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事件 平成 11年 (ネ) 4056号 実用新案権侵害差止等請求控訴事件
平成 12年 (ネ) 397号 同附帯控訴事件
控訴人(附帯被控訴人) 三甲株式会社 右代表者代表取締役 【A】
控訴人(附帯被控訴人) ホーマック株式会社 右代表者代表取締役 【B】 右両名訴訟代理人弁護士 花岡巖
同 新保克芳
同補佐人弁理士 【C】
被控訴人(附帯控訴人) 出光石油化学株式会社 右代表者代表取締役 【D】 右訴訟代理人弁護士 中村稔
同 熊倉禎男
同 富岡英次
同 飯田圭右補佐人弁理士 【E】 (以下、各当事者を右の順にそれぞれ「控訴人三甲」、「控訴人ホーマック」、 「被控訴人」という。)
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2000/04/27
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 本件控訴を棄却する。
二 原判決中、被控訴人(附帯控訴人)敗訴の部分を次のとおりに変更する。
1 控訴人三甲(附帯被控訴人三甲)は、被控訴人(附帯控訴人)に対し、金二一七万〇八〇九円及びこれに対する平成八年四月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 控訴人ホーマック(附帯被控訴人ホーマック)は、被控訴人(附帯控訴人)に対し、金九四万一四四一円及びこれに対する右同日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人(附帯控訴人)のその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを三分し、その一を被控訴人の負担とし、その余を控訴人らの負担とする。
四 この判決の第二項の1及び2は、仮に執行することができる。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨 原判決中、控訴人ら敗訴部分を取り消す。
右敗訴部分に係る被控訴人の請求を棄却する。
訴訟費用は、第一審、二審とも被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁 本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
三 附帯控訴の趣旨 原判決中、被控訴人敗訴部分を取り消す。
控訴人三甲は、被控訴人に対し、金一八三七万三二〇五円及びこれに対する平成八年四月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
控訴人ホーマックは、被控訴人に対し、金七八五万五八一〇円及びこれに対する平成八年四月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
訴訟費用は第一、二審を通じて控訴人らの負担とする。
仮執行の宣言 四 附帯控訴の趣旨に対する答弁 本件附帯控訴を棄却する。
附帯控訴費用は被控訴人の負担とする。
当事者の主張
当事者双方の主張は、次のとおり付加するほか、原判決の「第二 事案の概要」記載のとおりであるから、これを引用する。
一 当審における控訴人らの主張の要点 1 争点1(控訴人器具が後記本件各考案の「案内板」及び「溝部」の構成を充足するか)について (一) 登録第二〇一三四二五号実用新案(以下、原判決と同様に「本件考案@」という。)及び登録第二〇一三四二四号実用新案(以下、原判決と同様に「本件考案A」といい、本件考案@と合わせて「本件各考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明のいずれにおいても、溝部の底部に孔を設けたり打ち抜いたりすることが記載されているにすぎず、案内面や溝部に孔を設けることについて全く記載も示唆もされていない。そして、本件各考案において、
溝部の底部に孔を設けたり打ち抜いたりすることの意味は、水抜きなどをするとき有用であるというものであり、これは、案内面に路面の雪や泥が進入してはならない以上、当然のことであるから、案内板や溝部が無孔のものに限られないとする根拠になり得ない。したがって、本件各考案にいう「案内板」及び「溝部」は、無孔のものに限られるのであって、これらが無孔のものに限られないとした原判決は、
本件各考案の本質を全く理解せずに、表面上の字面のみから本件各考案の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明を解釈したものであり、失当である。
(二) 本件各考案は、雪道や泥道でタイヤがスリップして動かなくなった自動車を脱出させるために、タイヤと路面の間にはさむ悪路脱出具に関するものである。このタイヤのスリップの防止という目的に照らして、悪路脱出具に要求される性能は、@器具と路面が確実にグリップして器具が動かないこと、Aタイヤが器具との間でスリップしないこと、の二点であり、本件各考案は、タイヤに付着した雪によってタイヤと脱出具がスリップすることを防ごうとするもので、右Aの性能を主眼としたものである。このことは、本件考案Aの明細書考案の詳細な説明中で、「案内板に溝部を形成して該溝部がタイヤに付着した雪などを収納あるいは地面側に排出するようにし、タイヤと案内板との間に介在される雪の量を極力減少させ、これによりタイヤのスリップを防止して悪路からの脱出効果を高めたものである。」(三欄三五行〜四〇行)などと記載されていることに端的に示されている。
路面から雪や泥が案内面に進入する構造にすると、路面と脱出具のグリップが良くなるが、タイヤと案内面との間に雪や泥が介在することになり、タイヤと案内面との間の滑り止め効果が期待できない。本件考案は、この技術常識を背景にして、タイヤに付着した雪がタイヤと器具の間に介在することを避けるために、「案内板」に「溝部」を設けて、タイヤと器具のスリップを防止しようとするものである。この本件考案の要旨に従って、本件考案の「案内板」、「溝部」を理解すれば、積極的に路面から雪や泥が進入するような構造の物であってはならないことは明らかである。本件考案が、案内面の雪を溝に導入してまで案内面とタイヤのスリップを防止しようとする以上、路面から雪が大量に進入して来るのを許容するはずはなく、
また、仮に進入を想定していたなら、その雪をどのように排出するかが示されているはずである。タイヤに付着した雪を排出しただけではタイヤと器具のスリップの防止は達成できないからである。なお、本件各考案において、溝部の底部に孔があっても、同所はタイヤと直接に接する部分ではないから、雪が進入しても影響はそれほどないのである。
このように、本件各考案は、タイヤに付着した雪を積極的に減らそうとするものであるから、このような路面からの雪がタイヤと案内板の間に介在すること、すなわち、案内板や溝部に孔が存在することを全く想定していないのである。
したがって、案内面の過半が開口部となっており、その開口部から進入してくる雪が必然的にタイヤと案内板との間に介在する構成となっている控訴人器具が、本件各考案技術的範囲に属しないことは、明らかというべきである。
(三) 控訴人器具の案内面は、リブの集まりからなり、溝状部を含めその周囲の過半が開口部であって、もはや穴が開いているという表現すら適当ではなく、
およそ「板」を想定することができないものである。本件考案が「案内板」と呼ぶものは、わずかな孔もあってはならないとまではいえないとしても、多くの貫通孔のあるものや網状のものなど、およそ「板」を想定できないものまでがこれに含まれるとするのは背理である。したがって、控訴人器具には、「案内面」はあっても「案内板」は存在しない、というべきである。
(四) 原判決は、本件各考案は、溝部がタイヤに付着した雪等を収容あるいは地面側に排出するようにして、タイヤと案内板との間に介在される雪の量を極力減少させて悪路からの脱出効果を高めたものであることを認めたうえで、控訴人器具は、案内面及び溝状部がメッシュ状になっていても、このような作用効果を有するものと認定している(四一頁五行〜一〇行)。しかしながら、本件各考案において、控訴人器具のように、案内面に路面の雪等が進入する構造とした場合に、溝部がタイヤの雪を収容することも、また、路面側から進入した雪がタイヤの進行とともに再び孔を通して路面側に押し戻されることも確認されていない。原判決が認定の前提とした北海道工業大学【F】教授の見解(甲第二五号証)の骨子は、@「トレッドに付着した雪をかなりの量にわたって「溝部」に収容する効果があることが確認されたとし、Aスノーヘルパー本体に孔が設けられていると、地面側から孔を通して雪がスノーヘルパー上に進入し、一見、上記グリップ力が低下するかのような状況が創り出されるが、地面側からスノーヘルパー上に進入した雪は、タイヤの進行とともに、再びその孔を通して地面側に押し戻されることが確認されたとするものであるが、@の点は、そのような事実を確認し得るものはどこにもなく、単に【F】教授が推測しているにすぎないものであり、Aの点も、同様に、何ら事実に基づかない誤った意見であって、結局、案内面に落下した雪が溝状部に「収容」されることも、地面側から進入した雪が、タイヤの進行とともに再びその孔を通して地面側に押し戻されることも、全く確認されていないのである。
2 争点2(損害等)について (一) 控訴人三甲に対する補償金請求について 控訴人らの製造販売に係る悪路脱出具(以下「控訴人器具」という。)が本件各考案に抵触し、被控訴人の実用新案権を侵害するものとされた場合には、
原判決の控訴人三甲に対する補償金請求についての認定は争わない。
(二) 控訴人らに対する損害賠償請求(実用新案法29条1項に基づく主張)について (1) 原判決は、「原告器具と小原産業器具の製造販売割合がおおむね一対一ということはあり得ず、原告器具の数量を多めに見ても、原告一(二万三四六二セット)に対して小原産業二(四万六九二三セット)の割合である」と認定した。
しかしながら、原判決は、まず、被控訴人の製造販売に係る悪路脱出具(以下「被控訴人器具」という。)の推測される販売数量を、「多めに見て」も、株式会社小原産業(以下「小原産業」という。)の製造販売に係る悪路脱出具(以下「小原産業器具」という。)の二分の一と認定した点において既に誤りである。実用新案法29条1項によって推定されるのは、控訴人器具の販売量を被控訴人又は小原産業のいずれかが販売できたということだけであり、その配分の仕方に関してではなく、かつ、被控訴人器具への配分が増えれば、それだけ控訴人らの賠償すべき額が増えるのであるから、被控訴人器具への配分は、「少なく見ても」いくらという形でなされなければならないはずである。
次に、被控訴人器具の配分を「多めに見ても」にせよ、右のように認定し得る根拠はどこにもない。
本件各考案の公告日(平成五年四月一二日)前における被控訴人器具と小原産業器具の販売量を比較した場合、その正確な対比関係は不明であるものの、小原産業器具の方が圧倒的に多く売れていたことは間違いがない。また、小原産業は、平成三年には既にホームセンターへの販売を開始しており、平成五年の時点では、この種の器具の販売の中心は、既にホームセンターへ移っていた。そうだとすれば、仮に控訴人らの販売がなかったとしても、販売数量の増えるのは、控訴人器具とホームセンターで競合関係にあった小原産業器具(小売価格二六八○円)のみであって、被控訴人系列のガソリンスタンドでのみ販売されていた高価格(希望小売価格三五〇〇円)の被控訴人器具が影響を受けることはほとんどなかったであろうとみるのが自然である。
被控訴人器具と小原産業器具の実際の販売数量について明らかにさせることもないままに、被控訴人器具の販売数量を「多く見ても」小原産業器具の二分の一であると不合理な認定をした原判決が誤っていることは明らかである。
(2) 原判決は、甲第三七号証から、被控訴人器具の製造販売により、一セット当たり七九〇円の利益を得ることができたものと認定した。しかし、そのような認定は全く不可能である。
甲第三七号証は、一セット当たりの原材料販売による利益を二四〇円、被控訴人器具販売による利益を五五〇円と計算して七九〇円という数字を導いているが、これらはいずれも被控訴人の利益ではない。
甲第三七号証によれば、原材料販売による利益二四〇円に関しては、
原材料の変動原価はs当たり一五九円となっているものの、これは、被控訴人から出光エヌエスジー株式会社(以下「出光NSG」という。)への原材料販売価格を算出したものである。株式会社オオヤマ(以下「オオヤマ」という。)ヘの販売価格がs当たり三〇〇円とされている点については、全く資料が添付されておらず、
オオヤマヘの販売者が被控訴人なのか出光NSGなのか不明である。被控訴人器具販売による利益五五〇円に関しては、オオヤマからの引取価格を一二五〇円としてこれをアポロ販売への販売価格から差し引いて算出されている。しかし、この引取価格は、出光NSGによる引取価格であり、アポロ販売への販売価格一八○○円については、平成五年一一月の一八○セットの請求明細が添付されているのみであり、石油、石化業界では、バックマージンなどにより後で価格調整することが広く行われているから、右一八○○円というのも、そのような性質の当初請求額(しかも平成五年一一月の数字である。)としかいいようがなく、一八○○円という数字を信用することはできない。
被控訴人は、控訴人らの右主張に対し、被控訴人と出光NSGの利益とを区別したうえで、被控訴人と出光NSGが実質的に一体であるなどとして、その全額八七四円(一セット当たり)が被控訴人の得るべき利益であると主張している。
しかし、親会社である被控訴人と出光NSGとは全く別の会社であり、同一視することはできない。被控訴人は、訴訟経済をいうが、法人格を区別することによる利益を享受する一方で、得手勝手に法人格を否認することは許されない。
二 当審における被控訴人らの主張の要点 1 争点1(控訴人器具が本件各考案の「案内板」及び「溝部」の構成を有するか)について (一) 本件各考案にいう「案内板」について、孔などが設けられていないもの又は格子状、網目状、蜂の巣状等に構成されていないものに限定し、あるいは、
「溝部」の構造を底部に孔等を設けられていないもの又は底部自体を有していないものに限定するような格別の記載は、実用新案登録請求の範囲にも考案の詳細な説明にも一切存在しない。
(二) 控訴人らの主張中、悪路脱出具が、控訴人らのいう@及びAの基本的性能を備えるべきものであることは正しいとしても、これらが二律背反するものであり、そのいずれかを重視すれば、他方を軽視することになり、どちらの性能を重視するかにより、二つの異なる技術的思想が存在するかのような主張には根拠がない。そもそも、悪路脱出具は、@及びAの基本性能の両者を満たすものでない限り、役にたたないはずである。また、それぞれの基本的性能を満たす構成として、
種々の異なったものを考えることができるのであるから、タイヤが器具との間でスリップしないという基本的性能を満たすために、路面側から案内面上に一切雪を進出させないことが必要であると決め付ける理由はないし、本件各考案の案内板が、
孔の設けられているものであってはならないという結論を導くこともできない。
(三) 本件各考案にいう「案内板」は、孔等が設けられているかどうか、さらには、格子状、網目状、蜂の巣状等に構成されているかどうかを問わないものである。「板」を想定できない控訴人器具に、案内面はあっても「案内板」は存在しないとする控訴人らの主張は、失当である。
(四) 本件考案にいう「案内板」が、孔等を設けられていても、さらには、
格子状、網目状、蜂の巣状等に構成されていても、また、本件考案にいう「溝部」が、底部や側壁部に孔等を設けられていても、さらには、底部自体を有していなくても、本件各考案の作用効果は、十分に奏されるものである。実際にも、溝部が底部自体を有しておらず、かつ、案内板に孔が設けられ又はメッシュ状となっている場合であっても、溝部にはタイヤから落下した雪のかなりの部分が収容されることは、【F】教授作成の平成九年四月二一日付け報告書(甲第二五号証)記載の控訴人器具に関する簡単な実験の結果から明らかである。
右甲第二五号証をみると、スタッドレスタイヤのトレッドに雪が付着した状態で実験を行った場合の方が、これがない状態で実験を行った場合よりも控訴人器具の溝部に収容された雪の量自体が明らかに多いから、この事実により、控訴人器具の溝部によってタイヤのトレッドに付着していた雪が相当程度収容されたことが十分に証明されている。
2 争点2(損害等)について 控訴人らに対する損害賠償請求(実用新案法29条1項に基づく主張)について (一) 原判決は、「原告器具と小原産業器具の製造販売割合がおおむね一対一ということはあり得ず、原告器具の数量を多めに見ても、原告一(二万三四六二セット)に対して小原産業二(四万六九二三セット)の割合である」と認定した。
しかしながら、この認定は合理的ではない。
(1) 軽量、丈夫、脱輪防止効果や悪路脱出効果が高いなどという特徴を有する悪路脱出具は、従来から、控訴人器具以外には、被控訴人器具及び小原産業器具しか存在していなかったから、控訴人器具が製造販売されなかったとすれば、顧客は、代替品として、被控訴人器具又は小原産業器具のいずれかを購入するしかなかった。また、被控訴人と小原産業のいずれも、控訴人器具の販売数量に相当する数量を更に製造する能力を有していた。このような場合には、原則として、被控訴人及び小原産業が、それぞれ、控訴人器具の販売数量の半分に相当する数量だけ被控訴人器具及び小原産業器具を販売し得たであろうと認めるべきであり、この原則を当てはめるのを不当とすべき特段の事情の認められるときにのみ、これを変えることが許されると解すべきことは、実用新案法29条1項の規定の仕方と同規定が設けられるに至るいきさつから、明らかというべきである。
(2) 右特段の事情、特に、控訴人ら主張のように、控訴人器具が販売されなかった場合に、控訴人器具の販売数量に相当する数量について、販売数量が増加するのは、小原産業器具のみであり、被控訴人器具の販売数量の増加はないと認めるに足りる特段の事情は存在しない。
被控訴人器具、控訴人器具等の悪路脱出具の需要者は、同じく自動車の運転者であり、また、被控訴人の系列のガソリンスタンドは、北海道、東北地方、北陸地方等の悪路脱出具の市場において、控訴人器具が販売されていたホームセンター等の量販店に近接して多数存在しているから、控訴人器具がホームセンター等の量販店において販売されなければ、需要者は、近所の被控訴人の系列のガソリンスタンドにおいて、自動車の給油等の際に、被控訴人器具を、現実に販売したのより多く購入したであろうことは明らかである。この場合、小原産業器具も、従来から現実に販売されていた他のホームセンター等の量販店において、現実に販売されたのより多く販売されたであろうとは考えられる。しかし、だからといって、
この場合、控訴人器具の販売数量に相当する数量について、従来、小原産業器具が、ホームセンターを中心として比較的安価に販売されていたことのみの故に、直ちに、被控訴人の系列のガソリンスタンドを中心として比較的高価に販売されていた被控訴人器具よりも、多く販売され得たであろうということにはならない。
まず、小原産業器具が控訴人器具と同様に比較的脆弱な単なるポリエチレン製であるのに対し、被控訴人器具がガラス繊維で強化された合成樹脂材である新素材「出光Xシート」製であることなどを勘案すると、小原産業器具と被控訴人器具との価格差は、需要動向を一義的に決定するほどのものではない。
次に、被控訴人器具がホームセンター等の量販店で販売されていなかった点については、控訴人らが、被控訴人器具を模倣した控訴人器具により、開発費用回収のための適正な利益の確保を度外視したかのような極端な安売り攻勢を仕掛けてきた結果、被控訴人器具の販売が著しい不振に陥り、実際上、系列のガソリンスタンドにおける販売のみに押し込まれ、ホームセンター等の量販店において販売されなくなったというだけのことである。このような事実は、むしろ、控訴人器具が極めて安価に販売されなければ、ホームセンター等の量販店においても、被控訴人器具が多く販売されたであろうことを如実に示すものにほかならない。
(3) 万一、本件において、右特段の事情が認められ得るものであるとしても、それは、原判決の認定した被控訴人器具一に対して小原産業器具二の割合を超えて、前者に不利になり得るものではない。
(二) 被控訴人によるポリプロピレン樹脂の販売の段階における利益は八四円/セットであり、出光NSGによる成形用シートの販売による利益は二四〇円/セットであり、出光NSGによる被控訴人器具の販売による利益は三六〇円/セットであり、被控訴人による被控訴人器具の販売による利益は一九〇円/セットである。被控訴人は、被控訴人器具の製造販売により、形式的には出光NSGの利益として処理されている利益も含めて、原判決の認定を超える一セット当たり八七四円の利益を得ることができたものである。
被控訴人と出光NSGとは、被控訴人器具の製造販売事業において、実質的に一体のものであり、得られる利益も実質的に同一の主体に帰属するものであり、逆に、例えば、本訴で回復される損害も、内部的に分配されることとなる。このような具体的な事情のある場合には、被控訴人は、形式的には出光NSGの利益として処理されている利益についても、被控訴人器具の単位数量当たりの「利益」として、自ら損害賠償を請求し得るものと解するべきである。仮に、出光NSGは別個に損害賠償を請求すべきであるとするならば、同社は、控訴人らに対し、債権侵害による不法行為に基づく損害賠償を請求することとなり、仮に本訴請求が被控訴人の損害として全額賠償されないのであれば、出光NSGの右請求は当然に認められなければならない筋合のものである。このような迂遠な方法を被控訴人らのグルーブに要求することは、訴訟経済上も無駄である。
被控訴人が被った損害の額は、控訴人らの侵害行為がなければ被控訴人が得られたはずの利益額、すなわち、被控訴人の利益一セット当たり金八七四円に平成五年四月一二日から平成八年四月一〇日までの間に被控訴人が製造販売できたはずの被控訴人器具の合計数量三万五一九三セットを乗じた額である三〇七五万八六八二円と、小原産業のライセンス品の販売価格一四五〇円に平成五年四月一二日から平成八年四月一〇日までの間に小原産業が製造販売できたはずのライセンス品の合計数量三万五一九二セットさらには実施料率五%を乗じた額である金二五五万一四二〇円とを加えた金額である合計金三三三一万〇一〇二円とするのが相当である。
また、右三三三一万〇一〇二円の損害のうち、平成五年四月一二日から平成八年四月一〇日までの間に控訴人ホーマックが控訴人三甲から購入して販売した三万〇〇五一セット分の損害一四二二万一八〇六円については、控訴人ホーマックは、控訴人三甲と連帯して、責任を負わなければならない。
当裁判所の判断
当裁判所は、本件請求は、控訴人三甲に対して、二九五二万一七五二円及びこれに対する平成八年四月二七日から支払済みまでの年五分の割合による遅延損害金(内一一二〇万七四三七円及びその遅延損害金は控訴人ホーマックとの連帯)を支払うように、控訴人ホーマックに対して、控訴人三甲と連帯して、一一二〇万七四三七円及びこれに対する右同日から支払済みまでの年五分の割合による遅延損害金を支払うように求める限度で理由があるから、右限度でこれを認容し、その余は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加するほか、原判決の「第四 当裁判所の判断」の一並びに二1及び3のとおりであるから、これを引用する。
一 争点1(控訴人器具が本件各考案の「案内板」及び「溝部」の構成を充足するか)について 1 控訴人らは、本件各考案に係る実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明のいずれも、溝部の底部に孔を設けたり打ち抜いたりすることの記載があるだけで、案内面に孔を設けることは記載も示唆も全くないなどとして、本件各考案にいう「案内板」や「溝部」が無孔のものに限られないとした原判決を非難している。しかし、控訴人らの主張は、失当である。
本件各考案に係る実用新案登録請求の範囲には、本件各考案の「案内板」の構成については、本件考案@につき、「自動車等の車輪を案内する合成樹脂製案内板に少なくとも一つの溝部とその幅方向両側から外側に向かって延出する係止突部とが該案内板と一体的に設けられ、」との記載、本件考案Aにつき、「自動車等の車輪を初期に案内する進行方向に対して登り傾斜の第一の案内面と、これに続いて形成された下り傾斜の第二の案内面とを有する案内板に、該案内板の長手方向に沿って延びる少なくとも一つの溝部を形成する」との記載があるのみであり、「溝部」の構成については、本件考案@につき、「前記溝部は案内板の長手方向に沿って延びるとともに、その幅方向両側の長手方向に沿って前記案内板の表面から裏面側を越えて下方に向けて形成された側壁を含んで構成され、かつ、前記溝部は係止突部で落とされた雪や泥等を収容あるいは排出するに充分な幅および深さとされている」との記載、本件考案Aにつき、「この溝部は、その幅方向両側の長手方向に沿って案内板の表面から裏面側を越えて下方に向けて形成された側壁を含んで構成され、」との記載があるのみであり、「案内板」、「溝部」の構成を右以上に限定する記載は存在しないから、有孔のもの、格子状もの、網目状のものなども、本件各考案の「案内板」、「溝部」から排除されていないものと認めるのが相当である。本件各考案に係る考案の詳細な説明を検討しても、同様に、本件各考案の「案内板」、「溝部」について、無孔のものに限定する記載はなく、有孔のもの、格子状のもの、網目状のものなどを格別排除していないことが明らかである。
そうすると、控訴人器具は、本件各考案の構成要件をすべて充足しているものといわなければならず、右構成要件に、有孔のものであるとか、格子状のものであるとか、網目状のものであるとかの要素が加えられているからといって、本件各考案技術的範囲に属さないこととなるものではない。
2 控訴人らは、本件各考案は、タイヤに付着した雪を積極的に減らそうとするものであるから、このような路面からの雪がタイヤと案内板の間に介在すること、すなわち、案内板や溝部に孔が存在することを全く想定していないのであるとの前提で、案内面の過半が開口部となっており、その開口部から進入してくる雪が必然的にタイヤと案内板との間に介在する構成となっている控訴人器具は、本件各考案技術的範囲に属しない旨主張する。
控訴人の右主張は、言い換えれば、控訴人器具において、案内面の過半を開口部とすることにより、開口部を設けることによる利点を得る反面として、本件各考案を改悪し、タイヤに付着した雪を積極的に減らそうとするものである本件各考案が本来的に奏すべき作用効果を失わしめたものであるから、本件各考案技術的範囲に属しないということになるものである。しかしながら、控訴人器具は、本件各考案の作用効果を失わせるに至っておらず、控訴人の主張は、失当である。
甲第二号証(本件考案@に係る明細書)によれば、本件考案@は、実用新案登録請求の範囲記載の構成を採用することによって、「悪路脱出具全体を合成樹脂で形成することにより軽量化を図るとともに、前記案内板に溝部を形成して軽量化にともなう強度劣化を防止する以外に、前記溝部がタイヤに付着した雪等を収容あるいは地面側に排出するようにしてタイヤと案内板との間に介在される雪の量を極力減少させて悪路からの脱出効果を高め」(二頁四欄三五行〜四二行)、「タイヤを損傷させる虞がなく、軽量で使用勝手がよいのと脱出効果が高く、かつ、取扱に際しての安全性高い悪路脱出具を提供できる」(五頁一〇欄一二行〜一五行)という作用効果を奏するものとされていることが認められる。
また、甲第四号証(本件考案Aに係る明細書)によれば、本件考案Aは、
実用新案登録請求の範囲記載の構成を採用することによって、「タイヤを案内板の溝部の中央側に落ち込ませる方向に案内できる角度に係止突部を延出させて脱輪防止を図り、前記案内板に溝部を形成して該溝部がタイヤに付着した雪等を収容あるいは地面側に排出するようにし、タイヤと案内板との間に介在される雪の量を極力減少させ、これによりタイヤのスリップを防止して悪路からの脱出効果を高め」(二頁三欄三三行〜四〇行)、「タイヤの脱輪を確実に防止できるとともに、タイヤのトレッドと係止突部との係合力を維持でき、脱出効果の高い悪路脱出具を提供できる」(四頁八欄三〇行〜三三行)という作用効果を奏するものとされていることが認められる。
右認定の事実によれば、本件各考案は、タイヤに付着した雪等を収容あるいは地面側に排出するようにしてタイヤと案内板との間に介在される雪の量を極力減少させようとしていることは明らかであるものの、このことから、案内板や溝部に孔が存在することを全く想定していないということはできない。すなわち、案内板や溝部に孔が存在し、その孔から雪が進入してきて、タイヤと案内板との間に介在することになるとしても、それも含めて排出すればよいのであって、そのことによって本件各考案の前記作用効果が損なわれるものではない。
更に具体的にいえば、案内板や溝部に孔が存在し、その孔から雪が進入してきても、案内板上にある自動車等の車輪によって、孔を通って地面側に押し戻されるか、溝部に収容又は排出されることになることは、甲第二五号証の報告を検討するまでもなく自明である。
3 その余の控訴人らの主張について、いずれも採用できない。控訴人らの争点1についての主張は、理由がない。
二 争点2(損害等)について 1 控訴人三甲に対する補償金請求について 被控訴人が控訴人三甲に対して二六一万四〇二九円の補償金請求権を有することは、争いがない。
2 控訴人らに対する損害賠償請求(実用新案法29条1項に基づく主張)について (一) 証拠(甲第三七号証〜第三九号証)及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、昭和六二年ころから被控訴人器具を製造、販売していること、被控訴人は、原材料を下請け業者であるオオヤマに提供して被控訴人器具を製造させ、これを自動車用品の取扱代理店に販売していたこと、被控訴人器具は、主として、被控訴人の系列のガソリンスタンドにおいて販売されており、小売価格は一セット当たり三五〇〇円であったこと、被控訴人器具は、ガラス繊維で補強されたポリプロピレン樹脂が用いられているため、ポリエチレン製の控訴人器具や小原産業器具に比べて丈夫なものとなっており、反面、小売価格が割高となっていたこと、オオヤマが有する成型機は、被控訴人器具を一か月当たり一万五〇〇〇セット生産する能力を有しており、被控訴人は、昭和六三年には、年間一万五〇〇〇セット(一か月当たり一二五〇セット)の被控訴人器具を販売していたのが、平成元年には年間四〇〇〇セットとなり、平成二年にはさらに減少していること、が認められる。
(二) 他方、証拠(甲第三五号証、第三六号証、第四二号証)によれば、小原産業は、被控訴人から本件各考案について通常実施権の設定を受けて、平成三年から、本件各考案の実施品である小原産業器具を製造し、主にホームセンター等の量販店で販売してきており、小売価格は一セット二六八〇円であったこと、小原産業器具は、単純にポリエチレンのみを原材料として使用して成形したものであるため、強度の点で被控訴人器具より劣っていたことが認められる。
(三) 以上によれば、被控訴人は、被告三甲が平成五年四月一二日から平成八年四月一〇日までの間に製造販売した控訴人器具七万〇三八五セットについて、
製造販売する能力を有していたものと認められるものの、小原産業と競合関係にあった点をとらえれば、被控訴人が被控訴人器具を販売することができなかった事情が存するものと認められ、その販売割合は、特段の事情の認められない限り、原則として被控訴人の自認する一対一であると認めるのが相当である。
しかしながら、右に認定した両器具の流通経路、価格、品質等の具体的事情を総合的に考慮すると、小原産業器具の方が、被控訴人器具に比べて相当に多く、比率で表わせば、少なく見積もっても、控訴人器具の二倍程度、販売されたものと推測するのが合理的であるから、その限度で、前記一対一の販売割合を変更すべき特段の事情が認められ、被控訴人は、多く見積もっても、小原産業器具の二分の一の割合(二万三四六二セット)の被控訴人器具しか販売することができなかったものというべきである。
なお、推測される販売数量は、小原産業器具について「少なめに」、被控訴人につき「多めに」みることによって定められるべきであることは、実用新案法29条1項の規定に照らして明らかというべきであり、この点に関して原判決を非難する控訴人らの主張は失当である。
(四) 控訴人らは、仮に控訴人らの販売がなかったとしても、これによって販売の増えるのは、控訴人器具とホームセンターで競合関係にあった小原産業器具のみであって、被控訴人系列のガソリンスタンドで販売されていた高価格の被控訴人器具の販売は増えなかったはずであると主張する。
しかしながら、小売価格三五〇〇円の被控訴人器具と小売価格二六八〇円の小原産業器具とを比較した場合、前者が、ガラス繊維で補強されて丈夫な製品であること、需要者が自動車の運転者であることを考慮すると、必ずしも、需要者のほとんどが、より安価な小原産業器具を選択するとはいいがたく、右のような需要者は、この種器具を求めて、販売先がホームセンターであるか被控訴人系列のガソリンスタンドであるかにかかわりなく訪れ、自己の選択に従い購入することも少なくなかったであろうと考えられるから、被控訴人器具との競合関係を否定する控訴人らの主張は採用できない。
また、控訴人らは、被控訴人器具と小原産業器具の実際の販売数量について明らかにさせることもないままに、被控訴人器具の販売数量を小原産業器具の二分の一であると認定をした原判決は誤っていると主張する。
しかしながら、前記のとおり、実用新案法29条1項では、被控訴人器具と小原産業器具の販売割合は、特段の事情のない限り、被控訴人の自認する一対一と認定すべきものなのである。そして、右特段の事情についても、小原産業は、
被控訴人器具より多くの小原産業器具を販売することができたであろうと推測させる事情はあるものの、少なくとも被控訴人器具の二倍程度の数量の小原産業器具を販売することができたであろうとしか認められないことは、前記のとおりである。
同認定を覆し、小原産業器具がより多く、被控訴人器具がより少なく販売されていたはずであると主張するのであれば、控訴人らは、それを裏付ける事実を立証すべきである。しかし、そのような立証はない。控訴人らの主張は、失当である。
(五) 被控訴人の逸失利益について検討する。
(1) 弁論の全趣旨によれば、被控訴人と出光NSGとは、いわゆる親会社、子会社の関係にあり、更に具体的には、出光NSGは、被控訴人が、その事業の一部を分離して独立した会社としていたものであること、子会社である出光NSGは、控訴人らの行為により自らの被った損害(債権侵害による不法行為による損害)についての一切を親会社である被控訴人に委ねており、その損害がてん補されたときには、てん補された損害は被控訴人、出光NSG間で内部分配するものとされていることが認められる。そして、被控訴人が本訴で自らに支払うように求めている賠償金の一部が、元来は、出光NSGを権利者とするものであり、被控訴人自身を権利者とするものではないことは、その主張自体で明らかであるが、右事実関係の下では、右のような請求も許されないものではないと解すべきである(信託法11条の規定は、右解釈の妨げとはならないものというべきである。)。
(2) 証拠(甲第三六号証、第三七号証、第四五号証、第四七号証)によれば、被控訴人は、被控訴人器具の原材料の一つであるポリプロピレン樹脂を三七・五七五円/sで入手して、これを出光NSGに一二〇円/sで販売していたこと、
出光NSGは、被控訴人器具の他の原材料であるガラス繊維を二一八円/sで入手して、ポリプロピレン樹脂とガラス繊維を、下請会社であるオオヤマに、ポリプロピレン樹脂六とガラス繊維四の重量比率として、三〇〇円/sで販売していたこと、オオヤマは、右原材料一・七sから一セットの被控訴人器具を製造し、これを出光NSGに一セット当たり一二五〇円で納品していたこと、出光NSGは、被控訴人に、一セット当たり一六一〇円で被控訴人器具を販売していたこと、被控訴人は、系列会社であるアポロサービスに対し、被控訴人器具を一セット当たり一八〇〇円で販売していたこと、が認められる。
右事実によれば、被控訴人によるポリプロピレン樹脂の販売の段階における利益は八四円/セット、出光NSGによる成形用シートの販売による利益は二四〇円/セット、出光NSGによる被控訴人器具の販売による利益は三六〇円/セット、被控訴人による被控訴人器具の販売による利益は一九〇円/セットであることが認められる。被控訴人及び出光NSGは、被控訴人器具の製造販売により、
一セット当たり八七四円の利益を得ていたものである。
(3) 以上の事実に基づき被控訴人及び出光NSGが被った損害の額を算出すると、被控訴人器具について、その一セット当たりの利益額八七四円に二万三四六二セットを乗じた二〇五〇万五七八八円となり、小原産業器具については、一セット当たりの販売価格一四五〇円に四万六九二三セットと実施料率五パーセントを乗じた三四〇万一九一八円となり、その合計は、二三九〇万七七〇六円となる。
控訴人ホーマックは、右二三九〇万七七〇六円の損害のうち、平成五年四月一二日から平成八年四月一〇日までの間に控訴人ホーマックが控訴人三甲から購入した三万○〇五一セット分の損害一〇二〇万七四三七円について、控訴人三甲と連帯して責任を負うことになる。
3 弁護士費用について 被控訴人が、本件訴訟の提起、維持のために弁護士である被控訴人訴訟代理人らを選任したことは当裁判所に顕著である。本件事案の性質、内容、審理の経過、訴訟の結果及びその他諸般の事情を総合して考慮すると、控訴人三甲については三二〇万円(うち一一〇万円は控訴人ホーマックと連帯)、控訴人ホーマックについては一一〇万円をもって、本件侵害行為と相当因果関係のある損害(弁護士費用)とするのが相当である。
4 そうすると、控訴人三甲は、右1ないし3の合計額である二九七二万一七三五円(内一一三〇万七四三七円は控訴人ホーマックと連帯)及びこれに対する平成八年四月二七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金(内一一三〇万七四三七円に対する部分は控訴人ホーマックと連帯)を支払う義務があり、控訴人ホーマックは、控訴人三甲と連帯して、右2及び3の合計額である一一三〇万七四三七円及びこれに対する右同日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるものである。
三 以上によれば、本件控訴は理由がなく、附帯控訴については、被控訴人の本件請求は、控訴人三甲に対して、二一七万〇八〇九円(前記二九七二万一七三五円から原判決が認容した二七五五万〇九二六円を差し引いた額)及びこれに対する平成八年四月二七日から支払済みまでの、民法所定の年五分の割合による遅延損害金(内九四万一四四一円及びその遅延損害金は控訴人ホーマックと連帯)を支払うように、控訴人ホーマックに対して、控訴人三甲と連帯して、九四万一四四一円(前記一一三〇万七四三七円から原判決が認容した一〇三六万五九九六円を差し引いた額)及びこれに対する右同日から支払済みまでの民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うように求める限度で理由があるから、右限度で認容し、その余は理由がないから棄却すべきであり、そこで、これと異なる原判決を右のとおりに変更することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法61条64条65条、仮執行の宣言について同法259条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 山下和明
裁判官 山田知司
裁判官 宍戸充
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