関連審決 |
訂正2000-39097 審判1999-35379 |
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関連ワード | 考案 / 設定登録 / 新規性(3条1項) / 減縮 / 頒布 / 明細書 / 請求の範囲 / |
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事件 |
平成
12年
(行ケ)
159号
審決取消請求事件
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原告 株式会社シマノ代表者代表取締役 A 訴訟代理人弁護士 野上 邦五郎 同 杉本進介 同 冨永博之 同 弁理士 富崎元成 同 關健一 被告 ダイワ精工株式会社代表者代表取締役 B 訴訟代理人弁護士 山根祥利 同 近藤健太 同 的場 美友紀 同 原山邦章 訴訟代理人弁理士 鈴江武彦 同 中村誠 同 鷹取政信 同 堀内 美保子 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2001/03/15 |
権利種別 | 実用新案権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
特許庁が平成11年審判第35379号事件について平成12年4月3日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
主文同旨 |
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前提となる事実
1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は、名称を「リール取付具」とする登録第2149772号の考案(昭和62年8月12日に出願された実願昭62-124184号の実用新案の一部を平成5年3月15日に新たに出願し、平成10年6月5日に設定登録を受けもの。以下「本件考案」といい、本件考案に係る実用新案を「本件実用新案」という。)の実用新案権者である。 被告は、平成11年7月28日、本件実用新案登録につき無効の審判の請求をし、同請求は平成11年審判第35379号事件として特許庁に係属したところ、 特許庁は、平成12年4月3日、「登録第2149772号実用新案の明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された考案についての登録を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。別紙1審決書の理由写し参照)をし、その謄本は、同月22日、原告に送達された。 (2) 原告は、平成12年8月30日、実用新案登録出願の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の記載を実用新案登録請求の範囲の減縮等を目的として訂正する訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2000-39097号事件として審理した上、平成12年11月8日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。別紙2審決書写し参照)をし、その謄本は、同月27日、原告に送達され、本件訂正審決は確定した。 2 本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載 (1) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲の記載 リール脚を受入れる脚受入部(11)をもち、釣竿に固定される固定側受体(1)と、この固定側受体(1)に対し釣竿に沿って前後移動可能に支持される脚受入部(21)をもった可動押体(2)と、倒伏・起立操作可能なレバー体(4)をもち、該レバー体(4)の前方への倒伏操作で前記可動押体(2)を固定し、起立状態での押動操作で前記可動押体(2)の前方への移動操作を可能にした固定機構とを備えたリ一ル取付具であって、前記固定機構における前記レバー体(4)の支持部後方側に、前記支持部側から後方に向かって突出し、前記可動押体(2)の押動操作を可能とした押動操作体(61)を設けたことを特徴とするリール取付具。 (2) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲の記載(下線部が訂正された箇所である。) リール脚を受入れる脚受入部(11)をもち、釣竿に固定される固定側受体(1)と、この固定側受体(1)に対し釣竿に沿って前後移動可能に支持される脚受入部(21)をもった可動押体(2)と、倒伏・起立操作可能なレバー体(4)と、外表面 に多数 の係合歯 (31 )をもち 、前記釣竿 に沿って 延びて 前記可動押体(2)の移動 を阻止 する 係止体 (3)と、前記 レバー 体(4)と該レバー 体(4)の操作 で前記係合歯 (31 )に対し係脱 する 板ばね (5)と、前記可動押体 (2)の後方部位 に、該可動押体 (2)に前記 レバー 体(4)を起伏可能 に支持 する 支持部(6a) をもった 押動部材 (6)とをもち、該レバー体(4)の前方への倒伏操作で前記可動押体(2)を固定し、起立状態での押動操作で前記可動押体(2)の前方への移動操作を可能にした固定機構とを備えたリ一ル取付具であって、前記固定機構における前記レバー体(4)の前記支持部( 6a) 後方側に、前記支持部側から後方に向かって突出し、前記可動押体(2)の押動操作を可能とした押動操作体(61)を設けたことを特徴とするリール取付具。 3 本件審決の理由の要旨 別紙1審決書の理由写しのとおり、本件審決は、本件考案の要旨を訂正前の実用新案登録請求の範囲に記載のとおりと認定した上で、本件考案は、本件実用新案登録出願前に日本国内において頒布された本件審決に引用された刊行物(実公昭47-41350公報、審判甲第4号証)に記載された考案ということができると判断し、実用新案法3条1項3号の規定により実用新案登録を受けることができないものであるとして、本件実用新案の登録を無効とした。 |
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当事者の主張の要点
1 原告 本件訂正審決による訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件実用新案の登録を無効とした本件審決の取消しを目的とする本件訴訟の係属中に、本件考案について実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする本件訂正審決が確定した。 そこで、本件審決が本件考案の要旨を訂正前の実用新案登録請求の範囲に記載のとおりと認定したことは誤りに帰し、この瑕疵は違法であるから、本件審決は取り消されなければならない。 2 被告 原告主張のとおり、本件考案について実用新案登録請求の範囲の訂正を認める本件訂正審決が確定したことは認める。 理 由 1 本件訂正審決の確定により本件考案について実用新案登録請求の範囲が前記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって本件考案について実用新案登録請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると、本件審決が本件考案の要旨を訂正前の実用新案登録請求の範囲に記載のとおりと認定したことは、結果的に誤りがあることになり、この誤りは本件審決の結論に影響を及ぼすものとして違法であるから、本件審決は取消しを免れない。 2 よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 永井紀昭 |
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裁判官 | 塩月秀平 |
裁判官 | 橋本英史 |