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事件 平成 15年 (ネ) 4284号 損害賠償請求控訴事件
控訴人(原審原告) A
被控訴人(原審被告) 国
同指定代理人 千葉俊之
同 小林進
同 工藤二
同 山内孝夫
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/10/26
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 控訴人 (1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人は、控訴人に対し、7万8200円を支払え。
(3) 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人 主文同旨
事案の概要
1 本件は、2件の実用新案登録出願(昭和61年実用新案登録願第103974号及び昭和61年実用新案登録願第192393号)をした控訴人が、@特許庁審査官が、拒絶理由通知書に記載された拒絶理由と異なる新たな拒絶理由を見つけたにもかかわらず、再度の拒絶理由通知をせずに拒絶査定をした、A特許庁側の不誠実な対応により、審判請求の機会を奪われたなどと主張して、被控訴人に対し、
国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として、7万8200円(実用新案登録出願手数料7100円及び出願審査請求手数料3万2000円の各2件分)の支払を求めた事案である。
原判決は、控訴人の主張にはいずれも理由がないとして、控訴人の請求を棄却した。
これに対し、控訴人は、原判決の取消しを求めて、本件控訴を提起した。
2 争いのない事実及び当事者の主張は、次のとおり当審における控訴人の控訴理由の要点及び被控訴人の反論の要点を付加するほか、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要 1 争いのない事実」及び「第3 当事者の主張」に記載のとおりであるから、これを引用する。
3 控訴人の控訴理由の要点 (1) 本件各拒絶理由通知書と本件各拒絶査定の内容が異なることは、誰がみても疑いようもないほど明らかであり、出願人の利益保護のために、再度、拒絶理由通知をし、出願人に、防御権行使の機会を与える必要があったというべきである。
(2) 控訴人が特許庁に対し、出願審査請求手数料等を支払っている以上、特許庁が控訴人の疑問に対して誠実に答えるのは当然の義務であり、原判決が、「本件質問書をもって、〜特許庁が上記審判申立期間内に原告の疑問に答えるべき法律上の根拠が発生するということはできない」(16頁21行目以下)と判断したことは、「特許庁は金は貰うが、仕事はしなくていい」と言っているのと同じであり、
国民の一般的な常識から掛け離れている。
4 被控訴人の反論の要点 控訴人は、控訴理由として、原判決に対する不満を述べるにすぎず、あるいは、原審における主張を繰り返すものであって、原判決を取り消すべき理由とはならない。
当裁判所の判断
当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する本訴請求は、理由がないものと判断するが、その理由は、次のとおり付加するほかは、原判決「事実及び理由」中の「第4 当裁判所の判断」の記載のとおりであるから、これを引用する。
1 当審における控訴人の主張について (1) 控訴人は、本件各拒絶理由通知書と本件各拒絶査定の内容が異なっているのは明らかであり、出願人の利益保護のために、再度、拒絶理由通知をし、出願人に防御権行使の機会を与える必要があったと主張する。
しかしながら、特許庁審査官が、A拒絶理由通知書に記載された拒絶理由に基づき本件A拒絶査定をしたこと及びB拒絶理由通知書に記載された拒絶理由に基づき本件B拒絶査定をしたことは、いずれも原判決説示(14頁9行目ないし16頁7行目)のとおりであるから、控訴人の上記主張は、その前提において誤りであり、採用の限りではない。
(2) 控訴人は、出願審査請求手数料等を支払っている以上、特許庁が控訴人の疑問に対して誠実に答えるのは当然の義務であり、原判決が、「本件質問書をもって、〜特許庁が上記審判申立期間内に原告の疑問に答えるべき法律上の根拠が発生するということはできない」と判断したことは、国民の一般的な常識から掛け離れていると主張する。
しかしながら、原判決の上記説示(16頁21行目ないし24行目)は、
被控訴人において、その公務員による不法行為の成立の前提となるような、法律上の義務が生じるものではない旨を説明したものであるところ、旧実用新案法において、出願審査を請求する者が納付しなければならない手数料(旧実用新案法54条2項)は、出願審査を経て出願公告(同法13条、平成6年法律第116号による改正前の特許法51条)の決定を得るなどのために支払われるものであって、出願審査請求人が独自の見解から行う質問に対し、その一方的な指定期間内に特許庁が逐一応答すべき法律上の義務を生じさせるようなものでないことは明らかであるから、原判決の上記説示は正当であり、控訴人の上記主張は、到底、採用することができない。
2 なお、控訴人は、特許庁の審査体制、原審及び当審の訴訟手続などをるる非難するが、これらはいずれも、原判決に対する適法な控訴理由となるものではなく、失当なものといわなければならない。
以上のとおり、原判決が、控訴人による国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求に理由がないと判断したことは、正当なことといえる。
結論
よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 北山元章
裁判官 青柳馨
裁判官 清水節
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