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関連審決 無効2004-80242
関連ワード 実施許諾 /  考案 /  図面 /  構造 /  進歩性(3条2項) /  新規性(3条1項) /  実施可能 /  きわめて容易 /  実施許諾(実施の許諾) /  通常実施権 /  削除 /  請求項 /  実施例 /  容易に想到 /  設計変更 /  特定 /  明細書 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 16年 (ワ) 9318号 損害賠償請求事件
原告 株式会社エンジニア
訴訟代理人弁護士 平山博史
同 平山成信
同 林裕悟
訴訟代理人弁理士 小田陽子
補佐人弁理士 折寄武士
同 伊藤寿浩
被告 トップ工業株式会社
訴訟代理人弁護士 高橋賢一
訴訟代理人弁理士 吉井剛
同 吉井雅栄
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2005/07/28
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
被告は、原告に対し、3510万7500円及びこれに対する平成16年9月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は、「モンキーレンチ」に関する実用新案権を有していた原告が、被告による製品の製造販売が上記実用新案権の侵害にあたると主張して、損害賠償を請求した事案である。
1 前提となる事実(証拠により認定した事実は末尾に証拠を掲げた。その余は争いがない事実である。) (1)ア 原告は、下記の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1に記載された考案を「本件考案1」と、同じく請求項2に記載された考案を「本件考案2」と、同じく請求項5に記載された考案を「本件考案5」と、また、これらを総称して「本件各考案」といい、その明細書を「本件明細書」という。)の実用新案権者であった(甲1、2)。
考案の名称 モンキーレンチ 出願日 昭和63年12月7日 出願番号 実願昭63-159764号 公開日 平成2年6月26日 公開番号 実開平2-82470号 公告日 平成6年5月18日 公告番号 実公平6-18785号 登録日 平成7年2月7日 登録番号 第2049289号 権利存続期間満了日 平成15年12月7日 実用新案登録請求の範囲請求項1、2及び5は、別紙実用新案公報(甲2)の該当欄記載のとおり イ 本件考案1の構成要件は、次のとおり分説される。
A 握柄を連接したレンチ主体に、固定あご部と可動あご部と送りねじとを設け、送りねじの回動により可動あご部を固定あご部に対し進退摺動させて、固定あご部と可動あご部間の開口寸法を調整するモンキーレンチにおいて、
B 固定あご部および可動あご部の前部を薄肉にして薄肉挟持部を設けたことを特徴とするモンキーレンチ。
ウ 本件考案2の構成要件は、次のとおり分説される。
A 握柄を連接したレンチ主体に、固定あご部と可動あご部と送りねじとを設け、送りねじの回動により可動あご部を固定あご部に対し進退摺動させて、固定あご部と可動あご部間の開口寸法を調整するモンキーレンチにおいて、
B 固定あご部および可動あご部の前部を薄肉にして薄肉挟持部を設けたこと、
C 固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ段部を形成したこと、
D 各段部から先端部を薄肉にして、固定あご部および可動あご部の前部に薄肉挟持部を設けたことを特徴とするモンキーレンチ。
エ 本件考案5の構成要件は、次のとおり分説される。
A 握柄を連接したレンチ主体に、固定あご部と可動あご部と送りねじとを設け、送りねじの回動により可動あご部を固定あご部に対し進退摺動させて、固定あご部と可動あご部間の開口寸法を調整するモンキーレンチにおいて、
B 固定あご部および可動あご部の前部を薄肉にして薄肉挟持部を設けたこと、
C 固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ段部を形成したこと、
D 各段部から先端部を薄肉にして、固定あご部および可動あご部の前部に薄肉挟持部を設けたこと、
E 固定あご部および可動あご部の各段部から先端部の薄肉挟持部を傾斜させて対向させたことを特徴とするモンキーレンチ。
(2) 原告は、特許庁に係属している本件実用新案に係る登録無効審判事件(無効2004-80242)において、平成17年2月17日付で訂正請求をした(以下「本件訂正請求」という。)。本件訂正請求は、実用新案登録請求の範囲請求項1を削除し、同じく請求項2を新たに請求項1(以下「訂正請求項1」といい、これに記載された考案を以下「訂正考案1」という。)とし、同じく請求項5を新たに請求項2(以下「訂正請求項2」といい、これに記載された考案を以下「訂正考案2」という。)とするものである(ただし、訂正請求項1及び2の記載は、他の請求項の記載を引用する形式を改めたため、訂正前の請求項2及び5の記載と、その語順等で若干の相違がある。)。
したがって、本件考案2と訂正考案1、本件考案5と訂正考案2は、それぞれ実質的に同一のものである。
(3) 被告は、遅くとも平成6年ころから、別紙物件目録記載のモンキーレンチ(別紙物件目録の記載にしたがって、以下「イ号物件」ないし「ハ号物件」といい、これらを総称して以下「被告製品」という。)を製造販売している。
被告製品は、いずれも、少なくとも、本件各考案の構成要件A及びCを充足し、さらに、固定あご部および可動あご部の片面中間部に形成された各段部から先端部が、各あご部の突出基端部よりも薄く形成されている。
また、ロ号物件及びハ号物件は、いずれも、少なくとも、固定あご部および可動あご部の各段部から先端部を傾斜させて対向するように形成されている。なお、ロ号物件及びハ号物件は、大きさを異にするが、その余は同一の構造を有する。
2 争点 (1) 被告製品は本件各考案にいう「薄肉挟持部」を備えるか 〔原告の主張〕 ア 本件各考案の構成要件における「薄肉挟持部」とは、レンチ主体の前方に突出する固定あご部および可動あご部の各前部が、各あご部の突出基端部の厚みよりも薄肉寸法に設定されていることを意味し、かつ、これで足りるものである。
本件明細書実施例の記載中に、「2mm以下とするのが好ましい」との記載があるが、これは、実施例レベルでの好ましい数値を説明するにすぎず、本件各考案をこのようなものに限定するものではない。後記〔被告の主張〕アは、争う。
イ 被告製品は、いずれも、固定あご部および可動あご部の上面中間部に、
それぞれ段部が形成され、各段部から先端部を薄肉にして、固定あご部および可動あご部の前部に薄肉挟持部を設けているのであるから、被告製品の薄肉挟持部は本件各考案の構成要件にいう「薄肉挟持部」に相当する。
なお、本件考案2及び3における、固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ形成された段部は、これを形成することにより、厚肉基端部と薄肉挟持部の双方でボルト頭等を締緩操作することができ、すなわち、1丁のモンキーレンチで2通りの使い分けをすることができ、しかも、厚肉基端部においては、
必要十分な強度を確保し得るという、特有の作用効果を奏するものであるから、これに特段の作用効果がないとして本件考案2及び5を限定解釈する理由はない。
ウ したがって、被告製品は、いずれも、本件各考案の構成要件B及びDを充足し、ロ号物件及びハ号物件は、いずれも、本件考案5の構成要件Eを充足する。
〔被告の主張〕 ア 本件各考案の構成要件Aの構成は、一般的なレンチの構造であって、本件実用新案登録出願以前に刊行された実開昭62-32762号公報(乙31)にも記載されているとおり、本件実用新案登録出願当時、公知であった構成である。
構成要件Bの構成も、これを文字どおりの意義に解釈するならば、ペンチについてのものではあるが、本件実用新案登録出願以前に刊行された意匠登録第607559号公報(乙39)に記載されているとおり、本件実用新案登録出願当時、公知であった構成である。
したがって、当業者であれば、本件実用新案登録出願当時、上記の各構成を組み合わせることで、きわめて容易に本件考案1を想到することができたというべきであり、請求項1について実用新案登録無効理由が存在することとなる。
上記のような無効理由を回避するためには、本件各考案の構成要件にいう「薄肉」を、「技術的に意味のある厚さが特定された薄肉」と解するほかはない。
そして、本件明細書の記載を参照すると、本件明細書には、本件各考案の実施品が、光ファイバーケーブルコネクターや同軸ケーブルコネクター等の挟持する部分の幅が非常に狭く、凹設されている場合に使用するに適する旨の記載があり、また、実施例の項には、同軸ケーブルコネクターの挟持用平坦部は、通常、2mm程度のものが多いため、このモンキーレンチの薄肉挟持部の厚みは2mm以下とするのが好ましい旨の記載がある。
上記のとおりの本件明細書の記載を参酌し、請求項1について実用新案登録無効理由が存在しないように解釈するとすれば、本件各考案の構成要件にいう「薄肉」とは、厚くとも2mm程度までのものと限定解釈すべきである。
イ また、本件考案2は、本件考案1の構成に、「固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ段部を形成し、各段部から先端部を薄肉にする」との構成を加えたものであるところ、この形成された段部が特段の作用効果を奏しない以上、このように固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ段部を形成することは、例えば、本件実用新案登録出願以前に刊行された、USP3,396,614号公報(乙34)、前記意匠登録第607559号公報(乙39)や、
本件実用新案登録出願以前である昭和50年ころに日本国内において販売されていたモンキーレンチ(乙37)に見られるように、単なる設計事項にすぎない。
さらに、本件考案5は、本件考案2の構成に、「固定あご部および可動あご部の各段部から先端部の薄肉挟持部を傾斜させて対向させる」との構成を加えたものであるところ、この傾斜させるように構成することが特段の作用効果を奏しない以上、このように先端部の薄肉を段部を介して傾斜させることは、本件実用新案登録出願以前に刊行された意匠登録第666439号公報(乙41)に見られるように、公知または周知の構成にすぎない。
したがって、本件訂正請求が認められるか否かにかかわらず、「薄肉」の厚さを上記アのとおりに限定解釈しなければ、本件実用新案の請求項2(訂正請求項1)及び請求項5(訂正請求項2)に実用新案登録無効理由が存在することには変わりがない。
よって、本件各考案の構成要件にいう「薄肉」とは、本件訂正請求が認められるとしても、上記アと同様に限定解釈すべきである。
ウ ところで、被告製品において、固定あご部と可動あご部の先端の薄肉部の厚さは、いずれも4ないし4.5mm程度である。
したがって、被告製品は、いずれも、本件各考案の構成要件にいう「薄肉挟持部」を備えるものではない。
よって、被告製品は、いずれも、本件各考案の構成要件B、D及びEのいずれも充足しない。
(2) 本件実用新案登録は登録無効審判により新規性ないし進歩性の欠如を理由に無効とされるべきものか 〔被告の主張〕 ア 本件考案1について (ア) COVERS社のモンキーレンチ(乙37はその写真撮影報告書である。)は、本件実用新案登録出願以前である昭和50年ころに日本国内において販売されていたものであるが、本件考案1の構成は、上記モンキーレンチと同一である。
したがって、本件考案1は、新規性を欠くものである。
(イ) 実用新案登録出願以前に刊行された、USP3,396,614号公報(乙34)に記載された考案と、本件考案1は、前者が可動あご部をピボット式レバーをピボット旋回させ留め具を歯から外した上で、手動で可動させるのに対し、後者は可動あご部を送りねじの回動により可動させる点において相違し、その余の点で一致する。
ところで、可動あご部を固定あご部に対し進退摺動させる手段として、送りねじを用いるか、ピボット式レバーを用いるかは、単なる設計事項にすぎず、また、送りねじは、本件実用新案登録出願以前に刊行された実開昭62-32762号公報(乙31)にも記載されているとおり、当業者にとって周知であったから、ピボット式レバーを送りねじに置き換えることも当業者にとって極めて容易であった。
したがって、本件考案1は、上記USP公報に記載された考案から、
又は、上記USP公報及び実開昭62-32762号公報に各記載された考案から、当業者であれば極めて容易に想到することができたものであり、進歩性を欠くものである。
(ウ) 上記実開昭62-32762号公報(乙31)と、本件考案1は、
前者が、後者の構成要件Bである「固定あご部および可動あご部の前部を薄肉にして薄肉挟持部を設けた」との構成を有しない点において相違し、その余の点で一致する。
ところで、本件実用新案出願以前に刊行された意匠登録第607559号公報(乙39)には、ペンチについてのものではあるが、前記「固定あご部および可動あご部の前部を薄肉にして薄肉挟持部を設けた」との構成が記載されている。そして、モンキーレンチとペンチは共に工具であり、技術分野も同一であるから、上記意匠登録第607559号公報記載の構成を上記実開昭62-32762号公報に記載されたレンチに適用することは、当業者にとって極めて容易であった。
したがって、本件考案1は、上記実開昭62-32762号公報及び意匠登録第607559号公報に各記載された考案から、当業者であれば極めて容易に想到することができたものであり、進歩性を欠くものである。
イ 本件考案2(訂正考案1)について 本件考案2は、本件考案1の構成に、「固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ段部を形成し、各段部から先端部を薄肉にする」との構成を加えたものであるところ、この形成された段部が特段の作用効果を奏しない以上、
このように固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ段部を形成することは、例えば、本件実用新案登録出願以前に刊行された、前記USP公報、意匠登録第607559号公報や、前記昭和50年ころに日本国内において販売されていたモンキーレンチ(乙37)に見られるように、単なる設計事項にすぎない。
そして、上記アのとおり、本件考案1は新規性ないし進歩性を欠くものであるから、本件考案2も、当業者において極めて容易に想到することができたものであり、進歩性を欠くものである。
ウ 本件考案5(訂正考案2)について 本件考案5は、本件考案2の構成に、「固定あご部および可動あご部の各段部から先端部の薄肉挟持部を傾斜させて対向させる」との構成を加えたものであるところ、このように先端部の薄肉を段部を介して傾斜させることは、本件実用新案登録出願以前に刊行された意匠登録第666439号公報(乙41)に見られるように、公知または周知の構成にすぎない。
そして、上記ア及びイのとおり、本件考案2は進歩性を欠くものであるから、本件考案5も、上記ア及びイで掲げた各公報及びモンキーレンチ(乙37)並びに上記意匠登録第666439号公報により、当業者であれば極めて容易に想到することができたものであり、進歩性を欠くものである。
エ 以上のとおり、本件実用新案の請求項1、請求項2(訂正請求項1)及び請求項5(訂正請求項2)には、本件訂正請求が認められるか否かにかかわらず、新規性ないし進歩性の欠如という実用新案登録無効理由が存在する。
〔原告の主張〕 本件訂正請求による訂正後の本件実用新案の訂正請求項1及び2には、被告が主張するような実用新案登録無効理由は存在しない。その理由は、以下のとおりである。
ア 被告が援用するUSP3,396,614号公報(乙34)には、固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ形成されるべき「段部」が存在しない。
イ 本件訂正請求による訂正後の本件考案は、固定あご部および可動あご部の片面中間部にそれぞれ段部を形成することにより、厚肉基端部でボルト頭やナットなどを締緩操作でき、狭い込み入った場所でも、薄肉挟持部でボルト頭やナットなどを締緩操作できるという、1丁で2通りの使い分けができるという、特有の作用効果を奏するものである。
これに対し、被告が援用する、昭和50年ころに日本国内において販売されていたとするモンキーレンチ(乙37)は、先端側の薄肉挟持部でのみボルト頭などを操作する形態のものであり、厚肉基端部で操作することができるものではない。
このように、上記モンキーレンチは本件考案と決定的に異なるものであり、仮に、上記モンキーレンチが本件実用新案登録出願以前に公知であったとしても、本件実用新案登録の無効理由を構成するものとはならない。
ウ 被告が援用する実開昭62-32762号公報(乙31)、意匠登録第607559号公報(乙39)及び意匠登録第666439号公報(乙41)は、
いずれも一対の挟持片が横軸まわりに開閉回動するプライヤーであって、本件考案が対象とする、固定あご部に対して可動あご部が平行に進退摺動するモンキーレンチと比較するのは相当ではない。
(3) 被告は本件実用新案権について先使用による法定実施権を有するか 〔被告の主張〕 ア イ号物件は、被告社内において製品開発がされたものであるが、その製品図面は、本体部分が昭和63年11月5日、あご部分は同月16日に完成し、その後、被告社内でフライス盤により金型を完成させ、同年12月9日にあご部分の鍛造試作を、同月12日に本体部分の鍛造試作を行い、その後、設計変更なく、平成元年7月10日に販売を開始し、現在に至っている。
イ ハ号物件も、被告社内において製品開発がされたものであるが、その製品図面は、本体部分が昭和63年11月5日、あご部分は同月12日に完成し、その後、被告社内でフライス盤により金型を完成させ、同年12月22日に本体部分の鍛造試作を、同月26日にあご部分の鍛造試作を行い、その後、設計変更なく、
平成元年7月10日に販売を開始し、現在に至っている。
ウ 以上のとおり、被告は、本件実用新案登録出願日までに、イ号物件及びハ号物件について、量産のために最も重要な金型を完成させており、これらの販売直前であったものである。したがって、被告は、本件実用新案登録出願の際、イ号物件及びハ号物件の製造販売を行う事業の準備を行っており、即時実施可能な状態であったものである。
そして、イ号物件及びハ号物件の製品開発は、被告の従業員らによって、原告の本件各考案を知らないで行われたものであるから、被告は、イ号物件及びハ号物件の製造販売に関し、本件実用新案権について先使用による法定実施権を有する。
エ ロ号物件は、ハ号物件よりも開発は遅れたものであるが、ハ号物件と大きさを異にするにすぎない。
したがって、ロ号物件の製造販売は、ハ号物件についての事業目的の範囲内であるから、被告がハ号物件の製造販売に関して有する、本件実用新案権についての法定実施権の範囲内の行為である。
〔原告の主張〕 ア 被告は、イ号物件及びハ号物件の製品開発が、原告の本件各考案を知らないで行われたと主張するが、ほぼ同一の考案がほぼ時を同じくして別々に完成される蓋然性は著しく小さいはずであり、疑問である。
イ 先使用による法定実施権の成立要件である、事業の準備をしていたといえるためには、即時実施の意図が客観的に認識される態様、程度において表明されていることを要するところ、被告は、本件実用新案登録出願日前に、試作品を作るまでに至っていない。また、被告は、モンキーレンチ類の専門メーカーであり、即時実施の意図がありさえすれば、時を経ずして直ちに商品化できたはずであるにもかかわらず、被告製品が実際に販売されたのも、本件実用新案登録出願から相当に後れていたことに照らすと、即時実施の意図があったとはいえない。
ウ 被告製品には、いずれも、レンチ主体の上面を平面加工して、その平面部に目盛表示を入れる一方、可動あご部の基端側上面を平面加工して、その平面部に矢印表示を入れ、これら目盛表示と矢印表示とで、固定あご部に対する可動あご部の開口幅寸法が計測できるようになっている。
これに対して、被告がイ号物件及びハ号物件の製品図面として主張する図面には、上記のような目盛表示や矢印表示は記載されていないから、被告が本件実用新案登録出願時に実施の事業の準備をしていたと主張する考案は、上記のような目盛表示や矢印表示を備えていないものである。
すなわち、被告製品は、本件実用新案登録出願の後に、上記のような目盛表示や矢印表示を加えるという大幅な変更を加えたものであるところ、これは単なる設計変更の域を遙かに越えるものであるから、被告製品の製造販売は、本件実用新案登録出願時に被告が実施の事業の準備をしていた考案の範囲を越えるものであって、先使用による法定実施権の範囲内の行為にはなり得ない。
エ なお、本件考案の実用新案登録出願日と同一日付で作成されたと被告が主張する、イ号物件及びハ号物件の最終製品図面(乙47、49)が、現実にその日に作成されたことには疑問がある。
(4) 損害の額 〔原告の主張〕 ア 主位的主張(実用新案法29条1項に基づく主張) 被告による被告製品の売上数は、合計で月間平均300丁を下らない。
したがって、被告は、平成6年5月から平成14年1月までの93か月間に2万7900丁、平成14年2月から平成15年11月までの22か月間に6600丁、これらの期間を通じて合計3万4500丁の被告製品を売り上げたこととなる。
原告は、本件考案の実施品であるモンキーレンチを製造販売していたところ、原告は、そのモンキーレンチ1丁につき、平成14年1月までは1075円、平成14年2月以降は775円の粗利益を得ていた。
上記の各事情を基に、実用新案法29条1項に基づいて計算すると、原告が受けた損害は、下記の計算式のとおり、3510万7500円となる。
27,900×1,075+6,600×775=35,107,500 イ 予備的主張(実用新案法29条3項に基づく主張) 被告による平成6年5月から平成15年11月までの115か月間における被告製品の売上数は、上記アのとおり3万4500丁である。
被告製品の平均売価は3490円であり、本件各考案実施許諾した場合の実施料率は、売価の8パーセントを下らない。
上記の各事情を基に、実用新案法29条3項に基づいて計算すると、原告が受けた損害は、下記の計算式のとおり、963万3400円となる。
3490×0.08×34,500=9,632,400 〔被告の主張〕 否認ないし争う。
当裁判所の判断
1 争点(3)(被告は本件実用新案権について先使用による法定実施権を有するか)について (1) 実用新案法26条が準用する特許法79条は、「特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。」と規定する。
上記規定によれば、被告が被告製品の製造販売に関し、本件実用新案権について先使用による法定実施権を有するというためには、@ 昭和63年12月7日の本件実用新案登録出願の際、被告が、日本国内において考案の実施である事業をし、又はその準備をしていたこと、A 被告による被告製品の製造販売が、@の実施に係る考案と事業の目的の範囲内であること、B 被告が、@の実施の際、本件各考案の内容を知らないで考案に至った者(被告の主張に照らせば被告従業員ら)からその内容を知得したこと、の各要件がいずれも充足されることが必要である。
そこで、以下、被告製品の製造販売が上記の各要件を充足するか、検討することとする。
(2) 被告社内における被告製品の開発経緯について 乙第23、第43号証(いずれも被告従業員P1作成の陳述書)及び後掲の各証拠並びに弁論の全趣旨によれば、被告製品の開発経過は、概ね以下のとおりであったと認められ、これを左右するに足りる証拠はない。
ア 昭和63年10月ころまでに、被告従業員であるP2が、被告社内において、「電磁弁のエア配管、空調設備の配管、機械等のせまい場所等においての器具交換を行う場合に使用できる」モンキーレンチとして、あご部を長くし、その先端部分を薄くしたモンキーレンチで、あご部に角度を付けないもの(ストレートタイプ。イ号物件に相当)と傾斜させるもの(ベントタイプ。ハ号物件に相当)の2種類の製作を企画し、被告が、この企画されたモンキーレンチについて、その外観のデザインを東京都新宿区所在の有限会社K1(現在の代表取締役P3)に依頼し、同社は同月17日にデザイン図を制作して、これを被告に引き渡した(乙44ないし46)。
イ 被告は、上記デザイン図を受領した後、被告社内においてモンキーレンチ製作のための製図作業を始め、イ号物件については同年11月5日に本体機械加工図、同月7日に本体型彫図、同月11日に体ワンヒート図、同月12日に爪鍛造製品図、同月15日に下あごワンヒート図、同月16日に下あご機械加工図を作成し、ハ号物件については同月5日に本体機械加工図、同月7日に本体型彫図、同月22日に体ワンヒート図、同月12日に下あご鍛造製品図、同月16日に下あご機械加工図、同月26日に下あごワンヒート図を作成した(乙1、2、3の2、4、
5の2、6ないし8、9の2、10、11、12の2)。
ウ 被告は、型彫図や鍛造製品図が完成した後、これらに基づいて倣い型を作成し、倣い型とワンヒート図から、ワンヒート鍛造金型の製作を開始し、金型の完成後、イ号物件については、本体部分は同年12月12日に、あご部分については同月9日に、それぞれ鍛造試作を行い、ハ号物件については、本体部分は同月22日に、あご部分については同月26日に、それぞれ鍛造試作を行った(乙3の1、5の1、9の1、12の1、20)。
あご部分の試作材は、「新型ストレートM”爪」(イ号物件のあご)、
「新型ベントM”爪」(ハ号物件のあご)として、同月7日に各26s(代金各2366円)が被告に納入された(乙20)。
鍛造金型の製作には、(ア)鍛造製品図(型彫り図)を基に倣い型を製作する、(イ)ワンヒート図を基に金型の全体形状を上下一対製作する、(ウ)上記金型の表面に(ア)で作成した倣い型を使って、上型下型とも、4個型彫りをする、(エ)4個の型彫り部分のうち2個を粗打ち型部とするために、型形状を崩す加工をする、(オ)上型に、バリ厚分の削り下げと、バリ溜まりを削り加工する、(カ)型削り部分をエアーグラインダーで磨く、(キ)金型の仕上げ打ち部分に製品の表示文字(商標、材質名、国籍等)を彫刻する、との工程を要しており、また、鍛造品を作るためには、型打ち後に製品の素材となる部分とバリ部分を切断分離するバリ抜き型の製作も必要であって、鍛造試作を行った時点では、これらの工程がすべて完了していた。
エ 被告は、これらの製作と並行して、イ号物件とハ号物件の外観デザインについて意匠登録出願を準備し、同月27日、イ号物件の外観について意匠登録出願を(意願昭63-50925号)、ハ号物件の外観について、上記出願意匠の類似意匠としての登録出願を(意願昭63-50926号)行った(乙21、22)。
オ 被告は、上記ウの鍛造試作と前後して、量産のための材料を発注し、また、鍛造試作後に、全体の厚みを増やしたり肉付けをしたり、曲げを変更するといった修正をし、その後、平成元年3月4日から10日にかけて材料が入庫したのを受けて量産を開始し、同年7月10日にイ号物件及びハ号物件の販売を開始した(乙3の2、4、5の2、9の2、10、12の2、20)。
カ 被告は、イ号物件及びハ号物件の販売開始後、ハ号物件と基本的に同一の構造で、大きさの異なるモンキーレンチ(ロ号物件に相当)の製作を企画した。
そこで、被告は、モンキーレンチ製作のための製図作業を始め、平成元年10月28日に本体鍛造製品図と本体型彫図、同年11月2日に本体機械加工図、同月10日に本体ワンヒート図、同年10月31日に下あご鍛造製品図、同年11月6日に下あご機械加工図、同月7日に下あごワンヒート図を作成し、型彫図や鍛造製品図が完成した後、これらに基づいて倣い型を作成し、倣い型とワンヒート図から、ワンヒート鍛造金型の製作を開始し、金型の完成後、本体部分は同年11月25日に、あご部分については同年12月4日に、それぞれ鍛造試作を行った(乙13ないし20〔枝番を含む〕)。
被告は、上記鍛造試作と前後して、量産のための材料を発注し、また、
鍛造試作後に、曲げを変更するといった修正をし、その後、同年11月27日から同年12月6日にかけて材料が入庫したのを受けて量産を開始し、平成2年3月24日にロ号物件の販売を開始した(乙16の2、20)。
(3) 上記要件@について ア 上記要件@にいう、被告において考案の実施である事業の準備をしていたというためには、被告により実施されるべき考案が完成されており、かつ、その考案につき、いまだ事業の実施の段階には至らないものの、即時実施の意図を有しており、かつ、その即時実施の意図が、客観的に認識される態様、程度において表明されていることを要すると解すべきである。
そして、考案が完成したというためには、その技術的手段が、当業者において反復実施して目的とする効果を挙げることができる程度にまで具体的、客観的なものとして構成されていることを要し、またこれで足りるものであって、その物が現実に製造されあるいはその物を製造するための最終的な製作図面等が作成されていることまでは必ずしも必要でなく、その物の具体的構成が他の図面等によって示され、当業者がこれに基づいて最終的な製作図面等を作成しその物を製造することが可能な状態になっていれば、考案としては完成しているというべきである。
イ これを上記(2)の被告製品の開発経過に照らして検討するに、被告は、本件実用新案登録出願日である昭和63年12月7日より前に、イ号物件及びハ号物件について、上記(2)ア及びイのとおり、その開発を企画し、被告外部のデザイン会社に依頼して制作されたデザイン図を基に、金型製作のための各種図面の作成を終えていたものである。
(2)ウ及びエの経過に照らせば、被告は、本件実用新案登録出願日である昭和63年12月7日より前に、試作材料を発注し、鍛造金型の製作に着手するとともに、意匠登録出願の準備を開始していたことを、優に推認することができる。
そして、上記(2)ウ及びオのとおり、被告は、鍛造試作と前後して、量産のための材料を発注し、その入荷を待って量産を開始し、その約4か月後に販売を開始しており、これと並行して、意匠登録出願をしている。
このように、被告は、本件実用新案登録出願日より前に、イ号物件及びハ号物件の鍛造金型を製作するための図面を完成させ、鍛造金型の製作を開始し、
これらの外観について意匠登録出願の準備も開始しているところ、これらは、製品の最終的な形状が決定していなければ行うことができないものであるし、また、上記のとおり完成されていた図面を基にすれば、これらから金型を製作して製品の製造に至ることが可能であるというべきであるから、この時点において、既にこれらに係る考案は完成されていたと認めることができる。
そして、上記のとおり、被告は、鍛造金型の完成後、鍛造試作を行い、
これと前後して材料を発注して量産を行い、販売に至っており、これと並行して意匠登録出願を行っているところ、これらの経過に照らせば、被告において即時実施の意図があったものと認めるに十分であり、また、本件実用新案登録出願日より前に、イ号物件及びハ号物件の製作において重要な位置を占めることが明らかである、鍛造金型を製作するための図面を完成させたうえ、試作材料を発注するとともに金型製作に着手していることに鑑みれば、その即時実施の意図は、本件実用新案登録出願の際には、客観的に認識される態様、程度において表明されていたものと認めることができる。
なお、上記(2)オのとおり、本件実用新案登録出願日以降に行われた鍛造試作の後、若干の変更がされていることが認められるが、乙第3号証の2、第4号証、第5号証の2、第9号証の2、第10号証、第12号証の2に照らせば、これらはいずれも製作上の微修正にすぎないものと認められるから、上記認定を左右するものではない。
上記とおりであるから、イ号物件及びハ号物件に関しては、昭和63年12月7日の本件実用新案登録出願の際には、被告は、その考案を完成し、実施の事業の準備もしていたものというべきである。
ウ この点につき、原告は、被告製品が実際に販売されたのが、本件実用新案登録出願から相当に後れていたことから、即時実施の意図があったとはいえないと主張する。
確かに、イ号物件及びハ号物件の販売開始は、上記(2)オのとおり平成元年7月10日であるが、これらの材料が被告に入荷されたのは、上記(2)オのとおり同年3月4日から10日であるところ、その材料(クロムバナジウム鋼)がJIS規格にない物で、市場に標準品として在庫がないために、被告がメーカーに発注してから入荷するまでに3か月程度を要するものである(乙20、43)ことからすると、被告がこれら材料を発注したのは昭和63年12月ころのことであると認められるのであって、上記(2)の経過に照らして材料の発注に遅延があったとはいえない。また、これら材料が被告に入荷されてから販売開始までの期間は、約4か月であって、これも、この間に一定数量の製品の製造から梱包までに加え、販売のための営業活動をも行うことを考えれば、遅延があったということはできない。
したがって、イ号物件及びハ号物件の販売開始が平成元年7月10日であったことは、被告が即時実施の意図があったことを認めることの妨げとはならない。
また、原告は、被告は、本件実用新案登録出願日前に、試作品を作るまでに至っていないことから、即時実施の意図が客観的に認識される態様、程度において表明されていたとはいえないと主張する。
しかしながら、本件のイ号物件及びハ号物件は、鍛造金型を用いて製造される物であるから、金型は製造のための設備ともいうべきものであるところ、被告において、本件における各種図面のような、これを基として金型を製作することができる図面を完成し、試作材料を発注したうえで金型の製作に着手している以上、即時実施の意図は客観的に認識される態様、程度での表明ということができるのであって、鍛造の試作がされたことまでを必要とするものではない。
したがって、原告の上記主張は採用することができない。
エ 以上のとおりであるから、イ号物件及びハ号物件について、上記要件@は充足されているということができる(ロ号物件については後述する。)。
(4) 上記要件Aについて ア 乙第1、第2号証、第3号証の2、第4号証、第5号証の2、第6ないし第8号証、第9号証の2、第10、第11号証、第12号証の2、第23、第43号証及び弁論の全趣旨によれば、被告が製造販売したイ号物件及びハ号物件は、
本件実用新案登録出願の際に準備されていたものと同一であり、平成元年7月10日の販売開始後、その構造を変更したことがないことが認められる。
もっとも、乙第4号証、第5号証の2、第6、第10、第11号証、第12号証の2によれば、被告は、イ号物件及びハ号物件について、上記販売開始後、若干の寸法変更をしていることが認められるが、これらはいずれも1mmにも満たない寸法の変更であって、構造の変更に至るものではない。
したがって、被告によるイ号物件及びハ号物件の製造販売は、本件実用新案登録出願の際、被告が実施である事業を準備していた考案と、事業の目的の範囲内にあるというべきであり、上記要件Aは充足されているといえる。
イ ロ号物件は、上記(2)カのとおり、平成元年のイ号物件及びハ号物件の販売開始後に開発が開始されたものである。
しかしながら、ロ号物件は、ハ号物件と大きさを異にするだけで、その余の構造が同一であることは当事者間に争いがないところである。
したがって、被告にかかるロ号物件の製造販売は、ハ号物件にかかる考案の実施である事業の目的の範囲内にあるというべきである。
そして、乙第13ないし第15号証、第16号証の2、第17ないし第19号証、第23号証及び弁論の全趣旨によれば、被告は、ロ号物件について、平成2年3月24日の販売開始後、その構造を変更したことがないことが認められる。
なお、乙第18号証によれば、被告は、ロ号物件について、上記販売開始後、若干の寸法変更をしていることが認められるが、これらはいずれも1mmにも満たない寸法の変更であって、構造の変更に至るものではない。
したがって、被告によるロ号物件の製造販売も、本件実用新案登録出願の際に、被告が実施である事業を準備していた考案と、事業の目的の範囲内にあるというべきであり、上記要件Aは充足されているということができる。
ウ なお、この点につき、原告は、被告が本件実用新案登録出願の際に実施の事業の準備をしていたとする考案は、図面に照らすと、レンチ主体の上面に目盛表示を、可動あご部の基端側上面に矢印表示をそれぞれ入れて、これら目盛表示と矢印表示とで、固定あご部に対する可動あご部の開口幅寸法が計測できるようにな計測手段を備えていなかったものであるのに、実際に製造販売された被告製品は、
上記のような計測手段を備えているものであって、すなわち、本件実用新案登録出願の後に、上記のような計測手段を加えるという大幅な変更を加えたものであるところ、これは単なる設計変更の域を遙かに越えるものであるから、被告製品の製造販売は、本件実用新案登録出願時に被告が実施の事業の準備をしていた考案の範囲を越えると主張する。
しかしながら、先使用権の効力は、実用新案登録出願の際に先使用権者が現に実施又は準備をしていた実施形式だけでなく、これに具現された考案と同一性を失わない範囲内において変更した実施形式に及ぶものである。
そして、仮に、被告製品の上記のような目盛表示と矢印表示からなる計測手段が、本件実用新案登録出願以降に設けられたものであったとしても、上記の程度の変更は、原告の主張するような大幅な変更というべきものではなく、モンキーレンチそのものの構造にも何らの変動がないものであるから、被告製品の製造販売によって実施された考案と、本件実用新案登録出願日当時に被告が実施の事業の準備をしていた考案との同一性は失われないというべきである。
したがって、原告の上記主張は採用することができない。
(5) 上記要件Bについて 上記(2)の被告製品の開発経過に照らすと、イ号物件及びハ号物件にかかる考案は、被告社内において、被告従業員らによって、本件各考案の内容を知らないで完成されたものと推認することができる。
この点につき、原告は、ほぼ同一の考案がほぼ時を同じくして別々に完成される蓋然性は著しく小さいはずであると主張するが、何ら裏付けのない主張にすぎず、上記推認を左右するものではない。
したがって、上記要件Bも、充足しているということができる。
(6) 以上のとおり、被告による被告製品の製造販売は、上記要件@ないしBをいずれも充足するものである。
したがって、被告は、被告製品の製造販売に関し、本件実用新案権について先使用による法定実施権を有していたというべきである。
2 結論 以上のとおりであるから、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がない。
よって、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 山田知司
裁判官 高松宏之
裁判官 守山修生
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