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関連ワード 技術的範囲 /  均等 /  考案 /  同一の作用効果 /  頒布 /  特定 / 
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事件 平成 13年 (ネ) 732号 実用新案権侵害差止等請求控訴事件
控訴人(原告) A
訴訟代理人弁護士 櫛田泰彦、補佐人弁理士 大塚明博、小林保
被控訴人(被告) 株式会社プロトコーポレーション
訴訟代理人弁護士 辻巻健太、辻巻真、辻巻淑子、立松直樹
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/07/10
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴人の求めた裁判
「原判決を取り消す。
被控訴人は、別紙物件目録記載の中古車価格ガイド誌を製作、発行、頒布してはならない。
被控訴人は、別紙物件目録記載の中古車価格ガイド誌及びその半製品並びにこれに関する印刷用紙型、亜鉛板、フィルム、版下などの印刷用の原版を廃棄せよ。
被控訴人は控訴人に対し、1200万円及びこれに対する平成12年7月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。」との判決。
事案の概要
控訴人は、自ら有する実用新案権(考案の名称「中古車価額表」)、及び、控訴人が代表者である株式会社日本自動車情報サービスが発行する中古車価格ガイド月刊誌「NAIS」の編集著作権に基づき、被控訴人発行の中古車基準価格ガイド誌「ブルーブック」の製作等の差止め及び損害賠償を求めているが、原判決は、控訴人の請求を棄却した。
事案の概要及び争点並びに争点に関する当事者の主張は、原判決事実及び理由の第二、第三に示されているとおりである。ただし、控訴人の主張の変更に伴い、原判決別紙原告書籍目録を本判決別紙原告書籍目録に改める。なお、控訴人は、原判決別紙物件目録とは表現を異にする本判決別紙物件目録が「ブルーブック」の価額表(控訴状には「価格表」と表記されているが、以下では本件考案の名称及び原判決の表記に合わせて「価額表」と表記する。)であると主張しているが、この点に関しては、後記当裁判所の判断で示すとおりである。
控訴理由(要点)
1 実用新案権侵害を否定した認定、判断の誤り (1) 被控訴人製品である中古車価格ガイド誌「ブルーブック」に掲載されている中古車価額表には、同一車種について年式による括りの中に、縦方向の同一列に異なったカラーが混在しているものもあるが、それ以上に、同一車種について年式による括りの中に、縦方向の同一列に同一カラーのみが表示されている中古車価額表がはるかに多く存在している。
控訴人が本件実用新案権の侵害の対象とするのは、「『ブルーブック』に掲載されている同一車種について年度ごとに括られた括りの中に、縦方向の同一列に同一カラーが表示されている中古車価額表」であって、「年度ごとに括られた括りの中に、縦方向に異なったカラーが混在している中古車価額表」までも対象とするものではない。また、本件差止等請求の対象は、別紙物件目録に記載されているとおり、「『ブルーブック』に掲載されている同一車種について年度ごとに括られた括りの中に、縦方向の同一列に同一カラーが表示されている中古車価額表」が掲載されている中古自動車ガイド誌「ブルーブック」である。
原判決は、「ブルーブック」に掲載されている中古車価額表中、控訴人が対象としていない「年度ごとに括られた括りの中に、縦方向に異なったカラーが混在している中古車価額表」を被告価額表と認定しているが、誤りである。
(2) 別紙物件目録に記載されている被告価額表には、本件考案の構成にある「カラー表示」欄及び「カラー項」の文字はないが、「最多流通」、「第2流通」、
「第3流通」は、それらの下方に縦方向に並んで表示されている同一カラーにより具体的なカラーを表示するものとして認識されるものであり、被告価額表の「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」が設けられている欄は、本件考案の「カラー表示欄」に該当し、「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」はそれぞれ「カラー項」に該当する。
なぜなら、被告価額表に表示されている「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」は取引量で区別されたボディーカラーを意味するものであり、「最多流通」、
「第2流通」、「第3流通」には具体的なカラー表示はないものの、取引量によって区別された特定のカラーを指定するものであることは明らかである。その特定される具体的なカラーは、それらの項の下方に年度で括られた括りの中で縦方向に並んで表示されている同一カラーによって認識可能である。
被告価額表にあって、中古車価格を左右するボディーカラー以外の要因を表示するその他の要因表示部と加減額表示部を一括りで表示しており、その他の要因表示部を車種項の一部として設けてはいないが、これは単に本件考案における、その他の要因表示部と加減額表示部との間の仕切りをなくし、かつ表示位置をずらしたにすぎず、その目的及び作用効果において、本件考案の「ボディーカラー毎の各々の中古車価額に、その他の要因により表示された額を加減することにより、中古車の適正な価格を認識できる」といった作用効果と同一の作用効果を奏し、そして、
「中古車価格の基準となる価格の適正化を図る」といった同一の目的を達成することができるものであって、本件考案のその他の要因表示部及び加減額表示部と被告価額表におけるその他の要因表示部及び加減額表示部とは実質的に同一である。
以上のように、本件考案と別紙物件目録に記載の被告価額表とは実質的に同一であり、被告価額表が本件考案技術的範囲に含まれないとした原判決の判断は誤りである。
2 著作権侵害を否定した認定、判断の誤り (1) 被告価額表は、流通量の多さによって最多流通、第2流通、第3流通と区別している旨説明するが、これは、人気度によって区別している原告価額表と実質的には何ら差がない。
すなわち、新車については、メーカーが発行する資料により流通量を判断することができる。しかし、中古車はその判断資料がなく現実には判断不可能である。被告価額表が第1(最多)流通、第2流通、第3流通といっているのは、実際はボディーカラーによって分けているだけである。控訴人は、「NAIS」において、流通相場値第1、流通相場値第2、流通相場値第3に分けていたところであるが、被控訴人は、紙面の関係から、第1(最多)流通、第2流通、第3流通と略したにすぎない。
(2) 従来の価額表が仕様、認定型式、通称型式、類別区分番号等の選択又は配列(「レッドブック」)、あるいは、認定型式、仕様、通常型式、通常装備に分類(イエローブック)していたところ、原告価額表は、上部に左側から横方向に、小売価額、型式、排気量・仕様、グレード、ミッション、乗車定員、新車価額、装備、流通相場値第1、流通相場値第2、流通相場値第3、燃費、馬力、類別区分、
車両重量の順で項目表示されており、創作性があるというべきである。
被告価額表は、上部に左から横方向に、年式、型式、グレード、シフト、タイプ、排気、新車価格、最多流通、第2流通、第3流通の順に配列表示されている。
「ブルーブック」の項目表示は、「NAIS」ほどは細かく表示されていないが、基本的に同じ配列になっており、被告価額表は、原告価額表を剽窃したものである。
(3) 以上の趣旨に反し、原判決が、事実及び理由の第四の二1の(一)、(二)のとおりに、原告書籍目録及び「ブルーブック」の価額表(被告価額表)の各(4)の部分を、変更して認定したのは誤りであり、控訴人主張の著作権侵害を否定した原判決の判断も誤りである。
当裁判所の判断
1 実用新案権に基づく請求について (1) 本件実用新案権は、昭和61年(1986年)4月28日登録出願に係るものであり、平成13年(2001年)4月28日の経過により存続期間が満了している(平成5年法律第26号による改正前の実用新案法15条1項)。したがって、控訴人の本訴請求中、実用新案権に基づく差止め及び廃棄請求はこの点において既に理由がない。
(2) 当裁判所も、被告価額表中の「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」の各欄の下方に縦方向に並んで表示されているのは、特定の同一カラーではなく、同一列に異なったカラーが混在しており、これらの流通欄は、特定車種の流通量の多寡を区分するために設けられていると認められるのであって、各流通欄が本件考案の構成要件B及びCの「カラー表示欄」及び「カラー項」に該当するということはできず、被告価額表には、本件考案の構成要件B及びCの「カラー表示欄」及び「カラー項」が存在しないものと判断する。したがって、被告価額表は、本件考案技術的範囲に属さず、かつ、その均等の範囲にも属さないと判断するものであるが、その理由は、原判決事実及び理由の第四の一に示されているとおりである。
なお、原判決の別紙物件目録と控訴状記載の物件目録(本判決別紙物件目録)とで表現の違いがあるが、同じ被告価額表についての表記方法の違いにすぎず、原判決における訴訟の対象と当審における訴訟の対象とが相違するものではない。控訴人は、物件目録の表現に関連して、本件実用新案権の侵害の対象とするのは、
「『ブルーブック』に掲載されている同一車種について年度ごとに括られた括りの中に、縦方向の同一列に同一カラーが表示されている中古車価額表」であって、
「年度ごとに括られた括りの中に、縦方向に異なったカラーが混在している中古車価額表」までも対象とするものではないと主張するが、被控訴人発行の中古車基準価格ガイド誌「ブルーブック」の被告価額表の構成を総合して評価してみて、本件考案の構成要件充足の有無を判断すべきであり、被告価額表において生じ得る特定の表示部分のみに着目して、本件実用新案権の侵害について判断すべきではない。
上記説示のとおり、「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」の各欄は、流通量を基準に区分されており、各欄はそれぞれ車両のボディーカラーと基準価額を表示するものであるから、必然的に縦方向の同一列に異なったカラーが混在するものであるが、同一カラーが並ぶことも生じ得る。控訴人の主張は、「ブルーブック」の各流通欄に縦方向の同一列に同一カラーが表示されている部分があるとし、この部分のみを取り上げて侵害しているとするものであるが、そもそも流通欄はボディーカラーを基準に区分されているものではなく、各流通欄の一部に縦方向の同一列に同一カラーが表示されている部分があるとしても、各流通欄が本件考案の「カラー表示欄」及び「カラー項」に該当するとはいえない。控訴人の主張は理由がない。
したがって、実用新案権に基づく損害賠償請求も理由がない。
2 著作権に基づく請求について 当裁判所も、原判決事実及び理由の第四の二におけるのと同じ理由により、控訴人主張の著作権侵害の主張は理由がないものと判断する。控訴人の当審における主張及び新たに提出された甲号証に照らしてみても、この判断は動かない。
3 結論 以上のとおりであって、本訴請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。
追加
(別紙)物件目録中古自動車価格ガイド誌「ブルーブック」に掲載されている中古自動車の価額表@上部に、左側から横方向に年式型式、グレード、シフト、タイプ、排気、新車価格、最多流通、第2流通、第3流通の順で項目表示されている。
A前記項目表示の下方に、縦方向に年度ごとに括られて、この括りの中で前記型式、グレード、シフト、タイプ、排気の項目に対応するように、型式、グレード、シフト、タイプ、排気量を表示して特定した車種が、車種別に縦方向に配列表示されている。
B年度ごとに括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている新車価格の項目の縦方向の延長線との交点に、当該車種表示されている自動車の新車当時の価格が表示されている。
C年度ごとに括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている最多流通の項目の縦方向の延長線との交点に、特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価格がそれぞれ表示され、同様に各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第2流通の項目の縦方向の延長線との交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価格がそれぞれ表示され、同様に各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第3流通の項目の縦方向の延長線との交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価格がそれぞれ表示されている。
D年度ごとに括られた括りの中で、上部に、標準、走行、車検残、OP加算、
SR、シフト等の文字と、距離、月、加減算額を表す数字が表示されている。
(別紙)原告書籍目録中古車価格ガイド誌「NAIS」に掲載されている中古車価額表(1)上部に、左側から横方向に、小売価格、型式、排気量仕様、グレード、ミッション、定員、新車価格、装備、流通相場値、第1、第2、第3、燃費、馬力、類別区分、車両重量の順で項目表示されている。
(2)前記項目表示の下方に、縦方向に年度ごとに括られて、この括りの中で、前記型式、排気量仕様、グレード、ミッション、定員の項目に対応するように、型式、排気量仕様、グレード、ミッション、定員を表示して特定した車種が、車種別に配列表示されている。
(3)年度ごとに括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と上部に表示されている新車価格の項目の縦方向の延長線との交点に、当該車種表示されている自動車の新車当時の価額を表示する価額表示部を配列表示している。
(4)年度ごとに括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている流通相場値第一の項目の縦方向の延長線との交点に特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額を表示する価額表示部が配列表示され、同様に各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第二の項目の縦方向の延長線との交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額を表示する価格表示部が配列表示され、同様に各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第三の項目の縦方向の延長線との交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額を表示する価格表示部が配列表示されている。
(5)年度ごとに括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている小売価額、燃費、馬力、類別区分、車両重量の項目の延長線との交点にそれぞれの内容が表示されている。
(6)年度ごとに括られた括りの中で、上部に、AT、MT、S/R有、A/C無等の文字と、加減算額を表す数字が表示されている。
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 古城春実
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