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事件 平成 12年 (ワ) 4788号 実用新案権侵害差止等請求事件
原告 株式会社伸興
訴訟代理人弁護士 三山峻司
同 中世古 裕之
補佐人弁理士 中谷武嗣
被告 ヒューグルエレクトロニクス株式会社
訴訟代理人弁護士 飯田秀郷
同 栗宇一樹
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2001/10/16
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告は、「USG-206号」パネル体の除塵装置を製造、販売し、販売のために宣伝広告してはならない。
2 被告は、その所有する「USG-206号」パネル体の除塵装置及びその半成品を廃棄せよ。
3 被告は、原告に対し、金2060万円及びこれに対する平成12年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は、「パネル体の除塵装置」の登録実用新案の実用新案権者である原告が、被告に対し、被告の製造、販売するパネル体の除塵装置は同考案技術的範囲に属すると主張して、その差止め等と損害賠償を請求した事案である。
1 争いのない事実 (1) 原告は次の実用新案権を有している(以下、同実用新案権を「本件実用新案権」、同考案を「本件考案」という。)。
考案の名称 パネル体の除塵装置 イ 登録番号 第2567191号 ウ 出願日 平成4年4月13日(実願平4-31327号) エ 公開日 平成5年11月2日(実開平5-80573号) オ 登録日 平成9年12月26日 カ 実用新案登録請求の範囲は、別紙実用新案登録公報該当欄記載のとおり(以下、同公報を「本件公報」、その明細書を「本件明細書」という。)。
(2) 本件考案の構成要件は次のとおり分説するのが相当である。
A パネル体2にエアを吹き付けるためのエア排出室6とエアを吸引して該パネル体2に付着した塵Rを除去するためのエア吸入室7とが仕切壁4にて仕切られた中空箱状のクリーナヘッド1を備えた除塵装置であって、
B 微小寸法Gをもって上記パネル体2に対面する水平状のエア排出室底壁8に、パネル体進行方向Aと略直交する方向のスリット状のエア吹出口9を開設すると共に、
C 上記微小寸法Gをもって上記パネル体2に対面する水平状のエア吸入室底壁10に、上記エア吹出口9に対して平行状に配設されるエア吸入口11を開設し、
D かつ、上記エア吹出口9と平行に配設されて該エア吹出口9に連通連結されると共に空気の振動を増幅させる複数の水平部15…を上下に有する連続溝13を備え該連続溝13を通過したエアが超音波の乗った境界層破壊用エア流となって該エア吹出口9から連続して吹き出す超音波発生器12を、上記エア排出室6に内装した E ことを特徴とするパネル体の除塵装置。
(3) 被告は、「USG-206号」パネル体の除塵装置(以下「被告装置」という。)を製造、販売しており、その構成は、別紙物件目録記載のとおりである。
(4) 被告装置は、少なくとも次の作用を有している。
ア エア供給孔52からエアを供給すると、吹出ダクト36からチャンバー上面プレート58Cを経て吹出チャンバー58Aにエアが流れて、スリット状のエア吹出口39からエア流として、下方かつパネル体32の進行方向と直交方向に連続して吹き出る。
イ このエア吹出口39から吹き出すエア流には、超音波(周波数20kHz以上の音波)が乗っており、塵Rをパネル体32から剥離して除去する。
ウ 剥離した塵Rは、エア吸入口41・41から吸入されて、エア吸出孔53を通って外部へ持ち去られる。
(5) 被告装置は、構成要件A、B、C、Eを備えている。
2 争点 (1) 構成要件Dの充足性 ア 被告装置は「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成を備えているか。
イ 被告装置の超音波発生器は「エア排出室に内装」との構成を備えているか。
ウ 被告装置は「エア吹出口に連通連結」との構成を備えているか。
エ 被告装置から発生する超音波は「境界層破壊」の機能を有しているか。
(2) 損害の発生及び額
争点に関する当事者の主張
1 争点(1)-構成要件Dの充足性 (1) 争点(1)ア(被告装置は「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成を備えているか。)について 〔原告の主張〕 ア(ア) 構成要件Dの「空気の振動を増幅させる超音波発生器」とは、空気の振動を増幅させることにより、パネル体の境界層を破壊する(物理的エネルギーを有する)程度の「超音波」を発生させれば足り、「空気の振動」が、原理的に特定の周波数の「共振」(物がある特定の周波数でよく振動する現象。共振周波数は、基本モードの共振周波数の整数倍となって、倍音を発生する。)を利用するものであっても、あるいは「強め合う干渉」(一つの波の山が他の波の山と重なったとき、それぞれの効果が加算されて、結果として振幅が増大した一つの波が生じる現象。)を利用するものであってもよい。
本件明細書の図3には、超音波発生器の内面形状の実施例の一つとして、30kHzの倍数周波数の超音波を得る例が示されているが、本件考案の解決課題の一つは、境界層を破壊して除塵効果の得られる超音波を発生させることにあるのであるから、構成要件Dの超音波発生器が倍数周波数を得るように設計したものに限定されると解すべき合理的な根拠はない。
(イ) そして、「水平部」とは、流路幅(流路面積)の小さな上下の流路の間に形成された、流路幅(流路面積)の大きな水平状空間をいい、空気の振動を増幅させる上で重要な役目を果たす部位をいう。
イ 被告装置のエア排出室36の内面によって形成されたエア排出路の形状は、上から下へ順に第1段幅狭小部61(吹出ダクトとガスケットとの接合凹部)、
第1段幅広部62(ガスケットスリット部)、第2段幅狭小部63(円形孔71内径部)、第2段幅広部64(吹出チャンバー58A内径部)、第3段幅狭小部65(差込フランジ受部)(差込フランジ受部として形成されている受け溝のうち、帯電防止部材50の差込フランジとの係合部分は高速のエア流は通過しないから、第3段幅狭小部の差込フランジ受部は、同係合部分以外の部分を意味する。)、第3段幅広部66(吹出チャンバー58A内径部)が配設されて、前後ないし左右幅寸法が「小大小大小大」と変化する連続溝が形成されている(以下、被告装置の第1段幅狭小部61から第3段幅広部66までの部分を「原告主張の連続溝部」という。)。
原告主張の連続溝部における流路幅及び流路面積の変化は、別紙「原告主張の連続溝部における流路幅の変化グラフ」及び別紙「原告主張の連続溝部における流路面積の変化グラフ」のとおりであり、複数の水平部(別紙の各グラフ中のH2、H4等で示す部分)を有している。
ウ 被告装置において、上方ヘッド部31A側の排出室上半部36Aのエア流にも超音波振動が発生していて、原告主張の連続溝部を高速のエア流が通過する過程で、超音波振動が増幅されて、エア吹出口39から出るエア流において、パネル体上の境界層を破壊する程度、すなわち、パネル体に付着した塵を除去する程度の超音波振動が発生する。
このことは、原告主張の連続溝部又は差込フランジ受部65をなくした比較対照クリーナと被告装置との超音波の増幅の程度の差異に関するクリーナヘッド超音波実験報告書(甲13、16、17)、被告装置の原告主張の連続溝部内の超音波の増幅状況に関する成績書(甲27)から、明らかである。
なお、原告主張の連続溝部内で発生する「共振」や「強め合う干渉」を理論的に明らかにすることは、現在の技術レベルでは不可能であるから、構成要件Dの「空気の振動を増幅させる」という作用を有しているか否かの判断においては、被告装置における現実の現象を検討すれば足りる。
エ したがって、被告装置は「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成を備えている。
〔被告の主張〕 ア 「空気の振動を増幅させる」とは、複数の水平部に固有の共振周波数における共振を起こさせるものであると、限定解釈されるべきである。その理由は次のとおりである。
(ア) 本件明細書の図3(超音波発生器から発生する超音波の周波数を示すグラフ図)は、30kHz、60kHz、90kHzに顕著なピーク(他の周波数と約60dBの音圧の違いがある。)を有する波形となっており、水平溝による共振によるものであることを示している。
そして、空洞共振により30kHz、60kHz、90kHzの周波数を得るためのx方向寸法の計算値は5.5mmであるところ、本件明細書実施例には、好適例として水平溝15の幅寸法Dを6mmとする記載があり、上記の周波数を共振させるためのx方向寸法と近似した値になっている。
(イ) 本件考案は、複数の円筒型(セル型)の超音波発生器を千鳥状に配設する従来の除塵装置では、パネル体の全幅にわたって均一な除塵効果を得ることができなかったことから、パネル体の全体にわたって均一な除塵効果を示すことができるパネル体の除塵装置を提供することを目的とするものである。
そして、上記円筒型(セル型)の超音波発生器とは、別紙「円筒型超音波発生器と本件考案との比較図」の図1に示すようなものであったから、本件考案における超音波発生器の水平部も、従来の超音波発生用ノズルの円筒状のものをエア吹出口の長手方向に延長して、同別紙の図2に示すように一体化したものと把握されるべきである。
イ 原告主張の連続溝部は、エア排出室の内部空間そのものであって、その用語上から、同部分が「連続溝」に当たらないことは明らかである。また、第2段幅広部64と第3段幅広部66は、その水平方向の広がりが同一であるから、両部分を区別して水平部に当たるとすることはできない。
ウ また、被告装置において、超音波を発生させているのは、高圧の空気が吹出チャンバー58Aに吹き込まれた結果、エア吹出口39から高速のジェットエア流として噴出する際に、エア吹出口39の構造からその外方近傍において超音波振動をするようになることによるのであって、被告装置における超音波発生器は、エア排出口39というべきである。
原告主張の連続溝部は、超音波の発生それ自体には全く関係のないものである上、構成要件Dの「空気の振動を増幅させる」すなわち共振周波数における共振を起こさせる作用を有していない。
このことは、原告主張の連続溝部又は差込フランジ受部65をなくした比較対照クリーナと被告装置について、エア吹出口39における周波数別の超音波出力を測定した実験報告書(乙1、2、3の1・2、4)から明らかである。
また、差込フランジ受部65近傍の流速は、14.3m/secから22.9m/secであり、音速(340m/sec)と比較して極めて遅く、このことも、原告主張の連続溝部が超音波発生に寄与していないことを示すものである。
エ したがって、被告装置は「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成を備えていない。
(2) 争点(1)イ(被告装置の超音波発生器は「エア排出室に内装」との構成を備えているか。)について 〔原告の主張〕 「内装」とは、「建物などの、内部の壁・床・天井などの仕上げや装飾及び設備の配置。また、その工事。」(大辞林)と説明され、自動車の内装のようにボディーと一体化したものや、店舗の部屋の内装における壁紙のように壁と一体化したものを含むと解される。
被告装置においては、幅広・幅狭の連続溝を形成するエア排出室自体の内面形状そのものが超音波発生器を形成しており、超音波発生器がエア排出室に内装されているといえる。また、被告装置の超音波発生器は、エア排出室と底壁に立設された構造と位置関係となっている。
したがって、被告装置の超音波発生器は「エア排出室に内装」との構成を備えている。
〔被告の主張〕 被告装置の超音波発生器は、エア排出室に相当する吹出チャンバー58Aを含んで構成されており、吹出チャンバー58Aに内装されているとすることはできない。
したがって、被告装置の超音波発生器は「エア排出室に内装」との構成を備えていない。
(3) 争点(1)ウ(被告装置は「エア吹出口に連通連結」との構成を備えているか。)について 〔原告の主張〕 構成要件Dの「エア吹出口に連通連結」されるのは、「複数の水平部を上下に有する連続溝」である。被告が主張するように「超音波発生器」が「エア吹出口に連通連結」されると解すべきではない。
被告装置の連続溝部は「エア吹出口に連通連結」されるとの構成を備えている。
〔被告の主張〕 本件考案の超音波発生器12は、エア吹出口9とは別の構成体であり、これと「連通連結される」ものであるところ、原告が主張する被告装置の超音波発生器42は、エア吹出口39をその構成要素とするものであり、エア吹出口39と連結されるわけではないし、連通しているとすることもできない。
被告装置の超音波発生器は「エア吹出口に連通連結」されるとの構成を備えていない。
(4) 争点(1)エ(被告装置から発生する超音波は「境界層破壊」の機能を有しているか。)について 〔原告の主張〕 高速のエアが静止体にぶつかった場合、エアの粘性に基づいて、静止体に薄い境界層が形成されるが、これに超音波振動エネルギーが与えられると、境界層表面を打ち破って、1μm〜20μm程度の微粒子が飛び出す。
構成要件Dの「境界層破壊」とは、この現象のことを意味するものであり、被告装置から発生する超音波は「境界層破壊」の機能を有している。
〔被告の主張〕 被告装置が発する超音波は、微粒子塵Rをパネル体から剥離させるように作用はするものの、「境界層破壊」はしない。そもそも、高速の流体が静止体にぶつかってその表面に生じる「境界層」は、流体(空気)の粘性に基づくものであって、これを破壊するようなことはできない。
したがって、被告装置から発生する超音波は「境界層破壊」の機能を有していない。
2 争点(2)-損害の発生及び額 〔原告の主張〕 原告は、被告の被告装置の販売行為によって、少なくとも2060万円の損害を被った。
〔被告の主張〕 原告の主張事実は争う。
争点に対する判断
1 争点(1)ア(被告装置は「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成を備えているか。)について (1) 同構成要件の解釈について 構成要件Dにおいては、超音波発生器が「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝13を備え」、かつ「該連続溝13を通過したエアが超音波の乗った境界層破壊用エア流とな」るとされているから、本件考案の超音波発生器において超音波を発生する機能を有するのは「連続溝13」であり、この「連続溝13」は「空気の振動を増幅させる複数の水平部」を有していなければならないことは明らかである。
しかし、構成要件Dの「水平部」や「連続溝」とはどのような形状のものを含むのか、また、「連続溝」がどのような機構で超音波を発生させるのかについては、構成要件Dの文言からは必ずしも明らかではない。
ア そこで、本件明細書の【考案の詳細な説明】の項の記載を検討する。
(ア) 本件明細書の【実施例】の項において、超音波発生器の実施例として、その形状を示しているのは図1のみであり、その形状は、「エア吹出口9と平行な連続溝13を有するブロック体からなり、連続溝13は、鉛直部14と、該鉛直部14に連通連結される上下一対の水平部15、15とからなる」(本件公報5欄5〜8行)というものである。
(イ) この実施例の超音波発生器の各部の寸法については、「例えば、ヘッド1の幅寸法Wは100mm 位とすると共にヘッド1の高さ寸法Hを50mm位とし、かつ、エア排出室6の底壁8の肉厚寸法Tを3mm位とする。」(5欄9〜12行)、「そして、超音波発生器12の鉛直部14の幅寸法Bを1mm位とし、水平部15の高さ寸法Cを3mm位とし、水平部15の幅寸法Dを6mm位とし、水平部15、15間寸法Eを6mm位とし、上面16からの上方の水平部15までの寸法Fを6mm位とするのが好ましい。」(5欄13〜17行)と、その推奨値が詳しく記載されている。
(ウ) さらに、「上述の如く構成された超音波発生器12によれば、900〜1600mmAqの圧力で100〜200m/secの速度でエアが連続溝13を通過すれば、その風速と連続溝13の凹凸によって空気振動が生じ、20kHz以上の特定周波数を有する超音波を得ることができる。」(5欄32〜36行)、「即ち、この場合、図3に示すように、30kHzの倍数周波数の超音波を得ることができる。」(5欄37〜38行)と、超音波発生器内を流れるエア流の速度、得られる超音波の特定周波数についての記載がある。
(エ) また、図3(超音波発生器から発生する超音波の周波数を示すグラフ図)では、30kHz、60kHz、90kHzの各周波数帯の音圧レベル(dB値)が突出して高い周波数分布が示されている。
イ 上記の実施例の記載は、本件考案の超音波発生器においては「水平部」、「連続溝部」の各部の寸法が重要な意味を持っていること、それによって得られる超音波は、特定周波数(ないしその倍数周波数)部分が顕著に増幅されることを示唆している。
なお、本件明細書には、上記の超音波発生器の水平部、連続溝部の各部の寸法と、特定周波数(30kHz)との関係について、具体的な説明はない。しかし、三井田惇郎著「音響工学」(乙6)及び弁論の全趣旨によれば、直方体のある2辺の長さをLx、その直方体で共振現象が起こる場合の波長をλとすると、Lx=λ×Nx/2(Nxは任意の整数)との関係があることが認められる。また、Paul G.Hewitt外2名著、小出昭一郎、黒星瑩一監訳「流体と音波」(甲24)によれば20℃における音速は340m/secであることが認められる。これらは、当業者の技術常識ということができる。そこで、「周波数×波長=音速」の関係式を用いて空気中の30kHzの超音波の波長を計算すると約11mmとなり、水平部15の幅寸法D(6mm位)は、30kHzの超音波の波長の約2分の1に設定されていることになるから、
本件明細書の記載を当業者の技術常識をふまえて解釈した場合、同水平部15は、30kHzの周波数の共振現象を起こすように設計されていることが開示されているとみることができる。
さらに、「イオン発生装置」の発明に関する特公昭61-57646号特許公報(乙5)の図9には、水平部を2段に設けた複式超音波発生器(ただし、
同水平部の形状は、本件公報の図1と異なりエア流方向を軸とする円柱状である。)が示され、同図に関する説明部分では、同水平部を「共振空洞」と表現し、
特定の周波数で共振させる機能を有することが記載されている(12欄32行〜13欄24行)。そして、本件公報の図1に示される超音波発生器は、水平部の形状が円柱状であるという点の差異はあるものの、断面形状は上記複式超音波発生器とほぼ同様であり、これによれば、本件公報の実施例に示されるような形状の超音波発生器は特定の周波数の超音波を共振させるという超音波の発生原理が、本件考案の出願前に公知であったということができる。
ウ 本件考案の実用新案登録請求の範囲の記載では、超音波発生器において「空気の振動を増幅」させる原理についての記述はないが、本件明細書中には、
「空気の振動を増幅」させる原理としてこの「共振」によるもの以外の増幅原理を示す記載はない。
原告は、構成要件Dの「空気の振動を増幅させる超音波発生器」とは、
空気の振動を増幅させることにより、パネル体の境界層を破壊する(物理的エネルギーを有する)程度の「超音波」を発生させれば足り、「空気の振動」が、「共振」を利用するものであっても、あるいは「強め合う干渉」を利用するものであってもよいと主張する。
しかしながら、本件考案の超音波発生器において「強め合う干渉」による空気の振動の増幅が生じることについて何ら説明がなく、「強め合う干渉」現象が起こり得る可能性は否定できないとしても、どのような形状をした「複数の水平部を上下に有する連続溝」が「強め合う干渉」により空気の振動を増幅させるのかが明らかでなく、当業者がその実施をできることができる程度に明確かつ十分な記載がない(実用新案法5条4項)といわざるを得ない。
したがって、構成要件Dの「空気の振動」の「増幅」について、「強め合う干渉」を含む趣旨と解することはできない。
エ 以上によれば、構成要件Dにいう「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成は、当該複数の水平部によって共振現象を起こし、これによって空気の振動を増幅させる連続溝を備えた超音波発生器を意味するものと解するのが相当である。
そして、「複数の水平部を上下に有する連続溝」は、「共振」とともに「強め合う干渉」を起こすものを排除するものではないが、少なくとも共振現象を起こす機能を有するものに限定されると解すべきである。
(2) 被告装置における原告主張の連続溝部は、吹出ダクトとガスケットとの接合凹部61、ガスケットスリット部62、円形孔71内径部63のようなダクトとチャンバーの接続部分に生じた段差部分、吹出チャンバー58A内径部64のようなチャンバーの内部空間のような部分、及び差込フランジ受部65のようにフランジを受ける溝が長手方向に延びた部分からなるものであって、様々な形状部分があり、しかも通常のエア配管に生じるとも思われる形状も含まれているものであるが、このように吹出ダクトから吹出チャンバーにかけての内部空間の全体をもって、本件考案の「連続溝」に該当するとすることは、「連続溝」という言葉の通常の語義からして疑問といわざるを得ない。しかし、この点は暫く措き、以下では、被告装置が、共振現象によって「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」を有しているかについて検討する。
ア(ア) 原告は、原告主張の連続溝部を通過する過程で超音波が増幅されるとし、そのことは、下記イの各実験結果から明らかであるとする。
(イ) 一方、被告は、エア吹出口39から高速のジェットエア流として噴出する際に、エア吹出口39の構造からその外方近傍において超音波振動をするようになると主張し、このことは下記ウの各実験結果から明らかであるとする。
そして、原告の出願に係る特開平11-239761号公開特許公報(乙9)によれば、エア流を狭窄部から一気に開放状態とすることによって超音波が発生することが認められるから(同公報2欄16〜18行、4欄18〜20行)、少なくとも被告が主張する超音波発生の機構は原理的な裏付けが存するものといえる。
イ まず、原告実験の結果について検討する。
(ア) 同実験結果は次のとおりである。なお、a〜cの実験は原告実施によるものであり、dの実験は東京都立産業技術研究所の実施によるものである。
a クリーナヘッド超音波実験報告書(甲13、14) (a) 測定対象 @ 被告装置 A 原告主張の連続溝部を幅が一定の空気通路に置き換えた比較対照クリーナ (b) 測定方法 測定対象@について、原告主張の連続溝部の上部の測定点Aとエア吹出口39下部の測定点Cにおいて、測定対象Aについて、測定対象@の測定点A及び測定点Cに対応する測定点a、c、及びエア吹出口の上部の測定点bにおいて、それぞれ周波数別の超音波出力(クリーナ内部圧力10kPa)を測定した。
(c) 結果 周波数20kHzの超音波の音圧をみると、被告装置では、測定点Aでは約63dB、測定点Cでは約85dBであった。
これに対し、比較対照クリーナにおいては、測定点aでは約63dB、測定点bでは約52dB、測定点cでは約66dBであった。
b クリーナヘッド超音波実験報告書(甲16) (a) 測定対象 上記aと同じ。
(b) 測定方法 クリーナ内部圧力を12.7kPaとしたほかは、上記aと同様である。
(c) 結果 周波数20kHzの超音波の音圧をみると、被告装置では、測定点Aでは約70dB、測定点Cでは約85dBであった。
これに対し、比較対照クリーナにおいては、測定点aでは約68dB、測定点bでは約67dB、測定点cでは約67dBであった。
c クリーナヘッド超音波実験報告書2(甲17) (a) 測定対象 吐出チャンバー部内にある差込フランジ受部65をビニールテープで塞ぎ、内面に凹凸のない状態にした比較対照クリーナ (b) 測定方法 クリーナ内部圧力を12.7kPaとしたほかは、上記aと同様である。
(c) 結果 周波数20kHzの超音波の音圧をみると、比較対照クリーナの測定点Aでは約70dB、測定点Cでは約75dBであった。
d 成績書(甲27) (a) 測定対象 被告装置 (b) 測定方法 チャンバー上面プレート58Cの上方40mmの測定点@、チャンバー上面プレート58Cの下方11mm(耐電防止部材50の上方)の測定点A、チャンバー上面プレート58Cの下方37mm(耐電防止部材50の下方)の測定点B、エア吹出口39の下方10mmの測定点C、同20mmの測定点D、同30mmの測定点Eで、それぞれ周波数別の超音波出力(クリーナ内部圧力12.7kPa)を測定した。
(c) 結果 20〜100kHzのパーシャルオーバーオール値は、測定点@は105dB、測定点Aは121dB、測定点Bは112dB、測定点Cは126dB、測定点Dは115dB、測定点E107dBであった。
(イ) 原告実験の結果の検討 a 上記実験結果中、いずれの測定対象についても、エア吹出口39から噴出されるエア流中の周波数別の超音波出力は、本件明細書の図3に示されるような顕著なピーク部を有しておらず、のこぎり歯状の小刻みな変動はあるものの、その小刻みな変動部分をならした場合には、なだらかな曲線状の変化を示すのみである。
さらに、原告実験の結果を個別に検討する。
b 原告実験a及びbにおける測定結果について (a) 被告装置の測定結果では、原告主張の連続溝部の上部測定点Aと、エア吹出口39から噴出される気流中の測定点Cとの間で超音波の音圧の増幅が認められる。被告は、被告装置はエア吹出口39から噴出される時に超音波が発生すると主張しており、被告の同主張に従っても、同じように測定点Aと測定点Cとの間で20kHzの音波の増幅が認められることになるから、同実験結果は、被告の主張を排斥するものとはいえない。
(b) 比較対照クリーナの測定結果では、原告実験aにおいては測定点a〜cの間での超音波の増幅は大きくなく(測定点bと測定点cとの間では、超音波の増幅は認められる。)、原告実験bにおいては、測定点bと測定点cとの間(エア吹出口の前後)でほとんど超音波の増幅はない。
しかし、上記のとおりエア流を狭窄部から一気に開放状態とすることによって超音波が発生する原理の存在が認められること、第三者機関による原告実験dにおいても、エア吹出口39の前後の測定点Bから測定点Cにかけて顕著な音圧の増幅が認められるから、エア吹出口39からエア流が噴出する際に超音波が発生すると考えざるを得ない。そして、そもそも測定点Aにおいて測定される超音波がどこで発生したものかは、原告の実験によっては明らかではなく、原告は、原告第7回準備書面において「送風機」や「配管」中でも超音波は発生すると主張するが、その事実を認めるに足りる証拠はないし、その原理的な裏付けも明らかではない。
なお、中野有朋著「騒音・振動技術」(甲26)及び弁論の全趣旨によれば、超音波は距離とともに減衰するが、囲まれた空間においては、音のエネルギーは空間壁を構成する素材に吸収される以外には維持されることが認められること、比較対照クリーナにおける幅が一定の空気通路における流速は、下記エ記載の帯電防止部材50付近の流速(十数m/sec〜二十数m/sec)より十分遅いものと推認され(エア流の通過面積は、比較対照クリーナの幅が一定の空気通路部分の方が広いことから、帯電防止部材50付近の流路より十分広い。)、そうすると、音波の伝達速度(340m/sec〔20℃〕)より極めて遅いことになるから、エア吹出口で生じた超音波が測定点Cにおいて観測される可能性も否定できない。
以上のような疑問点が存することからすれば、原告実験bの比較対照クリーナの測定結果、及びクリーナ内部圧力が異なるのみで他の条件が同一である原告実験aにおける同測定結果について、その測定点Bと測定点Cとの音圧の増加割合が、エア吹出口39から噴出する際に発生する超音波の音圧の増加を示す証拠として採用することはできず、また、この測定結果にもって、被告装置と比較対照クリーナの超音波の音圧の増幅を比較することも相当ではないというべきである。
c 原告実験cにおける比較対象クリーナの測定結果について 原告実験cの測定点A及び測定点Cとの測定値によれば、被告装置による上記b(a)の増幅より程度は低いものの、いずれも、被告が主張するようにエア吹出口39の前後における音圧の増幅が認められる。
d 原告実験dにおける被告装置の測定結果について この測定結果では、原告実験a〜cでは明らかにならなかったチャンバー内部での音圧の増加、減少の推移が明確となっている。
これによれば、帯電防止部材50の近傍を通過することによっては超音波が増幅されずかえって減衰してしまうことを示している。
そして、測定点Bから測定点Cに至る過程で、その音圧の増幅が著しいから、被告が主張するように狭いスリットから排出される際の効果として超音波が発生していることが認められる。
なお、原告主張の連続溝部の上部に当たる測定点@と測定点Aの間で音圧は増幅されてはいるが、当該増幅の効果は帯電防止部材50の近傍を通過する際にかなりの程度減衰してしまうこと、エア吹出口39から噴出する際の効果として著しい音圧の増幅があることからすると、上記測定点@と測定点Aとの間の音圧の増幅効果が、最終的にパネル体に吹き付けられる際のエア流に反映しているとすることを認めるには足りないものというべきである。
ウ 次に、被告が実施した実験の結果について検討する。
(ア) 同実験の結果は次のとおりである(なお、各実験の結果における周波数別の超音波出力の測定結果は、出力強度の絶対値としてではなく、周波数別の超音波出力分布を示す相対値として把握したものである。)。
a 実験報告書(乙1) (a) 測定対象 @ 被告装置 A 被告装置のチャンバー上面プレート58Cに、長さ336mmのパイプを接続した比較対照クリーナヘッド B A同位置に長さ37mmのパイプを接続した比較対照クリーナヘッド (b) 測定方法 エア吹出口39から1.5mm離れた地点での周波数別の超音波出力(クリーナ内部圧力12.7kPa)を測定した。
(c) 結果 エア吹出口39から噴出される気流における超音波別の超音波出力分布は、上記測定対象@〜Bで顕著な差異は認められない。
b 実験報告書(2)(乙2) (a) 測定対象 @ 帯電防止部材50を取り除いた被告装置のチャンバー上面プレート58Cにパイプを接続した比較対照クリーナヘッド A @の差込フランジ受部65をプラスチックコンパウンドで埋めて、その上にプラスチックフィルムを貼り付けて、内面を平滑にした比較対象クリーナヘッド (b) 測定方法 エア吹出口39から1.5mm、5mm、10mm、20mm、30mm、50mm、75mm、100mmの8地点での周波数別の超音波出力(クリーナ内部圧力12.7kPa)を測定した。
(c) 結果 エア吹出口39から1.5mmの地点における超音波の周波数特定は、
上記測定対象@、Aで顕著な差異は認められない。
c 実験報告書(第3報)(乙3の1・2) (a) 測定対象 @ 被告装置 A 被告装置から帯電防止部材50を取り除いた比較対照クリーナ B Aの差込フランジ受部65をプラスチックフィルムで覆い、内面を平滑にした比較対照クリーナ (b) 測定方法 エア吹出口39から1.5mm地点での周波数別の超音波出力(クリーナ内部圧力10kPa及び12.7kPa)を測定した。
(c) 結果 エア吹出口39から1.5mmの地点における超音波の周波数特定は、
上記測定対象@〜Bで顕著な差異は認められない。
d 実験報告書(第4報)(乙4) (a) 測定対象 @ 被告装置 A 被告装置のチャンバー上面プレート58Cにパイプを接続した比較対照クリーナ (b) 測定方法 エア吹出口39から1.5mm地点での周波数別の超音波出力(クリーナ内部圧力10kPa及び12.7kPa)を、測定平均回数5回、10回及び100回の3通りで測定した。
(c) 結果 エア吹出口39から1.5mmの地点における超音波の周波数特定は、
上記測定対象@及びAで顕著な差異は認められない。
測定の平均回数が増加するほど、周波数特定は平滑化する。
(イ) 上記実験結果について検討する。
被告実験によれば、原告主張の連続溝部のチャンバー上面プレート58Cの辺りの溝部分や、帯電防止部材50の辺りの溝部分を平滑にしても、超音波の周波数別の超音波出力分布はほとんど変化がなく、また、共振現象が起きていれば発生するであろう特定周波数の顕著な増幅部分も認めることはできない。
エ 被告装置におけるエア流の流速について検討する。
(ア) 被告装置の帯電防止部材50付近の流速は、乙10によれば、圧力10kPaの場合の実測値は14.3〜20.6m/sec(計算値は20.5〜20.8m/sec)、圧力12.7kPaの場合の実測値は16.2〜22.9m/sec(計算値は22.5〜23.2m/sec)であることが認められる。
また、エア吹出口39の流速は、乙3の1によれば、圧力10kPaの場合は113〜115m/sec、圧力12.7kPaの場合は128〜131m/sec、乙7によれば、圧力10kPaの場合は113m/sec、圧力12.7kPaの場合は131m/secであることが認められる。
(イ) 本件明細書の【実施例】には、「100〜200m/secの速度でエアが連続溝13を通過すれば、その風速と連続溝13の凹凸によって空気振動が生じ、20kHz以上の特定周波数を有する超音波を得ることができる。」と記載されている(本件公報5欄33〜36行)が、被告装置の場合、エア流が明細書記載の上記流速に近い速度になるのは、エア吹出口39においてのみであって、それより上方の原告主張の連続溝部においては、その中で最も狭くなる帯電防止部材50付近においても、
20m/sec前後となっており、本件明細書実施例記載の流速とは大きな差異がある。
(3) そうすると、被告が主張するように、被告装置においてエア吹出口39からエア流が高速で噴出する際に超音波が発生することについては、上記の超音波発生状況に関する実験の結果、エア吹出口のエア流の流速に関する測定結果、原告出願に係る特開平11-239761号公開特許公報中の超音波発生の原理についての記載から明らかであるというべきであり、上記実験の結果中には、上記のとおり、
被告が主張する被告装置における超音波発生の原理に明確に反する部分は認められない。
一方、原告主張の連続溝部においては、同部分のエア流が超音波が発生するに足る程度の流速に達していないのではないかとの疑問も存する上、超音波出力の測定結果中にその一部で超音波が増幅する部分があるものの、上記のとおり、最終的にパネル体に吹き付けられる際のエア流の超音波に反映する程度の増幅作用を認めるに足りる結果は認められない。
さらに、上記のとおり、構成要件Dの「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成は、当該複数の水平部によって共振現象を起こし、これによって空気の振動を増幅させる連続溝を備えた超音波発生器を意味するものと解すべきところ、被告装置の原告主張の連続溝部において、この共振現象が起きていることを示唆するような特定周波数の顕著な増幅等の周波数特性の変化を示す証拠もない。また、原告主張の連続溝部が、原理的に共振現象を起こすに足りる形状を備えているということもできない。
そうすると、被告装置が構成要件Dの「空気の振動を増幅させる複数の水平部を上下に有する連続溝を備えた超音波発生器」との構成を備えているとすることはできないものというべきである。
2 争点(1)イ(被告装置の超音波発生器は「エア排出室に内装」との構成を備えているか。)について (1) 一般的に、「内装」とは、「内部の設備、装飾及びこれらの作業。内部に備え付けること。」(特許技術用語集〔日刊工業新聞社〕)、「建築物などの、内部の設備・装飾。また、それらを整える作業。」(広辞苑〔第五版〕)とされているように、部屋等の内部にそれとは別体の物を備え付けることを意味し、予め内側に一体的に成形することまでを含むものではないと解される。本件明細書においても、実施例に示された超音波発生器12はエア排出室6に上記の意味で「内装」されているものといえ、このことからも、本件考案の構成要件Dにいう「エア排出室に内装」の意義は上記のように解すべきである。
原告は、自動車の内装のようにボディーと一体化したものや、店舗の部屋の内装における壁紙のように壁と一体化したものを含むと主張するが、いずれも、
自動車のボディーとは別体の内装品を備え付け、店舗の部屋とは別体の内装部材を備え付け、ボディーないし部屋と一体化させるものであって、予め内側に一体的に成形するものではないから、上記事例を被告装置に当てはめて、被告装置が超音波発生器を内装しているとすることはできない。
(2) 被告装置においては、原告が超音波発生器を構成する連続溝であると主張する「原告主張の連続溝部」は、前記のとおり吹出チャンバー(本件考案のエア排出室に相当)(及びその上部の吹出ダクト等)の内部空間そのものであるから、超音波発生器が「エア排出室に内装」するとの構成を備えているとすることはできない。
3 以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がない。
追加
(別紙)物件目録一物件の種別パネル体の除塵装置二図面の説明斜視図1除塵装置全体の組み立て斜視図斜視図2第3図A-A断面斜視図第1図除塵装置全体の側面図第2図要部(クリーナへッド)の側面図第3図要部(クリーナへッド)の正面図第4図要部(クリーナへッド)の平面図第5図要部(クリーナへッド)の底面図第6図第3図のA-A断面図第7図作用説明のためのA-A断面図第8図作用説明を兼ねて示した第4図のB-B断面図第9図超音波発生用エア排出路の断面図第10図寸法図三符号の説明31クリーナへッド31A上方へッド部31B下方へッド部32パネル体36吹出ダクト37吸気ダクト38底壁39エア吹出口41エア吸入口50帯電防止部材51箱型基台56ガスケット57ボルト58吹出/吸気チャンバー58A吹出チャンバー58B吸気チャンバー58Cチャンバー上面プレート59消音カバー材61吹出ダクトとガスケットとの接合凹部62ガスケットスリット部63円形孔71内径部64吹出チャンバー58内径部65差込フランジ受部66吹出チャンバー58内径部70ガスケット71円形の孔四構造の説明(構造)1パネル体32を水平に送る搬送手段を有する箱型基台51と、その上に取付けられたクリーナへッド31とを、備えている。
前記クリーナへッド31は、被除塵用のパネル体32にエアを吹き付けるための中空の吹出ダクト36、エアを吸引する中空の吸気ダクト37からなる上方へッド部31A、及び、吹出/吸気チャンバー58と消音カバー材59・59とからなる下方へッド部31Bを有し、前記吸気ダクト37の内側には吹出ダクト36を収容するように形成されている。
2前記吹出ダクト36はガスケット70を介して、複数本のボルト57にて、また、
前記吸気ダクト37は別のガスケット56を介して、複数本のボルトにて、それぞれ前記吹出/吸気チャンバー58の上面を形成するチャンバー上面プレート58Cと一体状に組立てられている。
3前記吹出ダクト36は、吹出配管継手と連結される円柱状部、下方に向かうにしたがって前後幅寸法(第3図正面図を基準として。以下同じ。)が小さくなるように形成されたダクト部、前記チャンバー上面に固定するためのボルト用孔を複数設けた平板部とからなる。
4前記吸気ダクト37は、下方に向かうにしたがって前後幅寸法が小さくなるように形成されたダクト部、前記チャンバー上面58Cに固定するためのボルト用孔を複数設けた平板部とからなる。
5前記吹出/吸気チャンバー58には、中央部に吹出チャンバー58A、これを挟んで前後両側に吸気チャンバー58B・58Bが設けられ、前記チャンバー上面プレート58Cの中央部に非連続の円形の孔71が長手方向に一直線上に穿設され、前記吹出チャンバー58A内部と前記チャンバー上面プレート58Cの上方とを連通し、また、前記チャンバー上面プレート58Cには前記中央部の円形の孔71を挟むように前後に平行して非連続の円形の孔が各2列に亘って長手方向に直線上に穿設され、前記吸気チャンバー58B内部と前記チャンバー上面プレート58Cの上方とを連通している。
6前記吹出/吸気チャンバー58の底壁38は微小寸法Gをもってバネル体32に対面する。この底壁38の中央部に、前記パネル体32の進行方向と略直交する方向にスリット状のエア吹出口39が吹出チャンバー58Aの内部と底壁38の下方とを連通するように開設されている。
7前記吹出/吸気チャンバー58の前面・後面には、前記消音カバー材59・59が固着されている。
8前記吹出チャンバー58Aには、上下中間高さに、イオンを吹出エアに付加するための帯電防止部材50が付設されている。この帯電防止部材50は、前後に複数本の差込フランジを有し、当該差込フランジと吹出チャンバー側壁に設けられた差込フランジ受部65が係合して固定されている。
9前記底壁38には、中央部の前記エア吹出口41を挟むように前後に平行して2本のスリット状のエア吸入口41が、前記吸気チャンバー58Bの内部と前記底壁38の下方とを連通するように開設されている。
10吹出ダクト36の上方には、エア供給孔52が開口しており、吹出配管継手を介してエア供給ホースが接続されている。
11吸気ダクト37の上方には、エア吸出孔53が開口しておリ、吸気配管継手を介して真空引きホースが接続されている。
12前記エア吹出口39の形状は、第10図の下方部分に示されているとおりである。
斜視図1斜視図2第1図第2図第3図第4図第5図第6図第7図第8図第9図第10図別紙「原告主張の連続溝部における流路幅の変化グラフ」別紙「原告主張の連続溝部における流路面積の変化グラフ」別紙円筒型超音波発生器と本件考案との比較図
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 阿多麻子
裁判官 前田郁勝
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