審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成22 2544実用新案権侵害差止等請求事件 | 判例 | 実用新案 |
平成23ネ10035実用新案権侵害差止等請求控訴事件 | 判例 | 実用新案 |
平成23ネ10072特許料請求控訴事件 | 判例 | 実用新案 |
平成23ネ10086損害賠償請求控訴事件 | 判例 | 実用新案 |
平成23ワ18564損害賠償請求事件 | 判例 | 実用新案 |
元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
平成
24年
(ワ)
27881号
特許料請求事件
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裁判所のデータが存在しません。 | |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2013/03/27 |
権利種別 | 実用新案権 |
判例全文 | |
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判例全文
平成25年3月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平 成24年(ワ)第27881号 特許料請求事件 口頭弁論終結日 平成25年3月6日 判 決 名古屋市<以下略> 原 告 X 東京都千代田区<以下略> 被 告 株式会社日立製作所 同訴訟代理人弁護士 岡 部 眞 純 同 細 野 義 治 主 文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 及 び 理 由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,1億円を支払え。 2 仮執行宣言 第2 事案の概要 1 本件は,電気炊飯器に関する登録実用新案権を有する原告が,被告は同登録 実用新案権に係る考案を無断で利用し,原告の上記権利を侵害したと主張して, 被告に対し,平成24年1月1日から同年12月31日までの侵害行為に対す る損害賠償として1億円の支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠等を掲げたもののほかは,当事者間に争いがない。) (1) 原告は,次の登録実用新案権を有している(以下,この登録実用新案権を 「本件実用新案権」といい,その実用新案登録請求の範囲に記載された考案 を「本件考案」という。)。 1 登録番号 実用新案登録第3126350号 考案の名称 電気炊飯器 出 願 日 平成17年9月27日 出願番号 実願2005−008804 登 録 日 平成18年10月4日 実用新案登録請求の範囲 「可変スイッチを有する電気炊飯器」 (2) 被告は,日立グループの中核企業であり,日立アプライアンス株式会社(以 下「日立アプライアンス」という。)の全株式を保有している。〔乙2〜4, 弁論の全趣旨〕 (3) 日立アプライアンスは,家電製品の製造販売等を主な事業内容とする株式 会社であり,別紙物件目録記載の電気釜(以下「本件各電気釜」という。) を製造販売している。〔乙1,2,4,弁論の全趣旨〕 3 争点 (1) 本件各電気釜は本件考案の技術的範囲に属するか (2) 被告の責任の有無 (3) 損害の発生及びその額 4 争点に関する当事者の主張 (1) 争点(1)(本件各電気釜は本件考案の技術的範囲に属するか)について 〔原告の主張〕 本件考案を使わなければ,電気炊飯器でおかゆご飯を作ることはできない。 したがって,おかゆご飯が作れる本件各電気釜はいずれも本件実用新案権を 侵害する。 〔被告の主張〕 否認する。 (2) 争点(2)(被告の責任の有無)について 2 〔原告の主張〕 ア 被告は,平成24年1月1日から同年12月31日までの間,本件考案 を本件各電気釜に無断で利用,すなわち侵害した。 イ 被告の主張に対する反論 本件各電気釜の製造販売者が被告ではなく日立アプライアンスであるこ とは認める。 そうだとしても,本件各電気釜を製造販売した日立アプライアンスは, 被告の100パーセント子会社であるから,被告は親会社として同社の行 為についても連帯責任を負うべきである。 〔被告の主張〕 ア 本件各電気釜の製造販売者は,被告ではなく日立アプライアンスである。 また,日立アプライアンスが本件考案を本件各電気釜に無断で利用,す なわち侵害した事実はない。 イ 原告の反論に対する再反論 日立アプライアンスが被告の100パーセント子会社であるとしても, 両社はいずれも別個独立の法人格を有するものであり,被告が日立アプラ イアンスの行為について連帯責任を負ういわれはない。 (3) 争点(3)(損害の発生及びその額)について 〔原告の主張〕 原告は,本件実用新案権の侵害により1億円の損害を受けた。 〔被告の主張〕 否認する。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各電気釜は本件考案の技術的範囲に属するか)について 原告は,本件考案を使わなければ,電気炊飯器でおかゆご飯を作ることはで きないから,おかゆご飯が作れる本件各電気釜はいずれも本件実用新案権を侵 3 害する旨主張する。 しかし,原告は,本件各電気釜が本件考案の技術的範囲に属すること,すな わち,本件各電気釜が「可変スイッチ」を有することについて何ら具体的な主 張立証をしておらず,本件全証拠を精査しても,本件各電気釜が本件考案の技 術的範囲に属するか否か不明であるというほかない。 したがって,原告の上記主張は,理由がない。 2 争点(2)(被告の責任の有無)について 原告は,本件各電気釜の製造販売者が被告ではなく日立アプライアンスであ ることは認めた上で,本件各電気釜を製造販売した日立アプライアンスは,被 告の100パーセント子会社であるから,被告は親会社として同社の行為につ いても連帯責任を負うべきであると主張する。 原告の上記主張は,日立アプライアンスの行為が不法行為に該当することを 前提に,同社が被告の100パーセント子会社であることから被告が親会社と して共同不法行為責任を負う旨主張するものと善解することができる。 しかし,そもそも,本件各電気釜が本件考案の技術的範囲に属すると認めら れないことは前記1のとおりであるから,これを製造販売する日立アプライア ンスの行為が不法行為に該当するということはできない。 また,被告は日立アプライアンスとは別個独立の法人格を有する株式会社で あるから,単に日立アプライアンスが被告の100パーセント子会社であると いうことのみでは同社の行為について被告が共同不法行為責任を負うというこ とはできず,被告がかかる責任を負うというためには,飽くまで日立アプライ アンスが行ったとする不法行為につき被告に共同不法行為が成立すること,す なわち,被告と日立アプライアンスが客観的に関連して共同して本件考案の技 術的範囲に属する本件各電気釜を製造販売し,本件実用新案権者である原告に 対し,違法に損害を与えた事実が認められることが必要である。 しかるところ,原告は,この点について何ら主張立証せず,単に日立アプラ 4 イアンスが被告の100パーセント子会社であることのみを根拠として被告に 責任があると主張するにすぎない。 したがって,被告が日立アプライアンスの行為について連帯責任を負うべき とする原告の主張は,前提事実を欠くばかりでなく,法的にも何ら根拠を伴わ ないものであって,理由がない。 3 結論 以上の次第であるから,原告の請求はその余の点について判断するまでもな く理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東 海 林 保 裁判官 寺 田 利 彦 裁判官 足 立 拓 人 5 別紙 物 件目録 1 名称 電気釜 型番 RZ−W2000K 2 名称 電気釜 型番 RZ−SV100K 3 名称 電気釜 型番 RZ−SX100J 以上 6 |