関連審決 |
審判1997-2460 |
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関連ワード | 考案 / 図面 / 構造 / 組合せ / 設定登録 / 進歩性(3条2項) / きわめて容易 / 容易に想到 / 公知技術 / 設計変更 / 明細書 / 請求の範囲 / |
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事件 |
平成
10年
(行ケ)
84号
審決取消請求事件
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原告 株式会社新亞スポーツ代表者 【A】 訴訟代理人弁理士 【B】 被告 ダイワ精工株式会社代表者代表取締役 【C】 訴訟代理人弁護士 勝田裕子 同 弁理士 【D】 同 【E】 同 【F】 同 【G】 同 【H】 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 1999/11/30 |
権利種別 | 実用新案権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が平成9年審判第2460号事件について平成9年11月21日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告 主文1、2項と同旨 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 被告は、考案の名称を「魚釣用両軸受型リール」とし、昭和61年1月31日に実用新案登録出願、平成7年10月3日に設定登録された実用新案登録第2083312号考案(以下「本件考案」という。)の実用新案権者である。 原告は、平成9年2月14日に本件考案に係る実用新案登録の無効の審判を請求し、特許庁は、同請求を平成9年審判第2460号事件として審理した上、同年11月21日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本を同月26日に原告に送達した。 2 実用新案登録請求の範囲 「複数の支柱を介して一体形成された左右側枠と、左右側枠の外側にそれぞれ装着されるハンドル側外側板および反ハンドル側外側板と、ハンドル側外側板および反ハンドル側外側板間に収容されるスプールと、ハンドル側外側板および反ハンドル側外側板間に橋設される指掛部を有する魚釣用両軸受型リールにおいて、前記指掛部が、前記反ハンドル側外側板と段差のないように前記ハンドル側外側板に向け一体成形され、かつ前記指掛部が、前記スプールの上側でかつ該スプールの軸芯より前側に位置する前記支柱の上部に当接可能に支持されていることを特徴とする魚釣用両軸受型リール。」(別紙図面1参照)3 審決の理由 別紙審決書の理由の写しのとおりである。以下、SIMANO INDUSTRIAL CO.LTDの英文カタログ(審決の甲第2号証の1、本訴の甲第4号証の1)の商品名「BRUSH BUSTER」の写真(別紙図面2参照)を「引用例1」、同カタログの商品名「BANTAM MAG PLUS」の写真を「引用例2」(別紙図面3参照)、実願昭56-142437号(実開昭58-52965号)のマイクロフィルム(審決の甲第3号証、本訴の甲第5号証)を「引用例3」、実願昭58-47420号(実開昭59-154056号)のマイクロフィルム(審決の甲第4号証、本訴の甲第6号証)を「甲第6号証刊行物」、実願昭58-147184号(実開昭60-55369号)のマイクロフィルム(審決の甲第5号証、本訴の甲第7号証)を「甲第7号証刊行物」という。 |
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原告主張の審決取消事由の要点
審決の理由1ないし4は認める。同5、6は争う。 審決は、公知技術の認定を誤り、その結果、容易推考性の判断を誤ったため、 本件考案が実用新案法3条2項の規定に該当することを看過したものであって、違法であるから、取り消されるべきである。 1 公知技術の認定の誤り 審決には、公知技術の認定につき以下のような誤りがあり、これらの誤りは、後に2で述べる容易推考性についての判断の誤りの原因となっている。 (1) 引用例1についての認定の誤り 引用例1記載の考案においては、別紙図面2の指示記号6のものが指掛部に相当する。また、この指掛部の下側にはこれと当接する支柱があり、このことは、上記図面指示記号5aで示されるボルトの頭が写ることによって示されている。 ところが、審決は、上記指示記号6のものを指掛部と認めることはできず、また、これが支柱と当接可能となっているとも認められないと、誤って認定した。 (2) 引用例2についての認定の誤り 引用例2に示されるものには、左側枠(反ハンドル側の側枠)からハンドル側の側枠に向けて一体成形された指掛部が存在する(別紙図面3の指示記号6)。また、この指掛部の下方には、支柱が存在して指掛部の下側に当接しており、このことは、上記図面3の指示記号5aで示される支柱の頭が見えることによって明らかである。 ところが、審決は、指掛部が左側枠と一体成形されたものと認めることはできず、また、指掛部が当接すべき支柱が示されていないため、当接しているとは認められないと、誤った認定をした。 (3) 甲第6、第7号証刊行物についての認定の誤り 審決は、甲第6、第7号証刊行物には、支柱とは別体に反ハンドル側外側板に段差のないように一体的に形成された指掛部を設けたものが記載されていないと認定したが、この認定は誤りである。 2 容易推考性についての判断の誤り(1) 引用例2記載の考案からの容易推考性 審決の認定と異なり、引用例2記載の考案においては、反ハンドル側の側枠よりハンドル側の側枠に向けて一体成形された指掛部が設けられ、また、この指掛部の下側は支柱と当接していることは、前述のとおりである。 そうすると、これと本件考案との違いは、指掛部が反ハンドル側の側枠(左側枠)より一体に形成されているか、反ハンドル側の外側板より一体に形成されているかの相違にすぎないことになる。これは、当業者ならば自明のこととして任意に選択できる単なる設計変更にすぎない。 (2) 引用例1記載の考案、引用例3記載の考案等からの容易推考性イ 引用例3には、指掛部が反ハンドル側外側板と段差のないようにハンドル側外側板に向けて設けられ、指掛部が、スプールの上側で、かつ、該スプールの軸芯より前側に位置する支柱の上部に当接して支持された魚釣用リールが記載されている。 そうすると、本件考案と、引用例3記載の考案との相違は、指掛部が反ハンドル側外側板よりこれと一体に成形されているかどうかの点のみである。 なお、指掛部が、スプールの上側で、かつ、該スプールの軸心より前側に位置する支柱の上部に当接して支持された魚釣用リールは、引用例2及び甲第7号証刊行物にも記載されている。 ロ 審決の認定とは異なり、引用例1記載の考案においては、別紙図面2の指示記号6のものが指掛部に相当する。したがって、引用例1には、ハンドル側外側板より反ハンドル側外側板に向けて段差のないように一体成形された指掛部が記載されている。 ハ 引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせれば、本件考案における「本考案においては、指掛部を反ハンドル側外側板と一体形成したので、指掛部を単品として組み立てる必要がなくなり、組み立て工数を低減することができる。 また、反ハンドル側外側板と指掛部との間に段差あるいは間隙が形成されないため、この部分を長時間握持していても、親指が痛くなることはない。」、「反ハンドル側外側板と一体成形された指掛部で支柱上部を保護、補強できるので、他物が当たったり、落下したり、外圧が加わったり等の外力が加わっても、スプールフランジの外周と複数の支柱で一体成形された左右側枠内周との微小隙間を維持し、スプール当たり発生を防止することができる。」という作用効果を奏するものである。また、指掛部が反ハンドル側外側板より一体成形されていることから生ずるとみられる「また、反ハンドル側外側板を手のひらの中に入れ、そして親指を指掛部に当てて長時間強く握持保持しても、反ハンドル側外側板と指掛部が段差なく一体成形されているので、握持する手のひらから親指にかけて全く違和感なく、そして、痛みを感じることなく長時間リールを保持できる。」という本件考案の作用効果は、甲第3号証(本件考案に係る実用新案公報)の第1図に記載されているように、親指全体ではなく、指先の部分のみが指掛部にかけられた使用が予定されていることを考慮した場合、指掛部の上面を従来技術の断面円形の支柱に代えて平面としたことから生ずる作用効果ということになるから、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせたものの作用効果と大差はない。すなわち、それは、反ハンドル側外側板と指掛部との間に段差あるいは隙間のない限り、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせたものでも、充分に達成できる作用効果である。 以上のとおりであるから、この指掛部を本件考案のように反ハンドル側外側板より一体成形することは、単なる設計変更ないし設計上の微差にすぎず、当業者がきわめて容易に想到することのできたものである。 (3) よって、本件考案は、引用例1ないし3、甲第6、第7号証刊行物からきわめて容易に考案し得たものであるから、これができなかったとした審決の認定判断は、誤りである。 |
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被告の反論の要点
1 審決の認定判断は正当であり、原告主張の審決取消事由は、理由がない。 2 公知技術の認定の誤りについて(1) 引用例1について 引用例1記載の考案において、原告が「指掛部」と主張する別紙図面2の指示記号6のものは、反ハンドル側外側板を握持保持した手の親指が容易に載置できないような前方部分に形成されている。すなわち、反ハンドル側外側板と上記指示記号6のものの間には、略三角形状の大幅な間隙が形成されており、通常の握持状態では、握持操作上重要な親指の広い下面が前記略三角形状の広い間隙に落ち込んでしまうか、又は親指が届くように無理した状態で握持しても、親指のごく先端部のみが当接するにすぎない。したがって、上記指示記号6のものは、指掛部の機能がない。 引用例1記載の考案には、スプールの上側で、かつ該スプールの軸心より前側に位置する支柱という構成がない。 (2) 引用例2について 引用例2は、引用例2記載の考案を前方斜め上より見た状態の写真であって、 「指掛部」の下側は見えないから、そこがどのような構成となっているのかは確認することができない。したがって、引用例2には支柱が示されていないとの審決の判断に誤りはない。 引用例2について原告が「指掛部」と主張するものは、左右いずれの外側板とも一体には形成されておらず、引用例3記載の考案と同じく、左右の外側板の中間に挟持されるように架設されたものにすぎない。 (3) 甲第6、第7号証刊行物について 甲第6、第7号証刊行物についての審決の認定に誤りはない。 3 容易推考性についての判断の誤りについて(1) 引用例2記載の考案からの容易推考性について 原告の主張は、引用例2に示されていないものを示されているとする誤った前提に立つものであり、成り立ち得ない。 (2) 引用例1記載の考案、引用例3記載の考案等からの容易推考性についてイ 引用例3記載の考案は、側板とは別体に単体部品として形成された指掛部を、 単に左右両側枠間に配された支柱の外側に嵌着する構成であって、指掛部について「ハンドル側外側板に向けて」のように方向性が認識される構成ではない。このような方向性は、本件考案のように指掛部が反ハンドル側外側板と一体成形されていることによって初めて認識できるものである。 すなわち、引用例3記載の考案は、ハンドル側外側板と反ハンドル側外側板との間に平面部9bを有する別体単品で形成された指掛け板9を装着したものであり、 それまでの両軸受型リールの左右側枠間に架設した円柱状支柱小径曲面に親指が当たることによって生じる痛みを、平面部9bを有する単品の指掛け板9を円柱状支柱の外側に嵌着して一体化することで解消するということを主題とした考案である。引用例3には、指掛け板9を反ハンドル側外側板と一体成形するということについては、開示も示唆もされておらず、かつ、当業者にそのような構成を着想せしめるような記載も存在しない。 ロ 引用例1には、本件考案の目的、すなわち、リール本体の握持保持性の向上を図るという目的を予測させるような記載、ないしそれを示唆するような記載はない。 したがって、これに、引用例3、甲第6、第7号証刊行物記載の考案を組み合わせる動機付けはない。 (3) したがって、本件考案を、引用例1ないし3、甲第6、第7号証刊行物からきわめて容易に考案し得たものとすることはできない。 |
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当裁判所の判断
1 引用例2について 甲第4号証の1によれば、引用例2記載の考案の指掛部は、左右側枠に取付けられたものと認められる。したがって、上記指掛部は、反ハンドル側外側板と段差のないように一体成形された指掛部を設けたものということはできない。 2 引用例1及び引用例3について 原告は、引用例1記載の考案がハンドル側外側板より反ハンドル側外側板に向けて段差のないように一体成形された指掛部の構成を備えているとしたうえで、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせたものと、本件考案との相違点は、指掛部をハンドル側外側板と一体成形するか、反ハンドル側外側板と一体成形するかの点のみであることを前提として、上記相違点は、単なる設計変更ないし設計上の微差であって、当業者がきわめて容易に考案することができたものである旨主張する。そこで、まず、原告主張の前提に立った場合における原告の上記主張の当否について検討する。 (1) 引用例3記載の考案は、指掛部と反ハンドル側外側板とが別体であるため、使用するうちに、他物が当ったり、落下したり、外圧が加わったり等の外力が加わることや経年変化により、両部材の間に段差や間隙が形成され、これにより、長時間握持していると親指が痛くなるという構造的問題を有するものと認められる。 ところが、引用例3を見ても、上記問題の存在についても、これを解決するために指掛部と反ハンドル側外側板とを一体成形するという発想についても、これを示唆する記載は見出せず、また、上記問題の存在や上記発想が自明のものとも認められない。 (2) 甲第4号証の1によれば、引用例1記載の考案における別紙図面2の指示記号6のもの(以下「指掛部」という。)は、ハンドル側外側板と一体成形されており、反ハンドル側外側板との間には略三角形状の隙間が形成されていることが認められ、この事実によれば、指掛部に親指が乗るようにリールを握持するためには、 多くの者にとって親指の先端部を略三角形状の隙間に臨む指掛部の切片部分に当接させる持ち方にならざるを得ないため、その状態でリールを長時間握持していた場合には、上記切片部分に当接する親指の先端部が痛くなるという問題が存在するものと認められる。 ところが、引用例1には、上記問題の存在についても、これを解決するために指掛部と反ハンドル側外側板とを一体成形するとの発想についても、これを示唆するものがあるものとは認められないし、また、上記問題の存在や上記発想が自明のものであるとも認められない。 (3) 引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせて、引用例3記載の考案において指掛部をハンドル側外側板と一体成形したものにおいても、指掛部が反ハンドル側外側板とは別体に成形されているために引用例3記載の考案と同様の問題を有することは明らかである。 原告は、本件考案の「反ハンドル側外側板と指掛部との間に段差あるいは間隙が形成されないため、この部分を長時間握持していても、親指が痛くなることはない。」、「反ハンドル側外側板を手のひらの中に入れ、そして親指を指掛部に当てて長時間強く握持保持しても、反ハンドル側外側板と指掛部が段差なく一体成形されているので、握持する手のひらから親指にかけて全く違和感なく、そして、痛みを感じることなく長時間リールを保持できる。」との作用効果は、甲第3号証(本件考案に係る実用新案公報)の第1図の記載に示される、指先の部分のみが指掛部にかけられる使用態様に照らすと指掛部の上面を従来技術の断面円形の支柱に代えて平面としたことから生ずる作用効果ということになるから、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせたものの作用効果と大差はない旨主張する。 しかし、甲第3号証(本件公告公報)によれば、本件明細書には、〔考案が解決しようとする問題点〕の欄に、「しかしながら、このような従来の魚釣用両軸受型リールでは、指掛部が単品、すなわち一つの部品で形成されているため、・・・。 また、指掛部が単品であるため、親指の当接部である反ハンドル側外側板と指掛部との間に段差あるいは間隙が形成され、長時間握持していると、親指が痛くなるという問題がある。」(3欄12行ないし18行)との、〔考案の目的〕の欄に、 「本考案は上記のような問題を解決したもので、・・・長時間握持しても親指の痛くならない魚釣用両軸受型リールを提供することを目的とする。」(3欄20行ないし23行)との、〔考案の作用〕の欄に、「本考案においては、指掛部を反ハンドル側外側板と一体成形したので、指掛部を単品として組み立てる必要がなくなり、組み立て工数を低減することができる。また、反ハンドル側外側板と指掛部との間に段差あるいは間隙が形成されないため、この部分を長時間握持していても、 親指が痛くなることはない。」(3欄37行ないし42行)との記載があることが認められ、これらの記載によれば、本件考案は、反ハンドル側外側板と指掛部との間を親指の当接部ととらえ、この当接部に段差あるいは間隙が形成されることにより親指が痛くなることを問題点とし、これを解決することを目的としたものであり、反ハンドル側外側板と指掛部との間に段差や間隙が形成されないため、親指が痛くなることがない等というその作用効果は、原告主張のように指掛部を平面にしたことによってではなく、指掛部を反ハンドル側外側板と一体成形したことにより奏するものであることが明らかである。一方、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせて、引用例3記載の考案において指掛部をハンドル側外側板と一体成形したものにおいては、反ハンドル側外側板と指掛部との間に段差や間隙が形成され得ることは、前記認定のとおりである。したがって、本件考案は、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせたものにはない特有の作用効果を奏するものというべきであるから、原告の主張は、採用することができない。 (4) 前記(1)、(2)のとおり、引用例1、3のいずれにも、指掛部と反ハンドル側外側板とを一体成形する構成をとることの示唆はなく、また、これが自明であるいうこともできないから、上記構成は、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案からきわめて容易に得られたものということはできない。そして、本件考案は、上記構成により、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせたものにはない特有の作用効果を奏することは、前記(3)の認定のとおりであるから、指掛部をハンドル側外側板と一体成形することに代えて上記構成をとることは、単なる設計変更ないし設計上の微差ということもできない。 したがって、引用例1記載の考案と引用例3記載の考案を組み合わせたものにおいて、指掛部をハンドル側外側板と一体成形することに代えて、反ハンドル側外側板と一体成形することを、当業者がきわめて容易に考案することができたものとすることはできない。 3 甲第6、第7号証刊行物について 甲第6、第7号証刊行物に、反ハンドル側外側板と段差のないように一体成形された指掛部を設けたものが記載されていると認めるに足りる証拠はない。この点についての審決の認定に誤りはない。 4 以上のとおりであるから、引用例1ないし3、甲第6、第7号証刊行物記載の各考案の組合せによって、指掛部を反ハンドル側外側板と一体成形する構成が得られるものとは認められないし、また、上記構成が単なる設計変更ないし設計上の微差であると認めるに足りる証拠もない。そうすると、原告主張に係るその余の点について判断するまでもなく、上記記載の各考案から、当業者において本件考案をきわめて容易に考案し得たとは認められないとした審決の結論は正当であって、審決には、原告主張の違法は認められない。 |
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よって、原告の本訴請求は、理由がないから棄却することとし、訴訟費用の
負担並びに上告及び上告受理の申立てのための付加期間の付与について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、96条2項を適用して、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 山下和明 |
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裁判官 | 春日民雄 |
裁判官 | 山田知司 |