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関連審決 審判1997-19076
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事件 平成 10年 (行ケ) 389号 審決取消請求事件
原告 シチズン時計株式会社代表者代表取締役 【A】
訴訟代理人弁護士 会田恒司
同 弁理士 【B】
被告 【C】
訴訟代理人弁護士 佐野 久美子
同 葛原忠知
同 法常格
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2000/01/19
権利種別 実用新案権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が、平成9年審判第19076号事件について、平成10年10月15日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた判決
1 原告 主文と同旨 2 被告 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 被告は、名称を「文字・数字変換装置」とする実用新案登録第2147653号考案(平成5年9月14日出願、平成8年3月21日出願公告、平成9年1月30日設定登録、以下「本件考案」という。)の実用新案権者である。
原告は、平成9年11月7日に被告を被請求人として、本件考案につき、その実用新案登録を無効とする旨の審判の請求をした。
特許庁は、同請求を平成9年審判第19076号事件として審理したうえ、
平成10年10月15日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、
その謄本は、同年11月19日、原告に送達された。
2 本件考案の要旨 ポケットベルと共に持ち運ぶことができる携帯式の文字・数字変換装置であって、ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部と、その数字の半数の文字を入力できる文字入力部と、1つの文字を2桁の数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部と、入力された数字・文字を前記対応関係に基づいて対応する文字・数字にそれぞれ変換する変換部と、入力された数字・文字および変換された文字・数字を表示する表示部とを有することを特徴とする文字・数字変換装置。
3 審決の理由の要点 審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願考案が、シャープ株式会社製のポケットコンピュータPC-E500、PC-E550に添付されている「取扱説明書」の抜粋(甲第1号証、以下「引用例1」という。)、同ポケットコンピュータに添付されている「BASICリファレンスマニュアル」の抜粋(甲第2号証、
以下「引用例2」という。)、データベースG-Searchによる日刊工業新聞(平成2年7月25日付及び昭和63年3月15日付)の記事の検索結果(甲第3号証)、特開平4-158430号公報(甲第4号証、以下「引用例4」という。)、カシオ計算機株式会社製のポケットコンピュータFX-860PVCに添付されている「操作マニュアル」の抜粋(甲第5号証)、データベースG-Searchによる日刊工業新聞(昭和63年3月9日付)の記事の検索結果(甲第6号証)、ヒューレット・パッカード社製のポケットコンピュータHP48SXに添付されている「HP48SX取扱説明書Vo1ume1」の抜粋(甲第7号証)、同ポケットコンピュータに添付されている「HP48SX取扱説明書Volume2」の抜粋(甲第8号証)、データベースG-Searchによる日刊工業新聞(平成2年5月22日付)の記事の検索結果(甲第9号証)、特開昭63-197269号公報(甲第10号証)、特開平3-35656号公報(甲第11号証)にそれぞれ記載された考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものということはできず、請求人(原告)が提示するこれらの証拠によっては本件実用新案登録を無効とすることはできないとした。
原告主張の審決取消事由の要点
審決の理由中、本件考案の要旨の認定、上記各刊行物及び各日刊工業新聞記事の検索結果の記載事項の認定(審決書5頁下から2行〜10頁19行)は認める。審決は、本件考案の技術内容を誤認し(取消事由1)、本件考案と引用例1、
2及び4記載の各考案との対比判断を誤った(取消事由2、3)結果、本件考案が引用例1、2及び4記載の各考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものとはいえないとの誤った結論に至った(取消事由4)ものであるから、違法として取り消されなければならない。
1 取消事由1(本件考案の技術内容の誤認) (1) 審決は、本件考案の「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」との構成要件につき、「ポケットベルに表示される数字の桁数以上の数字を入力できることを意味するものではなく、ポケットベルに表示される数字の桁数を最大限とした桁数の数字を入力できることを意味する」(審決書13頁2〜6行)と限定して認定したが、それは誤りである。
すなわち、「できる」との文言は、広辞苑第5版(甲第15号証)によれば、「可能だ」、「・・・する能力又は権利がある」との意味であるから、上記本件考案の構成要件は、「少なくともポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力することが可能である」と解釈されるべきものである。そして、それによって、実用新案登録請求の範囲の記載の技術的意義を一義的に理解することができ、かつ、これを「ポケットベルに表示される数字の桁数を最大限とした桁数の数字を入力できる」と限定して解釈すべき特段の事情もない。
(2) また、審決は、本件考案の「1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部」との構成要件につき、「その『文字と数字の対応関係』は、文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係であり、『記憶部』はその対応関係を記憶するものである」(審決書14頁5〜9行)と限定して認定したが、誤りである。
すなわち、本件考案の要旨には「ポケットベルと共に持ち運ぶことができる携帯式の文字・数字変換装置」との規定があるものの、上記「1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部」との構成要件には、
その「記憶部」がポケットベルと有機的な関係を有することが規定されてはいない。そして、ポケットベルとの有機的な関連なくしても、実用新案登録請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に理解できるものであり、かつ、これを「『文字と数字の対応関係』は、文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係であり、『記憶部』はその対応関係を記憶するものである」と限定して解釈すべき特段の事情もない。
(3) したがって、審決は、本件考案の上記各構成要件の意義を誤って解釈し、
これにより本願考案の技術事項を誤認したものといわざるを得ない。
2 取消事由2(本件考案と引用例1、2記載の考案との対比判断の誤り) (1) 審決は、本件考案と引用例1、2記載の考案との対比において、「甲第1号証及び甲第2号証(注、引用例1、2)に記載された考案は、プログラムを入力することにより文字や記号、数字などをキャラクタコードに変換、表示でき、またその逆に変換、表示できるものであるが、その変換におけるキャラクタコードがアスキーコードやJISコードであるポケットコンピュータに関するものであって、
ポケットベルとは何ら関係を有するものではなく、また、プログラムにおける1つのラインの長さをリターンキーを除いて最大254命令(または最大254バイト)までの長さにすることができるものであるから、本件考案の構成要件である『ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部』及び『1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部』を有しているということはできない」(審決書14頁11行〜15頁6行)と判断したところ、引用例1、2記載の考案が、プログラムにおける1つのラインの長さをリターンキーを除いて最大254命令(または最大254バイト)までの長さにすることができるものであることは認めるが、上記1のとおり、本件考案の「記憶部」はポケットベルと何らかの関係を有するものではなく、その変換装置がポケットベルと有機的に結合されてはいないから、仮に引用例1、2がポケットベルと何らの関係を有するものではないとしても、本件考案の構成要件を備えていないということはできない。
そして、引用例1に記載されたキャラクタ・コード表(甲第1号証200頁)は、本願考案の「記憶部」を含む広い概念を開示するものである。
(2) それのみならず、引用例1、2に記載された考案が「ポケットベルとは何ら関係を有するものではなく」とすることも誤りである。
すなわち、引用例1、2に記載されたポケットコンピュータは、携帯情報機器の1種であるところ、本件明細書に「本件考案に係る文字・数字変換装置は、・・・電子手帳、ノート型パソコン等の各種携帯式情報機器に組み込むことが可能である」(甲第13号証4欄38〜41行)との記載があるように、ポケットベルは、携帯情報機器と技術的に関連性を有するものであって、この点で、引用例1、2に記載された技術は、本件考案と産業上の利用分野が共通するものであり、
また、ポケットベルと技術的関連性を有するものである。したがって、引用例1、
2に記載された考案が「ポケットベルとは何ら関係を有するものではなく」とすることはできない。
(3) 以上のとおり、本件考案と引用例1、2記載の考案との対比において、審決がした上記判断が誤りであることは明らかである。
3 取消事由3(本件考案と引用例4記載の考案との対比判断の誤り) (1) 審決は、本件考案と引用例4記載の考案との対比において、「甲第4号証(注、引用例4)に記載された考案は、・・・その送信コードの送信により相手側のポケットベルにそれに対応する数字がそのまま表示されることを明示しておらず、『ポケットベルに表示される数字』の存在は明らかでない。・・・甲第4号証に記載された考案は、ポケットベルに表示される数字との関係について開示も示唆もせず、本件考案の構成要件である『ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部』及び『入力された数字・文字および変換された文字・数字を表示する表示部』を有するということはできない」(審決書15頁7行〜16頁9行)と判断したが、本件考案の要旨は、「『ポケットベルに表示される数字』の存在」について規定するものではないから、引用例4において「ポケットベルに表示される数字」の存在が明らかでなければならない必然性はなく、該判断は誤りである。
(2) それのみならず、引用例4には、「モード切替のキー・スイッチの押下により、メッセージ・モードになり、文字表示部はクリアされ左端桁にカーソルが来てメッセージ入力待ち状態となり、数字表示部は入力されたコードをカウントしている。ここではカナ入力モードとなっており、カナ入力モード切替コード『*05』がコード・バッファに入力されているので既にこの切替コード分の『2』がカウントされている。続けて、カナ入力を行なう毎に『2』ずつ加算され、『オクレマス』の入力により切替コードと合わせて『12』がカウントされ、送信可能な制限値が『12』の時、これ以上は入力が無視される。入力訂正したい時は語尾から削除する事により、数値は『2』ずつカウント・ダウンされる。」(甲第4号証2頁左下欄3〜16行)、「加算結果が制限値以内の間は、文字コードを表示バッファに入力し、文字表示部に表示させ、続いてコード対応表に従い送信コードに変換し、コード・バッファに入力する」(同頁右下欄1〜5行)との各記載があるところ、この記載は、カナ入力モード切替コード及びカナ文字1字がそれぞれ2桁の数字に対応すること(したがって、カナ入力モード切替コードとカナ文字5字は12桁の数字に対応すること)を示しており、また、「送信可能な制限値」とはポケットベルに表示される文字数のことであって、切替コードを含めて12桁が入力されたときはその後入力が制限されることを示している。
したがって、引用例4には、そこに記載された考案につき、ポケットベルに表示されるものと同じ6文字(12桁相当)分の入力ができることが開示されており、審決が「甲第4号証に記載された考案は、ポケットベルに表示される数字との関係について開示も示唆もせず」と判断したことは、この点においても誤りである。
4 取消事由4(引用例1、2記載の考案に引用例4記載の考案を適用することについての判断の誤り) 審決は、引用例1、2記載の考案に引用例4記載の考案を適用することについて、「甲第1号証および甲第2号証(注、引用例1、2)に記載された考案、すなわちポケットコンピュータにおけるコード変換・表示に係る技術に甲第4号証(注、引用例4)に記載された考案を適用する必然性はないばかりでなく、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に甲第4号証に記載された考案を単に適用しても、本件考案の文字・数字変換装置が得られるというものでもない」(審決書16頁15行〜17頁2行)と判断したが、引用例4に「産業上の利用分野」として、「本発明は電話回線を通してポケット・ベルにメッセージを送信可能な機器に関するものである」(甲第4号証1頁左下欄18〜19行)との記載があるように、引用例4記載の考案がポケットベルと密接な関係を有することは明白であり、
また、引用例1、2記載のポケットコンピュータの製造会社(シャープ株式会社)は、ポケットベルも製造しているから、ポケットコンピュータとポケットベルは産業上の分野が共通しているものであって、引用例1、2記載の考案に引用例4記載の考案を適用することには十分な必然性がある。
さらに、「引用例1、2記載の考案に引用例4記載の考案を適用しても、本件考案の文字・数字変換装置が得られるというものでもない」との判断は、本件考案の構成要件の解釈を上記取消事由1のように誤ったことによるものであって、該判断も誤りである。
被告の反論の要点
審決の認定・判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
1 取消事由1(本件考案の技術内容の誤認)について 原告は、審決が、本件考案の「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」との構成要件につき、「ポケットベルに表示される数字の桁数以上の数字を入力できることを意味するものではなく、ポケットベルに表示される数字の桁数を最大限とした桁数の数字を入力できることを意味する」と認定したこと、また、本件考案の「1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部」との構成要件につき、「その『文字と数字の対応関係』は、文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係であり、『記憶部』はその対応関係を記憶するものである」と認定したことが、いずれも誤りであると主張するが、本件考案の要旨の規定と本件明細書(甲第13号証)の図1(A)及び「課題を解決するための手段」(同号証3欄6〜15行)の記載を併せ考えれば、審決の各認定に誤りのないことは明白であり、原告の上記主張は理由がない。
2 取消事由2(本件考案と引用例1、2記載の考案との対比判断の誤り)について 原告は、審決が、本件考案と引用例1、2記載の考案との対比において、
「甲第1号証及び甲第2号証(注、引用例1、2)に記載された考案は、プログラムを入力することにより文字や記号、数字などをキャラクタコードに変換、表示でき、またその逆に変換、表示できるものであるが、その変換におけるキャラクタコードがアスキーコードやJISコードであるポケットコンピュータに関するものであって、ポケットベルとは何ら関係を有するものではなく、また、プログラムにおける1つのラインの長さをリターンキーを除いて最大254命令(または最大254バイト)までの長さにすることができるものであるから、本件考案の構成要件である『ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部』及び『1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部』を有しているということはできない」と判断したことが誤りであると主張するが、上記判断に誤りはなく、原告の主張は理由がない。
3 取消事由3(本件考案と引用例4記載の考案との対比判断の誤り)について 原告は、審決が、本件考案と引用例4記載の考案との対比において、「甲第4号証(注、引用例4)に記載された考案は、・・・その送信コードの送信により相手側のポケットベルにそれに対応する数字がそのまま表示されることを明示しておらず、『ポケットベルに表示される数字』の存在は明らかでない・・・甲第4号証に記載された考案は、ポケットベルに表示される数字との関係について開示も示唆もせず、本件考案の構成要件である『ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部』及び『入力された数字・文字および変換された文字・数字を表示する表示部』を有するということはできない」と判断したことが誤りであると主張するが、上記判断に誤りはなく、原告の主張は理由がない。
4 取消事由4(引用例1、2記載の考案に引用例4記載の考案を適用することについての判断の誤り)について 原告は、審決が、引用例1、2記載の考案に引用例4記載の考案を適用することについて、「甲第1号証および甲第2号証(注、引用例1、2)に記載された考案、すなわちポケットコンピュータにおけるコード変換・表示に係る技術に甲第4号証(注、引用例4)に記載された考案を適用する必然性はないばかりでなく、
甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に甲第4号証に記載された考案を単に適用しても、本件考案の文字・数字変換装置が得られるというものでもない」と判断したことが誤りであると主張するが、引用例1、2及び4の詳細な検討に基づく上記判断に誤りはなく、原告の主張は理由がない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(本件考案の技術内容の誤認)について (1) 原告は、本件考案の「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」との構成要件につき、「できる」との文言が「可能だ」、
「・・・する能力又は権利がある」との意味であることを理由として、審決のした「ポケットベルに表示される数字の桁数以上の数字を入力できることを意味するものではなく、ポケットベルに表示される数字の桁数を最大限とした桁数の数字を入力できることを意味する」との認定が誤りであり、「少なくともポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力することが可能である」との意味に解釈されるべきものであると主張する。
しかしながら、「できる」との文言が原告主張の意味であることを前提としても、前示構成要件の文言は、ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を「入力することが可能である」又は「入力する能力がある」との意味を表すに止まり、直ちに、「少なくとも」ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力することが可能であるとの意味になるということはできないし、広辞苑第5版(甲第15号証)掲記の「できる」の他の語義を参酌しても、この点に変わりはない。
すなわち、前示構成要件は、「数字入力部」が、ポケットベルに表示される数字(ポケットベルへの情報伝達のために一般的に電話を用いてポケットベルに入力され、その表示部おいて表示される数字)と同一の桁数以下の数字の入力が可能であることを示しているのみであって(ポケットベルに表示される数字と同一の桁数の数字の入力が可能である以上、それ未満の桁数の数字の入力が可能であることは技術常識上明らかといえる。)、それを超える桁数の数字の入力が可能であるかどうかは、前示構成要件の規定それ自体によっては、一義的に明確であるとはいえないものと解すべきである。そこで、本件明細書(甲第13号証)の考案の詳細な説明を参酌するに、「現時点でポケットベルに伝送表示される文字が12字である」(同号証3欄39〜40行、なお、この記載の「文字」は「数字」の誤記であると認められる。)、「ポケットベルを携帯する人は、『712544173496』が『AニテマツX』であること簡単に認識する。2回、3回と発信を繰り返せば、更に多くの文字情報を伝達することができる。」(同4欄29〜32行)との各記載がある反面、ポケットベルに表示される数字と同じ桁数を超える桁数の数字を入力すること自体についても、その場合に当該超える部分の桁数の数字の表示をどのようにするか等、これに付随する問題についても記載がないことが認められるのであって、そうであれば、前示構成要件の規定は、ポケットベルに表示される数字(ポケットベルへの情報伝達のために一般的に電話を用いてポケットベルに入力され、その表示部おいて表示される数字)の桁数を最大限とした桁数の数字を入力できる数字入力部を意味するものであって、ポケットベルに表示される数字と同じ桁数を超える桁数の数字の入力はできないものと解するのが相当である。
したがって、審決の前示認定に原告主張の誤りはない。
(2) 原告は、本件考案の「1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部」との構成要件につき、該「記憶部」がポケットベルと有機的な関係を有することが規定されてはいないとして、審決のした「その『文字と数字の対応関係』は、文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係であり、『記憶部』はその対応関係を記憶するものである」との認定が誤りであると主張する。
しかしながら、前示「記憶部」に係る構成要件自体にはポケットベルとの関係を示す規定がないものの、該構成要件の内容をなす「数字」及び「文字」については、前示本件考案の要旨において「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」、「その数字の半数の文字を入力できる文字入力部」とされているから、該構成要件の内容をなす「数字」及び「文字」が、ポケットベルに表示される数字によって、直接に又は間接的に規定されるものであることが明らかである。そして、そうであれば、前示「記憶部」に係る構成要件における「文字と数字の対応関係」についても、このことを前提とすべきものであるから、
審決の前示「その『文字と数字の対応関係』は、文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係であり、『記憶部』はその対応関係を記憶するものである」(「文字と数字の対応関係」の意味するところが、数字が文字と対応し、該文字を化体してポケットベルに伝達・表示されるような文字と数字との間で、予め定められている対応関係ということであり、「記憶部」はそのような対応関係を記憶するものである、
との趣旨と認められる。)との認定に、原告主張の誤りがあるということはできない。
2 取消事由2(本件考案と引用例1、2記載の考案との対比判断の誤り)について (1) 原告は、本件考案と引用例1、2記載の考案との対比において、審決がした「甲第1号証及び甲第2号証(注、引用例1、2)に記載された考案は、・・・本件考案の構成要件である『ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部』及び『1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部』を有しているということはできない」との判断が誤りであると主張する。
(2) しかしながら、シャープ株式会社製のポケットコンピュータPC-E500、PC-E550に添付されている「取扱説明書」及び「BASICリファレンスマニュアル」の各抜粋である引用例1、2(甲第1、第2号証、なお、甲第3号証によれば、引用例1、2は、遅くとも平成2年8月中には日本国内において頒布されたことが推認される。)には、ポケットベルに関する記載は全くないのみならず、引用例1に、該ポケットコンピュータにおいて、プログラムの入力の際の「1つのラインの長さはリターンキーを除いて、最大254キー命令(または最大254バイト)までの長さにすることができること」(審決書6頁7〜10行)が記載されていることは当事者間に争いがないから、引用例1、2記載の考案が、本件考案の構成要件である「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」(この構成要件が、「ポケットベルに表示される数字の桁数を最大限とした桁数の数字を入力できること」の意味であることは、前示1の(1)のとおりである。)を有していないことは明らかであって、該構成要件に係る審決の前示判断に原告主張の誤りはない。
(3) 他方、引用例2(甲第2号証)には、「文字、数字、記号など(これらを総称してキャラクタといいます)を計算機が記憶したり、処理したりする場合は、
すべて計算機が取り扱いやすい数値に変換します。たとえばアルファベットのAは、計算機内では65(10進数)という数値(コード)になっています。・・・同様にBは66、Cは67というようにコードを決めています。このコードの決めかたに何種類かあって、代表的なものにアスキーコード(ASCII code)とJISコードがあります。本機ではJISコードを元にして作成されたキャラクタとそのコードを使用しています。(取扱説明書の付録 ゛キャラクタ・コード表"の項参照)」(同号証13頁「参考」欄)との記載があり、この記載と該「取扱説明書」すなわち引用例1に掲載されたキャラクタ・コード表(甲第1号証200頁)とによれば、引用例1、2記載の考案(シャープ株式会社製ポケットコンピュータPC-E500、PC-E550)において、記憶したり、処理したりする場合に、1つの文字(キャラクタ)が2桁の数字(コード)に変換して用いられること、及びその1文字(キャラクタ)と2桁の数字(コード)との対応関係が該キャラクタ・コード表に示されていることが認められる。そして、コンピュータの基本処理は、制御、記憶、演算であることを考慮すると、該キャラクタコード表掲記の1文字と2桁の数字との対応関係が、引用例1、2記載の考案の記憶部に記憶されていることは自明であるというべきである。
したがって、引用例1、2記載の考案は、1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部を有しているものと認められる。
しかしながら、本件考案の「1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部」との構成要件に係る「文字と数字の対応関係」が、「文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係」を意味するものであり、「記憶部」がその対応関係を記憶するものであることは、前示1の(2)のとおりであるところ、引用例1、2(甲第1、第2号証)には、そこに記載された考案における「文字と数字の対応関係」が、そのようなポケットベルと関係した対応関係であることについては何らの記載もなく、したがって、引用例1、2記載の考案における「記憶部」が、そのようなポケットベルと関係した文字と数字の対応関係を記憶するものであることを認めることもできないというべきである。
なお、この点につき、原告は、引用例1、2に記載された技術が、本件考案と産業上の利用分野を共通にし、また、ポケットベルと技術的関連性を有するものであることを根拠として、引用例1、2記載の考案が、ポケットベルとは何ら関係を有するものではないとすることはできないと主張するが、仮に、引用例1、2に記載された技術が、本件考案と産業上の利用分野を共通にし、ポケットベルと技術的関連性を有するものであるとしても、引用例1、2記載の考案における1文字と2桁の数字の対応関係が、本件考案と同様の「文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係」となるものではないから、原告の該主張も採用することはできない。
したがって、結局、引用例1、2記載の考案が、本件考案の構成要件である「1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部」を有しているということはできないのであって、審決のした前示「甲第1号証及び甲第2号証(注、引用例1、2)に記載された考案は、・・・本件考案の構成要件である・・・『1つの文字を2つの数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部』を有しているということはできない」との判断自体に、原告主張の誤りがあるとすることはできない。
3 取消事由3(本件考案と引用例4記載の考案との対比判断の誤り) (1) 原告は、審決のした「甲第4号証(注、引用例4)に記載された考案は、・・・その送信コードの送信により相手側のポケットベルにそれに対応する数字がそのまま表示されることを明示しておらず、『ポケットベルに表示される数字』の存在は明らかでない。・・・甲第4号証に記載された考案は、ポケットベルに表示される数字との関係について開示も示唆もせず、本件考案の構成要件である『ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部』及び『入力された数字・文字および変換された文字・数字を表示する表示部』を有するということはできない」との判断が誤りであると主張し、その根拠として、まず、
本件考案の要旨が「『ポケットベルに表示される数字』の存在」について規定するものではないと主張するが、前示本件考案の要旨が「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」を規定していることは明白であるから、原告の該主張は失当であり、かかる根拠をもってしては、前示審決の判断が誤りであるとすることはできない(仮に、原告の該主張が「存在」との文言の有無に着目するものであるとしても、前示審決の判断において「『ポケットベルに表示される数字』の存在は明らかでない。」とされたのが、引用例4記載の考案が「ポケットベルに表示される数字」を要件の一つとする構成を備えるものであるかどうか明らかでないとの趣旨であることは明白であり、そうすると、同様の趣旨において、「ポケットベルに表示される数字」を要件の一つとする構成であることが明らかな本件考案は、「ポケットベルに表示される数字」が存在するというべきであり、したがって、原告の前示根拠としての主張はいずれにせよ失当である。)。
(2) また、引用例4記載の考案が、「ポケットベルにメッセージを送信する場合に使用され、入力される文字を送信コードに変換して送信する電子機器」(審決書15頁7〜10行)であることは、当事者間に争いがないが、その送信を受けた受信側における処理に関する具体的な記載は、引用例4(甲第4号証)に見当たらないから、前示審決の認定のとおり、引用例4が「送信コードの送信により相手側のポケットベルにそれに対応する数字(注、ポケットベルへの情報伝達のために一般的に電話を用いて入力される数字であって、送信コードと一定の対応関係をもつと認められるもの)がそのまま表示されることを明示して」(同頁16〜18行)いないことも明らかである。
しかしながら、本件考案の構成要件である「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」が、ポケットベルに表示される数字(ポケットベルへの情報伝達のために一般的に電話を用いてポケットベルに入力され、その表示部おいて表示される数字)の桁数を最大限とした桁数の数字を入力できる数字入力部を意味することは前示1の(1)のとおりであり、そうすると、前示「ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部」との構成要件における「ポケットベルに表示される数字」は、数字入力部に入力表示が可能な数字の桁数を限定するための要件であり、送信コードの送信により相手側のポケットベルにそのコードに係る数字をそのまま表示させることは、該構成要件自体が直接規定するところではなく、また、本件考案の要旨のその他の部分も、かかる規定をしているものと認めることはできない。
しかるところ、引用例4(甲第4号証)には、「文字を入力する入力手段と、入力された文字をコードに変換する変換手段と、該変換手段により変換されたコードを送信する送信手段と、前記変換手段により変換されたコードの数を計数する計数手段と、前記入力手段に対する文字の入力毎に、前記変換手段による変換を行ない、前記計数手段による計数を行うように制御する制御手段と、前記計数手段による計数結果を更新表示する表示手段とを有することを特徴とする電子機器」(同号証特許請求の範囲)の考案が記載されており、その「発明の詳細な説明」には、「従来の技術」として、「従来、電話回線を通して携帯のポケットベルにメッセージを送信する方法としては、メッセージを各社で定められたポケットベルのコード対応表に従い1文字又は単語毎にコード変換したり・・・する作業を、・・・使用者が対応表を参照しながら自らコード変換するようになっている。」(同号証1頁右下欄1〜8行)との、「発明が解決しようとしている課題」として、「使用者自身による変換は、コード表を参照して文字とコード番号との対応を手作業で行う煩わしさに加えて、送信できるコード数などの制約も考慮する必要があり、変換したコードの正誤を確認する手段もない。」(同頁16〜20行)との、「発明の効果」として、「携帯型のデータバンクに入力したメッセージ文・・・をポケットベルのコード番号に変換する機能に加えて、入力毎に変換したコード数をカウントし、ポケットベルの送信可能なコード数の制約を越えない様にチェックするための表示を行う機能を付加する事により、使用者が・・・最適のメッセージを作成できるという効果がある。また、携帯可能な事から、外出先の任意の場所で、メッセージをコード表なしで作成でき、・・・操作性が大幅に向上する」(同2頁右下欄末行〜3頁左上欄14行)との各記載があるほか、実施例として、「モード切替のキー・スイッチの押下により、メッセージ・モードになり、文字表示部はクリアされ左端桁にカーソルが来てメッセージ入力待ち状態となり、数字表示部は入力されたコードをカウントしている。ここではカナ入力モードとなっており、カナ入力モード切替コード『*05』がコード・バッファに入力されているので既にこの切替コード分の『2』がカウントされている。続けて、カナ入力を行なう毎に『2』ずつ加算され、『オクレマス』の入力により切替コードと合わせて『12』がカウントされ、送信可能な制限値が『12』の時、これ以上は入力が無視される。入力訂正したい時は語尾から削除する事により、数値は『2』ずつカウント・ダウンされる。」(同2頁左下欄3〜16行)、「加算結果が制限値以内の間は、文字コードを表示バッファに入力し、文字表示部に表示させ、続いてコード対応表に従い送信コードに変換し、コード・バッファに入力する。最後に送信キー操作により、コード・バッファの内容を、スピーカ部を通して音信号として電話の送話口から送信する。」(同右下欄1〜8行)との各記載がある。
しかして、前示各記載において、送信コードとポケットベルに表示される数字(ポケットベルへの情報伝達のために一般的に電話を用いてポケットベルに入力され、その表示部おいて表示される数字)との関係については明示の記載はないが、一般にコードが数字をもって表されることは技術常識であり、前示各記載のうちの「コード番号」との表現によっても、引用例4記載の考案における送信コードが数字からなることが認められ、さらに、前示各記載によれば、その送信コードは、電話回線を通して携帯のポケットベルにメッセージを送信する際に、各社で定められたポケットベルのコード対応表に従い、1文字又は単語毎にポケットベルのコード番号と対応させてコード変換し、電話を用いて音信号としてポケットベルに送信するものであり、ポケットベルへの送信可能なコード数(コードが数字をもって表現されるから、その桁数ということができる。)に制限があって、その制限の例としては12桁である場合が挙げられることが認められる。そうすると、そのような「ポケットベルのコード」(送信コード)とは、ポケットベルへの情報伝達のために一般的に電話を用いてポケットベルに入力され、その表示部おいて表示される数字、すなわち、「ポケットベルに表示される数字」そのものにほかならないことがたやすく推認されるから、結局、引用例4には、かかる「ポケットベルに表示される数字」につき、ポケットベルに入力表示が可能なその桁数が、そこに記載された考案の構成要素であることが記載されているものと認められる。
したがって、審決のした前示「甲第4号証(注、引用例4)に記載された考案は、・・・その送信コードの送信により相手側のポケットベルにそれに対応する数字がそのまま表示されることを明示しておらず、『ポケットベルに表示される数字』の存在は明らかでない。」、「甲第4号証に記載された考案は、ポケットベルに表示される数字との関係について開示も示唆もせず、」との各認定は誤りというべきである。
また、前示認定の引用例4の各記載によれば、引用例4記載の考案が、そこに入力された文字を表示させる「文字表示部」を有することは明白であるから、
審決のした前示「甲第4号証に記載された考案は、・・・『入力された数字・文字および変換された文字・数字を表示する表示部』を有するということはできない」との判断のうちの、「入力された文字を表示する表示部」に係る部分も誤りである。
しかしながら、引用例4(甲第4号証)には、そこに記載された考案について、ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる「数字入力部」、並びに入力された数字及び変換された文字・数字を表示する「表示部」ついての記載はないから、審決のした前示「甲第4号証に記載された考案は、・・・『ポケットベルに表示される数字と同じ桁数の数字を入力できる数字入力部』・・・を有するということはできない」との判断に誤りはなく、また、「甲第4号証に記載された考案は、・・・『入力された数字・文字および変換された文字・数字を表示する表示部』を有するということはできない」との判断のうちの、
「入力された文字を表示する表示部」に係る部分以外の部分も誤りがない。
4 取消事由4(引用例1、2記載の考案に引用例4記載の考案を適用することについての判断の誤り)について 進んで、審決の表記判断の当否を検討し、前示審決の認定判断の誤りが、審決の結論に影響を及ぼすものであるかどうかを審按する。
(1) 前示3の(2)で認定した引用例4の各記載と引用例4(甲第4号証)の図面第1図の表示によれば、引用例4記載の考案は、電話回線を通して携帯のポケットベルにメッセージを送信する方法として、使用者自らがメッセージを各社で定められたポケットベルのコード対応表に従ってコード変換する従来技術における、それを手作業で行う煩わしさ等の問題を解決することを課題とし、文字とコードとを対応させたコード変換を計算機(CPU)を用いて行うことをその解決手段とした考案であることが認められる。他方、前示2の(3)で認定した引用例2の「文字、数字、記号など(これらを総称してキャラクタといいます)を計算機が記憶したり、
処理したりする場合は、すべて計算機が取り扱いやすい数値に変換します。たとえばアルファベットのAは、計算機内では65(10進数)という数値(コード)になっています。・・・同様にBは66、Cは67というようにコードを決めています。」との記載によれば、引用例1、2記載の考案が、計算機において文字とコードとを対応させた変換処理をするものであることが認められる。したがって、両者は、文字とコードとを対応させた変換処理を計算機によって行うという技術手段において共通性を有していることが明らかであるところ、引用例4記載の考案におけるような課題の解決手段を構成するに当たって、引用例1、2記載の考案に係る変換処理の手段の適用を考慮することは、技術開発において至極当然のことであるというべきである。
そうすると、審決が、「甲第1号証および甲第2号証(注、引用例1、
2)に記載された考案、すなわちポケットコンピュータにおけるコード変換・表示に係る技術に甲第4号証(注、引用例4)に記載された考案を適用する必然性はない」と判断したことは誤りであるといわざるを得ない(なお、刊行物に記載された公知の考案が二つある場合に、いずれの考案に係る刊行物を、いわゆる主たる引用例とするかは、単なる判断方法の問題であって、ある考案が、当該二つの公知の考案との関係で進歩性を有するか否かの判断として、別異のものであるということはできない。)。
(2) 前示3の(2)のとおり、引用例4記載の考案の「送信コード」が、「ポケットベルに表示される数字」そのものであって、該数字がポケットベルに入力表示が可能な桁数に制限されていること、及び引用例4記載の考案が入力された文字を表示させる「文字表示部」を有することに加え、前示3の(2)で認定した引用例4の特許請求の範囲の記載、発明の詳細な説明の記載及び図面第1〜第3図の表示を併せ考えれば、引用例4記載の考案が、ポケットベルに表示される数字の半数の文字を入力できる文字入力部、1つの文字を2桁の数字に対応させて文字と数字の対応関係を記憶する記憶部(その「文字と数字の対応関係」は、文字情報を表するものとして数字がポケットベルに伝達・表示されるものにおいて予め決められている文字と数字の対応関係であり、「記憶部」はその対応関係を記憶するものであること)、入力された文字を前記対応関係に基づいて対応する数字に変換する変換部と、入力された文字を表示する表示部とを有する携帯式の文字・数字変換装置であることが認められる。
しかるところ、引用例2(甲第2号証)の「CHR$」命令に関する説明(同号証21頁)においては、引用例1、2記載の考案において、数字(コード)を入力して文字(キャラクタ)に変換することが記載されており、掲記のプログラムは、入力された数字(コード)及び変換された文字(キャラクタ)を表示部に表示させるものであるから、同考案が数字を入力できる数字入力部と、入力された数字及び変換された文字を表示する表示部とを有する構成であることが認められる(なお、数字(コード)について、ポケットベルに入力表示が可能な桁数との制限があることは、前示のとおり、引用例4記載の考案の構成とされている。)。
また、引用例2(甲第2号証)の「ASC」命令に関する説明(同号証13頁)においては、引用例1、2記載の考案において文字(キャラクタ)を入力して数字(コード)に変換することが記載されており、掲記のプログラムは、入力された文字(キャラクタ)及び変換された数字(コード)を表示部に表示させるものであるから、同考案が変換された数字を表示する表示部を有することが認められる。
そして、携帯式の文字・数字変換装置を「ポケットベルと共に持ち運ぶことができる」ことが、単なる設計事項の範囲であることは明白である。
そうすると、審決が、「甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に甲第4号証に記載された考案を単に適用しても、本件考案の文字・数字変換装置が得られるというものでもない」と判断したことは、誤りであるといわざるを得ない。
(3) したがって、審決は、引用例4記載の考案の認定を誤った結果、本願考案が、引用例1、2記載の考案と引用例4記載の考案とから、極めて容易に考案することができたものであるかどうかについての判断を誤ったものであるから、この点につき、その適用が極めて容易であるかどうかを含めて再度審理する必要があるというべきである。
5 以上によれば、原告の本訴請求は理由があるので、これを認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 田中康久
裁判官 石原直樹
裁判官 清水節
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