を製造していた。
したがつて、補助参加人としては原告らの要請する飴連続製造装置を開発するには泥飴を常に一定の温度にたき上げ、これを順次自動的に飴型に注ぎ込み、一定時間に冷却固化させる工程を連続的に行わせる必要があつた。
そこで、前記【B】らは、右の工程のうち飴を一定の濃度にたき上げる部分は補助参加人において製造しているオンレーターを使用し、飴型はコンベア状に並設して移動させ順次これにたき上げた泥飴を充填機により充填することとし、右コンベアと充填機とは同一のモーターで駆動して連動させるという基本的な構想を抱いた。
そして、前記【B】らは、同年三月頃、原告から原料の提供を受け、また、訴外タクマクレイトンサービス株式会社所有のボイラーと補助参加人の製造にかかる加熱オンレーターを使用して原告会社代表者らの立会の下に飴のたき上げテストを行つた結果、右加熱オンレーターのほかに蒸発オンレーター(濃縮オンレーター)をも使用すれば、前記構想のうちオンレーターを使用して原告らの要求する黄金色の水分の少ない飴をたき上げることができるとの一応の見通しが立つた。
次いで、補助参加人の従業員【F】は、同僚の【I】と一緒に、同年四月頃、原告会社工場に赴き、オンレーターによつて飴をたき上げる温度、その間の時間、色の変化、充填機により成型器に注入できる温度の限界、成型器に注入後の冷却時間、成型器裏金をはずす時期等に関する資料集めを行つた。
その結果、飴を摂氏一七五度までたき上げて約一分間放置するとその色は原告の要求する黄金色にはならず赤茶色となること、これを成型器に注入して窒温で約二五分間放置するとそれから容易に抜けること、たき上げた飴を充填機でピストン式に成型器に注入する場合には糖化現象が発生すること、たき上げた飴をノズルの先端から約一〇センチメートル離れた成型器に注入する場合には落下に要する時間は約一秒であること、飴は摂氏一〇〇度前後までは十分に流動性を保有していること、充填可能な最低温度は摂氏一一〇度前後であること等の事実が判明した。
更に、前記【B】は、同年五月頃、補助参加人の取引先であり、当時主として化粧品製造用の充填機を製造していた無妙工業こと【D】と一緒に原告会社工場に赴き、原告における飴の製造方法を見学して、オンレーターでたき上げた飴を充填機で注入することの可否につき確かめた結果、充填機による充填が可能であるとの目途がついた。
かくして前記【B】らは飴連続製造装置の開発に必要な資料を蒐集し、これらのデーターを基礎として机上計算を行つてオンレーターの大きさ、成型器及びその裏金の各コンベアの長さ、冷却装置の構成、充填機の構造、成型器及びその裏金の構想等を決定した。
そして、右【B】の指揮監督のもとに設計担当者が、黄金糖連続製造装置の配置図(丙第二号証)及びフローシート(丙第三号証)、成型器(丙第四号証の一)、
成型器裏金(丙第四号証の二)の各製造設計図を同年六月中旬までに、また、その後充填機ノズル、バルブ本体、プランジヤー等充填機関係の製造設計図(丙第七ないし第一三号証)をそれぞれ完成させた。
ところで、右成型器の設計図によると、成型器は上下を開放した飴菓子型と通気孔とを交互に多数並設したものとなつている。
それは、一方では前記【B】らとしては成型器をダイカストにより製作する方針であつたから鋳造品の肉厚をできるかぎり均一にするために飴菓子型と飴菓子型との間に空間を設ける必要があると考えていたが、他方前記【D】が飴菓子型中の飴を急激に冷却させるとの見地から飴菓子と飴菓子型との間に通気孔を設ける必要を助言してくれたこともあつて、右のような成型器を考案したのである。
(二) このようにして飴連続製造装置の開発に成功した補助参加人は、昭和四〇年六月一五日、訴外豊田通商株式会社との間で同人が別紙(三)図面及び同説明書記載の飴剤成型部装置を含む黄金糖連続製造装置二式を製作して右訴外会社に対し次のとおりの条件で売り渡す旨約した。
(1)装置の概要 原料溶解槽で原料を溶解して原料受槽に送り、受槽の摂氏一〇五度の原料糖液をタンク及び新設タンクにより連続的に取り出し、加熱オンレーターに圧入して摂氏一七五度まで加熱して着色を起させ、
次いで濃縮オンレーターに送つて水分を蒸発させて〇・〇二パーセント以下に下げ、更に充填機に送り、充填機で一個五グラムの型に流し込み、コンベア上で冷却固化させた後、自動的に作用する打落装置によつて固化した飴を型より抜いてコンベアで包装機に送り込む装置。
本件契約の対象には、原料受槽液位警報器及び出口弁切替装置、糖液定量送液装置、糖液加熱装置、糖液濃縮装置、充填機及び冷却コンベア、飴送りコンベア、計器及び操作スイツチ盤、戻し槽及び排水槽、現地工事がそれぞれ含まれるが、ボイラー、冷凍機、溶解槽、受槽成型器、その裏金等は原告において準備したものを前記黄金糖連続製造装置に取り付ける。
(2) 代金 一式当り一、〇〇〇万円(3) 受渡期限 昭和四〇年八月三一日(4) 受渡場所 大阪市<以下略> 株式会社瀬戸口製菓所(5) 受渡方法 納入場所据付試運転完了渡し(6) 製品条件(イ) 飴の色は淡黄色であること、但し、サンプルを原告より提出し、それと比較する。
(ロ) 飴に泡のないこと。
(ハ) オンレーターは摂氏一七〇度から一八〇度まで加熱できること。
(ニ) 飴の水分は〇・〇二パーセント以下であること、但し、原料配合は砂糖三〇キログラム、水飴四・五キログラム、水七キログラムとする。
(ホ) 飴にバリのでないこと。
(ヘ) 飴一個当りの重さは五グラムにすること。
(ト) 飴には結晶の入らないこと、但し、約一ケ月後には結晶するものとする。
そして、補助参加人は右契約の目的物のうち充填機及び冷却コンベアの製作を前記無妙工業こと【D】に依頼し、糖液加熱装置、糖液濃縮装置等は自ら製造した。
他方、原告は右契約において自らの責任で準備することになつていた溶解槽及び受槽の製作を訴外浅部築炉工作所に、冷房装置の製作を訴外伊丹金属工業株式会社にそれぞれ依頼するなどしたほか、成型器及びその裏金製作を訴外帝国ダイカスト工業株式会社と訴外甲斐製作所に依頼した。
右帝国ダイカストは、成型器及びその裏金を製造するに際しては、前記補助参加人が作成した製造設計図を基礎として、成型器については上下を開放した飴菓子型と通気孔とを交互に多数並設したものとするという基本的な構成を変更することなく、ダイカスト専門業者の立場から材質を青銅鋳物(BC)からアルミニウム合金ダイカスト一種(ADCI)に変更したり、通気孔の右上と左下の各部分に押出し装置を設けたりして最終的な設計図(承認願図、甲第一二号証)を作成したうえでこれらを製作して原告に納入した。
その後、補助参加人は右契約にもとづいて昭和四〇年九月頃から前記黄金糖連続製造装置の据付工事を開始し、同月末頃にはこれを完成させ、前記のとおり原告が準備した成型器、その裏金などを取り付けて試運転を行つた。
それによると、原告が右契約において要求する飴の含水量よりは多いけれども、
製品として販売できる飴菓子が全製品の六、七割程度できたので、原告はそれ以来これらを製品として市場に販売しはじめた。
しかしながら、右のとおり飴の含水量は未だ多かつたし、また、不良品がかなりの割合で発生したほか、成型器から固化した飴が抜けにくい等の問題点があつた。
そこで、前記【B】らは昭和四〇年六月初めに工場長として原告会社に入社した訴外【E】とも協議してこれらの問題点を次のとおり改良していつた。
その第一点は、蒸発水を排出するクーラーが機能しないことが原因で濃縮オンレーターにおいて水分が十分に蒸発しないことである。
したがつて、被告ら主張のとおり右クーラーを取りはずして蒸気排出フアンを取り付けたり、濃縮オンレーターの出口調圧弁を除去して糖液を充填機に送る配管を太くしたり、濃縮オンレーターと充填機との過程にフアンを取り付けたりした。
その第二点は、成型器内の飴が十分に冷却されないこと及び成型器内での飴の脱水が十分でなかつたことが原因で成型器から固化した飴が容易には抜けないことである。
ところで、成型器の飴を冷やす方法としては、当初コンベア上にトンネルを設け、その中に冷凍機で冷却させた冷たい空気を送つていたが、右のとおりの欠点があつたので、この方法を中止した。
そして、右の方法に代つてコンベアの長さを延長することとし、成型器コンベアについては一二メートル延長して約三五メートルに、裏金コンベアについては二・二メートル延長して六・七メートルにした。
また、右の問題点を解消させるために飴打落装置を改良した。
以上の問題点のほかに、充填機関係において、ホツパーの容量が小さすぎること、充填機とコンベアとがうまく連動しないこと及び充填機、ホツパー内の古い飴が固まるために充填機が作動しないことなどの問題点が発生したが、これらの点はホツパーの容積を大きくしたり、充填機プランジヤーの穴を改良したり、充填機及びホツパーの掃除を完全にすることによつて解決された。
さらに、前記【B】らは翌昭和四一年三月末までの間に濃縮オンレーター上部の蒸発蒸気出口孔や同オンレーター蒸発蒸気の浄化槽を設置したり、スチーム配管の仮配管を本配管に変更するなど細部に亘つて追加工事を実施して前記黄金糖連続製造装置についての問題点をほぼ全部解消させた。
(三) 他方、被告会社は、前記飴連続製造装置の販売に努めていた補助参加人より昭和四二年七月一七日右装置の見積書の交付を受けて高温処理飴の製造計画に着手した。
被告会社は、翌昭和四三年三月一九日には訴外吉嶺汽罐工業株式会社から右装置に必要な最高使用圧力一平方センチメートル当り一六キログラムの「よしみね水管式ボイラー」一基の見積書を受領し、同月末頃これを買受けた。
かくして被告会社は昭和四三年七月二〇日補助参加人との間で同人が別紙(二)図面及び同説明書記載の飴剤成型部装置を含む飴連続製造装置一式を製造してこれを次のとおりの条件で被告会社に売り渡す旨約した。
(1) 目的物 原料を配合して溶解したものを加熱、濃縮し、これを充填機で型込し、冷却させるまでの工程であつて、原料定量ポンプ装置、加熱オンレーター装置、蒸発オンレーター装置、充填機及びコンベア装置、計器及び操作盤、現地工事及び試運転立会調整を含むものである。
(2) 代金 二、一〇〇万円(3) 代金支払方法 契約時、補助参加人工場出荷時、同工場出荷後一ケ月以内の三回に分割して各七〇〇万円宛を支払う。
(4) 引渡日 第一系列 同年一〇月三一日 第二系列 同年一一月一五日(5) 引渡場所 大阪市<以下略> 被告会社工場据付渡し 成型器及びその裏金については、原告が前記黄金糖連続製造装置を買受けた場合と同様に被告会社において準備することになつていたので、被告会社は訴外株式会社神戸製鋼所にその製作方を依頼した。
右訴外会社は、前記帝国ダイカスト工業株式会社と同様に補助参加人が作成した図面(乙第四号証の一、二)を基礎としてその製作承認用図面(乙第七号証の一、
二)を同年一〇月一日に作成した。
また、被告会社は同年九月中旬頃には本件飴連続製造装置の配置図(乙第五号証)を補助参加人より受領した。
以上の各事実が認められ、証人【E】の証言及び原告会社代表者の供述中、右認定に反する部分はその余の前掲各証拠に照らしてたやすく措信できず、甲第一八号証の一、二もいまだ右認定を左右する証拠とは解しえないし、他には右認定をくつがえすに足りる的確な証拠はない。
また、別紙(二)、(三)各図面及び同説明書の記載によると、同記載の飴剤成型部装置は(イ)号装置と同一のもので、本件考案の構成要件をすべて具備していると認められる。
右認定の事実によると、前記【B】は補助参加人が訴外豊田通商株式会社より飴連続製造装置の開発方を依頼されて以来、飴の色、その含水量等飴自体に関する条件についても責任を負担したうえ、補助参加人の従業員【F】、訴外無妙工業こと【D】らをその補助者として使用して右装置の開発に必要な色々な資料を蒐集し、
これらのデーターを基礎として机上計算を行ない、成型器、その裏金等右装置の各部分の製造設計図を作成し、昭和四〇年六月中旬頃には本件考案を含む右装置についての考案を完成したものと認められる。
もつとも、前掲【E】の証言及び原告会社代表者の供述によると、右本件考案が完成した直前である昭和四〇年六月初めに原告会社に入社した訴外【E】が前記黄金糖連続製造装置が原告会社に納入されて試運転が行われた後に右装置の実施上の問題点を解決するうえで相当な役割を果したこと及び右【B】らが前記データーを蒐集するに際して本来オンレーター等の化学機械の製造販売を業とする補助参加人と異なり長年に亘り飴の製造販売に従事してきた原告会社代表者らからの温度と着色の関係等飴自体の性質に関して適切な助言を得たことが認められるけれども、未だ右事実のみでは前記認定の【B】が本件考案考案したとの事実をくつがえすことはできない。
しかして、被告会社は右認定のとおり本件考案の出願日である昭和四三年一〇月一二日以前に前記飴連続製造装置に特有な設備の一つである高圧ボイラーを購入し、次いで補助参加人との間で別紙(二)図面及び同説明書記載の飴剤成型部装置を含む右装置につきいわゆる製作物供給契約を締結したうえ、成型器、その裏金の製作方を訴外株式会社神戸製鋼所に依頼し、同所においてその最終設計図を完成させていたものである。
したがつて、被告会社は、本件実用新案登録出願に係る考案の内容を知らないで自らその考案をした前記【B】から補助参加人を介して昭和四二年七月中旬頃知得して、本件登録実用新案出願の際、現に前記被告会社工場において本件考案の技術思想と同一の別紙(二)図面及び同説明書記載の飴剤成型部装置の使用の準備をしていたのであるから、本件実用新案権について先使用による通常実施権を有するものというべきである。
それ故、被告ら主張の先使用の抗弁は理由がある。
三 そうすると、その余の点について判断するまでもなく原告の本訴請求はすべて失当であるから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。
追加
別紙(一)(イ)号図面説明書図面の簡単な説明一第壱図は(イ)号装置の側面図、第弐図はその平面図、第参図は数個の飴菓子型を列設した型板の平面図、第四図はこの型板の底部に接当させる受板の斜面図、
第五図は第参図A―A線における切断面図、第六図は(イ)号装置端部において型成された飴菓子が放出される位置を示す側面図である。
二図中Aは組体、Bは泥状の飴素材充填機、Cは飴菓子落下部。aは組体Aに設けた上下を開放した菓子型、bは同組体Aにおいて同型と交互に横方向に設けた通気孔、cは上記組体を受ける受体、dは上位無端鎖体、eは下位無端鎖体を示す。
図面の詳細な説明上下を開放し、型aと通気孔体bとを交互に数個並設した組体Aを適切な等間隔でその両端を無端鎖体dに連結して、該鎖体dの移行でこれを無端状に移行させ、また組体Aと同長の受板cを組体Aと等間隔に配置し、その両端を無端鎖体eに連結し、この両鎖体d或はeを等速度に同一方向へ移行させ、その移行の初めに型a内に飴素材充填機Bより泥状の飴を注入したときに、受板cが組体Aの下面に接当して型aの底を形成し、型a内の軟泥状の飴の流下を防ぎ、その状態において移行の連続と通気孔b内の冷気の通過とで、逐次冷却固化させ、受板cを図面の如く型aの底部より外し、飴の完全凝固化して多少とも小形となり、型aの内周壁面より分離した際、鎖体dが下向となり移行する時に固形飴を放出するものである。
第1図第2図第3図第4図第5図第6図<12003-001>別紙(二)飴剤成型部装置一図面の説明第1図飴剤成型部装置(8、9、10、11の部分)を含む飴連続製造装置の全体の系統図第2図上型(型板・飴型・成型器)コンベアー9の部分平面図第3図下型(受板・裏金型)コンベアー10の部分平面図第4図上型の拡大平面図(部分)第5図下型の拡大平面図(部分)第6図上型に下型が接当されたときのA―A線における断面図二飴剤成型部装置の説明1上下を開放し飴型と通気孔体を交互に一二個宛並設した上型(型板・飴型)を適切な等間隔で、その両端を無端コンベアーに連結して、これを無端状に移行させ、
2右上型と同長の下型(受板・裏金型)を上型と等間隔に配置し、その両端を無端コンベアーに連結して、両型を等速度に同一方向へ移行させ、
3その移行の初めに上型内に飴素材充填機8より泥状の飴を注入したときは、下型が上型の下面に接当して(第6図)、
4上型内の飴が冷却固化すると下型を上型の底部より外し、
5飴打落し装置11の突起で上型の底部を押して飴を打落す、
飴菓子製造装置である。
第1図<12003-002>第2図第3図<12003-003>第4図第5図第6図<12003-004>別紙(三)飴剤成型部装置一図面の説明第1図飴剤成型部装置(8、9、10、11の部分)を含む飴連続製造装置の全体の系統図第2図上型(型板・飴型・成型器)コンベアー9の部分平面図第3図下型(受板・裏金型)コンベアー10の部分平面図第4図上型の拡大平面図(部分)第5図下型の拡大平面図(部分)第6図上型に下型が接当されたときのA―A線における断面図二飴剤成型部装置の説明1上下を開放し飴型と通気孔体を交互に一〇個宛並設した上型(型板・飴型)を適切な等間隔で、その両端を無端コンベアーに連結して、これを無端状に移行させ、
2右上型と同長の下型(受板・裏金型)を上型と等間隔に配置し、その両端を無端コンベアーに連結して、両型を等速度に同一方向へ移行させ、
3その移行の初めに上型内に飴素材充填機8より泥状の飴を注入したときは、下型が上型の下面に接当して(第6図)、
4上型内の飴が冷却固化すると下型を上型の底部より外し、
5飴打落し装置11の突起で上型の底部を押して飴を打落す、
飴菓子製造装置である。
第1図<12003-005>第2図第3図<12003-006>第4図第5図第6図<12003-007>
裁判官 大江健次郎
裁判官 小倉顕
裁判官 北山元章