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関連審決 無効2005-80016
訂正2005-39224
関連ワード 考案 /  設定登録 /  進歩性(3条2項) /  相違点の認定 /  減縮 /  請求項 /  容易に想到 /  転用 /  明細書 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 18年 (行ケ) 10272号 審決取消請求事件
原告株式会社堀場製作所
訴訟代理人弁護士伊原友己
同 加古尊温
訴訟代理人弁理士西村竜平
同 角田敦志
被告株式会社小野測器
訴訟代理人弁護士小林幸夫
同 村西大作
訴訟代理人弁理士國分孝悦
同 南林薫
同 大須賀晃
同 小野享
同 桂巻徹
同 栗川典幸
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2007/05/30
権利種別 実用新案権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1当事者の求めた裁判1原告( )特許庁が無効2005-80016号事件について平成18年5月121日にした審決のうち 「実用新案登録第2602243号の請求項1に係る ,考案についての実用新案登録を無効とする 」との部分を取り消す。 。
( )訴訟費用は被告の負担とする。
22被告主文と同旨第2当事者間に争いのない事実1特許庁等における手続の経緯,「 」 ( ) 原告は 考案の名称を シャシダイナモメータ上の自動車運転用ロボット1とする実用新案登録第2602243号(平成5年7月21日実用新案登録出願,平成11年10月29日設定登録 「本件実用新案登録」という ) 。 。
の実用新案権者である。
( ) 被告は,平成17年1月19日,本件実用新案登録を無効にすることにつ2いて審判の請求をし,無効2005-80016号事件として特許庁に係属した。原告は,同審判手続において,平成17年4月18日付けで訂正請求を行った。特許庁は,平成17年8月30日 「訂正を認める。実用新案登 ,録第2602243号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする 」との審決をした。。
( ) 被告は,知的財産高等裁判所に同審決の取消しを求める訴訟(平成17年3(行ケ)第10711号)を提起するとともに,実用新案登録請求の範囲減縮を伴う訂正審判請求(訂正2005-39224)を行ったところ,同裁判所により,差戻決定がされた。
( ) 差戻し後に再開された無効審判事件の審理において,上記訂正審判請求は4訂正請求とみなされ,特許庁により,平成18年5月12日に「訂正を認める。実用新案登録第2602243号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を無効とする 」との審決がされた。 。
2特許請求の範囲上記みなし訂正請求後の本件考案明細書(甲30の2)における実用新案登録請求の範囲請求項1の記載は 次のとおりである 以下 この考案を 本 ,(,「件考案」という )。
請求項1】「運転者用シートに載置されるロボット本体に,作動対象物であるアクセル,ブレーキ,クラッチの各ペダルに直接当接させてそれぞれを操作するアクチュエータを設けたシャシダイナモメータ上の自動車運転用ロボットにおいて,前記各アクチュエータの軸の先端に,その軸線と光軸とを略合致させることにより,各アクチュエータがその軸を伸縮させることなく各ペダルとは離間した状態において,目視できるように,対向する各ペダルをスポット的に照射するレンズ付きLEDを埋設したことを特徴とするシャシダイナモメータ上の自動車運転用ロボット 」。
3審決の理由( ) 別紙審決書の写しのとおり。
1審決の理由は,要するに,本件考案は,実願平3-95083号(実開平)(。,「」 5-36341号 のCD-ROM 甲4 以下 審決と同様に 刊行物4という。他の書証についても,枝番号の記載の有無の点を除いて,書証に付された番号は同一である )に記載された考案(以下「刊行物4考案」とい 。
。) (,「」 う及び米国特許第4438567号明細書 甲6の1 以下 刊行物6という。なお,枝番号の表記を省略する場合がある )に記載された考案並 。
びに周知技術に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができた,というものである。
( ) 審決の認定した本件考案と刊行物4考案との一致点及び相違点は,次のと2おりである。
(一致点)「運転者用シートに載置されるロボット本体に,作動対象物であるアクセル,ブレーキ,クラッチの各ペダルに直接当接させてそれぞれを操作するアクチュエータを設けたシャシダイナモメータ上の自動車運転用ロボット」である点。
(相違点)本件考案では,各アクチュエータの軸の先端に,その軸線と光軸とを略合致させることにより,各アクチュエータがその軸を伸縮させることなく各ペダルとは離間した状態において,目視できるように,対向する各ペダルをスポット的に照射するレンズ付きLEDを埋設した構成を有しているのに対し,刊行物4に記載の考案では,そのような構成は有していない点。
第3取消事由に関する原告の主張審決には,相違点についての容易想到性の判断を誤った違法がある。
なお,審決書の「当審の判断」における各刊行物(刊行物3,4,6,7及び24)の記載事項並びに本件考案と刊行物4考案との一致点及び相違点の認定に誤りがないことについては,認める。
1本件考案の技術的意義( )本件考案は,自動車運転用ロボットの運転席への設置時のペダルアクチ1ュエータの位置決めの便宜という,固有の技術的課題の解決策を提示したものである。そして,本件考案は,稼働時に,ペダルに当接せしめて,押圧操作するアクチュエータ自身の先端部に,割れやすいレンズ付きLEDを設けた点に特徴がある。本件考案の「アクチュエータ」については,実用新案登録請求の範囲には「作動対象物であるアクセル,ブレーキ,クラッチの各に直接当接させてそれぞれを操作するアクチュエータ」と記載されていることや一般的な解釈として,対象物に対して直接力を作用させるもの(押し子,作動器)として解されるべきである(甲31,32 。)( )本件考案の自動車運転用ロボットでは,アクチュエータは最大約2002N(20Kg)の力でペダルを押圧するのであって,かかる力でペダルを押圧するアクチュエータに,レンズ付きLEDを先端に設ければ,レンズ付きLEDに過大な力が加わり,破損等の問題が発生することは,当業者であれば当然予期し得る。したがって,アクチュエータの先端に接触式の圧力センサを設けた技術が周知であったとしても,当業者は,そのような周知技術から,非接触を前提としたレンズ付きLEDを設けることを発想することはない。
2刊行物4考案に刊行物6の記載事項を適用することの困難性( )刊行物4考案の内容は 「運転者用シートに載置されるロボット本体に,1 ,作動対象物であるアクセル,ブレーキ,クラッチの各ペダルに直接当接させてそれぞれを操作するアクチュエータを設けたシャシダイナモメータ上の自動車運転用ロボット」とするものである。
( )これに対し,刊行物6は,自動車運転用ロボットとは全く無関係な技術2領域にある「ドリル工作機械」である点で異なり,また,対象物に対して力を作用させるのはドリル工具であり,ランプを設けている箇所は,当該ドリル工具の先端ではない点で異なる。刊行物6は,位置決め専用の器具(ロケーター)を用意し,ロケーターで,ワーク(工作対象)との関係における軸の位置決めをした後,軸からロケーターを外し,ドリルと交換して,穴開け加工する技術が記載されている。刊行物6は,アクチュエータの先端部にランプを設ける技術を示唆するものではない。
( )上記のとおり,刊行物6と本件考案とは,位置決めを行うものが,対象3物に対して作用する器具そのものか,別の器具かという点で,根本的な点で相違がある。したがって,刊行物4考案に刊行物6を適用しても,本件考案を想到することはできない。
3刊行物6以外の引例に示された技術思想について( )甲7(米国特許第4786848号明細書)においては,操作(加工)1対象に実際に作用するのは,ウォータジェット・トリムヘッド64から出力されるジェット水流()であり,そのウォータジェット・ト water jet streamリムヘッド64と選択的に取り替えて使用されるシミュレータ70は,ペダルを直接押圧する本件考案のアクチュエータと同等のものではない。
( )離れた距離からレーザで対象物を指し示したり,位置を確認したりする2従来技術としては,レーザポインタやライフル銃のレーザ照準器がある。しかし,レーザポインタは,その先端で,直接に黒板やパワーポイントのスクリーン画像に触れるものではなく,また,ライフルの照準器も,照準器で標的を破壊するものではない。レーザポインタやライフル銃のレーザ照準器等は,いずれも直接対象物に力を作用させるものではない点で,本件考案と相違する。
( )上記の引例に,対象物に直接当接せしめて,これに力を加えるものの先3端部に(設置段階での位置決めのために)発光手段を設けたものはなく,開示も示唆もされていない。いずれの引例にも,アクチュエータの先端部にレンズ付きLEDを設ける技術思想は開示も示唆もされていない。
第4被告の反論本件考案進歩性についての審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
1本件考案の技術的意義原告は,本件考案において,レンズ付きLEDを埋設することは,割れやすいものを割れやすい部分に設けるという発想であって,この点を容易に想到することはできないと主張する。
しかし,刊行物6において,ロケーター内の光学部材は周囲より後退した位置となっており,対象物には直接接触しない構成が採用されており,本件考案の構成は,刊行物6に開示されている構成と同じである。すなわち,刊行物6では,その図2に示すように,本件考案のレンズ付きLEDに相当するレンズ22及びランプ20のレンズ22は,ロケーターFのバレル部材12の先端に埋設される構成とされている。また,レンズ付きLEDのように対象物との直接の接触によって,機械的損傷を生じるおそれのあるものについて,保護のために周囲からは埋設して設けることは,当業者が必要に応じて適宜採用することができる。
本件考案に格別の技術的な特徴はない。
2刊行物4考案に刊行物6の記載事項を適用することの困難性について( )原告は,刊行物6は刊行物4考案の自動車運転用ロボットとは無関係な1技術領域にあるドリル工作機械であるから,両者を組み合わせることは困難であると主張する。
しかし,刊行物4と刊行物6は,アクチュエータを用いた装置であるという点で技術分野の関連性を有し,また,対象物に対してアクチュエータの先端の位置決めを行う必要があるという技術的課題の共通性を有するから,刊行物4考案に刊行物6の記載事項を組み合わせることに困難性はない。
「アクチュエータ」とは,電気,油圧,圧縮空気などを用いて機械的な仕事をする機器を広く指称するものであり,対象物に対して直接力を作用させるものに限定されるものでない。刊行物6において,ロケーターFが先端に取り付けられるボール盤Aのスピンドル軸(出力軸)は,機械的に上下動するものであるから,これがアクチュエータであることに疑いはない。
したがって,審決が,刊行物6のスピンドル軸及びこのスピンドル軸の先端に設けられたロケーターFを,それぞれ本件考案のアクチュエータ及び発光手段(レンズ付きLED)に相当するものとして 「アクチュエータに関 ,しても,アクチュエータの先端の位置合わせの必要な場合に,スポット光を照射する発光手段を,前記アクチュエータの軸と発光手段の光軸とを略合致させて,その先端部に設け,前記アクチュエータの先端の到達位置を示す手段とすることは 種々のタイプのアクチュエータにおいて採用されている 例 , (えば,上記刊行物6,刊行物7等参照)ように周知のことである(審決。」書10頁17行〜22行)と認定したことに誤りはない。
( )原告は,刊行物6においては,軸の位置決めをしてからロケーターFを2ドリル工具と差し替えるものであるから,刊行物6にアクチュエータ自体で位置決めをする技術は示唆されていないと主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。
すなわち,刊行物6において本件考案のアクチュエータに相当するのは,スピンドル軸であることは,上述のとおりであるから,本件考案のアクチュエータに相当するのがドリル工具であるという原告の主張は,前提において誤っている。そして,刊行物6には 「アクチュエータ」に相当するスピン ,ドル軸の先端部に,その軸線と光軸とを合致させてスポット光の発光手段であるロケーターFを設ける構成を開示しているから,刊行物6には,本件考案の「アクチュエータの軸の先端に,その軸線と光軸とを略合致させてスポット光の発光手段であるレンズ付きLEDを設ける」との構成が開示されているといえる。
3刊行物6以外の引例に示された技術思想について( )原告は,甲7のシミュレータ70は,ウォータージェット・トリムヘッ1ド64と取り替えて使用されるものであるから,本件考案のアクチュエータと同等ではないと主張する。
,, , しかし 甲7には アクチュエータであるロボットアーム14の先端部にワーク90に対して位置合わせのためのスポット光を照射する発光手段であるシミュレータ70を設ける構成が開示されている。したがって,原告の主張は,失当である。
( )原告は,レーザポインタやライフル銃のレーザ照準器は,いずれも直接2, 。 対象物に力を作用させるものではないので 本件考案とは異なると主張するしかし,直接対象物に力を作用させるものであるか否かは,光線で対象位置をスポット的に照射して指示するという思想が周知であることの妨げになるものではない。したがって,原告の主張は失当である。
第5当裁判所の判断当裁判所も,本件考案は,刊行物4考案及び刊行物6並びに周知技術に基づ, 。 いて 当業者が極めて容易に考案をすることができたとものであると判断するその理由は,以下のとおりである。
1刊行物4考案の内容( )刊行物4考案は 「運転者用シートに載置されるロボット本体に,作動1 ,対象物であるアクセル,ブレーキ,クラッチの各ペダルに直接当接させてそれぞれを操作するアクチュエータを設けたシャシダイナモメータ上の自動車運転用ロボット」である。そして,刊行物4(甲4)には 「前記ロボット,1は,図1〜2に示したように,アクチュエータを前側にして本体2を25運転者用シートに載置する。そして,連結ボルトの締付けで連結材7 38 16を支持ロッド4に固定し,かつ締付けボルトを弛めて,保持材を上下 1411方向にスイングさせて支承棒をほぼ垂直にするとともに,支承棒の下 18 18端を自動車の床などに当接して,本体2の前側を持上げ状に支承する。この1411 11 状態で各締付けボルトを締付けて保持材を軸受パイプ8に 保持材,18 39 38 に支承棒をそれぞれ固定し かつベルトで本体2を運転者用シート ,に固定する。ペダル用の各アクチュエータは,各ペダルの相対する位置25に置き,かつペダルを操作することが可能な状態に調節して支持ロッド4に。」( ,【】)。 固定する9頁28行〜10頁7行 段落 0020との記載がある( )同記載部分及び図1,2を併せると,刊行物4考案においては,ペダル2用のアクチュエータの軸部分が進退してペダルを操作すること,アクチュエータをペダルに相対する位置に配置させて,ペダルを操作することが可能な状態に位置調整をして,自動車運転用ロボットの支持ロッドを固定するものであると認められる。他方,位置調整のための具体的な手段についての記載はない。
2刊行物6の記載事項( )刊行物6(甲6の1,訳文甲6の2)には,次の記載がある。
1「この発明は,…特に,工作機械のスピンドル軸にマークもしくは穴を正確に芯出しするようにワークを位置決めする装置に関する(第1欄6行〜。」9行,訳文1頁3行〜4行 ,)「図1において,工作機械のこの例ではボール盤Aが図示され,該ボール盤Aは,その出力軸に結合されたチャックBの形態でツールホルダを有している。ワークCは,バイスDにクランプ(固定)される。バイスDは,クランプ機構によって選択された所定位置で作業台Eにクランプされる(第2。」欄14行〜19行,訳文1頁6行〜9行 ,)「ワークに付されたセンタマーキングをスピンドル軸に合わせるために,ロケーターFは,ボール盤のスピンドル軸に正確に芯出しされた適宜の画像を投影する。ロケーター…Fは2つのバレル部材10,12からなり,一方の部材10は一端に短い,実質的に円筒状のシャンク14を有し,チャックBに結合するように設計されている。…バレル部材12の上端あるいは内側端部には低電圧タングステン・フィラメントランプ20が装着され,また,バレル部材12の下端あるいは外側端部には屈折力6ないし8の両凸レンズ22が装着される。レンズ22はOリング24によって,バレル部材12の肩。」(, ), 部に保持される第2欄31行〜47行 訳文1頁11行〜下から3行「ランプ20およびレンズ22は,ワーク上の参照マークもしくはライン上に画像を投影する。ワーク上にスポット(図4)…を投影可能である(第。」3欄18行〜22行,訳文2頁3行〜6行 ,)「 投影画像)の合焦後,ワークのセンターマークと投影画像の中心とを一 (致させるために,バイスDの横方向移動が行われる。ワーク上の交差線(図1)と投影画像の十字は,バレル部材12を回動させることによって相互に平行にすることができる。位置決め完了後,ワークは作業台上に固定されるとともに,ドリル工具あるいは他の工具がチャックに装填される(第3。」欄35行〜42行,訳文2頁10行〜14行 。)( )上記によれば,刊行物6には,工作機械のスピンドル軸(出力軸)をワ2ークに合わせて正確に芯出しするために,ワーク上をスポット的に照射するレンズ付きランプを有するロケーターをスピンドル軸の先端に設けること,上記スピンドル軸は,ワークに向けて進退するものであり,ワークに当接させることなく芯出しができるようにした技術が開示されているものと認められる。
3本件考案についての進歩性の有無刊行物4考案におけるアクチュエータは,その軸部分がペダルに向けて進退するものである。そこで,同考案に,これと同様にワークに向けて進退するスピンドル軸を,ワークに当接させることなく芯出しできるようにワーク上をスポット的に照射するレンズ付きランプを有するロケーターをスピンドル軸の先端に設けるという刊行物6の技術を適用すれば,アクチュエータを,ペダルに当接させることなくペダルに相対する位置に配置する調節を行うために,対向する各ペダルをスポット的に照射するレンズ付きの光源をアクチュエータ先端部に設けるとの発想を得ることは,当業者が極めて容易になし得たものということができる。
そして,レンズ付きLEDは従来周知のものである(争いはない)から,レンズ付きの光源としてレンズ付きLEDを用いることは,当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。また,刊行物4考案においては,アクチュエータ先端部がペダルに当接するものであることから,損傷を防止するために光源を埋設することは,当業者が当然考慮する程度の設計事項であって,格別の構成とはいえない(刊行物6の図2においても,ランプは,レンズ部分を含めて,ロケーターに埋設された位置に配置されていることが認められる。。)したがって,刊行物6に開示された技術及び周知技術を適用すれば,刊行物4考案において,相違点に係る本件考案の構成とすることは当業者が極めて容易になし得たものであって,本件考案は,刊行物4考案,刊行物6に開示された事項及び周知技術に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものといえる。これと同旨の審決の判断に,誤りはない。
4原告の主張に対し( )原告は,刊行物6の記載事項は,自動車運転用ロボットとは全く無関係1な技術領域にある「ドリル工作機械」であるから,このような技術領域の文献を相互に組み合わせることは困難である旨主張する。
しかし,上記1において述べたとおり,刊行物6に開示された技術は,対象物に向けて進退する軸を対象物に対して位置合わせする点で刊行物4考案と共通するものであるから,刊行物4考案と無関係な技術領域にあるということはできず,刊行物6の記載事項を刊行物4考案に適用することを妨げる事情は存在しない。
( )原告は,本件考案は,自動車運転用ロボットの分野の固有の技術的課題2の解決策を提示したものであり,ペダルに当接してこれを踏み込む(押圧操作する)アクチュエータの先端部に割れやすいレンズ付きLEDを設けた点に特徴があるのに対して,刊行物6においてアクチュエータの役割を果たすのは,ドリル工具であるから,アクチュエータの先端部にランプを設ける技術は,開示も示唆もされていない旨を主張する。
しかし,上記のとおり,刊行物6には,ワーク上をスポット的に照射するレンズ付きランプを有するロケーターを,スピンドル軸の先端に設けることによって,ワークに向けて進退するスピンドル軸をワークに当接させることなく芯出しする目的を達成する技術が開示されている。刊行物4考案に刊行物6の記載事項を適用して,本件考案をすることができるか否かの判断に際しては,刊行物6記載において,ワーク上をスポット的に照射するレンズ付きランプを有するロケーターをスピンドル軸の先端に設ける構成が用いられていることが重要な考慮要素となるのであって,位置決め完了後にロケーターを外して,ドリル工具等を装填するか否か,また,本件考案のアクチュエータの役割を果たすものが,刊行物6記載のドリル工具であるか否かは,組み合わせの容易性の有無を判断する際の重要な要素であるとはいえない。したがって,原告のこの点の主張は,失当である。
( )原告は,甲7(米国特許第4786848号明細書)やレーザ照準器等3を含めて,従来技術のいずれにも,対象物に直接当接せしめて,これに力を加えるようなものの先端部に(設置段階での位置決めのために)発光手段を設けたものはなく,アクチュエータ自体の先端部にレンズ付きLEDを設けるという技術は,開示も示唆もされていないと主張する。しかし,原告の主張は,既に述べたとおりであって,刊行物4考案に刊行物6の記載事項を組み合わせて,本件考案に至ることが極めて容易であるとした判断を左右する主張とはいえない。この点の原告の主張は,失当である。
5結論以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がなく,その他,審決に,これを取り消すべき誤りは見当たらない。
よって,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 三村量一
裁判官 上田洋幸
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