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事件 昭和 43年 (ワ) 1041号
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裁判所 京都地方裁判所
判決言渡日 1972/02/24
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第一、当事者の求めた裁判一、原告訴訟代理人 被告は別紙第一ないし第三目録に示すトイビルデイングブロツクを生産又は譲渡してはならない。
被告は右トイビルデイングブロツクの完製品、半製品を廃棄し、その金型を除去しなければならない。
訴訟費用は被告の負担とする。
との判決二、被告会社訴訟代理人 主文同旨の判決第二、当事者の事実上の主張一、当事者間に争いのない事実(一) 原告は、デンマーク国の法律によつて設立された法人で「レゴ」「LEGO」という商標で、トイビルデイングブロツク(組立ブロツク玩具)を、わが国に輸出し販売している。
(二) 原告は、右玩具に関し、実用新案登録第五八〇二二六号の実用新案権(以下本件実用新案という)を有している。
原告が本件実用新案を得た経緯は次のとおりである。
原告の代表者は、パリ同盟条約に従い、一九五八年一月二八日、同年三月三日、
同月二五日、いずれもデンマーク国で出願された特許出願の優先権を主張し、わが国で昭和三四年一月二一日特許の出願をしたが、昭和三六年一一月二一日拒絶査定を受けた。しかし、原告代表者は、これより前である同年六月二〇日、右特許出願を、旧実用新案法5条の規定による出願に変更し、実願昭三六年第三三〇六四号ないし第三三〇六六号の三つの実用新案登録出願にした。この三つのうちの一つである本件実用新案(実願第三三〇六四号)は、一度拒絶され、訂正のうえ、昭和三七年七月二六日に公告され、同年一二月二二日登録された。
そして、原告代表者は原告にこれを独占的に実施させていたが、昭和四三年六月一〇日付で原告に譲渡し、同年七月一七日その移転登録をすませた。
(三) 本件実用新案の登録請求範囲は、別紙第四の実用新案公報の「登録請求の範囲」の項記載のとおりである。
(四) 被告会社は、昭和四三年六月一日から別紙第一ないし第三目録記載の製品を「N&B任天堂ブロツク」の商標で製造販売している。
訴外【A】、同【B】は、別紙第一目録と同一構造のブロツクを実施例として示し、「ブロツク組立玩具」という名称で実用新案登録出願をした。特許庁は、昭和四四年五月一四日出願公告をすべき決定をし、同年九月一八日出願公告をし(昭和四四年第二二一三七号)、昭和四五年三月三一日登録した(第八九七四九〇号)。
その公報は、別紙第五である(以下被告の実用新案という)。被告会社は、右訴外人らの有する右実用新案の実施権について専用実施権登録を受くべき約旨のもとに、右訴外人らの許諾を得て、別紙第一ないし第三目録の製品を製造販売している。
(五) 本件実用新案の出願前、組立ブロツク玩具には、次の三つの公知技術があつた。
(1) 主突起が、「平行な二列をなし横断方向に対をなして配列され、かつ、長手方向と横断方向とに等距離に離隔されている。さらにまた上記突起の各々の一対の端から端までの長さは上記ブロツクの空所の幅とほとんど相等しくかつ上記突起の各列の全体の寸法は上記空所の長さにほぼ相等しくされている」もの(別紙第四の公報の一頁左欄下から三行目ないし右欄四行目)。
(2) 「外向き突起と同軸をなす内向き突起が設けられ、かつ、この配列においては、上記の外向き突起には、他のブロツクの上記内向き突起の端部を嵌込むための凹部が設けられている」(同公報一頁右欄一〇行目から一四行目まで)(3) ブロツクの表面には、「対角線上にして且中心より等距離の四点に円柱状突起」(主突起)が設けられ、「其の位置の裏面には前記突起を丁度嵌入する寸法の内径をもつた管状突起」(副突起)を有するもの(実用新案公報昭和二八年一六三七号)(争点)二、原告代理人の主張(本件請求の原因事実)(一) 本件実用新案の構成要件 本件実用新案の登録請求範囲に従つて、本件実用新案の構成要件を考えると次のとおりである。
(い) 底壁と四個の側壁とを有し、一面で開口する側壁平行の中空体から成ること(ろ) 底壁から垂直外方に突出して二列に並んだ主突起をその二組の隣接突起対の各々が正方形を郭成するように設けること(は) ブロツクの凹部内に少くとも一個の副突起Sを有すること(に) この少くとも一個の副突起Sは、一個の上記正方形の中心線と同軸に配置されていること(ほ) これら一個又は数個の副突起を上起底壁に垂直に幾何学的に組み込む時に、副突起の周面が四個の正方形を郭成する主突起の周面と接触するように構成されていること この構成要件の解釈について次の点が留意されなければならない。
(1) 副突起は、完全な円筒形状すなわち管状の構造のものに限られるわけではなく、これと類似の構造のものに及ぶこと、類似の構造とは、副突起が円筒形状とはきわめてかけ離れも十字形状のものまで含まれる。
(2) 副突起は、必ずしも、円周辺をもつものに限らない。副突起の周面が四個の正方形を郭成する主突起の周面と接触するように構成されればよい。
(二) 本件実用新案の作用効果 主突起と副突起の相対的な位置と寸法の設定により、一ブロツクの少くとも一個の主突起の側面が隣接するブロツクの少くとも一個の副突起の側面に当てて締着されるようになつており、その結果、従来既知の構造では到底不可能であつた広範囲のブロツク同志の組合せが可能となつた。
(三) 被告の実用新案の構成要件と本件実用新案の構成要件との比較被告の実用新案は、別紙第五の公報の「実用新案登録請求の範囲」の項によると次のとおりである。
(イ) 天床と四個の側壁で形成された中空体であること(ロ) 天床と外面に円突起1を等間隔で二列に突設すること(ハ) 内室5の天床6の内面に嵌合壁7を有していること(ニ) 嵌合壁は、半円壁Gと両側の開口壁Q、Qを互い違いに位置せしめ直線L、Lで一連に連結し一体的になつていること(ホ) 嵌合壁7は、各円突起1に各一点のみで接触するように突設されていること 被告の実用新案の構成要件を、本件実用新案の構成要件と対比すると、次のとおりで、被告の実用新案は、本件実用新案の構成要件をことごとく具備している。
(1) (い)と(イ)((い)とは二(一)(い)のことであり(イ)とは二(三)(イ)のことである。以下同じ)と比較すると、この要件は同一である。
(2) (ろ)と、(ロ)とを比較すると、この要件も同一である。
(3) (は)と(ハ)とを比較すると、この要件も同一である。
(4) (に)と(ニ)とを比較すると(二)の一体的になつた嵌合壁Gは、
(に)の副突起Sに相当する。Gの軸は中央の半円壁が真円である場合の真円の中心を通り天床6に垂直な線であつて、この軸は中央の二組の円突起の相接対によつて郭成される正方形の中心線と同軸である。そうすると、(ニ)は(に)の要件を具備していることになる。
(5) (ほ)と(ホ)とを比較すると、嵌合壁7を天床6((ほ)の底壁a)に幾何学的に垂直に組むと7は各円突起1((ほ)の主突起P)に各一点で接触するから、7の周面は正方形を郭成する四個の円突起1の周面と接触する。そうすると、(ホ)は(ほ)の要件を具備していることになる。
(四) 本件実用新案の作用効果と被告の実用新案の作用効果との比較 本件実用新案の作用効果は前述したとおりであるが、被告の実用新案の作用効果は、一ブロツクの少くとも一個の円突起1の側面が隣接するブロツクの少くとも一個の半円壁Gまたは開口壁Qの側面に当てて締着されるようになつており、広範囲のブロツク同志の組合せが可能となつている点で、全く同一である。
(五) 均等の主張 仮に、(は)の要件の副突起Sが円筒形であることを必要とするとしても、被告の実用新案の副突起7は、Sと均等である。
すなわち、被告の実用新案の副突起7は、次の二種の単位から成つている。
<11706-001> 半円形部分をその左右にある1/4円形部分とそれぞれ平担 3/4円形部分と1/4円形部分とを平担部分で接いだ部分からなる単位部分で接いだ部分からなる単位 しかして、右3/4円形部分、半円形部分、1/4円形部分は、それぞれ完全な円形であつた場合には、その円の中心が二組の主突起対が郭成する正方形の中心線と同軸に位置し、かつその周面が、四個の主突起の周面にいずれも接触すべき寸法に形成されている。
(1)の単位は、円形から半円形を切り欠いているが、この切り欠いた半円形部分を左右にそれぞれ1/4円形部分に分割すると、この二つの1/4円形部分は、
主突起に接触するよう形成されている。
(2)の単位は、円形から、1/4円形を切り欠いているが、この切り欠いた1/4円形部分も、主突起に接触するよう形成されている。
このように、(1)(2)の単位は、副突起が円形である場合に比して形状は異なるが、四個の主突起にそれぞれ接触する。そうして、本件実用新案では、副突起が主突起に接触する場所の限定はない。
このようなわけで、(1)(2)の単位は、円形の副突起に相当し、円形副突起と置換可能であり、(1)(2)の単位は、本件実用新案の円形副突起と均等である。
(六) 被告の実用新案が本件実用新案の利用であるとする主張 被告の実用新案は、登録無効の審決があるまで有効であるが、しかし、被告の実用新案は、本件実用新案の利用であるから、別紙第一目録の製品を生産又は譲渡するには、実用新案法17条により原告の許諾を得るか、同法22条により特許庁長官の裁定を得なければならない。
すでに述べたとおり、被告の実用新案は、本件実用新案の構成要件を全部具備し、その作用効果も全く等しい。この点からして、被告の実用新案の実施は、本件実用新案の利用であるとするほかはない。
ただし、第二第三目録の製品は、被告の実用新案の実施ではない。なぜなら、これら製品は、被告の実用新案の構成要件を具備していないからである。すなわち、
第二目録の製品は、両端に開口円壁がありその間に九個の半円壁が配列されており、第三目録の製品は、両端に開口円壁があり、その間に一七個の半円壁が配列されているにすぎない。
(七) 以上の次第で、被告会社の第一目録の製品の生産又は譲渡は、原告の本件実用新案の利用実施であり、被告会社の第二第三目録の製品の生産又は譲渡は、原告の本件実用新案の実施である。これにより、原告の本件実用新案は侵害されている。そこで、原告は、この侵害の停止又は予防のため被告会社に対し、請求の趣旨記載の請求をする。
三、被告会社代理人の主張(本件請求の原因事実に対する答弁)(一) 本件実用新案の技術的範囲は、次のとおりである。なお、原告の主張する(い)ないし(は)の構成要件は公知の技術であるから除外する。
(1) 副突起Sは、管状副突起に限られる。
(2) 副突起Sは、二組の隣接主突起対の郭成する正方形の中心線と同軸に配列される。
<11706-002> 仮に右副突起が円管状に限られないとしても、円筒形の型と同様に、正方形を郭成する四個の主突起の内側の周面に対称的に生じる圧力(集中圧力・包圧)による保持形式の構造のものであることが必要である。
(二) 本件実用新案の作用効果本件実用新案の作用効果は、原告が主張するようなものではない。
(三) 被告の実用新案の構成要件 被告の実用新案の構成要件が、原告主張の(イ)ないし(ホ)の構成要件であることは、そのとおりであるが、(イ)ないし(ハ)の各要件は、公知技術である。
ところで、被告の実用新案の副突起は、別紙第五の第二図にあるとおり、半円形Gと両側の開口円壁Q、Qを相互に互い違いに位置せしめ、かつ、これらの各々を直線壁L、Lで連結して一体的構造としたものが一単位になつている。従つて、この形状は、本件実用新案の副突起が一個の円筒形を一単位としているのと明らかに異なる。
しかも、被告の実用新案の副突起は、軸がないし、非対称圧力(挟窄圧力)によつて主突起と結合するのである。この副突起には、最早円形の性能を有しない。
これら、本件実用新案の主突起と副突起の結合と、被告の実用新案の主突起と副突起の結合には、接点の数、その数式結合の形式などに顕著な差異がある。それらを比較したものが別紙第七である。
別紙第七によつて、本件実用新案と被告の実用新案とは全く別のものであることが明らかである。
(四) 均等の主張について 均等とは、技術手段の置換が、出願時の当事者にとつて容易であり、置換してみても、その作用効果は両者全く同じである場合をいうが、被告の実用新案が登録されたことは、原告の本件実用新案と均等でないことを、特許庁が容認したことを意味している。
特に原告が主張するように前記(1)(2)の単位に被告の実用新案の副突起を分割することは、わざわざ副突起を分割しながら、他面では同一接触点を重視して算入するという矛盾を犯していることになるばかりか、原告の主張する四箇所の接触点は、対称の位置にはないから、四箇所の接触点の郭成する形状は軸を保有せず、四箇の主突起が郭成する正方形の中心垂直線と同軸となり得ない。
(五) 本件実用新案の利用実施であるとすることについて 利用というには、被告の実用新案を実施するには、本件実用新案を利用することが必要である場合をいうが、原告の本件実用新案と、被告の実用新案とは、その構成と作用効果を全く異にしているから、被告の実用新案の実施は、本件実用新案の利用には当らない。
また原告は、第二第三目録の製品は、被告の実用新案の実施ではないと主張しているが、第一目録の製品を殊更第二第三目録の製品と区別する理由は全くない。第二第三目録の製品も、被告の実用新案の構成要件と同じであり、被告の実用新案の実施である。
第三、証拠関係(省略) 理 由一、本件実用新案と被告の実用新案との対比(一) 当事者間に争いがない本件実用新案出願前の組立ブロツク玩具に関する公知技術は、三つあり、それは別紙第八の345である。
ところで、本件実用新案と被告の実用新案とは、主突起については、全く同じ形状と配列であり、一面で開口した短形の箱の底面の外側に突設していることは、検甲第一、第四号証(原告と被告会社の製品であることは当事者間に争いがない)とを比較すれば一目瞭然である。
従つて、問題は、右公知技術を踏まえたうえで、主突起間の空間を利用するため副突起をどのような形状にし、どの位置に配置するかにある。
(二) 本件実用新案の技術範囲中副突起について 本件実用新案の公報には「登録請求の範囲」として、副突起について、「ブロツクの凹窩内に一個の上記正方形の中心線と同軸に配列された少くとも一個の突起S(副突起のことである)を含み、上記ブロツクの凹窩内の上記突起Sの周面を上記底壁aに垂直に幾何学的に組込む時に、上記周面が、正方形を郭成する四個の上記外方突起Pの周面と接触するように構成される」とある。この記載は、四個の主突起によつて郭成される正方形、この正方形の中心線と同軸に配列された一個の副突起、この副突起の周面と正方形を郭成する四個の主突起の周面とが接触すること、
以上の三要素が、主突起と副突起の結合の基本になつていると解するのが相当である。
そのわけは次の(1)(2)のとおりである。
(1) 当事者間に争いがない本件実用新案を原告代表者が得た経緯や原本の存在と成立に争いがない乙第一号証の一ないし六、同第二ないし第四号証、同第七号証を総合すると、原告代表者は、本件実用新案の登録を得るためその請求の範囲を、
別紙第六記載のとおり順次変更したが、原告代表者は、デンマーク国における特許出願から、本件実用新案の登録まで、隣接する二対の四個の主突起が正方形を作り、その中心線に一個の副突起を同軸になるように配置し、副突起がこの四個の主突起に接触して締めつけられて主突起と結合するように形成されることを結合員子の一単位とし、この一結合員子(一単位)が相互に連続するよう配列することを基本にするとの考案に変更を加えていないことが認められ、この認定に反する証拠はない。
このことから、原告代表者の考案した本件実用新案によるブロツクの結合は、四個の円形主突起と、これに締着して接触する同軸の一個の副突起によつて構成された結合員子の相互連続の配置であつたとすることができる。
(2) 本件実用新案の右公報の「実用新案の説明」には「従来のもののごとく主突起と副突起とを単に並置したのみでは広範囲の組合せにて隣接ブロツク同志を相互に結合することは不可能である。広範囲の組合せ結合をなすためには、主突起と副突起との相対寸法ならびに位置は特殊な関係で相関係されねばならない。……組立てられる一対のブロツクAおよびBにおいて、一ブロツクAの少くとも一個の主突起の側面は隣接せるブロツクBの少くとも一個の副突起Sの側面に当てて締着されるようになつている」との記載がある。これは、本件実用新案の目的を明らかにし、本件実用新案の要旨が、主突起の位置と寸法に対し特殊な関係で副突起の位置と寸法とを規定した点にあることも明らかにしている。
そして、この記載に続けて、この主突起と副突起の特殊な位置と寸法を表はす数式として、
<11706-012>という数式を記載している。
これは、四個の主突起で郭成される正方形における主突起相互の位置関係と一個の副突起の位置関係と寸法を示したもので、ここでも四個の主突起と一個の副突起とが結合員子にされている。
(3) なお、ここで、副突起の形状についてふれておくと、右公報には、「正確に円筒形状のものである必要はない」としている。しかし、同公報の実施例は、すべて円筒形であつてその他の形状のものについて具体的開示がないのであるから、
この副突起は、実質的に円筒形状であるとしなければならない。成立に争いのない乙第一四号証によると、特許庁は、右公報を解釈して同一の結論を導き出していることが、認められる。
従つて、この特許庁の見解は、原告の本件実用新案の副突起が実質上円筒形状であるとする解釈の正当性の裏付けになる。
(4) この一個の副突起と四個の主突起との結合の形式は、締着であるから、いわゆる集中圧力すなわち包圧でなければならないことは当然である。
(三) 被告の実用新案の技術範囲中副突起について 被告の実用新案の公報には実用新案登録請求の範囲として、「半円壁Gと両側の開口円壁Q、Qを互い違いに位置せしめ直線壁L、Lで一連に連結した一体的の嵌合壁7を各円突起1に各一点のみで接触するよう突設した」を記載されている。
この記載は、被告の実用新案の副突起の形状は、公報(別紙五)の第二図7の形状のもので、それが主突起に一点のみで接触するためには、主突起は、八個を必要とする。すなわち、被告の実用新案の結合員子は、八個の主突起と、一個の副突起7から構成されなければならないと解するのが相当である。これが被告の実用新案の副突起の一単位である。
この副突起7は、単に三個の円形をそれぞれ切り欠いたものと理解してはならず、副突起一個は、Q、L、G、L、Qの連結した一体のものであり、しかも、
Q、G、Qの開口部が互い違いに位置することが必要なのである。従つて、ここには、四個の主突起で郭成される正方形や、その正方形の中心線が、副突起と同軸となるという観念をいれる余地はない。そうして、この副突起と主突起との結合は、
包圧ではなく、非対称圧力(挟窄圧力)である(このことは成立に争いのない乙第一五号証によつて認める)ことに留意しなければならない。そして、このことが、
この副突起が円形の性能を具備しない理由にもなる。
ここで、QとGとの配列についてふれると、前掲検甲第一号証、被告会社の製品であることについて当事者間に争いがない同第二、三号証によると、主突起が各一点で副突起に接触するには、両端部にQを配置し、両端のQ、Gの中間に、単数又は複数のGを配置すること、このQとGとは各開口部の向きが互い違いになつていることが必要であることが認められる。そして、被告の実用新案の公報(別紙第五)には、Gの数を限定した記載はない。
(四) 原告の本件実用新案と被告の実用新案との対比 上記(二)(三)を対比し、更に成立に争いのない乙第一五号証によると、別紙第七記載のとおり、両実用新案は、その構成要件と作用効果を異にしている。
そして、このことは、次のことによつても裏付けられる。
被告の実用新案の公報には、引用文献として、英国特許第八六六五五七号が挙げられている。これは、成立に争いがない乙第一〇号証によると、本件実用新案と全く同一である。ということは、被告の実用新案が、本件実用新案と全く同一である右英国の特許の技術範囲に属さないものとして、特許庁は、被告の実用新案に対し公告決定と登録をしたことになる。
成立に争いのない乙第一四号証によると、特許庁は、別紙第八の8記載の組立ブロツク玩具の実用新案(登録第三八〇二二六号)が、本件実用新案の技術範囲に属さないとの判定をしているが、その結論を導く前提として本件実用新案は、その副突起が正方形ごとに一個づつ配列され、実質的に円筒形状であることを必要としている。
この前提を、被告の実用新案と本件実用新案とを対比するときにも活用すると、
被告の実用新案の副突起は、実質的に円筒形状ではないから本件実用新案の副突起とは全くその構成を異にしていることになる。
(五) 本件実用新案と被告の実用新案と対比したとき、その副突起は、その形状を異にし、従つて主突起との結合の位置と接点を異にし、このため作用効果も異なり、結局、被告の実用新案は、本件実用新案とは別個の新規性のある考案であることに帰着する。これと見解を異にする成立に争いのない甲第五、六号証(いずれも鑑定書)は採用できない。
二、原告の均等の主張について 実用新案の均等とは、実用新案の考案の技術的思想からみて、物品の形状構造または組合せが、実用新案の技術的要素と機能を同じくし(機能の同一性)、これと取り換えてみても同一の作用効果を生じ(置換可能性)、かつ、そのことが実用新案出願当時における通常の技術家にとつて容易に推考できる(予測可能性)物品の形状構造または組合せをいうと解するのが相当である。
ところで被告の実用新案の副突起は、本件実用新案の副突起と比較し、機能の同一性、置換可能性、予測可能性のいずれも具備していないことは、前記一、によつて明らかである。
原告は、被告の実用新案の副突起を(1)(2)の単位に分解して主張しているが、同副突起を(1)(2)の単位に分解する至当性はどこにもない。
従つて、原告のこの主張は採用しない。
三、原告の本件実用新案の利用の主張について 被告の実用新案を実施して第一目録の製品を製造するには、原告の本件実用新案を利用しなければ実施できないとしているが、前記一、のとおり、被告の実用新案は、本件実用新案とは、全く異なり、新規性のある考案であるから、被告の実用新案の実施は、
本件実用新案を利用するものではない。
従つて原告のこの主張は採用しない。
四、被告会社の別紙第二、第三目録の製品について 別紙第二、第三目録の製品の副突起の両端Qが、被告の実用新案Qと同形状であることには問題がない。
原告の主張は、第二、第三目録の製品は、QGGG…Qであつて、被告の実用新案であるQGQとは異なるから、第二、第三目録の製品は、被告の実用新案の実施にならないということである。
しかし、前に説示したとおり、副突起が主突起と各一点でのみ接触するためには、QGG……Q(各開口部は、互い違い)しかなく、QGQQ′GQ′Q′′GQ′′の結合では、QQ′Q′Q′′をLで結合して短型の凹窩部に突設し得ないばかりか、主突起と各一点でのみ接触することにならない。そして両端のQは、他のブロツクの主突起の一個を側壁との間に圧接し結合させる場合を主眼として設けられたもので、主突起と副突起との圧接による結合そのものを眼目として構成されたものでないことは、前掲検甲第二、三号証によつて認められる。
なお、このことは、被告の実用新案の副突起の一単位がQLGLQであることと矛盾するものではない。
従つて、被告の実用新案の請求範囲である「半円壁Gと両側の開口円壁Q、Qを互い違いに位置せしめ」とは「両端にQ、Qを配置し、その中間に単数もしくは複数のGを配置し、このQ、Gの開口部が互い違いになるよう位置せしめ」ることを意味するとしなければならない。
そうすると、被告会社の第二、第三目録の製品の製造は、被告の実用新案の実施にほかならない。
従つて、原告のこの主張は採用できない。
五、むすび 以上の次第で、被告の実用新案は、本件実用新案の技術範囲に含まれないばかりか、被告の実用新案の実施は、本件実用新案の利用にも当らない。そのうえ、被告の実用新案の副突起は、本件実用新案の副突起と均等ではない。
そうすると、原告の本件請求は失当であるから棄却し、民訴法89条に従い主文のとおり判決する。
追加
(別紙第一)第一目録図面はトイビルデイングブロツクを示すもので、第一図は二個のブロツクを重ね合せた状態で示す第二図のT―T線縦断面図、第二図は第一図のU―U線に沿つて取つた水平断面図、第三図は第一図とは異つた重ね合わせ方法を示す斜視図である。
第一図および第三図において、上方のブロツクA1で、また下方のブロツクはB1で、夫々示してあり、各ブロツクは長方形の平面形状を有し且つ一面即ち第一図および第三図において上面e1が開口した直方体状の中空ブロツクで夫々底部a1およびこの底部a1に対し直角に延びる四個の側壁b1、b1およびc1、c1を有する。
各ブロツクの底部a1の外側の面即ち開口した面e1と反対側の面には、主突起P1が各列四個づつ二列に合計八個形成されている。
各主突起P1は、比較的高さの低い円筒形状であつて、長手方向に平行な二列をなし、かつ長手方向と横断方向とに等距離に離隔されている。
更に、各ブロツクには、底部a1の内側の面即ちブロツクの空所内に一個の副突起S1が形成されている。
この副突起S1は、第二図に明瞭に示すように、長方形平面状の長さ方向中央部に配置された半円形断面部分x1とその両側に配置された四半分の切欠かれた円形断面部分即ち3/4円形断面部分y1と、これら各部分を一体に接続する平担な断面部分z1からなる。
副突起S1の半円形断面部分x1、3/4円形断面部分y1、平担断面部分z1と主突起、側壁の内面との関係位置並びにそれらの形状は別図第一図乃至第三図のとおりである。
第1目録<11706-003>(別紙第二)第二目録図面はトイビルデイングブロツクを示すもので、第一図は二個のブロツクを重ね合せた状態で示す第二図のT―T線縦断面図、第二図は第一図のU―U線に沿つて取つた水平断面図、第三図は第一図とは異つた重ね合わせ方法を示す斜視図である。
第一図および第三図において、上方のブロツクはA2で、また下方のブロツクはB2で、夫々示してあり、各ブロツクは長方形の平面形状を有し且つ一面即ち第一図および第三図において上面e2が開口した直方体状の中空ブロツクで夫々底部a2およびこの底部a2に対し直角に延びる四個の側壁b2、b2およびc2、c2を有する。
各ブロツクの底部a2の外側の面即ち開口した面e2と反対側の面には、主突起P2が各列十二個づつ二列に合計二四個形成されている。
各主突起P2は、比較的高さの低い円筒形状であつて、長手方向に平行な二列をなし、かつ長手方向と横断方向とに等距離に離隔されている。
更に、各ブロツクには、底部a2の内側の面即ちブロツクの空所内に一個の副突起S2が形成されている。
この副突起S2は、第二図に明瞭に示すように、長方形平面形状の長さ方向中央部に配置された半円形断面部分x2とその両側に配置された四半分の切欠かれた円形断面部分即ち3/4円形断面部分y2と、これら各部分を一体に接続する平担な断面部分z2からなる。
副突起S2の半円形断面部分x2、3/4円形断面部分y2、平担断面部分z2と主突起、側壁の内面との関係位置並びにそれらの形状は別図第一図乃至第三図のとおりである。
第2目録<1706-004>(別紙第三)第三目録図面はトイビルデイングブロツクを示すもので、第一図は二個のブロツクを重ね合せた状態で示す第二図のT―T線縦断面図、第二図は第一図のU―U線に沿つて取つた水平断面図、第三図は第一図とは異つた重ね合わせ方法を示す斜視図である。
第一図および第三図において、上方のブロツクはA3で、また下方のブロツクはB3で、夫々示してあり、各ブロツクは長方形の平面形状を有し且つ一面即ち第一図および第三図において上面e3が開口した直方体状の中空ブロツクで夫々底部a3およびこの底部a3に対し直角に延びる四個の側壁b3、b3およびc3、c3を有する。
各ブロツクの底部a3の外側の面即ち開口した面eと反対側の面には、主突起P3が各列二十個づつ二列に合計四十個形成されている。
各主突起P3は、比較的高さの低い円筒形状であつて、長手方向に平行な二列をなし、かつ長手方向と横断方向とに等距離に離隔されている。
更に、各ブロツクには、底部a3の内側の面即ちブロツクの空所内に一個の副突起S3が形成されている。
この副突起S3は、第二図に明瞭に示すように、長方形平面形状の長さ方向中央に配置された半円形断面部分x3とその両側に配置された四半分の切欠かれた円形断面部分即ち3/4円形断面部分1/3と、これら各部分を一体に接続する平担な断面部分z3からなる。
副突起S3の半円形断面部分x3、3/4円形断面部分y3、平担断面部分z3と主突起、側壁の内面との関係位置並びにそれらの形状は別図第一図乃第三図のとおりである。
第3目録〈11706-005〉(別紙第四)実用新案公報昭三七ー一八八四七(公告昭37・7・26)トイビルデイングブロツク図面の略解第一図は本考案によるトイビルデイングブロツクを示し、その2個が組立てられた状態にある第2図のT―T線による垂直断面図、第二図は第一図のU―U線による横断面図、第三図は第一と第二の突起の相対位置を明瞭に示すように側壁と端壁とを取除いた第一図のブロツクの斜視図、第四図は相対的に横にずらされて組立てられた状態にある二個の本ブロツクの斜視図、第五図は長手方向にずらされて組立てられた二個の本ブロツク斜視図、第六図は四個の第一の突起を備えた短形状基板から成りかつその中央部に配置された第二の突起を示すため一隅部を取除かれた本ブロツクの斜視図、第七図は第一と第二の突起の相対位置を明瞭に示すため側壁と端壁とを取除いて示された組立てられた二個の本ブロツクの平面図である。
実用新案の説明本考案は多数のトイビルデイング要素から成るトイビルデイングセットに組入れられるブロツクに関するもので、一面において開口しかつ複数の面から突出した突起により結合されるようにされかつ二個の上記ブロツクが組立てられる場合に隣接するブロツクの突出部分に係合するように配列された中空体より成るトイビルデイングブロツクに関するものである。
考案のトイビルデイングブロツクは所要の相対位置に互いに結合して広範囲のブロツク組合せを提供しかくして多数の異つた種類と形状を有するトイ構造体を構成し得るものである。
一面において開口しかつこの開口面の反対側の面に対称的に配置して突起を設けられた中空体から成るトイビルデイングブロツクは広く知られている。この周知のブロツクにおいては、上記突起(以後主突起と呼ばれる)は平行な二列をなし、横断方向に対をなして配列されかつ長手方向と横断方向とに等距離に離隔されている。さらにまた上記突起の各々の一対の端から端までの長さは上記ブロツクの空所の幅とほとんど相等しくかつ上記突起の各列の全体の寸法は上記空所の長さにほぼ相等しくされている。
上記空所の広がりに対する上記主突起の上記配列により、二個の同一のブロツクは互違いのあるいは喰違いの状態で相互に結合されるのである。
さらにまた、開口面の反対側の外方に延びた突起を同様に設けられた他の型式の従来の中空ビルデイングブロツクにおいては、上記外向き突起と同軸をなす内向き突起が設けられ、かつこの配列においては、上記の外向き突起には他のブロツクの上記内向き突起の端部を嵌込むための凹部が設けられている。
またブロツクの空所内に内向き突起を設けられた中空ビルデイングブロツクもまた広く知られている。この突起は以後副突起と呼ばれる。
考案による上記型式のブロツクは前記従来のものが有する両方の特色をあわせ有している。従来のもののごとく主突起と副突起とを単に並置したのみでは、広範囲の組合せにて隣接せるブロツク同志を相互に結合することは不可能である。広範囲の組合せ結合をなすためには、主突起と副突起との相対寸法ならびに位置は特殊な関係で相関係されねばならない。従つて、本考案においては主突起Pの位置と寸法とに対する副突起の位置と寸法とは次のようにされている。即ち、組立てられる一対のブロツクAおよびBにおいて、一ブロツクAの少くとも一個の主突起Pの側面は隣接せるブロツクBの少くとも一個の副突起sの側面に当てて締着されるようになつている。
原則的には、上記突起は必ずしも正確に円筒形状のものである必要はない。主と副との両突起が実質的に円筒形状のものであれば、上記副突起sの直径Dsを主突起Pの直径DPと、上記中空ブロツクの空所の幅Wとで表わすことが出来る。
考案においてはこの関係は次の式で与えられる。
<11706-012>本考案のブロツクを図面に就て以下詳細に説明する。
図面において、第一図、四図、五図および七図では全体を符号AおよびBで示された中空ブロツクの底部が符号aで示され、また側壁および端壁がそれぞれ符号bおよびcで示されている。このブロツクの底部aの外側の面即ち開口面eと反対側の面は主突起Pを設けられ、また副突起Sは上記ブロツクの空所内に配列されている。
主突起Pと副突起Sとの両方とも円筒形状のものである。また副突起Sは管状をなしかつ上記円筒形空所tの内径は主突起Pの直径に実質上等しい。この配列により、二つのブロツクAおよびBは第七図に示されているように一方のブロツクの主突起の端部を隣接させるブロツクの副突起の凹部t内に挿入することにより相互に連結される。この組立て方法はそれ自体知られたものであるが、主突起と副突起とを上記のごとく配列することから成る本発明の主たる特徴と組合わされた場合にさらに他の利点を提供する。
各々の副突起Sは二組の一対の隣接せる突起pの四本の軸線で形成される短形の中心と同軸に配置されている。さらにまた、上記突起の相対的寸法は、中空ブロツクの底面の平面内の各副突起の横断面が上記平面内の上記主突起pの四個の横断面に接触するようにされている。
考案のトイビルデイングブロツクは各種各様のトイ構造体を構成するため多数の相対位置にて相互結合されかつ組合わされる。だが、上記ブロツクは各種の壁構造体に特に適している。
考案によるトイビルデイングブロツクの側壁および端壁bおよびcは多くの場合に二個の隣接せるブロツクの相互結合の際主突起および副突起と協同するが、
理論的には第三図に示されているように上記側壁と端壁とを除くことが可能である事実底板aと主突起および副突起を備えているが側壁も端壁も有しない第三図に示されたような二つの要素を各種の位置、例えば第一図および五図に示されたような位置に相互結合することが可能である。
登録請求の範囲図面に示すごとく、底壁aと、四個の側壁b、cとを有し一面で開口する側壁平行の中空体より成り、上記底壁aから垂直外方に突出して二列に並んだ突起pをその二組の隣接突起対の各々が正方形を郭成するように設けたトイビルデイングブロツクにして、上記ブロツクの凹窩内に一個の上記正方形の中心線と同軸に配列された少くとも一個の突起sを含み、上記ブロツクの凹窩内の上記突起sの周面を上記底壁aに垂直に幾何学的に組込む時に、上記周面が正方形を郭成する四個の上記外方突起pの周面と接触するように構成されたトイビルデイングブロツクの構造
〈11706-006〉(別紙第五)実用新案公報昭四四―二二一三七(公告昭44・9・18)ブロツク組立玩具実願昭四二―一〇五四五〇出願昭四二(一九六七)一二月一六日考案者出願人に同じ出願人【A】羽曳野市<以下略>同【B】同所代理人弁理士【C】図面の簡単な説明第一図は本案のブロツク体の平面図、第二図は同上の底面図、第三図は第一図のA―A線の断面図である。
考案の詳細な説明本案はブロツク体同志の嵌合離脱が円滑に行われ、極めて経済的に提供出来、製品に廃品を生ぜず、且つ耐久性あるブロツク組立玩具に係るものである。
本案は天床六の外面に円突起一を等間隔に二列に突設し、天床六と側壁三、三、
四、四にて形成された中空体の合成樹脂製の短形ブロツク体二に於いて、内壁五の天床六の内面に、半円壁Gと両側の開口円壁Q、Qを互い違いに位置せしめ直線壁L、Lで一連に連結した一体的の嵌合壁七を、各円突起一に各一点のみ接触するように突設したものである。
本案はブロツク体二の天床六の外面に配設された円突起1の群に接触嵌合すべき内室五内の嵌合壁七を、半円環Gと両側の開口円壁Q、Qを相互に互い違いに位置せしめ且つ之等の各々を直線壁L、Lで連結して一体的の構造とした為め、前記のブロツク体二の天床六の外面に二列に配設された各円突起1群の相対する各列に対して、嵌合壁七は挟持状態で接触して保持されることとなる。而して嵌合壁七は前記の通りの構造なるため、全体としては弾力性が多く、然かも直線壁L、Lが半円壁G、開口円壁Q、Qの円突起一への結合力の過少を補強するので、嵌合壁七には円突起一との嵌合に適度の弾力性と結合力が附与せられる従つて本案のブロツク体二は円突起一群との嵌合離脱は円滑に行われた優れた効果を奏し、ブロツク体二同志の組立て、取外しに際し窮屈で不快な感を与えることなく、極めて気持よく行うことが出来る。
又公知のブロツク体内に円筒形突起を突設しブロツク表面の四周の円突起と接触せしめる包圧方式のブロツクは、前記の円筒形突起自体が閉環で構造的に弾力性が少ないに対し、本案の如く嵌合壁七自体が上記の如く構造的に適度の弾力性と結合力を有することは、嵌合壁七の優秀性を示すものである。又他の公知ブロツクの如く、ブロツク体の上面の円突起が相対して二列に八個配設され体内の円筒形突起が三個設けられたものであつては、円突起群と円筒形突起との接点は一二個所となるも、本案の嵌合壁七の場合は上面の八個の円突起一との接点は八個所にて足りる。
而して上記の接点が減少すれば成型金型としては精密工作を要する個所がそれだけ減少し、より低精度の成型用金型の使用が可能となり、より安価に成型用金型を製作し得られる。更に本案は嵌合壁七の適度の弾力性による寸法誤差の影響の少ないことと、接点減少による低精度の成型金型で事足る為めにブロツク体の成型に使用する合成樹脂原料も弾力性の少ない収縮性の多少多い樹脂でも使用出来るので、樹脂の種類の選択範囲も広く、適当な安価に樹脂でブロツク体を製作し得られ、前記公知のブロツクの如く弾力性多く、且つ収縮率の少ない高価な樹脂を選定することが不要なので、本案は原料面に於いても経済的である。
上記の安価な成型金型と安価な樹脂原料の使用が可能なので、本案は著しく経済的にブロツクを製造でき、極めて安価にブロツクを提供し得られる。然かも嵌合壁七が適度の弾力性と結合力を具備する結果、少許の寸法誤差も製品に影響を与えることが殆んどないので、嵌合壁七は確実に挟持される。従つて同一形のブロツク体二を多数同時に成型するも少許の誤差が許容されるので、本案はブロツク製造に廃品を生ずることなく、大量生産に好適である。尚嵌合壁七は曲線状に一体的に形成され、且つ適度の弾性を有し、丈夫であるから、本案は耐久性あるブロツク体二を製造することが出来る。
実用新案登録請求の範囲天床六の外面に円突起一を等間隔で二列に突設し、天床六と側壁三、三、四、四にて形成された中空体の合成樹脂製の矩形ブロツク体二に於いて内室五の天床六の内面に、半円壁Gと両側の開口円壁Q、Qを互い違いに位置せしめ直線壁L、Lで一連に連結した一体的の嵌合壁七を、各円突起一に各一点のみで接触するように突設したブロツク組立玩具。
引用文献英国特許八六六五五七〔クラス一三二(三)〕<11706-007>(別紙第六)請求範囲対比表<11706-008><11706-009>(別紙第七)(別表第U)<11706-010>両者の構成要件並びに作用効果北較表(別紙第八)(別表第T)副突起の形状例<11706-011>
裁判官 前田治一郎
裁判官 古嵜慶長
裁判官 岩本信行
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