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事件 昭和 54年 (ワ) 4203号
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裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1982/07/23
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告株式会社豊和は、別紙イ号図面及び説明書に記載する各ワイヤー式排煙オペレーターを製造・販売してはならない。
二 被告株式会社豊和は、その製造にかかる前項記載の各物件を廃棄しなければならない。
三 被告渋谷金属産業株式会社は、第一項記載の各物件を販売又は販売のため展示してはならない。
四 訴訟費用は被告らの負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 原告 主文同旨。
二 被告ら1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
請求の原因
一 原告は、次の実用新案権(以下これを「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という)の権利者である。
名称 「排煙連窓の復帰装置」出願 昭和四八年一〇年八日(実願昭四八-一一七二六九)公告 昭和五二年三月二四日(実公昭五二-一三一五五)登録 昭和五二年一二月二四日(第一二〇八七〇一号)実用新案登録請求の範囲 「緊急時係止が解かれて一斉開放する排煙連窓1…1に於いて、各窓1側にワイヤー掛架装置2を、枠3側にはワイヤー張架装置4、4をそれぞれ適宜取着し、一端を固着したワイヤー5をワイヤー張架装置4…4を介してそれぞれのワイヤー掛架装置2…2に連続的に張架すると共に、同ワイヤーの他端にワイヤー巻取機6を設けて成る排煙連窓の復帰装置。」二 本件考案の構成要件及びその作用効果は次のとおりである。
1 構成要件(一) 緊急時係止が解かれて一斉開放する排煙連窓1…1であること。
(二) 各窓1側にワイヤー掛架装置2を、枠3側にはワイヤー張架装置4、4をそれぞれ適宜取着し、一端を固着したワイヤー5をワイヤー張架装置4…4を介してそれぞれのワイヤー掛架装置2…2に連続的に張架してあること。
(三) 同ワイヤー5の他端にワイヤー巻取機6を設けること。
よりなる排煙連窓の復帰装置2 作用効果(一) すべてが閉鎖状態にある排煙連窓1…1は、火災等の緊急時に、窓を閉鎖状態に保持させる係止装置を解除させることで、オートヒンヂ又はガススプリング等の弾性部材による開放方向への付勢力によつて、ワイヤー5が窓の開放に支障がないように繰り出され、自動的に迅速かつ一斉に開放されるので、排煙効果が優れている。
(二) 排煙連窓1…1を一斉開放後、手動又は電動式の巻取機6を駆動してワイヤー5を巻取ると、ワイヤーの長さが短くなるので、ワイヤー掛架装置2及びこれと一体の窓1…1が閉鎖方向に引張られ、閉鎖位置まで引張られると、窓は元の閉鎖状態に一斉に復帰する。この場合、ワイヤー掛架用ローラ2…2は動滑車の作用をなすので、窓が多数あつてもワイヤーを巻取る長さが変化するだけで、巻取力は一枚の窓を閉鎖させるに足る力だけでよく、小さな力で多数の窓を一斉に閉鎖することができる。
したがつて、窓の数が増加してもワイヤーの巻取力を変化させる必要がないので、窓の数のいかんにかかわらず、常に一定の力で巻取機6を簡単に操作することができるので排煙連窓の閉鎖が簡単容易である。
三 被告株式会社豊和(以下「被告豊和」という)は、別紙イ号図面及び説明書に記載する各ワイヤー式排煙オペレーター(以下同図面第1ないし第3図に記載するものを「イ号第一物件」と、同図面第4ないし第6図に記載するものを「イ号第二物件」といい、あわせて「イ号物件」という)を業として製造販売し、被告渋谷金属産業株式会社(以下「被告渋谷金属」という)は、イ号物件を業として販売し、
又は販売のため展示している。
四 イ号物件は次のような構成及び作用効果を有する。
1 イ号第一物件の構成(一) 緊急時にワイヤーDをゆるめることにより、係止が解かれて一斉に開放する排煙連窓@…@であり、各排煙連窓@は、下端が蝶着Jされ、上方が外側に開放するとともに、別紙イ号図面第1ないし第3図のとおりステイダンパーFを常に開放方向に付勢された状態で張架してあること。
(二)(1) 各窓@側にはワイヤーDを掛ける滑車A、Aを中間部材を介して首振り状として左右応取付け、枠B側にはワイヤーDを掛ける滑車C、Cを中間部材を介して首振り状として取付け、
(2) 一端をワイヤーストツパーで固着した一本のワイヤーDを、枠B側の滑車C、Cを介してそれぞれの窓@側滑車A、Aに連続的に張架してあること。
(三) ワイヤーDの他端に、ワイヤーの巻取機Eを設けてあること。
よりなる排煙連窓の復帰装置。
2 イ号第二物件の構成(一) 緊急時にワイヤーDをゆるめることにより、係止が解かれて一斉に開放する排煙連窓@…@であり、各排煙連窓@は、下端が蝶着Jされ、上方が内側に開放するとともに、別紙イ号図面第4ないし第6図のとおりステイダンパーFを常に開放方向に付勢された状態で張架してあること。
(二) (1) 各窓@側にはワイヤーDを掛ける滑車A、Aを中間部材を介して首振り状として左右端部に取付け、枠B側にはワイヤーDを掛ける滑車C、Cを中間部材を介して首振り状として取付け、
(2) 一端をワイヤーストツパーで固着した一本のワイヤーDを、枠B側の滑車C、Cを介してそれぞれの窓@側滑車A、Aに連続的に張架してあること。
(三) ワイヤーDの他端に、ワイヤーの巻取機Eを設けてあること。
よりなる排煙連窓の復帰装置。
3 イ号物件の作用効果(一) すべてが閉鎖状態にある排煙連窓@…@は、火災等の緊急時に、イ号図面の第1図又は第4図に示す巻取機Eのボタンを押すと、ワイヤーがゆるみステイダンパーFの開放方向への付勢力によつて、ワイヤーDが窓の開放に支障がないように繰り出され、自動的にイ号図面第3図又は第6図に示すように迅速かつ一斉に開放されるので、排煙効果が大である。
(二) 開放状態の排煙連窓@…@は、巻取機Eを駆動することにより閉鎖することができる。すなわち、巻取機EでワイヤーDを巻取ると、ワイヤーの長さが短くなるので、窓側の滑車A、A及びこれと一体の窓@が閉鎖方向に閉鎖位置まで引張られると、窓@…@は元の閉鎖状態に一斉に復帰する。この場合、窓@の滑車A…Aは動滑車の作用をなすので、窓が多数あつてもワイヤーを巻取る長さが変化するだけで、巻取力は一枚の窓を閉鎖させる力だけでよく、小さな力で多数の窓を一斉に閉鎖することができる。
したがつて、窓の数が増加してもワイヤーの巻取力を変化させる必要がないので、窓の数のいかんにかかわらず、常に一定の力で巻取機Eを簡単に操作することができるので、排煙連窓の閉鎖が簡単容易である。
五 イ号物件の前記構成(一)′、(二)′、(三)′はそれぞれ本件考案の前記構成要件(一)、(二)、(三)を充足し、イ号物件の作用効果は本件考案のそれと同一であるから、イ号物件は本件考案技術的範囲に属する。
六 被告豊和は業としてイ号物件を製造販売することにより、被告渋谷金属は業としてイ号物件を販売し又は販売のため展示することにより、原告の本件実用新案権を侵害している。
七 よつて、原告は、被告豊和に対してイ号物件の製造販売の差止めとその廃棄を、被告渋谷金属に対してイ号物件の販売、販売のためり展示の差止めを求める。
請求原因に対する被告らの答弁
一 請求原因一の事実は不知。
二 同二1の事案は争う。本件考案の「実用新案登録請求の範囲」を分説して得られる構成要件は次のとおりである。
(一) 緊急時係止が解かれて一斉開放する排煙連窓1…1であること。
(二) 各窓1側にワイヤー掛架装置2を、枠3側にワイヤー張架装置4、4をそれぞれ適宜取着すること。
(三) 一端を固着したワイヤー5をワイヤー張架装置4…4を介してそれぞれのワイヤー掛架装置2…2に連続的に張架すること。
(四) ワイヤー5の他端にワイヤー巻取機6を設けること。
よりなる排煙連窓の復帰装置。
三 同二2、三、四の事実は認める。
四 同五、六の事実は否認する。
五 同七は争う。
被告らの主張
公知技術の存在1 被告渋谷金属が昭和四八年五月に発行の営業用カタログ「排煙窓用金具」(乙第一号証、以下「公知技術@」という)。
右カタログ中の排煙錠に関する説明文及び図面には、煙感知器からの信号により解錠装置のソレノイド装置が作用して数個の連窓を一つの信号で解錠し、自動的に連窓を開放する装置が示されている。右装置は本件考案の構成要件(一)を充足する。
2 ドイツ帝国一九二七年(昭和二年)二月二一日発行の「ワイヤー引きによる窓及び換気窓の同時開閉装置」に関する特許公報(乙第二号証の一・二、以下「公知技術A」という)。
右公報には、一斉開放する連窓に於いて、一端を固定するとともに他端を巻取機に連結しているワイヤーを、窓側に設けたワイヤー掛架装置と窓枠側に設けたワイヤー張架装置に連続的に張架し、一斉開放した排煙連窓を巻取機を駆動するだけで一斉に閉鎖させることのできる排煙連窓の復帰装置が示されている。右装置は本件考案の構成要件のすべてを充足する。
すなわち、
(一) 右公報には、全体構造として、緊急時であると否とを問わずまた排煙用であると否とを問わず、一斉開放する連窓が示されており、右は本件考案の構成要件(一)を充足する。
(二) 右公報には、「引き紐aは動向ローラbと各一つのシリンダーローラcを通つている」構造が示されているが、シリンダーローラcは連結棒iを介して窓k、l、mに連結されているので、本件考案の窓側のワイヤー掛架装置に、また動向ローラbは本件考案の窓枠側に設けたワイヤー張架装置に該当する。右は本件考案の構成要件(二)を充足する。
(三) 右公報には、引き紐aの一端を釣合おもりu、爪t、歯付案内oにより固定するとともに、この引き紐aを、ワイヤー張架装置としての動向ローラbを介してワイヤー掛架装置としてのシリンダーローラcに、連続的に張架している構造が示されている。右は本件考案の構成要件(三)を充足する。
(四) 右公報にはウインチwが示されており、右は本件考案の構成要件(四)を充足する。
3 実開昭四八-七六七三九公開実用新案公報(昭和四八年九月二一日公開)(乙第三号証、以下「公知技術B」という)。
右公報には、「ガラス窓、よろい窓又はその類似物の開閉機構」、すなわち、巻取機としての作用をする操作部7と、窓枠15に取付けられているケーブル1、張架装置の作用をするコネクタ3、窓側に取付けられているケーブル2、掛架装置の作用をする金具18を有し、一斉開放した連窓を一斉に閉鎖させることのできる連窓の復帰装置が示されている。右装置は本件考案の構成要件(一)、(二)、
(四)を充足する。すなわち、
(一) 右公報にはハンドル10を回動することにより連窓を一斉に開閉する機構が示されており、右は本件考案の構成要件(一)を充足する。
(二)右公報には、窓側にワイヤー掛架装置としての金具18と、枠側にワイヤー張架装置としてのコネクタ3が示されており、右は本件考案の構成要件(二)を充足する。
(三) 右公報には操作部7が示されており、右は本件考案の構成要件(四)を充足する。
4 昭和六-三七八〇実用新案公報(昭和四六年一一月四日公告)(乙第五号証、
以下「公知技術C」という)。
右は複数個連設した艙口蓋を連続的に開閉するための考案であり、右公報には、
各艙口蓋6、7、8側に設けた滑車11、隔壁3側に設けた滑車12を介して索14を連続的に張架し、索14を巻取り又は巻戻すことにより、艙口蓋6、7、8を順番にかつ連続的に開閉することのできる構造が示されている。右構造は本件考案の構成要件(三)、(四)を充足する。すなわち、
(一) 右公報には、一端を固着した索14を隔壁3側に設けた滑車12を介して各艙口蓋6、7、8側に設けた滑車11に連続的に張架している構造が示されており、右は本件考案の構成要件(三)を充足する。
(二) 右公報には、索14をカーゴウインチにより矢印方向(第2図参照)に巻取るとの構造が示されており、右は本件考案の構成要件(四)を充足する。
二 本件考案の効果と公知技術A 本件考案の作用効果は公知技術Aのそれと同一である。このことは、乙第二号証の二(訳文)の五頁一八行目ないし六頁四行目の「窓が開いており、これらを閉じようとする時、ウインチwが右へ回され、ロープaが巻き上げられる。その端が固定されているためループd及び案内hも引き上げられ、案内は棒iを通じて窓を調節する。抵抗に応じていずれかの窓が先ず動き始める。最初の窓が閉じられると次の窓が続き以下同様となる。」との記載からも明らかである。
三 右のとおり、本件考案の構成要件(一)ないし(四)及び作用効果はすべて公知技術Aに開示されており、更に、本件考案はその余の乙号各証に開示された公知技術の単なる寄せ集めにすぎないから、本件考案技術的範囲は、明細書及び図面実施例として具体的に明示されたところに限定して解釈されるべきである。
1 本件考案実施例(一) 本件考案の公報(以下「本件公報」という)(甲第二号証)の第1図ないし第3図に記載の実施例(第一実施例という)。
この実施例は、外開き方式の排煙連窓を示したものであり、窓1側中央にローラ2を一個枢着し、枠3側中央部にローラ4を2個枢着している。
(二) 本件公報の第4、第5図に記載の実施例(第二実施例という)。
この実施例は、取付金具とチユーブ、又は樹脂成形物をワイヤー掛架装置、ワイヤー張架装置として用いたものである。
2 イ号物件は、その構成及び作用効果において本件考案実施例と異なるが、その詳細は次のとおりである。
(一) 本件考案は、排煙連窓1…1自体の係止が解かれて一斉開放するものであるのに対し、イ号物件は、巻取機6の係止が解かれワイヤー5をゆるめることにより、排煙連窓@…@を一斉開放するものである。すなわち、本件考案の排煙連窓1…1は、錠装置13等により閉状態を保つように係止され、この係止が解かれることにより開放せられるものであり、一方イ号物件のそれは、巻取機6に巻取られているワイヤー5の引張り力により排煙連窓1…1は閉状態を保ち、ワイヤー5を巻取機6より繰出しワイヤー5をゆるめることにより、ステイダンパー7の押圧を受けて排煙連窓1…1が開放されるものである。
したがつて、イ号物件は本件考案の構成要件(一)を充足しない。
(二)(1) イ号物件では、各窓側にワイヤーを掛ける二個の滑車を左右に離反させて取付け、枠側にワイヤーを掛ける滑車を二個左右に離反させて取付けている。これに対し、本件考案の場合は、窓側の掛架装置が一個で、しかも窓側の掛架装置、枠側の張架装置がともに窓、枠の上部中央部に設けられている。右構造上の差異により、イ号物件は、本件考案実施例に比べ、窓の閉動作の安定性の点において秀れた作用効果を奏する。
(2) イ号物件では、窓側、粋側の両滑車は、窓への固定部材に保持部材を首振り状に連結し、更にこの保持部材に貫通させた支軸に滑車を回転自在として間接的に取付けられている。このため、窓が開閉動のために枠に対して角度を変えるときも、両滑車はワイヤーの角度に対応して回転をスムースに行いうるようになつている。これに対し、本件考案では、掛架装置、張架装置の両滑車は窓及び枠に直接固定された支軸に回転自在として取付けられているから、滑車の取付角度が常に一定であり、開閉動により窓の角度が変つた場合にも両滑車の対向角度が変換されず、
したがつて滑車の回転に無理が生ずる。
(3) したがつて、イ号物件は、本件考案の構成要件(二)を充足しない。
(三) イ号第二物件が、内開き方式の排煙窓に関するものであるのに対し、本件考案実施例は外開き方式の排煙窓に関するものである。
したがつて、イ号第二物件は本件考案の構成要件(一)を充足しない。
四 仮に、本件考案技術的範囲を認定するに当り、全部公知による限定解釈を採用できないとしても、前記三2(一)、(二)で指摘のとおり、本件考案との比較で認められるイ号物件の構成と作用効果上の特徴は、イ号物件が本件考案技術的範囲に属しないことを示している。
原告の反論
一 被告らの主張する公知技術AないしCは、本件考案とはその構成、作用効果を異にするものである。
1 公知技術Aについて(一) 右発明は、本件考案とは異なる次の構成の結合からなり、それにより本件考案とは異なる作用効果を奏するのであるから、右発明の構成の一部を抽出して本件考案と比較することは許されない。
(1) 右発明では、本件考案のように窓に直接にロープ車c、gを取付けていないうえに、定滑車としては転向ローラb、bのほかに誘導ローラf、fを必須の構成としている。
(2) 右発明のロープ車c、gは、それぞれの引き紐a、eを介して上下動し、
それに随伴して案内hと連結棒iも上下動され、各窓k、l、mを開閉するものである。
(3)右発明では、ロープ車c、gを上下動させる手段として、ウインチwで操作される二本の引き紐a、eを必須のものとしている。すなわち、釣合おもりv、誘導ローラf、f、ロープ車gからなるローラ装置群に通した開窓用引き紐eと、釣合おもりu、転向ローラb、b、ロープ車cからなる今一つのローラ装置群に通した閉窓用引き紐aとを欠くことのできないものとしており、これらの引き紐a、eは、一方の紐が繰出される間、他方の紐が引き込まれるようにウインチwで移動される構成としている。
(4) 右発明の両引き紐a、eの一端にはおもりu、vを設け、おもりu、vに形成した爪t、tを歯付案内の溝に噛合させるとともに、案内hの下端には、同案内hとロープ車c、gの上下動を停止するストツパーyを設けている。
(二) 被告らの主張一2(一)について 本件考案では、緊急時に排煙連窓を一斉開放する具体的構成としては、実施例に示されているとおり、オートヒンジ又はガススプリング等で常に開放方向に付勢しているものが採られている。
これに対し、公知技術Aの発明には、かかるオートヒンジ又はガススプリング等は取付けられていないので、火災等の緊急時に各窓が、本件考案のように迅速かつ一斉に開放されず、排煙連窓としての機能を全うすることができない。
したがつて、公知技術Aは本件考案の構成要件(一)を充足しない。
(三) 被告らの主張2一(二)について 公知技術Aの発明では、ロープ車cは案内hに、案内hは連結棒iにそれぞれ接続し、右連結棒iの上端は各窓k、l、mの腕部材に連結されているが、ロープ車cは窓に取付けられていないのみならず、案内hにはロープ車gをも設けている点で、本件考案の窓側1のワイヤー掛架装置2とは明らかに異なる構成である。また、転向ローラbは、各窓k、l、mの腕部材と連結した連結棒iに接続した案内hに取着したロープ車cと、引き紐a、eとで有機的に結合されているものであつて、本件考案の枠3側に設けたワイヤー張架装置4とは異なる構成である。
したがつて公知技術Aは本件考案の構成要件(二)を充足しない。
(四) 被告らの主張2一(三)、(四)について 公知技術Aの発明の引き紐a、eは二本の紐をウインチwで結んで一本の紐としたもので、その紐の両端を釣合おもりu、v、爪t、歯付案内qにより固定してなり、両引き紐a、eのうち、一方が繰出される間、他方が引込まれるようにして、
ウインチwに巻込むというより、案内h、連結棒i等を介して各窓k、l、mを開閉するために回動されると考えられる。したがつて、引き紐aは他方の引き紐eと一体不可分の関係にあり、一方のみの引き紐を抽出して本件考案と比較することは当を得ない。
要するに、公知技術Aのものは、二本の引き紐a、eを必須として、この両引き紐a、eをウインチwで操作してロープ車c、gを上下動させ、案内h及び連結棒iを上下動させ窓を開閉する構成を採るものであることからみても、本件考案とは構成、作用効果を異にするものである。
したがつて公知技術Aは本件考案の構成要件(三)、(四)を充足しない。
2 公知技術Bについて(一) 被告らの主張3(二)について 右考案のコネクタ3は、駆動用のケーブル1と従動用のケーブル2のスパイラル部を噛み合わせ、かつ駆動用のケーブル1を案内する溝4と従動用のケーブル2を案内する溝5との2条の溝を有しているから、コネクタ3が本件考案の枠3側のワイヤー張架装置4に当るとは考えられない。しかも、金具18はガラス窓17の枠に従動用のケーブル2を固着するものであつて、本件考案のようにワイヤー5を摺動可能に掛架する倍力装置としてのワイヤー掛架装置2に相当するものではない。
したがつて、公知技術Bは本件考案の構成要件(二)を充足しない。
(二) 被告らの主張3(三)について 公知技術Bの考案の操作部7は、同考案の実用新案登録請求の範囲に記載された考案の一構成部材として有機的に結合されているものであるから、この操作部7は本件考案のワイヤー巻取機6とは作用効果を異にするものである。
したがつて、公知技術Bは本件考案の構成要件(四)を充足しない。
3 公知技術Cについて(一) 右考案は、索14を巻取ることによつて、
ハツチ蓋6、7、8を順次開放し、各ハツチ蓋の閉鎖はその自重によつて行うことを基本原理としているから、本件考案と異なる。
(二) 公知技術Cの考案のハツチ蓋6、7、8の自由端には、引起し用アイ10を介して複数の滑車11を着脱自在に取付けてあり、これにより任意のハツチ蓋のみを開放し、その残余のハツチ蓋を閉鎖状態に維持する構成としている点で、本件考案と異なる。
(三) 公知技術Cの考案は、ハツチ蓋を水平的に閉鎖させるものである点、窓を常に開放方向に付勢した構成としていない点、ワイヤー巻取機の作用として本件考案のものとは逆作用をなしている点において、本件考案とは異なる。
二1 右のとおり、公知技術AないしCは、いずれも本件考案の構成要件を充足するものではなく、そもそも本件考案は、その登録請求の範囲に記載された事項の組合せにかかる結合考案であるから、公知技術AないしCの各一部を抽出し、これらを合せたものをもつて、本件考案がその出願前日本国内において公知のものであつたとの資料とすることは許されない。
本件考案が公知のものでないこと右のとおりであるとすれば、本件考案技術的範囲明細書図面実施例に限定して解釈すべきであるとの被告らの主張は、その前提を欠き理由がない。
2 イ号物件が本件考案技術的範囲に属することは前記のとおりであるが、その理由を付加する。
(一) 本件考案の構成要件(一)の「係止」には別段の限定がないから、イ号物件のようにワイヤー5の他端を巻取機6の巻胴に巻き、その巻取最終時に巻胴の回転を停止させることによつて、連窓を閉状態に保持する構成も、「係止」に含まれる。
(二)(1) 本件考案において、窓側に取着したワイヤー掛架装置と枠側に取着したワイヤー張架装置とはそれぞれ適数個ずつ設けられるものであるから、個数に関係なくすべて本件考案技術的範囲に含まれる。また、右ワイヤー掛架装置、張架装置の取付位置については、多少の相違があつたとしても設計上の微差にすぎず、本件考案技術的範囲に属する。
(2) 滑車を中間部材を介して首振り状にすることは、例えば実公昭三八-四四〇五実用新案公報(昭和三八年三月二〇日公告)(甲第五号証)にも示されている。同公報一頁右欄三、四行目には「滑車aは牽引方向に随動して自由に首を振るから」との記載がある。したがつて、首振りする滑車は公知ないし慣用の技術であり、この種滑車を本件考案のワイヤー掛架装置、張架装置として採用することは、
当業者であれば極めて容易なことである。
(三) イ号第二物件の内開き方式のものも、本件考案技術的範囲に属する。
被告らの反論
本件考案が出願前公知の技術であつたかどうかは、本件考案の構成要件と公知資料にあらわれている技術思想とを対比して決すべきであるが、原告の主張は、本件考案実施例の具体的構造公知技術例のそれとの対比を行い(原告の反論一1、
2、3)、あるいは本件考案の構成要件以外の事項を論ずるもので(原告の反論一1(一)、(二))、主張自体失当である。
証拠(省略)
理 由一1 いずれも成立に争いのない甲第一、第二号証によると、請求原因一の事実(本件実用新案権の存在及び原告がその権利者であること)を認めることができる。そして、右認定の実用新案登録請求の範囲の記載によると、本件考案の構成要件は次のとおり分説するのが相当である。
(一) 緊急時係止が解かれて一斉開放する排煙連窓1……1であること。
(二) 各窓1側にワイヤー掛架装置2を、枠3側にワイヤー張架装置4、4をそれぞれ適宜取着すること。
(三) 一端を固着したワイヤー5をワイヤー張架装置4…4を介してそれぞれの掛架装置2……2に連続的に張架すること。
(四) ワイヤー5の他端にワイヤー巻取機6を設けること。
よりなる排煙連窓復帰装置2 請求原因二2の事実(本件考案の作用効果)同三の事実(被告らによるイ号物件の製造販売等)、同四の事実(イ号物件の構成と作用効果)は、いずれも当事者間に争いがない。
二 そこで、イ号物件が本件考案技術的範囲に属するか否かについて、以下検討するが、被告らは、本件考案の構成要件はすべて公知であつたとし、これを前提に、本件考案技術的範囲につきいわゆる限定解釈をなすべきである旨主張するので、まずこの点についてみることとする。
ところで、本件考案は、物品の形状構造又は組合せに係る考案であつて、前判示のように複数の構成要件から成り立つているものであるが、それは各構成要件の単なる集合ではなく、各構成要件を一定の技術思想のもとに不可分有機的に結びつけたもので、一体性ある技術思想の創作である。各構成要件の結合関係もまた無視することのできない構成要件である。このような点に留意してみると、登録請求の範囲に記載された考案の技術思想がその出願前そのまま公知であつたいわゆる全部公知のような例外的な場合はともかく、考案の各構成要件個々について出願前各公知技術が存在していたとしても、このような場合に考案技術的範囲の認定について被告ら主張の限定解釈をすることは許されないものと解するのが相当である。
右観点のもとに、被告らの指摘する公知技術について検討する。
1 公知技術Aについて(一) いずれも成立に争いのない乙第二号証の一・二、甲第四号証によると、次のとおり認められる。
ドイツ帝国特許庁一九二七年(昭和二年)二月二一日発行、同年五月三〇日特許局陳列館受入の特許第四四一〇四一号公報に示されている公知技術Aは、ローラを経て案内される引張ロープによつて複数の窓及び換気窓を同時に開閉するための装置に関するものである。
前示特許公報によると、右装置は、各窓k、l、mが、連結棒i、案内hを介して案内hに軸支されたシリンダーローラc及びgに連結され、各窓の建物側にはそれぞれ二個の転向ローラb、b、誘導ローラf、fが配置されており、共通のウインチWにより互いに反対方向に繰出され引込まれる二本の紐a、eがそれぞれ転向ローラb、bとシリンダーローラc、誘導ローラf、fとシリンダーローラgを通つて互いに逆向きのループを形成するように連続的に張架され、各紐の端部がおもりu、v、止め爪t及び歯付案内(ノツチ)oにより紐がたるまないように掛け止めされており、シリンダーローラc、gが、紐a、eの移動方向に応じて上下動し、かつそれによつて窓等を開閉することを特徴とするものである。
(二) 前示特許公報により右装置の作用をみると、まず、紐aがそれぞれの窓k、l、mの位置において、建物に固定された二個の転向ローラb、bと、各窓に連結棒i、案内hを介して連結されたシリンダーローラcの間を通つてループを形成し、この中にシリンダーローラcがぶら下がつた状態となつているため、紐aをウインチwで引張ることにより、各シリンダーローラcが転向ローラb、b側に引寄せられる結果各窓の閉鎖が行われること、他方右と同一の方式で誘導ローラf、
fとシリンダーローラgとの間を通り逆向きのループを形成している紐eを、ウインチwで引張ることにより窓の開放が行われる。
(三) ところで、前示甲第二号証の本件公報によると、本件考案の主な作用効果は、一端が固定された一本のロープを、各窓の、枠側に取着されたワイヤー張架装置と窓側に取着されたワイヤー掛架装置とに通し、他端を巻取ることによりワイヤー掛架装置が動滑車の役割をする結果、窓の個数にかかわらず、一枚の窓を閉鎖する力により複数個の窓の開閉をなしうることにあることが明らかである。
(四) 他方、前示特許公報における閉鎖用の紐aの作用をみる限りでは、その巻上げにより建物側の転向ローラb、bが定滑車の役割をし、連結棒i案内hを介して窓に連結されたシリンダーローラcが動滑車の役割を果すことにより連窓を閉鎖しているところから、本件考案と同様の作用効果をあげていることが窺われる。
(五) 被告らは、右の点を指摘して、公知技術Aのシリンダーローラc、転向ローラb、bがそれぞれ本件考案のワイヤー掛架装置、ワイヤー張架装置に当り、また右ローラ間を連続的に通る紐とこれを巻取るウインチがそれぞれ本件考案のワイヤーとワイヤー巻取機に当ると主張し、一方原告は、公知技術Aの閉鎖機構、開放機構が不可分一体となつており、前者のみを抽出することは許されないと主張している。
そこで、公知技術Aの閉鎖機構のみを抽出し、これを独立の装置としてその作用をみることとする。
いま、窓が開放された状態から閉鎖する場合の作用をみると、ウインチwにより紐aが引張られて、そのおもりuのある側は止め爪tがノツチoに噛み合つて固定され、巻取られるにつれてシリンダーローラcは転向ローラb、bに引寄せられ、
シリンダーローラcに連結された案内h、連結棒iを介して窓k、l、mを閉鎖する。
ところが、これを開放すべくウインチwを反対方向に回して紐aを繰出すならば、それまで上方向に引張られて止め爪tとノツチoにより固定されていたおもりuは噛み合せをはずされて降下し、それにつれて繰出された紐aもそれぞれの窓に対応する転向ローラb、bとシリンダーローラcの間を擦り抜けるだけで、シリンダーローラcを押し下げて窓を開放する動作をなしえず、更に、これとは別に閉鎖を終えた右装置について、止め爪tの部分を固定したうえウインチwにより紐aを繰出してみたところで、それはゆるむばかりでシリンダーローラcを押し下げる力たりえないものと考えられる。
結局、公知技術Aのうち閉鎖機構のみの装置は動作不能のものといわざるをえない。
そうとすれば、開放、閉鎖の両機構が一体となつて連窓の開閉動作を行う公知技術Aの閉鎖機構のみを抽出し、本件考案の構成要件(二)ないし(四)を充足するとの被告らの主張は、にわかに採用し難いといわなければならない。
(六) 更に、前示特許公報では、本件考案の構成要件(一)の「緊急時係止が解かれて一斉開放する排煙連窓1……1であること」中の連窓の係止とこれを解いて連窓を一斉開放する構成について全く言及するところがないから、公知技術Aは本件考案の構成要件(一)を充足しないことが明らかである。
2 その余の公知技術について いずれも成立に争いのない乙第一号証、第三号証、第五号証、第九号証の二・三、同号証の五・六、同号証の一六ないし一九により認められる公知技術@、B、
C及びその余の公知技術は、せいぜい本件考案の構成要件の一部を充足するにすぎないものばかりであつて、本件考案の登録請求の範囲に記載の技術的思想をそのまま包含するものではなく、右各公知技術をもつて本件考案が出願前全部公知であると解することはできない。
右説示のとおりであるから、本件考案技術的範囲の認定に当り、限定解釈によるべきである、との被告らの見解を採用できないことは明らかである。
三 そこで、イ号物件が本件考案技術的範囲に属するか否かについてみる。
1 イ号物件が本件考案と同じく排煙連窓の復帰装置であることについては、当事者間に争いがなく、イ号物件の(一)′、(二)(1)、(二)′(2)、(三)′の構成を、本件考案の(一)、(二)、(三)、(四)の構成要件と対比してみると、(二)′(2)、(三)′の構成が、本件考案の(三)、(四)の構成要件をそれぞれ充足することは明らかである。この点については、被告らも実質的に争つていないものと認められる。
2 そして、(一)の構成も、(一)の構成要件と対比すると、これを充足するものと考えられる。被告らは、本件考案では排煙窓自体に設けられた係止が解かれて窓が開放されるのに対し、イ号物件では巻取機に設けられた係止が解かれて窓が開放される旨、また、本件考案は外開き方式の排煙窓であるのに対し、イ号第二物件は内開きのものである旨主張する。なるほど前示甲第二号証(本件公報)により推認しうる、願書に添付の明細書の「考案の詳細な説明」には、「排煙窓1は、下端が蝶着11され、…上端が錠装置13によつて係止され、同錠装置が伝動ワイヤー14の引張によつて解錠されたとき自動的に開放する形式のものである。」(同公報二欄三行目ないし八行目)との記載があり、また、図面には外開き方式のものが示されている。しかし、これらが実施例の説明としてなされたものであることは、
その記載に照らし明らかであるし、明細書の「実用新案登録請求の範囲」には、係止の方法、開放の方向に関してなんらの記載もなく、「考案の詳細な説明」にも、
本件考案技術的範囲が右実施例に限定されることを肯定する記載はないのである。被告らの主張は採用できない。
3 進んで、(二)(1)の構成が(二)の構成要件を充足するかについて考える。
(一) 被告らは、ワイヤー掛架装置の個数、ワイヤー掛架装置及びワイヤー張架装置の取付位置が相違する旨主張するが、被告らがイ号物件と比較しているのは本件考案実施例にすぎないこと、「実用新案登録請求の範囲」「考案の詳細な説明」に実施例に限定して本件考案技術的範囲を解釈すべきことを肯定する記載のないことは、前記明細書に照らし明らかであるから、右主張は理由がない。
(二) 被告らは、掛架装置、張架装置の滑車を窓側、枠側に取付ける方法について、直接(本件考案)か、間接首振り状(イ号物件)かによつてその作用効果を異にする旨主張する。しかし、成立に争いのない甲第五号証によると、滑車の支軸を直接対象物に固定取着することなく、対象物への固定部材に保持部材を首振り状に連結し、更にこの保持部材に貫通させた支軸に滑車を取付けるイ号物件の技術思想は、本件考案の出願前公知であつたと認められる。そして、本件考案の掛架装置、
張架装置については、「考案の詳細な説明」に「ワイヤーを摩擦力の小さい状態で掛架乃至張架できるものであればよく、」(本件公報二欄九行目ないし一一行目)と、登録請求の範囲にも、「適宜取着し」とそれぞれ記載されていて、イ号物件による右取付け方法を除外することをうかがわせる記載はない。また、窓側の滑車にイ号物件のような付加をしたとしても、この滑車が、本件考案が有する次の作用効果、すなわち、「ワイヤー掛架用ローラー2…2は動滑車の作用を為すので、窓が多数あつてもワイヤーを巻取る長さが変化するだけで、巻取力は一つの窓を閉鎖させるに足る力だけでよく、小さな力で多数の窓を一斉に閉鎖させることができる。」(本件公報二欄三七行目ないし三欄三行目)との作用効果を奏することに変わりはないのである。被告らの右主張も理由がない。
(三) 右(一)、(二)で検討したところに従い、両者を対比すると、イ号物件の(二)′(1)の構成は本件考案の(二)の構成要件を充足するものと認められる。
4 右に説示のとおり、イ号物件の(一)′、(二)′(1)、(二)′(2)、
(三)′の構成はそれぞれ本件考案の(一)、(二)、(三)、(四)の構成要件を充足し、イ号物件が本件考案と同じ作用効果を奏することは前判示の事実から明らかであるので、イ号物件は本件考案技術的範囲に属する。
四 以上のとおりとすると、被告豊和は業としてイ号物件を製造販売することにより、被告渋谷金属は業としてイ号物件を販売し、又は販売のため展示することにより、それぞれ原告の有する本件実用新案権を侵害しているのであるから、原告は、
被告豊和に対してイ号物件の製造販売の差止めとその廃棄を、被告渋谷金属に対してイ号物件の販売と展示の差止めを求めることができるものといわなければならない。
よつて、原告の本訴請求はすべて理由があるから認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法89条93条を適用して、主文のとおり判決する。
追加
イ号図面及び説明書イ号物件は、イ号図面の第1図ないし第3図(イ号第一物件)、第4図ないし第6図(イ号第二物件)のとおりである。
その構造の特徴は、緊急時係止が解かれて一斉開放する排煙連窓@……@に於て、ワイヤーDをゆるめることにより排煙連窓@……@が一斉開放せられる仕組になつており、この各排煙連窓@は下端が蝶着Jされ、上方が外側(イ号第一物件)又は内側(イ号第二物件)に開放するものであるとともに、第1図及び第4図に示すとおりステイダンパーFを常に開放方向に付勢されて張架してあり、また各窓@側にワイヤーDを掛ける滑車A、Aを中間部材を介して首振り状として左右(イ号第一物件)、又は窓@の左右端部(イ号第二物件)に取付け、枠B側にもワイヤーDを掛ける滑車C、Cを中間部材を介して首振り状として取付け、一端をワイヤーストツパーで固定した一本のワイヤーDを枠B側の滑車C、Cを介してそれぞれの窓@の障子の滑車A、Aに連続的に張架するとともに、更に他端にワイヤーの巻取機Eを設けてなる排煙連窓の復帰装置である。
イ号図面の簡単な説明をすれば、第1図ないし第3図は排煙連窓が外側に開放する方式のもの(イ号第一物件)であつて、第1図は排煙連窓の閉鎖状態における概略正面図、第2図(A)は滑車とワイヤーの張架状態を示す横断面図、第2図(B)はイ号第一物件の一部を示す正面図、第3図は排煙連窓の開放状態を示す縦断面図である。第4図ないし第6図は排煙連窓が内側に開放する方式のもの(イ号第二物件)であつて、第4図は連窓の閉鎖状態における概略正面図、第5図(A)は滑車とワイヤーの張架状態を示す横断面図、第5図(B)はイ号第二物件の一部を示す正面図、第6図は排煙連窓の開放状態を示す縦断面図である。
<12313-001><12313-002><12313-003><12313-004><12313-005>
裁判官 金田育三
裁判官 鎌田義勝
裁判官 若林諒