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関連審決 審判1959-29
関連ワード 技術的範囲 /  均等 /  消滅時効 /  考案 /  図面 /  構造 /  同一の作用効果 /  特定 /  明細書 /  請求の範囲 / 
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事件 昭和 51年 (ワ) 10475号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1980/10/31
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 原告1 被告らは原告に対し、各自金一、〇〇〇万円及びこれに対する昭和三六年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決及び仮執行の宣言。
二 被告ら 主文同旨の判決。
当事者の主張
一 請求の原因1 原告は、次の実用新案権(以下、「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という。)を昭和四〇年九月二五日まで有していた(登録料不納により昭和四〇年九月二六日消滅)。
考案の名称 紫外線殺菌器出願日 昭和二九年八月五日出願番号 実願昭二九―二六七一〇出願公告日 昭和三一年五月二二日登録日 昭和三一年九月二六日登録番号 第四五〇九九二号2 本件考案の願書に添附した説明書(旧実用新案法施行規則(大正一〇年農商務省令第三四号をいう。)第1条参照。以下、便宜上、「明細書」という。)の登録請求の範囲の欄の記載は、次のとおりである。
図面に示す様に前面に扉1を具へた箱体2内に棚3を数段架設すると共に該棚の各前端と箱体内の奥面4との間に適当の間隔を設けて該部分中央に殺菌ランプ5を縦設し該ランプの背後に反射鏡6を装置し棚とランプ装置室との間に保護金網7を設けてなる紫外線殺菌器の構造。」(別添実用新案公報参照)3 本件考案の構成要件は、次のとおりである。
イ 前面に扉を備えた箱体を設けてあることロ 箱体内に棚を数段架設してあることハ 該棚の各前端と箱体内の奥面との間に適当の間隔を設けてあることニ 奥面部分中央に殺菌ランプを縦設してあることホ 殺菌ランプの背後に反射鏡を装置してあることヘ 棚とランプ装置室との間に保護金網を設けてあることト 紫外線殺菌器であること4 被告ら(ただし、被告【A】を除く。)は、共謀のうえ、昭和三三年六月から昭和三五年一二月末日までの間、別紙目録記載の物件を製造販売した。
しかして、別紙目録記載の物件の製造の態様並びに被告ら(ただし、被告【A】を除く。)が共謀して同物件を製造販売したことの詳細は、次のとおりである。すなわち、
被告有限会社西川製作所は昭和三三年六月ころ、被告株式会社滝川商店の注文により、破損したオゾン消毒器(一〇数台)に大改造を加えるという態様によつて別紙目録記載の物件(以下、「本件物件1」という。)を製造したが、その後右の態様による本件物件1の製造を止めて、改めて別紙目録記載の物件(以下、「本件物件2」という。)の製造を行つたものである。そして大改造を加えて製造された本件物件1(甲第八号証のもの)と、改めて製造された本件物件2(甲第九号証の一、
二、第一〇号証のもの)とは外観において多少相違しているけれども、構造は同一である。
また、被告ら(ただし、被告【A】を除く。)が共謀のうえ、右期間、本件物件1、同2を製造販売したことは、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社が本件物件1を撮影した写真を掲載したカタログ(甲第八号証)を印刷し、被告株式会社滝川商店においてこれを全国に配布し、あるいは被告株式会社東宝が本件物件2を撮影した写真を掲載したカタログ(甲第一〇号証)を印刷配布したこと、更に業界誌「理容文化」(甲第九号証の一、二)の広告欄に被告【B】、同株式会社滝川商店、同株式会社東宝、同株式会社松倉、同日理株式会社、同金章理器株式会社、同株式会社大場商店が本件物件2の発売元である旨の宣伝広告が掲載されていること等から明らかである。
ところで、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社は、本件物件1を撮影した写真を掲載したカタログ(甲第八号証)を印刷作成したことを認めながら、右カタログは各種殺菌器に装置する殺菌ランプの販売推進策の一環として殺菌ランプの納入先のために作成されたものにすぎないから、右カタログの印刷作成の事実を根拠に被告東京ナシヨナル機器販売株式会社が本件物件1を製造販売しあるいはその意図を有していたということはできない旨主張するが、右カタログにおいては、第一頁下部に大きく「ナシヨナル殺菌灯一五W付紫外線消毒器」と横書きされ、その上部右寄に本件物件1を撮影した写真が掲げられ、その右側に「ナシヨナル殺菌灯一五W付(三段切換スイツチ式)現金正価三二、〇〇〇円と横書きされ、第二頁に「ナシヨナル殺菌灯の特長」、第三頁に「ご使用方法」と題してそれぞれ殺菌灯の特長、
使用方法についての説明があること、また、第一頁に掲載されている写真の本件物件1の左側扉には「ナシヨナル」の文字を含む標章の下に「ナシヨナル殺菌灯一五W付」と記載されていることからいつて、右カタログの存在は被告東京ナシヨナル機器販売株式会社が本件物件1を製造販売したことを推定するに十分であるといわなければならない。
5 本件物件1、同2の各構造は、次のとおりである。
イ′ 前面に扉を備えた殺菌室を設けてあることロ′ 殺菌室内に棚を三段架設してあることハ′ 該棚の各前端と殺菌室内の前面との間に適当の間隔を設けてあることニ′ 前面部分中央に紫外線ランプを縦設してあることホ′ 紫外線ランプの背後に凹形光線反射枠を装置してあることヘ′ 棚と紫外線ランプ装置室との間にランプ保護杆を設けてあることト′ 紫外線殺菌器であること6 本件考案と本件物件1、同2の各構造とを対比すると、次のとおりである。
(一) 本件物件1、同2の各構造イ′ないしハ′、ト′はそれぞれ本件考案の構成要件イないしハ、トを充足する。
(二) 本件考案では殺菌ランプが奥面部分中央に縦設されているのに対し、本件物件1、同2では紫外線ランプが前面部分中央に縦設されているから、本件物件1、同2の各構造ニ′は本件考案の構成要件ニの文言と一応相違する。しかし、本件考案において殺菌ランプを箱体内の奥面部分中央に縦設したのは、各棚上に均等に紫外線が当たるようにして、殺菌の目的を十分に達成する効果を企図したものであつて、殺菌ランプの設備箇所が奥面部分中央であつても前面部分中央であつても、殺菌ランプが箱体内に縦設されている以上、その作用効果は同一である。
よつて、本件物件1、同2の各構造ニ′は本件考案の構成要件ニを充足する。
(三) 本件考案では殺菌ランプの背後に装置されているのが反射鏡であるのに対し、本件物件1、同2では紫外線ランプの背後に装置されているのが凹形光線反射枠であるから、本件物件1、同2の各構造ホ′は本件考案の構成要件ホの文言と一応相違する。しかし、以下に述べるとおり、本件物件1、同2の各構造ホ′は本件考案の構成要件ホを充足する。すなわち、本件考案における反射鏡は殺菌ランプが発する紫外線を棚上に効果的に集中放射させるために設置されたものであつて、これによつて、直接紫外線を放射されない棚上の被殺菌物にも紫外線を集中放射しうるのである。ところで、本件物件1、同2の凹形光線反射枠は白色油性ペイントで塗装されているものであるが、本件考案の実用新案登録出願当時の技術水準によれば、白色油性ペイント塗装は一般に反射効果があると考えられていたのであつて、
現に被告東京ナシヨナル機器販売株式会社はその作成にかかる本件物件1についてのカタログ(甲第八号証)において、ナシヨナル殺菌灯の特長の一つとして説明されている「全面殺菌」の項で、「消毒箱の中では反射によつて中に入れた器具は各面とも完全に殺菌されます。」と述べて、白色油性ペイント塗装が反射効果を有していることを認めているのである。のみならず白色塗装に反射効果があると一般に考えられていることは、例えば蛍光灯に白色塗装の鋼板が取付けられていて、これを「反射板」と呼んでいることからも明らかである。
したがつて、本件物件1のみならず同2の各構造ホ′における白色油性ペイントを塗装した凹形光線反射枠は、その構造、材質及び本件考案の実用新案登録出願当時の技術水準を参酌すると、本件考案の反射鏡と同一の作用効果を奏する。
よつて、本件物件1、同2の各構造ホ′は本件考案の構成要件ホを充足する。
(四) 本件考案では棚とランプ装置室との間に保護金網が設けられているのに対し、本件物件1、同2では右両者の間にランプ保護杆が設けられているから、本件物件1、同2の各構造ヘ′は本件考案の構成要件ヘの文言と一応相違する。しかしながら、本件考案において保護金網を設けたのは、棚上に器具を載置する際に誤つて殺菌ランプを破壊する危険を防止するためであるところ、本件物件1、同2において保護杆を設けたのは紫外線ランプを保護するためであるから、両者(保護金網、ランプ保護杆)の作用効果は同一である。
よつて、本件物件1、同2の各構造ヘ′は本件考案の構成要件ヘを充足する。
(五) 以上によれば、本件物件1、同2は本件考案の構成要件をことごとく具備するから、その技術的範囲に属する。
7(一) 被告ら(ただし、被告【A】を除く。)は、本件物件1、同2を製造販売する行為が本件実用新案権を侵害するものであることを熟知しながら、前記のとおり、共謀のうえ本件物件1、同2を製造販売して本件実用新案権を侵害した。
したがつて、被告ら(ただし、被告【A】を除く。)は原告に対し、右侵害行為によつて原告に加えた損害を連帯して賠償すべき義務がある。
(二) 被告【A】が被告有限会社西川製作所の取締役としてなした右侵害行為は、有限会社法第30条ノ三所定の、取締役がその職務を行うにつき悪意があつた場合に該当するものというべく、被告【A】はこれがため第三者である原告の被つた損害を被告有限会社西川製作所と連帯して賠償すべき義務がある。
(三) 原告は被告ら(ただし、被告【A】を除く。)が本件物件1、同2を製造販売したことによつて受けた利益の額をもつて原告の被つた損害の額と主張するところ、被告ら(ただし、被告【A】を除く。)は昭和三三年六月から昭和三五年一二月末日までの間、本件物件1、同2を合計七、五〇〇台販売し、これによつて一台当たり金二万円の利益を得たから、右販売台数七、五〇〇に一台当たりの利益金二万円を乗じて得られた金一億五、〇〇〇万円が右被告らの得た利益の額というべく、したがつて、原告はこれと同額の損害を被つた。
8 よつて、原告は被告ら各自に対し、前記7(三)記載の損害金一億五、〇〇〇万円の内金一、〇〇〇万円及びこれに対する不法行為の後である昭和三六年一月一日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 被告らの認否及び抗弁1 認否(一) 請求の原因1ないし3の各事実は認める。
(二) 同4の事実は否認する。被告らは本件物件1、同2を製造販売したことはない。すなわち、
(被告松下電器産業株式会社、同東京ナシヨナル機器販売株式会社) 被告東京ナシヨナル機器販売株式会社は、本件物件1を撮影した写真を掲載したカタログ(甲第八号証)を印刷作成したことはあるが、右カタログは各種殺菌器に装置する殺菌ランプの販売推進策の一環として殺菌ランプの納入先のために作成されたものにすぎないから、右カタログの印刷作成の事実を根拠に被告東京ナシヨナル機器販売株式会社が本件物件1を製造販売しあるいはその意図を有していたということはできない。そのことは本件物件1の右側扉に他社の商標があることによつても明らかである。
(被告有限会社西川製作所、同【A】) 被告有限会社西川製作所は、昭和三三年六月以後紫外線殺菌器(甲第九号証の一、二、第一〇号証のもの)を製造販売していたけれども、その構造は本件物件2と異なり、同2の構造中凹形光線反射枠のほかランプ保護杆も具備していないものである。また同被告は、昭和三三年六月ころ、被告株式会社滝川商店の注文により、破損したオゾン消毒器(一〇数台)を紫外線殺菌器に改造して(ただし、その後中止)同社に納入したことはあるけれども、右改造は原告が主張するような製造に準ずる大改造ではなく、また改造された紫外線殺菌器は、凹形光線反射枠を具備していないから、本件物件1と相違している。他方原告は同社より右改造にかかる紫外線殺菌器一台を買受けて、これに更に改造を加えた紫外線殺菌器を作つたが、
この改造を加えて作られたものがすなわち本件物件1である。
(被告【B】、同滝川商店、同株式会社東宝、同株式会社松倉、同日理株式会社、
同金章理器株式会社、同株式会社大場商店) 業界誌「理容文化」の「ナシヨナルの殺菌灯付紫外線殺菌消毒器」に関する広告(甲第九号証の一、二)及び「T・B・S紫外線殺菌消毒器」に関するカタログ(甲第一〇号証)には被告らの店名あるいは社名が掲載されているけれども、右広告及びカタログは、被告有限会社西川製作所がその製造にかかる紫外線殺菌器のユーザー向け広告のため自らの費用でなしあるいは作成したものであつて右被告らの関知するものではない。当時右被告らは、本件考案、本件物件1、同2とはその性能を異にするところの、乱反射装置のある紫外線消毒器を取扱つていたものであり、それにはいずれも「理美容器具等規格検査委員会」の合格認定証票が貼付されており、また使用ランプは全て東芝製紫外線殺菌ランプであつた。
(三) 同5の事実は争う。
(四) 同6の事実は争う。原告が被告ら(ただし、被告【A】を除く。)において製造販売したと主張する本件物件1、同2の各構造と本件考案との主要な点を対比してみると、本件物件1、同2は少なくとも本件考案の構成要件ホを具備しない。すなわち、本件物件1、同2における鋼板に白色油性ペイントを塗装した、原告のいう凹形光線反射枠はその構造及び材質からいつて紫外線を反射させる効果はなく、紫外線ランプを取付けるためのソケツトホルダーを原告が凹形光線反射枠と呼称しているにすぎない。特に材質の点については、原告の主張によれば、原告のいう凹形光線反射枠は鋼板に白色油性ペイントを施したものであるというのであるが、本件考案の実用新案登録出願当時の技術水準では、紫外線は白色塗料に九〇パーセント以上吸収され、その反射率は白色油性ペイントで三ないし一〇パーセントであつて、白色油性ペイントは紫外線を反射させる効果を有するとは考えられておらず、むしろ紫外線の反射効果を抑制する効果を有すると考えられていたのである。それ故本件考案明細書には紫外線(殺菌線)を反射しうる鏡についての記載はあるけれども、「反射枠」又は「反射体」という記載はないのである。
したがつて、反射効果のない白色油性ペイントで塗装された鋼板からなる原告のいう凹形光線反射枠を具備した本件物件1、同2は本件考案の構成要件ホを充足しないことは明らかである。ところで、原告は、白色塗装に反射効果があると一般に考えられていることは、例えば蛍光灯に白色塗装の鋼板が取付けられていて、これを「反射板」と呼んでいることからも明らかである旨主張するけれども、これは蛍光灯の放射線と紫外線殺菌灯の放射線の違いを無視するものであつて、両者を同一に論ずることはできないから、原告の主張は失当である。
(五) 同7の事実は争う。原告は本件物件1、同2の販売による利益を一台当たり金二万円としているけれども、甲第八号証に表出の本件物件1の現金正価三万二、〇〇〇円と対比してみると、原告の右主張は明らかに失当というべきである。
2 仮定抗弁1 仮に、被告らが本件実用新案権を侵害し、それによつて原告が被告らに対する損害賠償請求権を取得したとしても、右権利は原告が損害及び加害者を知つた昭和三六年一月一日から三年を経過した昭和三九年一月一日には時効によつて消滅しており、被告らは本訴において右時効を援用する。ところで、原告は、原告の被告らに対する損害賠償請求権の消滅時効の起算点に関し、本件物件1は本件考案の権利範囲(技術的範囲)に包含される旨の実用新案権の範囲の確認の審判(以下、「権利範囲確認審判」という。)の請求につき、本件物件1は本件考案の権利範囲に包含されないとした審決を取消した東京高等裁判所の判決が確定して、右判決により本件物件1の製造販売の違法性が確認されたときにはじめて、原告は本件物件1、したがつて同2の製造販売が違法であることを知つたのであるから、右判決の確定した日の翌日である昭和五〇年八月七日から原告の被告らに対する損害賠償請求権の消滅時効が進行する旨主張するけれども、特許庁の行う権利範囲確認審判の審決は、考案技術的範囲について専門官庁たる特許庁の鑑定意見を示したものに止まり、その判断には対世的効力がないばかりでなく、当事者に対しても何らの法的拘束力も有しないのであるから、右審決に対する取消訴訟における裁判所の判決も当該物件の実施行為の違法性の有無を判断するものではない。したがつて、本件物件1は本件考案の権利範囲に包含されないとした審決を取消した東京高等裁判所の判決が確定したことによつて本件物件1、したがつて同2の製造販売の違法性が確認されるわけではない。
のみならず、消滅時効の起算点となる民法第724条の「損害を知つたとき」というのは被害者が加害行為の違法性を認識することをもつて足り、加害行為に対する裁判所の最終的な判断を要しない。
しかして、原告は、昭和三三年六月から被告ら(ただし、被告【A】を除く。)が共謀のうえ本件物件1、同2の製造販売を開始したことを知り、そのころから被告ら全員に対し抗議したというのであるから、原告は昭和三三年六月当時からすでに被告らの行為によつて損害を被つたことを知つていたことを自認しているものというべく、右の時点から原告の被告らに対する損害賠償請求権の行使は法的に可能な状態にあつたといえるから、原告の主張する期間の損害賠償請求権の消滅時効は遅くとも昭和三六年一月一日から進行を開始したものというべきである。
3 仮定抗弁2(ただし、被告【B】、同株式会社滝川商店、同株式会社東宝、同株式会社松倉、同日理株式会社、同金章理器株式会社、同株式会社大場商店、同【C】(以下、この項においては「被告【B】ら」という。)の主張) 原告の被告【B】らに対する損害賠償請求権の行使は、以下に述べる本件紛争の経緯に照らせば、権利失効の法理により、許されない。
(一) 被告【B】らは、原告から、昭和三三年七月一日から昭和三五年三月三一日までの間に、口頭又は書面により、本件物件1、同2の販売を中止すべき旨の抗議を一度受けたことはあるが、その後約一六ないし一八年間にも及ぶ長い年月の間原告から何らの要求も受けないまま平穏無事に過してきたところ、昭和五一年一一月二七日に至り、突如として原告から本訴を提起された。
(二) その間、被告【B】らは、昭和三七年八月、進んで被告【B】らの同業組合の代表者であつた被告【B】らが請求人となり、原告を被請求人として、特許庁に対し、被告【B】らが従来から取扱つていた紫外線殺菌器(本件物件1、同2と異なる、前記東芝製紫外線殺菌ランプ使用のもの)が本件考案技術的範囲に属するか否かの判定の請求をしたところ、昭和四三年一二月、右紫外線殺菌器は本件考案技術的範囲に属さないとの判定を得た。しかして、右判定結果は原告にも知らされているにもかかわらず、原告から被告【B】らに対して何らの異議等もなされなかつたことから、被告【B】らは、原告から受けた約一六ないし一八年前の抗議はかねがね考えていたとおり法律上全く理由のないものであつたとの確信を持ち、
これで原告との問題は法的にも決着がつき完全に終止符を打つたと考えて安堵した。
(三) また本件実用新案権は本訴が提起された昭和五一年一一月二七日よりはるか以前の昭和四〇年九月二六日に消滅しているばかりでなく、本件考案は乱反射の装置を欠くため紫外線殺菌器としての効能がなく、市場性のないものである。
(四) およそ権利の行使は誠実に行わなければならず、不誠実な権利の行使は権利失効の法理により許されないものと解すべきところ、前記(一)ないし(三)の本件紛争の経緯からいつて、被告【B】らとしては、もはや原告から損害賠償を請求されることは絶対にないものと確信していたのであり、かつ、そのように確信したことについて正当な理由があつたものというべきであるから、原告の被告【B】らに対する本件の損害賠償請求権の行使は権利失効の法理により許されないというべきである。
4 仮定抗弁3(ただし、被告有限会社西川製作所、同【A】の主張) 仮に、被告有限会社西川製作所が昭和三三年六月ころ、被告株式会社滝川商店の注文により、破損したオゾン消毒器(一〇数台)を改造して作つた紫外線殺菌器が本件物件1であつて、本件物件1が本件考案技術的範囲に属するとしても、被告有限会社西川製作所は原告に対し、昭和三三年一一月ころ、原告の被つた損害に相当する金員を支払つた。よつて、右の点に関する原告の被告有限会社西川製作所及び被告【A】に対する請求は理由がない。
三 仮定抗弁に対する認否1 抗弁1は争う。
民法第724条の「被害者が損害を知つたとき」というのは、被害者が損害の発生を知つただけでは足りず、加害行為が違法であることをも知つたことを要するものと解すべきである。ところで、原告は、被告ら(ただし、被告【A】を除く。)が共謀のうえ昭和三三年六月から本件物件1、同2の製造販売を開始したことを知り、そのころから再三にわたつて口頭又は文書をもつて、被告らに対して、本件物件1、同2は本件実用新案権に抵触するからその製造販売を中止するよう抗議したが、被告ら(ただし、被告【A】を除く。)は右抗議を無視して本件物件1、同2の製造販売を強行した。そこで、原告は、やむをえず、昭和三四年一月二四日、特許庁に対し、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社を被請求人として、本件物件1は本件考案の権利範囲に包含される旨の権利範囲確認審判の請求をしたが、右請求に関しては、最終的に昭和五〇年七月一六日の東京高等裁判所の判決において、本件物件1の構造は本件考案の権利範囲に包含されるとの判断が示され、右判決は昭和五〇年八月六日確定した。そして、原告は、被告ら(ただし、被告【A】を除く。)による本件物件1、同2の製造販売が違法であることを、右判決によつて本件物件1の製造販売の違法性が確認されたときはじめて知つたのであるから、右判決の確定した日の翌日である昭和五〇年八月七日から原告の被告らに対する損害賠償請求権の消滅時効が進行するものというべくいまだ右損害賠償請求権の時効は完成していない。よつて被告らの主張は失当である。
2 抗弁2、3は争う。
四 仮定再抗弁(抗弁1に関する) 原告の被告らに対する損害賠償請求権の時効は、昭和三四年一月二四日から昭和五〇年八月六日まで中断した。すなわち、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社とその他の被告らは原告に対し、民法第719条の規定により共同不法行為としての損害賠償債務を負うが、この損害賠償債務は達帯債務と解されるから、同法第434条の規定の適用を受け、したがつて原告の被告らのうちの一人に対する履行の請求は他の被告らに対してもその効力を生じる。ところで、前記のとおり、原告は特許庁に対し、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社を被請求人として、本件物件1は本件考案の権利範囲に包含される旨の権利範囲確認審判の請求をしたが、右請求は民法第147条第1号の時効中断事由としての「請求」(のうちの裁判上の請求)と同視されるべきである。なぜなら、時効中断の根拠を権利者が権利に目覚めて権利を行使したという点に求めるならば、原告が被告東京ナシヨナル機器販売株式会社を被請求人として前記権利範囲確認審判の請求をしたことは、時効の対象となつている損害賠償請求権を相手方に対して主張したと認められるからである。
よつて、右請求をした昭和三四年一月二四日から右請求に関してなされた東京高等裁判所の判決が確定した昭和五〇年八月六日まで、原告の被告らに対する損害賠償請求権の時効は中断した。
五 仮定再抗弁に対する認否再抗弁事実は争う。
民法第147条第1号の時効中断事由としての「請求」(のうちの裁判上の請求)は、訴訟手続において当該権利を訴訟物として主張することをいうから、行政庁たる特許庁に対する権利範囲確認審判の請求は右の「請求」に含まれない。また仮に、右審判の請求が右の「請求」に含まれるとしても、被告ら(ただし、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社を除く。)は原告が前記権利範囲確認審判の請求の相手方とした被告東京ナシヨナル機器販売株式会社とは全く取引関係がなく、いわんや本件物件1の製造販売について主観的にも客観的にも共同の事実関係はないのであるから、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社に対する「請求」の効力がその他の被告らに及ぶことはありえない。
証拠関係(省略)
理 由一 原告が昭和三一年九月二六日に本件実用新案権の登録を受け、昭和四〇年九月二五日まで本件実用新案権を有していたこと及び本件考案の願書に添附した明細書の登録請求の範囲の欄の記載が原告主張のとおりであることは当事者間に争いがない。
二 前項に確定した本件考案の願書に添附した明細書の登録請求の範囲の記載及び成立に争いのない甲第七号証(本件実用新案公報)によれば、本件考案は次の構成要件からなることが認められる。
(1) 前面に扉を備えた箱体内に棚を数段架設してあること、
(2) 該棚の各後端(登録請求の範囲には「前端」とあるが、右「前端」が箱体の扉側ではなく奥面側を指すことは前顕甲第七号証によつて認められる本件明細書の記載、図面から明らかであり、かつ右(1)のとおり扉の設けられた方が「前面」と表現されていることからすれば、「後端」と称するほうが適切である。)と箱体内の奥面との間に適当の間隔を設けて該部分中央に殺菌ランプを縦設してあること、
(3) 殺菌ランプの背後に反射鏡を装置してあること、
(4) 棚とランプ装置室との間に保護金網を設けてあること、
(5) 以上の構造を備えた紫外線殺菌器であること。
三1 これに対し、被告ら(ただし、被告【A】を除く。)が共謀のうえ昭和三三年六月から昭和三五年一二月末日までの間製造販売したと原告の主張する本件物件1、同2は、別紙目録の記載によれば、右二の本件考案の構成要件に対応させて分説すると次のとおりの構成からなるものと認められる。
(1)′ 前面に扉5を有する殺菌室4内に棚6を三段設けてあること、
(2)′ 該棚6の各前端と前面中央に縦設した支枠7との間に適当の間隔を設けて右支枠7の内側に紫外線ランプ8を縦設してあること、
(3)′ 紫外線ランプ8の背後には、鋼板に白色油性ペイントを塗装した凹形光線反射枠10―(1)、10―(2)を右紫外線ランプ8に沿つて右支枠7に取付けて装置してあること、
(4)′ 紫外線ランプ8の前側(棚6と紫外線ランプ8の間)にこれを囲むように細長いランプ保護杆9を数本縦設してあること、
(5)′ 以上の構造を備えた紫外線殺菌器であること。
2 しかして、右1に認定した本件物件1、同2の構成を前記二の本件考案の構成要件と対比すると、本件物件1、同2は、以下のとおり、少なくとも本件考案の構成要件(3)を具備しないから、本件考案技術的範囲に属さない。
(一) 本件物件1、同2において本件考案の構成要件(3)にいう「反射鏡」に対応するのはその構成(3)′にいう「凹形光線反射枠」10―(1)、10―(2)であるところ、右「凹形光線反射枠」は構成(3)′記載のとおり「鋼板に白色油性ペイントを塗装した」ものである。成立に争いのない乙第二号証の一ないし四によれば、本件考案の実用新案登録出願の日前の昭和二八年一〇月に発行された社団法人照明学会編「照明のデータブツク」に、紫外線すなわち殺菌線(成立に争いのない丁第六号証によれば、正確には紫外線のうちの特定波長のものを殺菌線と称することが認められるが、便宜、両者を同義に用いる。)を利用して病院等の空気の殺菌を行うために用いる殺菌灯につき、「反射がさは器具の取りつけ位置と天井とに挾まれる空間にできるだけ多くの殺菌線を送り、下方へは危険な直射光が少しもこない形式のものを用い、天井が低い場合等には天井や壁の殺菌線反射率を減らすため油性ペイントを塗る。」との記載及び壁面の殺菌線反射率の例として白塗しつくいが四〇ないし六〇パーセント、水性ペイント(白)が一〇ないし三五パーセント、油性ペイントが三ないし一〇パーセントである旨の記載があること、成立に争いのない乙第三号証の一ないし八によれば、本件考案の出願の日から約二年後の昭和三一年九月頃に発行された東芝レビユー編集委員会編「東芝レビユー」一一巻九号に、紫外線による食器、調理器具、医療器具、農産物等に対する表面殺菌、戸棚、食庫等に対する内面殺菌とその食品工業への利用に関して、「作業員は長い手袋をはめて日焼を防ぐ。テーブル面には油性ペイントを塗つて殺菌線の反射を少くする。」との記載があり、また、各種材料の紫外線反射率の表として油性ペイント(白)の反射率が六ないし九パーセントであり、これに対し、アルミニウム(電解研麿)(成立に争いのない丁第一号証、前顕丁第六号証によれば、殺菌灯消毒器における「反射板」材料の代表的なものと認められる。)の反射率が六五ないし七五パーセントである旨記載されていること、成立に争いのない乙第一号証の一ないし四、丁第四号証によれば、昭和三六年九月に発行された日本公衆衛生協会発行「日本公衛誌」八巻九号及び昭和四三年一一月に発行された社団法人照明学会編「新編・照明のデータブツク」に、右同様の各種材料の紫外線反射率の表及び数値が記載されていることがそれぞれ認められ、右事実によれば、本件考案の実用新案登録出願の前後を通じ、白色油性ペイントの紫外線反射率は三ないし一〇パーセント程度にすぎないものとされ、それ故、白色油性ペイントは、柴外線を反射させるためではなく、反対に(殺菌灯からの紫外線が人体に当たらないようにするべく)紫外線の反射を抑制するために、換言すれば塗装の対象となる物体の紫外線反射率を低減させるために使用されていることが認められる(ちなみに、白色油性ペイントの前記紫外線反射率三ないし一〇パーセントは前記アルミニウム(電解研麿)の反射率六五ないし七五パーセントと比較すると数分の一から二〇分の一程度にすぎない。)。
(二) しかして、前顕甲第七号証によれば、本件考案の構成要件(3)にいう「反射鏡」について、本件明細書の「実用新案の性質、作用及び効果の要領」欄に「殺菌ランプの背後には反射鏡を装置してランプより発する紫外線を棚上に効果的に集中放射させる」(別添実用新案公報一頁右欄七ないし九行)との記載があることが認められ、右記載によれば、本件考案における「反射鏡」は、紫外線を棚上に集中放射させるため、殺菌ランプの背後にあつて、棚上に直接放射せず殺菌ランプの背後へ放射する紫外線をも反射により棚上に集中させるものであり、したがつて、紫外線を効果的に反射しうるものであることを要するというべく、紫外線の反射率が通常のものより低く、紫外線の反射を抑制するために使用されるものは、本件考案の「反射鏡」の要件を充足しないと解するのが相当である。
しかるところ、本件物件1、同2の構成(3)′にいう「凸形光線反射枠」に塗装された白色油性ペイントは、前記のとおり紫外線反射率が著しく低く、紫外線の反射を抑制するために使用されるものであるから、本件物件1、同2の構成(3)′にいう「鋼板に白色油性ペイントを塗装した凹形光線反射枠」は紫外線を効果的に反射しうるものとは到底いえず、したがつて、本件考案の構成要件(3)にいう「反射鏡」に該当しない。
なお、原告は、白色塗装に反射効果があると一般に考えられていることは、例えば蛍光灯に白色塗装の鋼板が取付けられていて、これを反射板と呼んでいることからも明らかであると主張するが、前顕丁第六号証によれば、蛍光灯と殺菌灯の原理と構造はほぼ同じであるが、蛍光灯においては、紫外線を通さない普通のガラス管が用いられ、灯内で生じた紫外線がガラス管の内側に塗られた蛍光物質に当たつて可視光線に変わり、この可視光線のみがガラス管外に出て照明に役立つものであるのに対し、殺菌灯においては、紫外線をよく通す特殊のガラス管が用いられ、灯内で生じた紫外線がそのままガラス管外に出るものであることが認められ、右事実によれば、蛍光灯における「反射板」が反射するものは可視光線であつて紫外線ではないことが明らかであるから、原告の右主張は、紫外線の反射と可視光線の反射の違いを無視するものであつて、失当である。
よつて、本件物件1、同2の構成(3)′は本件考案の構成要件(3)を充足せず、本件物件1、同2は本件考案の構成要件(3)を具備しない。右に説示したところに、別紙目録の記載及び添附図面(特に第七、第八図)によつて認められる「凹形光線反射枠」の構造並びに本件口頭弁論の全趣旨を併せ考えると、本件物件1、同2における「凹形光線反射枠」10―(1)、10―(2)は、畢竟、紫外線ランプ8のソケツトホルダー(10―(2))及びソケツトホルダーを取付けるための支枠(10―(1)、7)にすぎないものと認められる。
3 なお、成立に争いのない甲第三、第四、第六号証によれば、原告は、昭和三四年一月二四日、特許庁に対し、被告東京ナシヨナル機器販売株式会社を被請求人として、本件物件1は本件考案技術的範囲(権利範囲)に属するとして、旧実用新案法(大正一〇年法律第九七号をいう。以下同じ。)第22条第1項第2号の規定に基づき権利範囲確認審判を請求した(昭和三四年審判第二九号事件。右審判は実用新案法施行法第21条第2項の規定により、昭和三五年四月一日の実用新案法施行後も、旧実用新案法第22条第1項第2号の規定に基づく審判として従前の例により処理される。)が、特許庁は、昭和四六年九月二九日、本件物件1は本件考案技術的範囲に属さないとして「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をした(実用新案法施行法第21条第2項ただし書の規定により、抗告審判の審決とみなされる。)こと、同審決に対し、原告が旧実用新案法第26条の規定により準用される旧特許法(大正一〇年法律第九六号をいう。以下同じ。)第128条ノ二第一項に基づき東京高等裁判所にその取消を求める訴を提起した(昭和四六年(行ケ)第一四四号審決取消請求事件)ところ、同裁判所は、昭和五〇年七月一六日、
本件物件1は本件考案技術的範囲に属するというべきであり、右審決はこの点についての認定ないし判断を誤つた違法があるという理由の下に、右審決を取消す旨の判決をなし、同判決は昭和五〇年八月六日の経過により確定したことが認められるので、次に本判決の前記2の判断は右東京高等裁判所の判決の既判力に牴触するものではないことを念のため付言する。
審決に対する取消の訴は形成の訴であつて、前記のように権利範囲確認審判の請求について特許庁がした審決(前記のとおり本件では抗告審判の審決とみなされる。)を取消す判決が確定した場合は、当該確定判決の形成力により、右審決は遡及的に効力を失い、当初から審決がなされなかつたと同じ状態がもたらされることになり、この場合、特許庁の抗告審判の審判官は、更に審理を行い、当該確定判決の理由中の判断に従つて、改めて審決をしなければならない(旧実用新案法第26条の規定により準用される旧特許法第128条ノ五第二項、行政事件訴訟法第33条参照)。そして、旧実用新案法第26条の規定により準用される旧特許法第117条は「……特許権ノ範囲ニ関スル確定審決ノ登録アリタルトキハ何人ト雖同一事実及同一証拠ニ基キ同一審判ヲ請求スルコトヲ得ス」と規定しており、これによれば、登録した確定審決に一事不再理の効果が認められるのは同一事実及び同一証拠に基づく場合のみであり、異なる事実、異なる証拠によれば再度同一審判も請求しうること、審判又は抗告審判を請求することができる事項に関する訴は、抗告審判の審決に対する訴としてのみ提起することができるとされ(旧実用新案法第26条、旧特許法第128条ノ二第四項)、常に専門官庁たる特許庁の審判官による審判及び抗告審判の手続を経由することが要求されていること、右訴は東京高等裁判所の専属管轄とされ(旧実用新案法第26条、旧特許法第128条ノ二第一項)、
事実審が一審級省略されていることを勘案すれば、権利範囲確認審判の請求についての抗告審判の審決に対する取消の訴においては、一般の行政処分の取消訴訟で処分の違法性一般が訴訟物となるのとは異なり、専ら当該抗告審判手続にあらわれた事実及び証拠に基づき対象物件が当該考案技術的範囲に属するとし、又は属さないとした当該抗告審判の審決の判断の適法違法がその訴訟物となるのであり、したがつて、抗告審判の審決を取消す判決も、当該抗告審判手続にあらわれた事実及び証拠に基づく審決の判断の適法違法を判断するに止まるものであり、他の事実及び証拠の如何にかかわらず一般的に対象物件が当該考案技術的範囲に属するか否かを判断するものではないといわなければならない(本件のように審決が判決により取消された場合でも、特許庁の審判官が更に審理を行い、そこで新たな事実の主張、証拠の提出があれば、判決の理由中の判断に拘束されながらも、再度取消された前審決と同一の結論を新たな審決においてとることも可能である。)。
よつて、本件物件1は本件考案技術的範囲に属さないとして「本件審判の請求は成り立たない。」との判断を下した前記特許庁の審決を取消した前記東京高等裁判所の確定判決が、右特許庁の審決が違法であることを確定し形成(取消)の効果の発生を争いえないものとする意味において既判力を有するとしても、それは、当該審判手続にあらわれた事実及び証拠に基づいて本件物件1が本件考案技術的範囲に属さないとした判断が誤りであり審決が違法であることを確定するに止まり、
他の事実及び証拠の如何にかかわらず一般的に本件物件1が本件考案技術的範囲に属することを確定するものではないから、前記2の判断は、右東京高等裁判所の確定判決の既判力と牴触するものではない(この結論は、権利範囲確認審判の審決の法律的性格についての解釈如何にかかわらない。)。
四 してみれば、本件物件1、同2が本件考案技術的範囲に属することを前提とする原告の本訴請求はその余の点について判断するまでもなく理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第89条の規定を適用して主文のとおり判決する。
追加
別紙目録添附図面第一ないし第八図に示すように、前面に扉5を有し、内方に棚6を三段設け、前面中央に縦設した支枠7の内側に紫外線ランプ8を縦設し、この紫外線ランプ8の前側にこれを囲むように細長いランプ保護杆9を数本縦設し、紫外線ランプ8の背後には鋼板に白色油性ペイントを塗装した凹形光線反射枠10―(1)、
10―(2)を紫外線ランプ8に沿つて支枠7に取付け、殺菌室4の奥面は白色塗装により光線が反射しやすいようにした紫外線殺菌器。
なお、支枠7と凹形光線反射枠10―(1)は同一部材をそれぞれ外部、内部から見たものである。
第一図<12198-001>第二図第三図<12198-002>第四図<12198-003>第五図第六図<12198-004>第七図<12198-005>第八図<12198-006><12198-007><12198-008>第1図第2図第3図<12198-009>
裁判官 秋吉稔弘
裁判官 水野武
裁判官 設楽隆一
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