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事件 平成 23年 (行ケ) 10390号 審決取消請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所 
判決言渡日 2012/07/25
権利種別 実用新案権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成24年7月25日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成23年(行ケ)第10390号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 平成24年7月11日

判 決

原 告 株式会社アート・ラボ

同 訴訟代理人弁理士 小 林 良 平

中 村 泰 弘

開 本 亮

市 岡 牧 子

谷 口 聡

被 告 株式会社ノルコーポレーション

同訴訟代理人弁理士 水 野 清

北 村 仁

伊 丹 辰 男

主 文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

特許庁が無効2011−400006号事件について平成23年10月17日に

した審決を取り消す。

第2 事案の概要

本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,原告の下記2の本件考案に係

る実用新案登録に対する被告の無効審判請求について,特許庁が当該実用新案登録

を無効とした別紙審決書(写し)記載の本件審決(その理由の要旨は下記3のとお

り)には,下記4の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。




1 本件訴訟に至る手続の経緯

原 告は,考案の名称を「室内芳香器」とする登録第3134691号実用
(1)

新案(平成19年6月7日出願,同年8月1日設定登録。平成22年10月26日

に提出された訂正後の請求項の数は,全5項である。)に係る実用新案権を有する

者である(以下「本件実用新案登録」といい,上記訂正後の明細書(甲20,2

1)を「本件明細書」という。)。

被 告は,平成23年4月27日,本件実用新案登録の請求項1ないし5に
(2)

係る考案について,実用新案登録無効審判を請求し,無効2011−400006

号事件として係属した。

特 許庁は,平成23年10月17日,「実用新案登録第3134691号
(3)

請求項1ないし5に係る考案についての実用新案登録を無効とする。」旨の本件

審決をし,同月27日,その謄本が原告に送達された。

2 実用新案登録請求の範囲の記載

本 件実用新案登録の請求項1ないし5に係る考案(以下「本件考案1」ないし

「本件考案5」という。)の実用新案登録請求の範囲の記載(平成22年10月2

6日付けの訂正書によって訂正されたもの)は,以下のとおりである。文中の

「/」は,原文の改行箇所を示す。

請求項1】a)液体芳香剤を収容する,上部に開口を有する容器と,/b)前記

開口の上に配置された,ソラの木の皮で作製した造花と,/c)下端が前記液体芳

香剤中に配置され,上部において前記造花と接続されている浸透性の紐と,/

を備えることを特徴とする室内芳香器

請求項2】前記液体芳香剤が有色であり,前記造花が淡色であることを特徴とす

請求項1に記載の室内芳香器

請求項3】前記紐が綿糸を編んだ綿コードであることを特徴とする請求項1又は

2に記載の室内芳香器

請求項4】前記綿コードの中にワイヤが挿入されていることを特徴とする請求項




3に記載の室内芳香器

請求項5】前記容器が透明であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記

載の室内芳香器

3 本件審決の理由の要旨

本 件審決の理由は,要するに,本件考案1ないし5は,下記引用例に記載
(1)

された考案(以下「引用考案」という。)及び下記周知例に記載された周知の事項

等に基づいて当業者がきわめて容易考案をすることができたものであり,実用新

案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであって,本

件実用新案登録は,実用新案法37条1項2号の規定により無効にすべきものであ

る,というものである。

ア 引用例:特開2004−329794号公報(甲1)

イ 周知例:「Saison de かおん」(株式会社主婦と生活社,平成1

7年(2005年)11月1日発行)44頁(甲3)

な お,本件審決が認定した引用考案並びに本件考案1ないし5と引用考案
(2)

との一致点及び相違点は,それぞれ次のとおりである。

ア 引用考案:香料及び色素を含む溶液を収容する,上部に開口部を有する容器

と,前記開口部の上に配置された,花弁部を複数集めた集合体で構成された濾紙か

らなる揮散体と,下端が前記溶液中に配置され,上部において前記揮散体と接続さ

れている,ポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維からなる吸液部材と,を備える

揮散器

イ 本件考案1ないし5と引用考案との一致点:a)液体芳香剤を収容する,上

部に開口を有する容器と,b)前記開口の上に配置された,造花と,c)下端が前

記液体芳香剤中に配置され,上部において前記造花と接続されている浸透材と,を

備える室内芳香器

ウ 本件考案1ないし5と引用考案との相違点1:造花に関して,本件考案1な

いし5では,「ソラの木の皮で作製した」ものであるのに対して,引用考案は,花




弁部を複数集めた集合体で構成された濾紙からなる揮散体からなる点

エ 本件考案1ないし5と引用考案との相違点2:浸透材に関して,本件考案

ないし5では,「浸透性の紐」であるのに対して,引用考案は,ポリプロピレン・

ポリエチレン複合繊維からなる吸液部材である点

オ 本件考案2ないし5と引用考案との相違点3:本件考案2ないし5は,「液

体芳香剤が有色であり,造花が淡色である」のに対し,引用考案では,溶液が色素

を含むものの,揮散体の花弁部の色については不明な点

カ 本件考案3ないし5と引用考案との相違点4:浸透材に関して,本件考案

ないし5は,「紐が綿糸を編んだ綿コードである」と特定しているのに対して,引

考案は,ポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維からなる吸液部材である点

キ 本件考案4及び5と引用考案との相違点5:綿コードに関して,本件考案

及び5は,「綿コードの中にワイヤが挿入されている」のに対して,引用考案では,

吸液部材の補強について不明な点

ク 本件考案5と引用考案との相違点6:容器に関して,本件考案5では,「透

明である」としているのに対して,引用考案では,容器が透明かどうか不明な点

4 取消事由

本件考案1の容易想到性に係る判断の誤り(取消事由1)
(1)

本件考案2の容易想到性に係る判断の誤り(取消事由2)
(2)

本件考案4の容易想到性に係る判断の誤り(取消事由3)
(3)

第3 当事者の主張

1 取消事由1(本件考案1の容易想到性に係る判断の誤り)について

〔原告の主張〕

(1) 相違点1に係る判断の誤り

ア 本件審決は,周知例に基づき,「造花をソラの木の皮で作製することは従来

周知の事項である」と認定した。

しかし,周知例によれば,ソラフラワーとリフレッシャーオイルなる物が別売さ




れている事実が認められるだけであり,周知例のみをもって上記のように周知と認

定することには,明らかに論理の飛躍がある。造花であるソラフラワーと芳香剤を

別体として販売し,ユーザーがソラフラワーに芳香剤を染み込ませて使うものであ

ることは周知でない。

イ 本件審決は,従来周知の造花であるソラフラワーを引用考案の造花に適用で

きないとする阻害要因は格別見当たらないと認定したが,ソラフラワーは従来周知

の造花でない。

また,引用例は,造花の材質として,数多くの例を挙げながら,天然素材につい

ては一つも挙げていない。ソラは別として,造花として天然素材のものがあること

は従来周知である以上,そのような従来周知である天然素材を例として挙げていな

いことこそ,まさに,ソラを含む天然素材を引用考案の造花に適用できないとする

阻害要因の存在を推認させる事実である。

したがって,ソラを含む天然素材の造花が従来周知であると認定しつつ,同時に,

上記のような阻害要因は格別見当たらないと認定することには論理の矛盾があり,

ソラは別として,天然素材の造花が従来周知である以上,天然素材であるソラフラ

ワーを引用考案の造花に適用できないとする阻害要因が存在する。

ウ さらに,本件考案1の時間に関する観念は,視覚の面だけでなく嗅覚の面で

も考慮している。これに対し,引用考案における時間に関する観念は,視覚の面に

限定されたものであり,本件考案1の時間に関する観念は存在しない。そして,本

考案1は,その時間に関する観念に最も適した素材としてソラの木の皮を採用し

たのであり,このような観念の存在しない引用考案において,揮散体の素材として

ソラを採用する動機はない。

したがって,引用考案において,濾紙からなる揮散体に代え,ソラフラワーを用

いることは,当業者がきわめて容易になし得たものでなく,この点で本件審決には

誤りがある。

(2) 本件考案1の作用ないし効果についての判断の誤り




本件審決は,引用考案に時間に関する観念が存在することから,本件考案1の作

用ないし効果は,引用考案及び周知例に記載の従来周知の事項等から当業者が十分

予測できる範囲内のものであって,顕著なものでないと判断した。

しかしながら,本件考案1の時間に関する観念は,引用考案に存在せず,さらに,

周知例のいずれにも開示されていない以上,本件考案1の作用ないし効果は,引用

考案及び周知例に記載の事項等から当業者が十分予測できる範囲内のものでなく,

顕著なものである。

〔被告の主張〕

(1) 相違点1に係る判断の誤りについて

ア 周知例は,本件出願よりも約2年前に出版され,ベッドルームの香りとして,

ソラの木の皮を用いて植物繊維で作った花にバラの香りを染み込ませることを示唆

している。芳香を発生させる造花として,ソラの木の皮を用いた造花であるソラフ

ラワーが本件出願前に既に雑誌で紹介されており,公然知られた事項であって,商

品として販売されている公知公用のソラフラワーの実態を従来周知の事項とした本

件審決に誤りはない。

イ また,揮発性を有する容器入り芳香剤と芳香剤を発散させるソラフラワーが

現実に販売されているから,ユーザーがソラフラワーに芳香剤を染み込ませて芳香

剤を発散させるように使用方法を周知とした本件審決に誤りはない。

ウ 引用考案は,全ての材料を開示する必要があるものでなく,周知例に示され

るように揮発芳香剤を揮発させるためのソラフラワーを,引用考案の揮発芳香液を

揮発させる造花形状の揮散体に用いることが困難であるとする理由はない。そして,

引用考案考案する際の動機や目的などによる引用考案の主観的発明考案の範囲は

ともかく,ソラフラワーが芳香剤発散用の造花であるため,本件考案の如き室内芳

香器を,引用考案の花形状とする濾紙から成る揮散体から,この揮散体と同様に芳

香剤を発散させるソラフラワーに変えることに,何ら困難性はない。

エ また,引用例には,芳香成分の時間経過に応じた揮散量を視認できることを




記載しており,嗅覚に関する芳香成分の揮発量を知ることもできることを示唆して

いるものであって,原告の主張は失当である。

(2) 本件考案1の作用ないし効果についての判断の誤りについて

このように,本件出願前に公知公用である芳香剤を染み込ませて香りを発散させ

るソラフラワーを,液体芳香剤収納容器の開口上に配置し,容器内の芳香剤を吸い

上げる浸透性の紐と接続する本件考案1を,引用考案から容易に考案できるとした

本件審決に誤りはない。

2 取消事由2(本件考案2の容易想到性に係る判断の誤り)について

〔原告の主張〕

(1) 相違点3に係る判断の誤り

ア 本件審決は,引用考案において,変色する前のもとの色を,溶液の色素の色

と異なる色とすること,すなわち,淡色系の色とすることは,当業者がきわめて容

易に想到し得た程度の事項であると判断した。

イ 本件考案2におけるソラの木の皮は,非常に細かい繊維組織を有するため,

液体芳香剤をゆっくりと花弁の根本から先端の方へ浸透させていくことができる。

そして,本件考案2の相違点3に係る構成は,造花の素材としてソラの木の皮を用

いてこそ,その技術的意義を発揮することができるものであり,そうである以上,

ソラの木の皮を用いていない引用考案において,本件考案2の相違点3に係る構成

を採用する動機はない。

ウ したがって,引用考案において,変色する前のもとの色を,溶液の色素と異

なる色とすること,すなわち,淡色系の色とすることは,当業者がきわめて容易

想到し得た程度の事項でない。

(2) 本件考案2の作用ないし効果についての判断の誤り

本件考案2によれば,液体芳香剤が花弁を浸透していく間に,花弁の色の変化を

楽しむことができる。このとき,花弁の素材であるソラの木の皮は,非常に細かい

繊維組織を有するため,色は,花弁の中心から周辺へと徐々に広がって行く。その




様はまるで,花が少しずつ開花していくように見えるため,利用者は,液体芳香剤

の香気に加えて,視覚からの美感によりいやされる(【0011】【0016】)。

このように,本件考案2は,造花の素材としてソラの木の皮を用いることを前提に,

有色の液体芳香剤と淡色の造花という組合せを採用することで,より自然環境に近

い,繊細かつ微妙な花の開花の様子を再現するようにしたものである。そして,こ

れが利用者に与える視覚による美感は,引用考案のようなソラの木の皮を用いてい

ない芳香器によっては得られないものであり,また,単なる花弁の色の変化が利用

者に与える美感からは隔絶された,際立って優れたものである。

したがって,本件考案2の作用ないし効果は,引用考案及び周知例に記載の事項

等から当業者が十分予測できる範囲内のものでなく,顕著なものである。

〔被告の主張〕

(1) 相違点3に係る判断の誤りについて

引用考案は,香料に含まれた色素が揮散体に残留して揮散体本来の色を香料に含

まれた色素により着色させて色変化を鑑賞するものであり,揮散体が淡色系であれ

ば色変化が明瞭となるものであって,揮散体に淡色系の素材を採用することは,引

考案において白色や有色等の材料選択の一つに過ぎず,変色を確実に視認させる

ためにきわめて容易に選択できる事項である。

(2) 本件考案2の作用ないし効果についての判断の誤りについて

周知例のソラフラワーも,本件考案と同様に非常に細かい繊維組織でゆっくりと

芳香剤が浸透するものであり,引用考案は,香料と色素を含む溶液の揮発性溶媒の

揮発速度,花弁とする揮散体の吸液性,吸液部材の材質,長さ,太さ,気孔率など

による吸液速度を加味し,吸液部材から揮散体への液体補充量の多少により花弁の

中心から色づき全体が均一に薄く着色されるAタイプ,周縁部が着色されないBタ

イプ,周縁部が濃くなった状態を最終状態とするCタイプなど,花弁の材料特性の

みならず,芳香液や吸液部材の特性により種々の花弁の着色変化を開示しており,

本件考案の効果は単なる選択事項の結果であって,特別顕著な効果に相当するもの




でなく,当業者の予測範囲とした本件審決の判断に誤りはない。

3 取消事由3(本件考案4の容易想到性に係る判断の誤り)について

〔原告の主張〕

(1) 相違点5に係る判断の誤り

ア 本件審決は,造花において,茎となる部分にワイヤを挿入して自立できるよ

うにすることは従来周知の事項であるから,引用考案において,吸液部材の中にワ

イヤを挿入することは,当業者がきわめて容易に想到し得たものであると判断した。

イ 引用考案の吸液部材は,ポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維からなり,

芯径は例えばφ13oとされる(【0020】)。また,その外観は,図1に示さ

れるとおりである。このように,比較的強度の高い合成繊維を素材に,芯径を大き

くすることで安定した円柱形状とした場合に,本件審決が述べるような「補強」の

ためにワイヤを用いることは,通常,必要でなく,引用考案において,吸液部材の

中にワイヤを挿入する動機はない。

ウ したがって,引用考案において,吸液部材の中にワイヤを挿入することは,

当業者がきわめて容易に想到し得たものでない。

(2) 本件考案4の作用ないし効果についての判断の誤り

引用考案において,吸液部材の中にワイヤを挿入することは,当業者がきわめて

容易に想到し得たものでない。

したがって,本件考案4の作用ないし効果(【0012】)は,引用考案及び周

知例に記載の事項等から当業者が予測できる範囲内のものでなく,顕著なものであ

る。

〔被告の主張〕

(1) 相違点5に係る判断の誤りについて

直径が13oであっても,長さによっては芯の剛性を高める必要が生じる場合も

あり,多少の剛性を有する素材及び形状であってもより高い剛性を求めることもあ

り,引用例にワイヤを挿入する可能性を否定することはできず,また,保形性と剛




性強化として芯にワイヤを挿入することが一般的に行われている。よって,本件審

決の判断に誤りはない。

(2) 本件考案4の作用ないし効果についての判断の誤りについて

本件審決は,引用考案及び周知例のみならず,ワイヤによる自立の周知事項を加

味しているものであり,吸液部材の中にワイヤを挿入することがきわめて容易に想

到し得ないことを前提とする原告の主張は失当である。

第4 当裁判所の判断

1 本件考案について

(1) 本件考案1ないし5の実用新案登録請求の範囲の記載は,前記第2の2の

とおりであり,本件明細書には,以下の記載がある(甲20)。

ア 技術分野

本件考案は,液体芳香剤を吸い上げて揮発させることにより設置空間を適度な芳

香で満たすことができる,扱いやすくインテリア性にも優れた室内芳香器に関する

(【0001】)。

イ 背景技術

近年,生活空間をより快適にする方法として,また心身の疲れを癒すリラクゼー

ションの方法として,香りの効能が注目を浴びている(【0002】)。

芳香発散装置としてばかりではなく,室内装置品としての観点から,見た目も自

然な感じを与えるために造花を用いた室内芳香器も多数提案されている(【000

4】)。

考案が解決しようとする課題

従来の造花を用いた室内芳香器は,造花は単に見た目を華やかにするための観賞

対象としてのみ用いられており,芳香発散装置としては用いられていなかった

(【0006】)。

本件考案が解決しようとする課題は,造花を観賞対象として用いるほか,芳香発

散装置としても用いる,実用性及びインテリア性に共に優れた性能を持つ室内芳香




器を提供することである(【0007】)。

考案の効果

本件考案に係る室内芳香器は,造花をソラの木の皮で作製する。ソラ( Sola)は,

タイ原産のマメ科ツノクサネム属の低木である。その幹(茎)を一皮むくと,光沢

のある茎実が現れる。この光沢のある茎実の皮を薄くむき,乾燥させたものがポプ

リとして販売されているが,本件考案ではそれを花びらの形にして造花を作製する

(【0009】)。

乾燥させたソラの皮は繊維が非常に細かく,浸透性の紐が吸い上げた液体芳香剤

を十分に吸収し,それをゆっくりと揮発させる。そのため,本件考案に係る室内芳

香器では,芳香の揮散が長時間安定的に持続する(【0010】)。

なお,前記液体芳香剤に有色の(色の強い)ものを使用し,造花には淡色の(色

の薄い)ものを用いることが望ましい。ソラの皮は,そのままでは白色であるため,

模擬しようとする花の種類に応じて各種の着色をすることができる。しかし,造花

はあまり強い色で着色せずに白色のまま,あるいは着色をしても薄い色としておき,

液体芳香剤に強い色のものを用いると,液体芳香剤が造花の中(花弁)を浸透して

ゆく間に,花の色の変化を楽しむことができる。なお,このとき,造花の形は,そ

の色に合うものとしておくことが好ましい。例えば,赤の液体芳香剤の場合はバラ

やチューリップ,カーネーション等,青い液体芳香剤の場合はアジサイやアサガオ

等とすることができる(【0011】)。

前記浸透性の紐としては,綿糸を編んだ綿コードが適している。綿コードも,そ

の造花の茎に似た形状・色としておくと,造花全体がより自然に近くなる。また,

その中にワイヤを通しておくと,造花が容器の開口よりも上で自立できるようにな

り,造花の配置の自由度が高まる(【0012】)。

前記容器には,不透明な陶磁器を用いてもよいし,透明なものを用いてもよい。

透明である場合には,液体芳香剤の減り具合が分かるという実用的な効果のほか,

造花を茎部を含めた全体で観賞することができるという美観上の効果も得られる




(【0013】)。

考案を実施するための最良の形態

本実施形態の室内芳香器では,造花の茎部の綿コードが液体芳香剤を吸い上げ,

花弁に供給する。ソラの木の皮から成る花弁部では,その細かい組織により,液体

芳香剤が緩やかな速度で根本から先端の方へ浸透してゆくが,その間,液体芳香剤

が着色されていることにより,それが花弁を浸透してゆくのを目で見ることができ

る。このとき,茎部が花弁部の中心に接続されているため,色は花の中心から付き

始め,徐々に周辺に広がって行くようになる。その様はまるで花が少しずつ開花し

てゆくように見え,利用者は,液体芳香剤の香気に加えて,その花の色の変化とい

う視覚からの美感によりいやされることとなる(【0016】)。

本件考案に係る室内芳香器では,造花の花弁部からの液体芳香剤の揮散の速度が

遅いため,周囲に強い芳香ではなく,微弱な香気を漂わせ,上品な香気空間を形成

する。また,そのような安定した香気を長時間楽しむことができる(【001

7】)。

(2) 本件明細書の上記記載によれば,本件考案によれば,浸透性の紐を介して

液体芳香剤が供給される造花として,ソラの木の皮で作製されたものを用いること

により,造花に吸収された液体芳香剤をゆっくり揮散させることができ,芳香の揮

散を長時間安定的に持続できるという作用効果を奏するものと認められる。

2 引用考案について

(1) 引用例には,以下の記載がある(甲1)。

ア 発明の属する技術分野

本発明は,揮散器に関し,特に,供給される芳香液に応じて色彩や模様が付与さ

れる揮散体を有する揮散器に関する。また,揮散体が特定の形状を有する揮散器に

関する(【0001】)。

イ 課題を解決するための手段

このような構成を有する揮散器とすれば,上記の揮散器と同様の効果を奏するだ




けでなく,使用者は時間の経過に伴う揮散体の色や模様の変化を楽しむことができ

るため,より一層装飾性が向上する。

上記構成の揮散器において,揮散体の少なくとも一部は花型の形状を有する構造

とすれば,揮散体に芳香液が供給された際に,あたかも実際の花が色づくように見

えるため,より一層装飾性が向上する(【0006】【0007】)。

揮 散体は,その材質として,上記の溶液を保持でき,且つ,溶液中の有効成分

(揮散成分)を揮散させることができるものであればいずれのものでも使用でき,

具体的には,樹脂,パルプ等の有機材料やガラス等の無機材料の多孔性材料を用い

ることができる。揮散体の材質として,例えば,紙,布である。紙としては,例え

ば,濾紙,クレープペーパ,書道用紙,和紙,洋紙,特殊紙(すいとり紙等)を用

いることができる。布としては,例えば,ポリエステル,綿,アクリルを用いるこ

とができる。また,揮散体が複数の材質からなっていてもよい。揮散体の複数の材

質としては,例えば,合成繊維,ポリエステル,ナイロン,アセトン等の単品また

はこれらを複合したものである(【0010】)。

ウ 発明の実施の形態

図1に示す揮散器は,内部に有効成分を含有する溶液を収納した容器と,溶液に

浸漬された吸液部と,この吸液部材に取り付けられた揮散体とを備えている(【0

016】)。

図2に示すように,容器は中空の円筒状に形成され,上方に開口部が設けられて

いる。開口部には,長尺の円柱状に形成された吸液部材が嵌挿されている。吸液部

材は,一方の端部が溶液に浸漬され,容器の内部底面に接近又は接触した状態で配

され,他方の端部が開口部から容器の外部に露呈した状態で配されている(【00

17】)。

図1に示すように,揮散体は,円形の濾紙を適当に湾曲させることで略花弁状に

形成された部材(花弁部)を複数集めた集合体で構成されている。それぞれの花弁

部は,図2に示すように,吸液部材の外部に露呈した側の端部の外周面に接触する




ように取り付けられている。そして,それぞれの花弁部は揮散器の上面視(図1に

向かって上側から見た場合)において,吸液部材を中心とし,その中心から外周側

へ花弁部の先端(吸液部材に取り付けられた側とは反対側の縁部)を向けた花を模

るように配されている。

なお,揮散体は,その材質として,クレープペーパ,書道用紙,布,合成繊維,

不織布等を用いてもよい(【0018】)。

本実施の形態の揮散体は,重量を91g/uとし,総揮散面積を337?とした。

また,吸液部材は,材質がポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維で,芯径をφ1

3oとし,長さを10pとし,気孔率を77%とした(【0020】)。

吸液部材は,揮散体に供給する溶液の量を調整可能で,揮散体は,供給された溶

液によって着香及び着色した箇所が模様として識別可能であるように構成されてい

る。つまり,図1に示すように,容器に収納された溶液は吸液部材に吸収され,吸

液部材と揮散体が接触する箇所を介して揮散体に供給される。揮散体において,供

給された溶液に含まれる,不揮発性の色素を除く,溶媒,香料が揮発する。すると,

揮散体における,色素が残留した箇所(着色部)が色づく。言い換えれば,着色部

からは香料が揮散されていると捉えることができる。このため,揮散体に基づいて

揮散器における揮散成分(芳香成分)の揮散状態を確認することができる ( 【0

021】)。

本実施の形態において,図1に示すように,揮散体の色づく箇所は,花弁部の先

端から濃く着色し,使用開始から所定時間(90分)経過後には花弁部の全体が着

色される。言い換えれば,着色部の形状(模様)は,揮散体に供給される溶液の量

に応じて流動的に面積が変化し,また,時間の経過によって大きくなる(【002

2】)。

揮散体(花弁部)に付与される模様は,揮散体の吸液性と溶媒の揮発性とによっ

て,形状及び形状の変化が決定される。溶液が揮散体に吸収されて花弁部の先端に

行き届く前に,溶媒が揮発してしまうと溶液に含まれる色素が花弁部の先端まで達




することがない。このとき,花弁部の先端で濃い着色を付与することができない。

言い換えれば,溶媒の揮発する速度が速すぎる場合,揮散体の吸液する速度を上回

り,色素が先端に行き届く前に溶媒が揮発してしまい,花弁部の途中で着色を付与

することとなる。一方,溶液が揮散するよりも先に花弁部の先端に達するまで吸液

されると,色素は花弁部の先端に十分な量だけ供給されるため,花弁部の先端で濃

い着色が付与されることとなる。つまり,色素は不揮発性であり,溶媒が揮発する

まで溶媒とともに吸液部材及び揮散体の内部を移動する。したがって,吸液の速度

と揮発の速度とを適宜調整することで,揮散体に付与される模様を決定することが

できる(【0023】)。

実施例1ないし5の吸液部材の芯径はφ2o,φ3o又はφ13o,長さはいず

れも10pである(【0044】)。

引 用考案の認定及び本件考案1ないし5と引用考案との一致点及び相違点
(2)

が,前記第2の3 (2)のとおりであることは,当事者間に争いがない。

3 取消事由1(本件考案1の容易想到性に係る判断の誤り)について

(1) 相違点1について

本件考案1と引用考案との相違点1は,造花に関して,本件考案1では,「ソラ

の木の皮で作製した」ものであるのに対して,引用考案は,花弁部を複数集めた集

合体で構成された濾紙からなる揮散体からなる点である。

ソラフラワーの周知性について
(2)

周知例には,ソラフラワーとリフレッシャーオイルの画像の説明文として,「植

物繊維で作った花にバラの香りを染み込ませて」及び「ローズの香りの花ポプリ。

ソラという植物の茎をスライスして作った花に,オイルを染み込ませています。ほ

かにヒヤシンスやシクラメンも。」との記載がある。それによれば,ユーザーが,

ソラフラワーに芳香剤を染み込ませて使うものであることが理解できる。また,そ

もそも,ソラフラワーにリフレッシャーオイルを別売しているということは,当該

オイルをソラフラワーに染み込ませて使い切った後に,改めて追加で当該オイルを




入手できるように販売しているものである。よって,周知例には,本件審決が認定

した,「造花であるソラフラワーと芳香剤とを別体として販売し,ユーザーがソラ

フラワーに芳香剤を染み込ませて使うもの」であることが記載されている。

周知例は,株式会社主婦と生活社が一般の主婦を対象として出版した雑誌「Sa

ison de かおん」にソラフラワーという商品の概要や用途が紹介されてい

るというものであるところ,室内芳香器やソラフラワーのユーザーである主婦を対

象とした雑誌に掲載された事項については,本件考案の属する技術分野の出願時の

技術水準にあるものを全て自らの知識とすることができる当業者としても,ユーザ

ーのニーズや商品の評価などには相当な関心を払うはずである。そうすると,当業

者は,ユーザー向けの雑誌に掲載された事項についても,当然,自らの知識として

いるものと考えられ,そこに掲載された事項は,当業者にとっても周知な事項とい

って差し支えない。

よって,周知例の上記記載をもって,そこに紹介されたソラフラワーも,当業者

に周知のものということができる。

容易想到性について
(3)

ア 引用例には,本件考案1の「造花」に相当する揮散体は,「その材質として,

上記の溶液を保持でき,かつ,溶液中の有効成分(揮散成分)を揮散させることが

できるものであればいずれのものでも使用でき」と記載され,その具体例として,

「樹脂,パルプ等の有機材料やガラス等の無機材料の多孔性材料」を用いることが

できることが記載されている(【0010】)。

引用例には,ソラの木の皮等の天然素材については明記されていないが,ソラの

木の皮等の天然素材も,造花に吸収された液体芳香剤をゆっくり揮散させることが

でき,芳香の揮散を長時間安定的に持続できるという作用効果を有することは明ら

かであり,上記のとおり,ソラフラワーは,従来周知の造花である。そうすると,

ソラの木の皮等の天然素材が記載されていないとしても,引用考案における花弁部

の集合体である揮散体に代えて,ソラフラワーを適用することができる。




イ このように,引用考案の「揮散体」を,これと同様の作用・機能を有する周

知のソラフラワーに置き換える動機は十分に存在し,それを阻害する要因も存在し

ないから,相違点1に係る構成は,きわめて容易に想到できるものである。

そして,本件考案1が奏する作用効果,すなわち,ソラの木の皮で作製されたも

のを用いることにより,造花に吸収された液体芳香剤をゆっくり揮散させることが

でき,芳香の揮散を長時間安定的に持続できるという作用効果も,引用考案等から

予測できる範囲内のものにすぎず,格別のものとは認められない。

ウ よって,本件考案1は,引用考案及び周知例に基づき,きわめて容易に想到

し得るものである。

原告の主張について
(4)

ア 原告は,引用例は,造花の材質として,数多くの例を挙げながら,従来周知

の天然素材については一つも挙げていないことを理由に,ソラを含む天然素材を引

考案の造花に適用できないとする阻害要因が存在する旨主張する。

確かに,引用例(【0010】)には,揮散体の材質として,ソラを含む天然素

材について明示されていないが,「揮散体は,その材質として,上記の溶液を保持

でき,かつ,溶液中の有効成分(揮散成分)を揮散させることができるものであれ

ばいずれのものでも使用でき」るとした上で,紙や布を例示しているにすぎないか

ら,それ以外の材質を何ら排除するものではない。そして,従来周知のソラを含む

天然素材も,造花に吸収された液体芳香剤をゆっくり揮散させることができ,芳香

の揮散を長時間安定的に持続できるという作用効果を有するもので,「溶液を保持

でき,かつ,溶液中の有効成分(揮散成分)を揮散させることができる」ものであ

るから,天然素材が例示されていないことをもって阻害事由があるとはいえない。

イ 原告は,本件考案1の時間に関する観念は,視覚の面だけでなく嗅覚の面で

も考慮しているのに対して,引用考案は,視覚の面に限定される点で相違すると主

張する。

しかしながら,引用考案の揮散器でも,揮散体に芳香剤を吸収させることによっ




て,揮散体から香気を発するもので,揮散体内への吸収の度合いが進むにつれて,

揮散体から発する香気が強くなることは明らかである。また,引用例の記載,すな

わち,「着色部の形状(模様)は,揮散体に供給される溶液の量に応じて流動的に

面積が変化し,また,時間の経過によって大きくなる」「吸液の速度と揮発の速度

とを適宜調整することで,揮散体に付与される模様を決定することができる」

(【0022】【0023】)から,時間に関する観念が視覚の面でも考慮されて

いることも明らかである。

なお,周知例のソラフラワーも,一般的な天然ポプリと同様,植物の花や茎等を

乾燥させて香料を染み込ませることによって,香気をゆっくりと揮散させて長く楽

しむものであるから,嗅覚の面での時間に関する観念を有するものである。

(5) 小括

よって,取消事由1は,理由がない。

4 取消事由2(本件考案2の容易想到性に係る判断の誤り)について

(1) 相違点3について

本件考案2と引用考案との相違点3は,本件考案2は,「液体芳香剤が有色であ

り,造花が淡色である」のに対し,引用考案では,溶液が色素を含むものの,揮散

体の花弁部の色については不明な点である。

(2) 容易想到性について

ア 前記3のとおり,引用考案は,引用考案も時間に関する観念が視覚の面でも

考慮されており,具体的には,香料に含まれた色素が揮散体に残留して揮散体本来

の色を香料に含まれた色素により着色させて,使用者は時間の経過に伴う揮散体の

色や模様の変化を楽しむことができるものであって,あたかも実際の花が色づくよ

うに見せるものである。

ところで,色や模様の変化を明瞭にするためには,同色系よりも色味が大きく異

なるものを選択した方が好ましく,淡色と有色とを選択することは常套手段にすぎ

ない。また,引用考案において,揮散体の色は変化前の色に相当し,これに溶液の




色を混ぜた混合色が変化後の色となるが,有色に淡色を混ぜるよりも淡色に有色を

混ぜた方が色や模様の変化が明瞭になることは明らかである。よって,色や模様の

変化を楽しむという引用考案の着眼に基づき,揮散体を淡色とし,溶液を有色とす

ることによって,色や模様の変化を明瞭にすることは,当業者が適宜選択すること

ができる事項である。

イ そ して,本件考案2が奏する作用効果,すなわち,液体芳香剤が造花の中

(花弁)を浸透していく間に,花の色の変化を楽しむことができるという作用効果

(【0011】)も格別のものではない。

ウ よって,本件考案2は,引用考案及び周知例に基づき,きわめて容易に想到

し得るものである。

原告の主張について
(3)

ア 原告は,本件考案2の相違点3に係る構成は,造花の素材としてソラの木の

皮を用いてこそ,その技術的意義を発揮することができるものである以上,ソラの

木の皮を用いていない引用考案において,本件考案2の相違点3に係る構成を採用

する動機はないと主張する。

しかしながら,相違点3に係る構成の技術的意義は,液体芳香剤が造花の中(花

弁)を浸透してゆく間に,花の色の変化を楽しむことができる点にあると認められ

るところ,この点は引用考案でも意図されており,ソラの木の皮を用いずに,引用

例に例示された素材を用いても十分に発揮されるものである。

イ 原告は,本件考案2は,造花の素材としてソラの木の皮を用いることを前提

に,有色の液体芳香剤と淡色の造花という組合わせを採用することで,より自然環

境に近い,繊細かつ微妙な花の開花の様子を再現するようにしたものであり,引用

考案等からは予測できない顕著なものであると主張する。

しかしながら,上記のとおり,引用考案も,使用者は時間の経過に伴う揮散体の

色や模様の変化を楽しむことができるものであって,あたかも実際の花が色づくよ

うに見せるものであるから(【0006】【0007】),本件考案2の作用効果




は,引用考案等の作用効果の総和以上のものではない。

小括
(4)

よって,取消事由2は理由がない。

5 取消事由3(本件考案4の容易想到性に係る判断の誤り)について

(1) 相違点5について

本件考案4と引用考案との相違点5は,綿コードに関して,本件考案4は,「綿

コードの中にワイヤが挿入されている」のに対して,引用考案では,吸液部材の補

強について不明な点である。

(2) 容易想到性について

ア 原告は,引用考案の吸液部材の芯径は例えばφ13oとされ,比較的強度の

高い合成繊維を素材に,芯径を大きくすることで安定した円柱形状とした場合に,

補強のためにワイヤを用いることは,通常必要でないと主張する。

しかし,引用例には,実施例として,芯径φ2o又は3oで長さ10pの場合も

示されていることから(【0044】),芯径φ13oは一例にすぎない。また,

芯径φ13oであっても,長さによっては芯の剛性を高めることが必要な場合もあ

るし,多少の剛性を有する素材・形状でもより高い剛性を求める場合もあるから,

引用考案において,補強のためにワイヤを用いる必要がないとはいえない。

そして,保形性と剛性強化とを図るべく芯にワイヤを挿入することは,技術常識

であることに照らせば,引用考案の吸液部材の中にワイヤを挿入することは,当業

者であればきわめて容易に想到し得るものである。

イ そして,本件考案4が奏する作用効果,すなわち,綿コードの中にワイヤを

通しておくと,造花が容器の開口よりも上で自立できるようになり,造花の配置の

自由度が高まるという作用効果(【0012】)も,格別のものではない。

ウ よって,本件考案4は,引用考案及び周知例に基づき,きわめて容易に想到

し得るものである。

(3) 小括




よって,取消事由3は理由がない。

6 結論

以上の次第であるから,原告の請求は棄却されるべきものである。

知的財産高等裁判所第4部



裁 判長裁判官 部 眞 規 子




裁判官 井 上 泰 人




裁判官 齋 藤 巌






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