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関連審決 審判1994-18053
関連ワード 考案 /  図面 /  構造 /  補正 /  進歩性(3条2項) /  一致点の認定 /  相違点の判断 /  手続違反 /  実施例 /  明細書 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 11年 (行ケ) 97号 審決取消請求事件
原告 立山アルミニウム工業株式会社代表者代表取締役 【A】
訴訟代理人弁護士 森田政明
訴訟代理人弁理士 【B】
被告 特許庁長官【C】
指定代理人 【D】
同 【E】
同 【F】
同 【G】
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2000/02/22
権利種別 実用新案権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が平成6年審判第18053号事件について平成11年2月19日にした審決を取り消す。
前提となる事実(当事者間に争いのない事実)
1 特許庁における手続の経緯 原告は、昭和62年3月4日、考案の名称を「複合窓サッシの構造」とする考案(以下「本願考案」という。)について実用新案登録出願(実願昭62-31720号)をしたが、平成6年9月9日拒絶査定を受けたので、同年10月31日拒絶査定不服の審判の請求をした。
特許庁は、この請求を平成6年審判第18053号事件として審理し、平成7年11月1日、本願考案につき出願公告(実公平7-47588号)をしたが、登録異議の申立てがあり、平成11年2月19日、異議の申立ては理由がある旨の決定と共に、本件審判の請求は成り立たない旨の審決をし、その謄本は、同年3月8日原告に送達された。
2 本願考案の要旨(本願実用新案登録請求の範囲の記載) 任意の窓サッシを連結する半外付け窓構造であって、方立材を2分割し、一方の分割方立材を左右に対峙する窓サッシの対向する縦枠の前部に、そして他方をこれら縦枠の後部に嵌め込み連結する複合窓サッシにおいて、
前記方立材1のうち前部の分割方立材1aは、その室外側に室外側向き開口の溝部13を備えるとともに室内側には左右方向へ突出する突片1e,1eを備え、更に非平行一対の側壁1f,1fと、該側壁1f,1fを連結する、室外側又は室内側に設けられた連結壁1gとで中空部1hを形成し、
前記縦枠2,2は、少なくとも室外側に前記溝部13と係合する室内側向きの折曲片25aと、室内側には前記方立材1の側へ突出する係止片23を備え、
更に、前記それぞれの縦枠2,2と前記分割方立材1aは、縦枠の前記折曲片25aが分割方立材の前記溝部13と係合し、前記突片1eからねじを挿通して前記係止片23と螺着し、前記対向する縦枠2,2を前記中空部1hを挟んで非平行に設けるとともに、後部の分割方立材1bで前記突片1e及び係止片23の螺着部を室内側から遮蔽したことを特徴とする複合窓サッシの構造
3 審決の理由 審決の理由は、別紙審決書の理由(以下「審決書」という。)に記載のとおりであり、審決は、本願考案は引用例1(実願昭60-19145号(実開昭61-136073号公報)のマイクロフィルム)及び引用例2(特開昭61-162691号公報)に記載された事項に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるから、本願考案は、実用新案法3条2項の規定に該当し、実用新案登録を受けることができない旨判断した。
審決の取消事由
1 審決の認否 (1) 審決の理由T(審決書2頁2行ないし3頁9行。手続の経緯及び本願考案の要旨)は認める。
(2) 同U(引用例の記載事項)中、引用例1についての認定(審決書3頁10行ないし8頁1行)のうち、3頁10行ないし6頁12行は認め、6頁13行ないし18行は争い、6頁末行ないし8頁1行のうち、6頁末行の「分割方立」及び7頁13行、14行の「分割方立」は争い、その余は認める。
引用例2についての認定(審決書8頁3行ないし10頁11行)は認める。
(3) 同V(審決書10頁12行ないし12頁13行。本願考案と引用例1との比較)のうち、相違点1ないし3の認定(審決書12頁4行ないし13行)は認め(ただし、相違点1については、両者が全く異なることは明らかである。)、その余は争う。
(4) 同W(審決書12頁15行ないし14頁16行。相違点、効果についての判断)のうち、本願考案の効果は、「引用例1の考案のものと比較して格別であるということもできない。」(審決書14頁15行、16行)は争い、その余は認める。
(5) 同X(審決書14頁17行ないし15頁2行。まとめ)は争う。
2 取消事由 審決は、審判手続違反があり(取消事由1)、かつ、一致点の認定を誤った結果、本願考案進歩性の判断を誤ったものであるから(取消事由2)、違法なものとして取り消されるべきである。
(1) 取消事由1(審判手続違反) ア(ア) 原告は、平成6年10月31日、弁理士に委任することなく、自ら本件拒絶査定不服の審判を請求したが、同年11月30日、その手続の追行を弁理士に委任し、その旨を特許庁に届け出た。
その後の審判官からの補正の慫慂は、代理人である弁理士あてにされ、審判官への補正案の提示、審判官との面接手交、手続補正書の提出一切も代理人が行った。
ところが、その後の出願公告決定の通知(出願公告公報(甲第5号証)にも代理人である弁理士の住所氏名が欠落していた。)、異議申立書副本の送付、異議決定、審決の送達は、いずれも審判請求人である原告へ直接され、代理人に対してはされなかった。
(イ) 異議申立書の副本については、原告本店の総務部がこれを受領して特許担当者に回送したが、特許担当者は当該副本が代理人にも送付されているものと考え、そのままにしておいて問題ないと判断し、直ちに担当案件から外した。そのため、原告は、異議申立てに対する反論書を提出することができなかった。
イ 以上のように、本件審判手続においては、弁理士が代理人として審判手続を追行していたにもかかわらず、出願公告決定の通知書及び登録異議申立書の副本を審判請求人である原告へ直送したため、原告は異議申立てに対する反論書を提出することができなかったものであり、本件審判手続は、適正な告知・聴聞の機会が付与されないでされたものであるから、違法なものとして取り消されるべきである。
(2) 取消事由2(一致点の認定の誤り) 審決の本願考案と引用例のものとの一致点の認定(審決書11頁3行ないし12頁3行)は誤りであり、その結果本願考案進歩性の判断を誤ったものである。
ア 本願考案においては、窓サッシ同士を前部のみならず、後部の分割方立材をも用いて連結するものである。また、本願考案における窓サッシ同士の連結は、方立材のみでされるものである。
イ この点は、本願考案の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明のいずれにおいても、明確に記載されている。
(ア) すなわち、本願考案の実用新案登録請求の範囲には、「任意の窓サッシを連結する半外付け窓構造であって、方立材を2分割し、一方の分割方立材を左右に対峙する窓サッシの対向する縦枠の前部に、そして他方をこれら縦枠の後部に嵌め込み連結する複合窓サッシにおいて、」と前部及び後部の分割方立材で連結することを明らかにしている。
また、本願公告公報の考案の詳細な説明及び図面には、螺着の態様で堅固に結合しているものが表されている。
(イ) 本願考案における「窓サッシ」とは、「この連窓サッシは、上下枠3,4及び左右縦枠2,2で形成した引違窓、はめ殺し窓、回転窓など各種の窓サッシを半外付サッシで構成するとともに、それら半外付け窓サッシの中から二組以上の窓サッシを選択して、各窓サッシを方立材1で連結してなる複合窓サッシであって、」(甲第5号証3欄32行ないし36行)と記載されているように、上下左右縦枠を組み立てて形成され、独立(それ自体が完成品)でかつ単独(ひとまとまり)の窓用サッシを意味する。このように、本願考案における窓サッシ同士の連結は、基本的に方立材のみにてされ、連結後の窓サッシ(複合窓サッシ)は、本願公告公報の第6図に示されるように、1つのユニット化されたサッシとして構成される。
イ これに対し、引用例1のものは、本願考案の後部の分割方立材に相当する部材がない。
しかも、引用例1のものは、「方立61」を備えた額縁状部材の内部に窓サッシを収納・保持するものであって、「方立61」はこれ単独では左右の窓サッシを連結する機能がない。
審決の取消事由に対する認否及び反論
1 認否 原告主張の取消事由のうち、(1)アの事実は明らかに争わず、その余は争う。
2 反論 (1) 取消事由1(審判手続違反)について 原告は、本件審判手続において、審判請求人本人に対して審判書類の送付・送達を行ったことは不適法である旨主張するが、手続能力のある当事者本人に対して、
審判書類を送付・送達することにより、法的効果に何ら不都合を生じるものではなく、原告の主張は失当である。
(2) 取消事由2(一致点の認定の誤り)について ア 原告は、本願考案においては、窓サッシ同士を前部のみならず後部の分割方立材をも用いて連結するものである旨主張する。
しかしながら、本願考案の実用新案登録請求の範囲には、左右に対峙する窓サッシを方立を介して連結するに際し、一方(前部)の分割方立材を窓サッシの対向する縦枠の前部に配置して連結する点、及び他方(後部)の分割方立材をこれら縦枠の後部に嵌め込み遮蔽する点が明確に記載され、考案の詳細な説明の欄にも、「左右縦枠と方立材との連結は二分割した方立材の前部の分割方立材でなされ、後部の分割方立材はその連結部位を室内側から遮蔽する役割を担う。」(甲第5号証5欄13行ないし16行)、「方立材1の役割及び用い方について説明すると、方立材1は一対の縦枠2,2を連結する部材であって、・・・基本的にはこの前部の分割方立材1aによって左右の縦枠2,2が連結され、そして、後部の分割方立材1bはこの連結部を室内側から遮蔽するものである。」(同5欄25行ないし32行)、「後部の分割方立材1bは、前記突片1e及び係止片23の螺着部を室内側から遮蔽する。実施例では、ねじ孔1dにねじ9dを挿通して螺着している。」(同6欄13行ないし15行)と記載されている。
したがって、本願考案においては、方立を2分割することにより、実質的な方立材は、これにより窓サッシを連結する前部の分割方立材であり、方立材の位置にある見かけ上の方立材を後部の分割方立材と名付けたにすぎず、原告の上記主張は失当である。
イ また、原告は、本願考案では窓サッシと窓サッシを前後の分割方立材で連結するのに対して、引用例1では、窓サッシを額縁状部材に収納・保持して連結し、方立材単独で窓サッシを連結するものではない旨主張する。
(ア) しかしながら、本願考案における窓サッシ同士の連結が方立材のみでされることについては、本願考案の実用新案登録請求の範囲、詳細な説明のいずれにも記載又は示唆がなく、この点の原告の主張は、実用新案登録請求の記載に基づかない主張であり、失当である。
(イ) さらに、サッシ枠を直接建物開口部に取り付けるか、あるいは、引用例1のように上捨枠等の部材を介して取り付けるかは、当業者が適宜なし得る単なる設計上の問題にすぎない。引用例1では、建物開口部の内壁8との結合の便を考慮して上捨枠、竪捨枠、下枠受板を追加的に備え、方立61とで額縁状部材を構成しているが、サッシ枠同士の連結固定は、方立61を介して左右のサッシ枠の竪枠を引き付けてなされるものである。そして、審決が引用したのは、引用例1のサッシ枠同士の連結に関してであって、連結されたサッシ枠と建物開口部との取付構造に関してではないから、この点の審決の認定に誤りはない。
理 由1 取消事由1(審判手続違反)について 原告は、平成6年10月31日、弁理士に委任することなく、自ら拒絶査定不服の審判を請求したが、同年11月30日、その手続の追行を弁理士に委任し、その旨の特許庁に届け出たこと、その後、審判官から補正の慫慂が代理人である弁理士あてにされ、審判官への補正案の提示、審判官との面接手交、手続補正書の提出一切を代理人が行ったこと、ところが、その後の出願公告決定の通知(出願公告公報(甲第5号証)にも代理人である弁理士の住所氏名が欠落していた。)、異議申立ての提起による副本の送付、異議決定、審決の送達は、いずれも審判請求人である原告へ直接され、代理人に対してはされなかったこと、異議申立書の副本については、原告本店の総務部がこれを受領して特許担当者に回送したが、特許担当者は当該副本が代理人にも送付されているものと考え、そのままにしておいて問題ないと判断し、直ちに担当案件から外したため、原告は異議申立てに対する反論書を提出することができなかったことは、当事者間に争いがない。
しかしながら、弁理士を審判手続の代理人として選任したことにより、本人の手続能力が制限を受けるものでなく、また、異議申立書副本の送付等を受けた原告の特許事務担当者右にとっては、手続を依頼した弁理士に特許庁から異議申立書等が送付されたか否かを確認し、あるいは原告に直送されたことを伝えて、異議申立てに対する反論の提出等がされたか否かを確認することは、容易になし得たものである。したがって、異議申立書副本の送付等を審判請求人である原告に対し行うことは、代理人が選任されている以上、相当でない取扱いである(弁論の全趣旨によれば、上記異議申立書副本の送付等が審判請求人である原告に対してされ、代理人に対してされなかったのは、特許庁における事務処理上の過ちによるものと認められる。)が、違法性があるとまではいえないから、審決を取り消すべき手続違反があったものとすることはできず、原告主張の取消事由1は理由がない。
2 取消事由2(一致点の認定の誤り)について (1) 原告は、本願考案においては、窓サッシ同士を前部のみならず後部の分割方立材をも用いて連結するものである旨主張する。
しかしながら、前記のとおり、本願考案の実用新案登録請求の範囲の記載は、
「一方の分割方立材を左右に対峙する窓サッシの対向する縦枠の前部に、そして他方をこれら縦枠の後部に嵌め込み連結する・・・前記分割方立材1aは、縦枠の前記折曲片25aが分割方立材の前記溝部13と係合し、前記突片1eからねじを挿通して前記係止片23と螺着し、・・・後部の分割方立材1bで前記突片1e及び係止片23の螺着部を室内側から遮蔽したことを特徴とする複合窓サッシの構造。」というものである。
さらに、甲第5号証によれば、本願考案の出願公告時の明細書には、「左右縦枠と方立材との連結は二分割した方立材の前部の分割方立材でなされ、後部の分割方立材はその連結部位を室内側から遮蔽する役割を担う。」(5欄13行ないし16行)、「方立材1の役割及び用い方について説明すると、方立材1は一対の縦枠2,2を連結する部材であって、・・・基本的にはこの前部の分割方立材1aによって左右の縦枠2,2が連結され、そして、後部の分割方立材1bはこの連結部を室内側から遮蔽するものである。」(5欄25行ないし32行)、「後部の分割方立材1bは、前記突片1e及び係止片23の螺着部を室内側から遮蔽する。実施例では、ねじ孔1dにねじ9dを挿通して螺着している。」(6欄13行ないし15行)と記載されていることが認められる。
これらの記載によれば、本願考案における2分割した方立材のうち、前部の分割方立材は左右縦枠を連結し、後部の分割方立材はこの連結部を室内側から遮蔽するものであることが認められる(なお、後部の分割方立材がねじ孔1dにねじ9dを挿通して螺着している上記実施例における螺着は、遮蔽を目的とするために後部の分割方立材を縦枠に単に固定するだけのものと認められる。)。
これに反する原告の主張は採用することができない。
(2) 次に、原告は、本願考案では窓サッシと窓サッシを分割方立材のみで連結するのに対して、引用例1では、窓サッシを額縁状部材に収納・保持して連結するものであり、方立材単独で窓サッシを連結するものではない点で一致しない旨主張する。
確かに、甲第3号証によれば、引用例1には「ドア枠Aとガラス嵌め殺し枠Bとを方立61を介して連結するに際しては、あらかじめ建物開口部の内壁に上捨枠6,36、竪捨枠17,47および前記竪捨枠17,47と方立61との間にかけわたした下枠受板14,44とによって、ドア枠Aおよびガラス嵌め殺し枠Bの取り付け用開口部を形成させる。」(9頁1行ないし7行)と記載されていることが認められる。しかしながら、甲第3号証によれば、引用例1には、さらに、「ドア枠Aは、第1図および第2図に示すように、上枠1、下枠2および左右の竪枠3,4から構成されている。」(3頁15行ないし17行)、「ガラス嵌め殺し枠Bは、第1および第3図に示すように、上枠31、下枠32および左右の竪枠33,34から構成されている。」(4頁16行ないし18行)、「第1図に示すように、前記ドア枠Aを構成する右竪枠4と、ガラス嵌め殺し枠Bを構成する左竪枠34とは、方立61を介して連結されている」(5頁17行ないし20行)と記載されていることが認められる。これらの記載並びに第1図及び第6図によれば、引用例1のものでは、サッシ枠同士の連結は、方立61を介して左右のサッシ枠の竪枠を係合、螺着させて行われていることが認められる。そうすると、上記上捨枠等の部材は、建物開口部の内壁との結合の便を考慮して付加的に設けられたものと認められる。
そして、本願考案の実用新案登録請求の範囲には、窓サッシと建物開口部との連結の仕方について限定する記載はないことからすると、サッシ枠を直接建物開口部に取り付けるか、上捨枠等の部材を介して取り付けるかは、複数の窓サッシ枠を方立材を介して連結固定するという複合サッシの構造とは直接関係のない設計事項であり、この点において、本願考案と引用例1のものとの間に差異があるということはできず、審決がした両者の一致点の認定に誤りはないものと認められる。
これに反する原告の上記主張は採用することができない。
(3) 以上のとおりであって、審決の一致点の認定(審決書11頁3行ないし12頁3行)に誤りはない。
そして、一致点の認定に誤りがない以上、審決には、相違点の判断の遺脱はなく、また、効果についての判断(審決書14頁15行、16行)にも誤りはないから、進歩性に関する判断に誤りがあるとはいえない。
(4) よって、原告主張の取消事由2は理由がない。
い。
3 結論 以上によれば、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日 平成12年2月8日)
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 市川正巳
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