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事件 平成 11年 (ワ) 14338号 実用新案権侵害差止等請求事件
原告A
訴訟代理人弁護士 影山 光太郎
同 鈴木 伸太郎
同 市川裕史
同 笹倉興基
補佐人弁理士 植田茂樹
被告 岡部株式会社
訴訟代理人弁護士 水谷直樹
同 岩原将文
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2001/10/30
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,別紙物件目録2記載の揺動クランプを製造,販売してはならない。
2 被告は,原告に対し,金611万4400円及び内金568万7700円に対する平成11年6月8日から,内金5万3500円に対する同年7月1日から,内金2万1125円に対する同年8月1日から,内金4万0468円に対する同年9月1日から,内金7万0496円に対する同年10月1日から,内金5180円に対する同年11月1日から,内金8万4984円に対する同年12月1日から,内金15万0947円に対する平成12年1月1日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,これを4分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
5 この判決は,1及び2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
1 被告は,別紙原告物件目録1及び2記載の揺動クランプを製造,販売又は使用してはならない。
2 被告は,原告に対し,金4425万円及びこれに対する平成11年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
1 争いのない事実等 (1) 原告は,次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい,実用新案登録請求の範囲第1項記載の考案を「本件考案」という。また,本件実用新案に係る明細書(甲2参照)を,「本件明細書」という。)を有している。
登録番号 第2146102号 考案の名称 揺動クランプ 出願日 昭和63年9月20日 出願公告日 平成6年12月21日 登録日 平成8年12月10日 実用新案登録請求の範囲第1項 「 所定板材に固定される開口部を有する側面略コ字形の固定体と,固定体に揺動自在に軸着された連結体と,連結体に取付けられて所定管材を把持する把持体とから成る揺動クランプにおいて,連結体を,把持体が取付けられる取付板と,固定体を両側から挟装する一対の両側板とで断面略下向コ字形に形成し,連結体を揺動せしめて固定体が固定された板材に対して垂直あるいは水平に位置した際に,固定体上面あるいは側面に衝接して連結体を係合支持する支持体を前記取付板下面に設けると共に,固定体開口部の略直角を構成する上縁部及び側縁部と略一致する当接側縁部を有する略T字形状の当接片を前記両側板に夫々に設け,固定体が固定された板材に対して把持体が垂直あるいは水平のいずれのに位置にあっても,支持体と当接片とが同時に固定体と板材とに夫々係止することを特徴とする揺動クランプ。」 (2) 本件考案の構成要件は,次のとおり分説される。
ア 所定板材に固定される開口部を有する側面略コ字形の固定体と,固定体に揺動自在に軸着された連結体と,連結体に取り付けられて所定管材を把持する把持体とから成る揺動クランプにおいて, イ 連結体を,把持体が取付けられる取付板と,固定体を両側から挟装する一対の両側板とで断面略下向コ字形に形成し, ウ 連結体を揺動せしめて固定体が固定された板材に対して垂直あるいは水平に位置した際に,固定体上面あるいは側面に衝接して連結体を係合支持する支持体を前記取付板下面に設けると共に, エ 固定体開口部の略直角を構成する上縁部及び側縁部と略一致する当接側縁部を有する略T字形状の当接片を前記両側板に夫々に設け, オ 固定体が固定された板材に対して把持体が垂直あるいは水平のいずれの位置にあっても,支持体と当接片とが同時に固定体と板材とに夫々係止する カ ことを特徴とする揺動クランプ。 (3) 本件明細書には,従来技術として,実開昭61-39747号公報記載の考案(乙2)が掲げられているが,この考案は,側面略コ字形状を成して所定の板体を開口部に咬持する咬持具の上部に軸着され,咬持具の開口部を設けない側面と上面とで成す外周面上の範囲内で揺動する連結具の一端部に所定の管材を把持せしめる把持具を連結し,一方,咬持具が咬持した所定板体の端面又は板面に自身の外側縁を当接係止して所定板体の板面に対する連結具の固定角度を直角又は水平に固定せしめる角度調節片を連結具の他端部に形成し,連結具の角度調節片が設けられていない側縁を回動軸方向に若干延長して固定片が垂設されている揺動クランプ(別紙実開昭61-39747号公報の図面参照)である(甲2)。
(4) 被告は,揺動クランプを,子会社である岡部機工株式会社に製造させ,これを同社から買い取って,子会社である岡部北海道販売株式会社等の販売会社に販売している(乙29,弁論の全趣旨)。
2 本件は,本件実用新案権を有している原告が,被告に対し,被告が販売をしている揺動クランプは本件考案技術的範囲に属するから,その販売は本件実用新案権の侵害であると主張して,その販売等の差止め及びこの侵害による損害の賠償を求める事案である。
争点及びこれに関する当事者の主張
1 争点 (1) 被告の販売している揺動クランプの特定 (2) 被告の販売している揺動クランプが構成要件ウの「支持体」を充足するかどうか (3) 被告の販売している揺動クランプが構成要件エ及びオを充足するかどうか (4) 被告の販売している揺動クランプが本件考案均等であるかどうか (5) 損害の発生及び額 2 争点に対する当事者の主張 (1) 争点(1)について (原告の主張) 被告の販売している揺動クランプは,別紙原告物件目録1及び2記載のとおり特定される。 (被告の主張) 被告の販売している揺動クランプは,別紙被告物件目録1及び2記載のとおり特定される。 (2) 争点(2)について (原告の主張) ア 本件実用新案登録請求の範囲第1項において,「支持体」は,「取付板下面」,すなわち,取付板と固定体との間の空隙に設けるものとされているだけで,それ以外の限定はない。同項において,「支持体」と「連結体」が書き分けられているからといって,これらが別の部材であるとはいえず,これらが別部材でなければならないともされていない。また,同項の「連結体を係合支持する支持体」との記載も,係合支持関係があるからといって,互いに独立した部材である必要はないから,単に,連結体と支持体の位置関係を示しているにすぎない。
したがって,「支持体」には,取付板の一部を延長してその端部に形成される垂下片のようなものも含まれる。
イ 本件明細書中の「従来の揺動クランプにおいて,連結具を垂設して形成した固定片により支持する構造に比べて支持強度が格段に向上することとなった。」(7欄31ないし34行)との記載は,当接片との協働関係によって係合支持する構造である「支持体」が,このような協働関係をもたず単独で係合支持を行う固定片で荷重を支持していた従来技術との比較において,支持強度が格段に向上したとの記載であり,「支持体」のみによる本件考案の効果を述べているものではない。このことは,この記載が,固定片により支持する「構造」と比べて支持強度が格段に向上すると明記していること,この箇所に,支持体のみによる効果を述べる旨が記載されていないこと,この箇所は,「また」という接続詞で,当接片を用いた構成についての記載を受けていることからも明らかである。
本件明細書における「(当接片は)支持体と共に一層強固に支持して・・」(8欄19行)との記載は,上記記載の重複ではなく,前者にあっては当接片の側から,後者にあっては支持体の側から,それぞれ支持強度の説明をしたものである。
本件明細書中の「揺動する連結体の固定体への支持強度が強く」(4欄8ないし9行)との記載も,「連結体」は取付板と両側板の双方からなること及び荷重の分散支持により全体の支持強度の強化を図るという本件考案の目的に照らすと,支持体と当接片の協働によって荷重が分散し,支持体の固定体への負荷も減ぜられ,連結体全体(構造)としての支持強度が上がったことを,端的に示すものと解すべきである。
本件明細書における従来の揺動クランプに関する「固定片にかかる荷重により固定片が変形する等強度上に問題があった。」(3欄39及び40行)との記載も,角度調節片が支持を行わない場合の固定片の変形による強度上の問題点を述べたにとどまり,固定片自体の支持強度をさらに強化しなければならないことなどは,何ら問題とされていない。
ウ 別紙原告物件目録1記載の揺動クランプにおける固定片対応部材14及び同目録2記載の揺動クランプにおける固定片対応部材14aは,いずれも,取付板の下面の空隙に設けられ,当接片と協働して係合支持を行うものであるから,構成要件ウの「支持体」を充足する。
また,同目録2記載の揺動クランプにおける部材14bも,固定体に衝接して把持体の荷重を分散支持するから,構成要件ウの「支持体」を充足する。
(被告の主張) ア 構成要件ウの「支持体」は,以下の理由から,取付板とは別体のものを指し,別紙被告物件目録1記載の揺動クランプの固定片14及び14'や,同目録2記載の揺動クランプの固定片14a及び14'aのように,取付板の一部を延長してその端部に形成される垂下片のようなものを含まない。
本件実用新案登録請求の範囲第1項において,取付板を構成部分として含む「連結体」と「支持体」が書き分けられている。また,同項の「連結体を係合支持する支持体」という記載は,連結体と支持体が一体であれば,係合も支持も成り立たないから,両者が分離・変位不可能な一体物ではないことを含意している。
さらに,同項の「下面に設ける」とは,支持体を取付板の下側の面上に位置させて設置することを指すから,単に取付板の端部をそのまま折り曲げたものは,「下面に設ける」に当たらない。
本件明細書の「考案の効果」の欄における「支持体14により強固に係合支持されることとなり,従来の揺動クランプにおいて,連結具を垂設して形成した固定片により支持する構造に比べて支持強度が格段に向上することとなった。」(7欄30ないし34行)との記載は,「支持体と当接片とが同時に・・係止する構成」(7欄9ないし27行)の効果と区別し,新たな段落を設けて記載されていることから,固定片と区別される支持体を設けたことによる効果を述べたものと解されるが,この記載によると,「支持体」は,従来技術の「連結具を垂設して形成した固定片」とは区別される形態でなければならない。
本件明細書実施例には,支持体が取付板と別部材のものしか開示されていない。
イ 別紙被告物件目録2記載の揺動クランプの部材 14b及び14'bは,把持体を取付体に固定する固定ピンの頭部であって,後記(3)被告の主張ウのとおり,固定体に衝接することはないから,構成要件ウの「支持体」を充足しない。
(3) 争点(3)について (原告の主張) ア 別紙原告物件目録1及び2記載の各揺動クランプは,板材に対して把持体が垂直の位置にある場合,上縁部2aと当接側縁部15a,側縁部2bと当接側縁部15bとが略一致し,板材に対して把持体が水平の位置にある場合,上縁部2aと当接側縁部15'b,側縁部2bと当接側縁部15'aとが略一致するから,構成要件エを充足する。
上記各揺動クランプの当接側縁部15aと上縁部2aとの間に0.2ミリメートル程度のすきまがあったとしても,固定片の左右の製作誤差が0.211ミリメートルあるから,上記すきまは製造誤差の範囲内であるし,また,使用状態においては,荷重によって,このすきまは消滅する。
構成要件エの「略一致」の「略」とは,「ほぼ」とか「あらまし」などの意味であるが,その程度については,本件考案の技術思想を考慮し,本件考案の作用効果が生じるかどうかという観点から決せられるべきであるところ,上記各揺動クランプは,@角度位置決めが容易,A支持強度が強く安定,B「支持体」にかかる過大な荷重が防げるという本件考案の作用効果を生じるから,「略一致」を充足する。
イ 別紙原告物件目録1及び2記載の揺動クランプは,板材に対して把持体が垂直の位置にある場合,当接側縁部15aと板材との間にはすきまがあるが,上記のとおり,これは,製造誤差の範囲内であるし,使用状態においては,荷重によって消滅するものである。板材に対して把持体が垂直の位置にある場合,固定片対応部材14(14a)は固定体に当接している。
上記揺動クランプは,板材に対して把持体が水平の位置にある場合,固定片対応部材14(14a)と固定体との間にすきまが生じることがあるが,使用状態においては,このすきまは消滅する。板材に対して把持体が水平の位置にある場合,当接側縁部15'aは,板材に当接している。
したがって,上記揺動クランプは,固定体が固定された板材に対して把持体が垂直あるいは水平のいずれの位置にあっても,支持体と当接片とが同時に固定体と板材とにそれぞれ係止するから,構成要件オを充足する。
ウ 別紙原告物件目録2記載の揺動クランプの部材14bと固定体との間にすきまがあったとしても,0.5ミリメートル程度のものであるから,上記揺動クランプを板材にセットする具合など,使用状況によって消滅する程度のものであるし,また,この揺動クランプは,軸部にガタ(クリアランス)があることから,把持体に荷重がかかると,このすきまはガタに吸収されて消滅する。
したがって,この揺動クランプは,固定体が固定された板材に対して把持体が垂直あるいは水平のいずれの位置にあっても,部材14bと固定体,当接片16と板材がそれぞれ同時に係止するから,構成要件オを充足する。
(被告の主張) ア 別紙被告物件目録1及び2記載の各揺動クランプは,板材に対して把持体が垂直の位置にある場合,当接側縁部15aと板材との間にすきまがあるように製作され,許容荷重をはるかに上回る荷重がかからない限り,板材と当接片側縁部が係止しないから,上縁部2aと略一致する当接側縁部を有さず,構成要件エを充足しない。
イ 上記各揺動クランプは,以下のとおり,固定体が固定された板材に対して把持体が垂直あるいは水平のいずれの位置にあっても,支持体と当接片とが同時に固定体と板材とにそれぞれ係止する構造ではないから,構成要件オを充足しない。
(ア) 上記各揺動クランプが,板材に対して把持体が垂直の位置にある場合,当接側縁部15aと板材との間にすきまがある。
(イ) 上記各揺動クランプが,板材に対して把持体が水平の位置にある場合,固定片14'(14'a)と固定体との間にすきまがある。上記揺動クランプは,側縁部2bと当接側縁部15'aが完全に面一でないことから,このすきまが生じるのが通常であって,また,このすきまは,通常の使用方法において消滅することはない。
ウ 別紙被告物件目録2記載の揺動クランプの部材14b及び14'bと固定体との間には,把持体を垂直に位置させた状態で0.3ないし0.65ミリメートルのすきまがあるが,固定片14a及び14'aの存在もあって,通常の使用時に想定される荷重をはるかに超える荷重をかけても,また,いずれの方向に荷重をかけても,固定体に衝接することがなく,部材14b及び14'bと固定体とのすきまがなくなる前にパイプの座屈やH鋼の変形が生じる。したがって,上記揺動クランプは,構成要件オを充足しない。
軸部のガタ(クリアランス)は,当接片と軸をかしめることで,軸径と固定体の軸孔径との差である0.5ミリメートルを除き,実質的に消滅するし,この0.5ミリメートルのガタも,実際の使用状況においては,部材14b及び14'bを固定体に衝接するようには働かない。
また,上記揺動クランプは,通常の使用時において変形することを予定していないし,現場において,鉄骨用クランプの使用基準や労働安全法規に違反する鉄骨用クランプの使用が常態化しているということはない。
(4) 争点(4)について (原告の主張) 別紙原告物件目録1記載の揺動クランプは,次のとおり本件考案均等である。
ア 本件考案本質的部分は,従来技術の角度調節片に代えて略T字形状の当接片を導入したことにより,支持強度を高め,固定片の変形を防ぎ,角度位置決めを容易にした点にある。
本件考案の「支持体」は,従来技術にもある部材であり,考案思想の観点からは,当接片に比し,本件考案本質的部分とはいい難い。
イ 本件考案の「支持体」を,上記揺動クランプの固定片対応部材14に置き換えた場合も,固定体,板材への荷重の伝わり方に差異がなく,本件考案の目的を達することができ,本件考案同一の作用効果を有する。
ウ 上記固定片対応部材と同一形状のものは,従来技術においても用いられているから,「支持体」を固定片に置き換えることは,当業者が容易に想到できる。
エ 上記揺動クランプは,荷重を分散し,角度位置決めを容易にする当接片を有しているが,従来このような当接片を有する揺動クランプはないから,この揺動クランプは,本件考案の出願時における公知技術と同一でなく,当業者が右出願時に公知技術から容易に推考できたものともいえない。
オ 本件実用新案権の出願過程において,「固定片」を用いた揺動クランプが本件考案から意識的に除外されたとはいえない。
(被告の主張) ア 本件考案は,荷重の分散支持に,従来技術にない技術的特徴があるところ,当接片をT字型にしただけでは,この効果は達成されず,「支持体」がこの特徴を担う重要な要素となっている。
したがって,「支持体」は,当接片と同等の比重で,本件考案本質的部分といえる。
イ 別紙被告物件目録1記載の揺動クランプの固定片14及び14'は,当接片の当接側縁部が板体に係止するより先に固定体に当接するように作られているので,荷重の分散支持という役割を果たさないから,本件考案の目的を達することができない。
また,上記固定片は,従来技術の強度上の問題を解決することができない。
したがって,上記固定片を,本件考案の「支持体」に置換することはできない。
ウ 上記固定片を,本件考案の「支持体」に置換することは容易でない。
エ 本件明細書の記載は,上記固定片が本件考案の「支持体」から意識的に除外されたと当業者が理解する内容となっている。
(5) 争点(5)について (原告の主張) ア(ア) 被告は,本件考案の公告日である平成6年12月21日から現在に至るまで,別紙原告物件目録1記載の揺動クランプを少なくとも19万1868個,同目録2記載の揺動クランプを少なくとも21万6356個,合わせて少なくとも40万8224個販売した。
(イ) 被告は上記各揺動クランプを,子会社である岡部機工株式会社に製造させ,これをいったん買い取った上,岡部北海道販売株式会社等の関連子会社20社に販売し,これらの関連子会社がこの揺動クランプを販売している。これらの会社は実質的には一体のグループであるにもかかわらず,法人格が異なることから,グループとしての販売価格や利益は判明しにくい。そこで,本件考案実施料相当額については,販売価格や販売利益を基準とするのではなく,販売数量に1個当たりの金額を乗じて算出するのが合理的である。
本件考案は,従来技術にはない顕著な作用効果があり,それ故,本来差別化が図りにくい揺動クランプにおいて,本件考案の実施品であることは差別化にとって有用であること,揺動クランプの一般的な販売単価は550円であり,それから変動経費等を除いた利益は300円を下らないこと,被侵害者の民事上の救済を最大限考慮すべきであることを勘案すると,本件考案の実施に対し,原告の受けるべき実施料相当額は,1個当たり100円を下らないというべきである。
(ウ) したがって,被告の侵害行為によって原告が被った損害額は,上記販売合計数に1個当たりの実施料相当額を乗じた4082万2400円を下らない。
イ 原告は,本件に関し,弁護士費用及び弁理士費用を要したところ,そのうち少なくとも816万4480円については,本件侵害行為と相当因果関係が認められる。 (被告の主張) 原告の上記主張は争う。
揺動クランプに関する実施料率は,一般に,販売価格の3パーセント程度であるが,本件考案は,その実施品の製造が極めて困難で,実質的な技術評価ないし価値が極めて低いこと,別紙被告物件目録記載の各揺動クランプは,仮に本件考案技術的範囲に含まれるとしても,許容荷重をはるかに超える荷重をかけた,いわば異常使用時にのみ,本件考案技術的範囲に含まれるにすぎないこと,実際にこのような異常使用がされ本件考案技術的範囲に含まれる揺動クランプは全体の1パーセントにも満たない極めて例外的なものであることからすると,本件における実施料相当額は,せいぜい販売価格の1パーセント程度にすぎない。
当裁判所の判断
1 争点(1)について 証拠(検甲1,検乙1)と弁論の全趣旨によると,被告の販売している揺動クランプは,別紙物件目録記載のとおりと認められる(以下,同目録1記載の揺動クランプを「被告製品1」,同目録2記載の揺動クランプを「被告製品2」という。)。
2 争点(2)について (1) 証拠(甲2)によると,本件明細書考案の詳細な説明に,以下の記載があることが認められる。
ア 揺動クランプにおいては,従来から,角度維持のための支持強度の強化が望まれていたが,従来の揺動クランプには,把持具の全荷重が一点に集中する固定片や角度調節片に変形が生じ易いという強度上の問題があった(3欄9及び10行,4欄2及び4行)。
イ 本件考案の目的は,@「把持体が揺動する方向のいずれにあっても同じ支持強度で支持固定することができ,把持体からの全荷重を分散して支持することが可能」(4欄6ないし8行)で,A「揺動する連結体の固定体への支持強度が強」(4欄8及び9行)く,B「固定体が固定される板材に対する連結体の垂直あるいは水平となる角度位置決めが極めて容易で取扱いが簡単」(4欄9ないし11行)な揺動クランプを提供することであり,本件考案の効果は,T「把持体20が揺動する方向のいずれにあっても同じ支持強度で支持固定することができ,把持体20からの全荷重を分散して支持することが可能になった」(7欄26及び27行),U「把持体20が把持する管材Pによる荷重が,支持体14により強固に係合支持されることとなり,従来の揺動クランプにおいて,連結具を垂設して形成した固定片により支持する構造に比べて支持強度が格段に向上することとなった」(7欄30ないし34行),V角度位置決めが簡単で取扱いが極めて容易になったこと(7欄44行ないし8欄8行)等である。 (2) 本件考案は,上記(1)イのとおり,連結体の固定体への支持強度,すなわち,連結体の固定体に対する支持強度の向上を目的としているが,この目的を達成するには,従来の固定片よりも支持強度の強い部材又は構成部分を取付板と固定体の間に取り付けなければならないというべきである。
また,上記イTないしVの記載は,上記イ@ないしBの記載に対応していると認められるから,上記イUは,上記イAの記載に対応して,取付板と固定体の間に用いる部材又は構成部分について記載したものと解するのが自然であり,上記イUの「連結具を垂設して形成した固定片により支持する構造に比べて支持強度が格段に向上することとなった。」との記載は,取付板と固定体の間に用いる部材又は構成部分は,従来の固定片よりも支持強度が向上していなければならないことを記載したものと認められる。
原告は,上記イUの記載は,取付板と固定体の間に用いる部材又は構成部分の支持強度による効果ではなく,把持体の荷重を支持体と連結片で分散支持したことによる効果を記載したものと主張するが,そうであれば,上記イTの記載と別個に上記イUの記載をする必要や,上記イUの記載を,「また」と,段落を分けて記載する必要はない。また,上記イUの記載は,「連結具を垂設して形成した固定片」というように,従来技術における,取付板と固定体の間に用いる部材又は構成部分について具体的に記載しているから,これを,上記部材又は構成部分そのもの以外に関する記載と解するのは不自然である。したがって,上記主張は採用することができない。
(3) 以上の事実及び本件実用新案登録請求の範囲第1項の記載によると,本件考案は,ア「略T字形状の当接片」を連結体に設けることで荷重を分散支持する,イ従来技術の固定片に替えて「支持体」を用いることで,連結体の固定体に対する支持強度を向上させるという二つの作用によって,支持強度が弱いという従来の揺動クランプの問題点を解決したものと認められるから,構成要件ウの「支持体」には,従来技術の固定片は含まれないと解するのが相当である。
(4) 前記1認定のとおり,被告製品1の構成部分14及び14'並びに被告製品2の構成部分14a及び14'aは,取付板11の両端部を折り曲げて形成したものであるから,これらの構成部分が,従来技術の固定片に比べてそれ自体の支持強度が向上したとは認められない。
したがって,この構成部分は,「支持体」に当たらない。
(5) 被告製品1については,他に「支持体」に該当する部材又は構成部分があると認めるに足りる証拠がないから,被告製品1は,本件考案の構成要件ウの「支持体」を充足しない。
(6) 被告製品2の部材14bは,上記1認定のとおり,把持体20を取付板11に固定して取り付けている部材であるが,取付板の下面に設けられたものであって,また,後記3認定のとおり,固定体に衝接し,連結体を係合支持するから,構成要件ウの「支持体」を充足する。
3 争点(3)について (1) 証拠(甲2,5,8,乙5,7ないし10)と弁論の全趣旨によると,本件考案に係る揺動クランプは,ビルディング等の建設現場において,足場用管材及び足場の手摺用管材を設置する際に使用されるものであること,揺動クランプは,作業者が乗って作業をする足場やその足場の手摺りを支えるものであるため,十分な安全性が求められること,揺動クランプは,厳密に設計図どおり製作されるものではなく,製品によって細かい部分にはばらつきがあること,以上の事実が認められる。
(2)ア 証拠(乙3)と弁論の全趣旨によると,被告が,50個の被告製品2について,板材に対して把持体を垂直又は水平の位置に取り付けて,すきまを測定する実験を行ったこと,この実験では,板材に対して把持体を垂直の位置に取り付けた場合には,当接側縁部15aと板材のすきま及び構成部分14aと固定体とのすきまを,板材に対して把持体を水平の位置に取り付けた場合には,当接側縁部15'aと板材とのすきま及び構成部分14'aと固定体とのすきまを,それぞれ測定したこと,その結果,板材に対して把持体を垂直の位置に取り付けた場合においては,構成部分14aと固定体とのすきまは,おおむね0であるのに対し,当接側縁部15aと板材のすきまが0のものはなく,0.6ミリメートルを中心に,0.15から0.92ミリメートルの間に分布していること,板材に対して把持体を水平の位置に取り付けた場合においては,当接側縁部15'aと板材とのすきまが0のものが多く,当接側縁部15'aと板材とのすきま及び構成部分14'aと固定体とのすきまが共に0のものもあったこと,以上の事実が認められる。
しかしながら,証拠(乙3)によると,上記実験は,被告製品2に荷重をかけて行ったものではないと認められるので,実際の使用状態とは異なる状況で実験されたものである。
イ 証拠(甲6)によると,原告が,2個の被告製品2について,板材に対して把持体が垂直の位置になるように取り付け,板材を被告製品2の側に引っ張って,当接側縁部15aと板材のすきまを測定したこと,1500キログラム重の荷重をかけた場合は,荷重をかける前には,0.41ないし1.10ミリメートルあった上記すきまは0となったこと,被告製品2を板材に取り付け,そのパイプを手で上下に動かしたところ,当接側縁部15aが板材に衝接したこと,以上の事実が認められる(以下,この実験を「甲6の実験」という。)。
これに対し,証拠(乙4)によると,被告が,3セット(6個)の被告製品2について,板材に対して把持体が垂直の位置になるように取り付け,板材を被告製品2の側に引っ張って(すなわち,原告の上記実験と同じ方法で),当接側縁部15aと板材のすきま及び構成部分14aと固定体とのすきまを測定したこと,700キログラム重の荷重をかけた場合,当接側縁部15aと板材のすきまの数値は,上記アの実験よりも,おおむね狭くなっていること,6個の被告製品2のうち,当接側縁部15aと板材のすきま及び構成部分14aと固定体とのすきまが共に0のものが1個あること,当接側縁部15aと板材のすきまが0.04ミリメートル,構成部分14aと固定体のすきまが0のものが1個あること,他は,いずれのすきまも0ではないこと,以上の事実が認められる。
被告は,上記各実験の方法は,社団法人仮設工業会編「仮設機材構造基準とその解説第4版」(甲5,乙5。以下「仮設機材構造基準とその解説」という。)中に記載されている取付部のすべり試験であるから,仮設機材構造基準とその解説中に記載されている取付部のすべり試験の強度の平均値700キログラム重をかけるのが相当であると主張するが,証拠(甲5,乙5)によると,上記すべり試験の方法では,クランプと反対側に板材を引っ張っているのに対し,上記各実験では,被告製品2の側に引っ張っているので,およそクランプと板材とのすべりを試験しているということができないから,被告の主張を採用することはできない。
他方,原告は,上記各実験の方法は,仮設機材構造基準とその解説中に記載されている取付部の強度試験であるから,仮設機材構造基準とその解説中に記載されている取付部の強度試験の強度の平均値1500キログラム重をかけるのが相当であると主張するが,証拠(甲5,乙5)と弁論の全趣旨によると,上記各実験の方法は,上記取付部の強度試験の方法とも異なると認められる。しかし,上記各実験は,被告製品2の側に引っ張って,(クランプと板材とのすべりではなく)クランプ自体に荷重をかけている点において,上記取付部の強度試験と共通する点があるということができるから,上記取付部の強度試験の強度の平均値1500キログラム重は,クランプがそなえるべき強度についての指標となりうるというべきである。
また,証拠(甲3,乙7)によると,被告製品2のカタログには,「必ず許容荷重以下でご使用ください。」との記載があり,許容荷重として,板材に対して把持体が垂直の位置になるように取り付けた場合(平行型)については,500キログラム重との記載があることが認められるが,証拠(乙7ないし11)によると,この許容荷重は,上記カタログの記載からも明らかなように,通常の使用態様においてかけることが許容される荷重の意であると認められる。そして,その通常の使用態様としては,長期間にわたり荷重が繰返しかかるような態様が含まれるべきであるが,現実の使用態様においては,突発的に大きな荷重がかかるような態様も考えられる。揺動クランプは,上記(1)認定のとおり十分な安全性が求められるから,それらいずれの使用態様にも十分耐えられるものでなければならないと解され,そのため,試験において要求される強度は,上記のとおり,1500キログラム重という,必ずしも直接比較することはできない面はあるものの,許容荷重の3倍もの強度であると解される。
前記2で認定した事実に証拠(甲2)を総合すると,本件考案は,従来の揺動クランプにおいては,荷重を固定片や角度調節片のみで支持する結果,全荷重が集中する固定片や角度調節片が変形するという課題を解決するために,把持体からの荷重を分散して支持することができ,連結体の固定体への支持強度が強い揺動クランプを提供したものであると認められるから,本件考案は,固定片や角度調節片が変形するような使用態様において,その効果を発揮することができなければならないというべきところ,その使用態様とは,現実に起こり得るものとして,少なくとも,突発的に大きな荷重がかかるような態様と長期間にわたり荷重が繰返しかかるような態様が考えられる。そして,甲6の実験では,被告製品2は,突発的に大きな荷重がかかるような態様に対応するものとして,1500キログラム重の荷重をかけた場合には,当接側縁部15aと板材のすきまが0になったことが認められる。上記ア認定のとおり,被告製品2は,板材に対して把持体を垂直の位置に取り付けたのみで,荷重を加えない状態においては,当接側縁部15aと板材との間にはすきまが存しているものと認められる(このことは,乙14の測定によっても裏付けられている)から,当接側縁部15aと板材との間にすきまが存しなくなるのは,荷重によって,被告製品2の構成部分14a等に変形が生じたためであると認められる。そうすると,被告製品2は,本件考案の効果が発揮されなければならない状況において,当接側縁部15aと板材のすきまが0になるものというべきである。
証拠(乙6,26)によると,被告が,被告製品2に取り付けられたパイプに荷重をかける実験をしたところ,当接側縁部15aと板材のすきまが0になったものはなかったことが認められる。しかし,これらの実験は,荷重を一方向にしか加えていないから,甲6の実験のうち,パイプを上下に振ることで二方向に荷重を加えた実験と同じとはいえない。したがって,これらの被告の実験で上記すきまが存したからといって,甲6の実験結果を信用できないということにはならない。また,証拠(甲3,4,8,乙7)によると,被告は,被告製品2を2個一組で使用することなど,安全に使用するための方法を示していることが認められるが,証拠(甲8)と弁論の全趣旨によると,実際の工事現場では,必ずしも被告が指示しているような方法で使用されていないものと認められるうえ,実際の工事現場では,クランプには,長期間にわたって繰返し多方向から複雑な力がかかるものと推認されるから,原告が甲6で行っているような動き又はそれに近い動きも生じうると認められる。しかるところ,甲6の実験では,被告製品2にパイプを上下に振ることで二方向に荷重を加えており,その場合には,当接側縁部15aが板材に衝接したことが認められるから,この点においても,本件考案の効果が発揮されなければならない状況において,当接側縁部15aと板材のすきまが0になるものと認めることができる。
ウ 証拠(甲7,検甲2,4)によると,使用回収後の被告製品2に,当接側縁部15aと固定体の上縁部2aとがほぼ面一になっているものがあることが認められる。この事実は,使用によって当接側縁部15aと板材のすきまが0になることを示している。
エ 以上述べたところからすると,被告製品2を板材に対して把持体が垂直の位置になるように取り付けた場合,被告製品2が使用され,本件考案の効果が発揮されなければならない状況が生じたときには,当接側縁部15aと固定体の上縁部2aは,ほぼ一致するものと認められる。
また,証拠(検甲1,検乙1)と弁論の全趣旨によると,被告製品2を板材に対して把持体が垂直の位置になるように取り付けた場合,当接側縁部15bと固定体の側縁部2bとは,ほぼ一致するものと認められる。
証拠(検甲1,検乙1)と弁論の全趣旨によると,被告製品2を板材に対して把持体が水平の位置になるように取り付けた場合,当接側縁部15'aは,固定体の側縁部2bとほぼ一致するということができる。
また,証拠(検甲1,検乙1)と弁論の全趣旨によると,被告製品2を板材に対して把持体が水平の位置になるように取り付けた場合,当接側縁部15'bと固定体の上縁部2aは,ほぼ一致するものと認められる。
そして,以上に,別紙物件目録2の記載を総合すると,被告製品2は,本件考案の構成要件エを充足するものと認められる。
(3)ア 証拠(乙14)と弁論の全趣旨によると,被告製品2が未使用の場合には,部材14bと固定体との間にすきまがあること,被告製品2を台の上に置いて,部材14bと固定体とのすきまをシックネスゲージを挿入する方法で測定したところ,0.3ないし0.65ミリメートルであったこと,このすきまは,両側板12が固定体に軸で固定されていること並びに構成部分14a及び構成部分14'aの高さが部材14bよりも高いことによって生じていること,以上の事実が認められる。
証拠(乙13の1ないし4,乙17)と弁論の全趣旨によると,両側板12と固定体の軸部には,設計上1.5ミリメートルのガタ(クリアランス)があり,軸を組み立て時にかしめることによって,ガタは小さくなるが,それでも約0.5ミリメートルのガタ(クリアランス)があることが認められる。そして,使用することによって,かしめたところが緩んでガタ(クリアランス)が大きくなったり,荷重がかかることによって軸孔径の拡張が生じたりするものと考えられる。
特に,前記(2)で想定したような大きな荷重や繰返し荷重がかった場合には,これらの現象が生じるものと推認される。
イ 証拠(甲9,10,検甲2,4)によると,使用回収後の被告製品2の固定体の上面及び側面に部材14bが衝接した跡があることが認められる。
証拠(甲9,乙18,検甲3)によると,被告製品2について,固定体と部材14bとの間に付箋を挿入し,連結体を回動させたところ,付箋に部材14bの跡は見られなかったが,把持体を数回振ったところ,付箋に部材14bの跡が見られたこと,把持体に手で軸方向に幾らか力を加えた状態で,付箋を固定体と部材14bとの間に付箋を挿入しようとしたところ,部材14bが位置するところよりも先には付箋が入らなかったことが認められる。
以上の事実は,被告製品2が使用され,荷重がかかった場合には,部材14bと固定体とのすきまがなくなることを示しているものと認められる。
ウ 板材に対して把持体を垂直の位置に取り付けた場合,前記(2)認定のとおり,被告製品2の当接側縁部15aと板体は,被告製品2に荷重がかかって,本件考案の効果が発揮されなければならない状況が生じたときには,接するものと認められる。
そして,前記(2)アで認定したとおり,被告製品2の当接側縁部15aと板体との間には,0.15ないし0.92ミリメートルのすきまがあるところ,接する場合には,被告製品2の構成部分14a等は,これらのすきまがなくなる程度の変形をするものと考えられる。現に,前記(2)イで認定したとおり,甲6の実験では,荷重をかける前には,0.41ないし1.10ミリメートルあった上記すきまが0となったことが認められる。そうすると,部材14bと固定体との上記アで認定した0.3ないし0.65ミリメートルのすきまが,構成部分14aの高さが部材14bよりも高いことによって生じているとしても,これらのすきまは,上記変形によってほぼなくなるものと認められる。
また,上記アで認定したとおり,両側板12と固定体の軸部には,約0.5ミリメートルのガタ(クリアランス)があり,大きな荷重や繰返し荷重がかかった場合は,ガタは更に拡大するものと認められることからすると,部材14bと固定体との上記アで認定した0.3ないし0.65ミリメートルのすきまが,両側板12が固定体に軸で固定されていることによって生じているとしても,これらのすきまは,前記(2)で想定したような大きな荷重や繰返し荷重がかかった場合には,ほぼなくなるものと認められる。
以上に,上記イで述べたところを総合すると,板材に対して把持体を垂直の位置に取り付けた場合,荷重がかかって当接側縁部15aと板体が接するようになったときには,部材14bと固定体とのすきまはなくなるものと認められる。
エ 板材に対して把持体を水平の位置に取り付けた場合についても,前記(2)で認定したとおり,本件考案の目的効果からすると,固定片や角度調節片が変形するような使用態様を想定しなければならないところ,そのような場合には,構成部分14aと同様に,構成部分14'aについても変形するものと考えられる。また,上記アで認定したとおり,両側板12と固定体の軸部には,約0.5ミリメートルのガタ(クリアランス)があり,大きな荷重や繰返し荷重がかかった場合は,ガタは更に拡大するものと認められる。
以上に,上記イで述べたところを総合すると,板材に対して把持体を水平の位置に取り付けた場合,本件考案の効果が発揮されなければならない状況が生じたときには,部材14bと固定体との間のすきまはなくなるものと認められる。
オ 証拠(乙19,20,26)によると,被告が,被告製品2に荷重を加える実験をしたこと,これらの実験において,被告製品2の部材14bと固定体とのすきまが消滅したものはなかったこと,以上の事実が認められる。
しかしながら,被告製品2が現実に使用された場合には多方向からの繰返し荷重を受けると推認されるが,これらの実験は,いずれも荷重を1方向に1回しか加えていないこと,乙19及び20の直交方向の実験は,被告製品2が比較的変形を受けにくい使用態様において荷重を加えていること,乙19の平行方向の実験では,パイプでなく丸鋼を使用しているため上記すきまを狭める荷重のモーメントが生じにくいこと,乙20の平行方向の実験は,H型鋼が傾斜するとともに上記すきまを広げる方向に回転モーメントが発生すること,乙26の実験は,上記すきまを広げる上方向にのみ荷重を加えていることからすると,これらの実験において,上記すきまが消滅しなかったからといって,被告製品2を現実に使用した際に,荷重により上記すきまが消滅しないとはいえない。
カ 以上の事実によると,被告製品2は,未使用の状態では,部材14bと固定体との間にすきまがあるが,使用して,本件考案の効果が発揮されなければならない状況が生じたときには,すきまがなくなるものと認められる。そして,そのときには,被告製品2を板材に対して把持体を垂直の位置に取り付けた場合には,すでに述べたとおり,当接側縁部15aと板材との間のすきまもなくなるものと認められるから,部材14bと固定体上面,当接側縁部15aと板材が同時に係止して,荷重を分散支持するものと認められる。また,被告製品2を板材に対して把持体を水平の位置に取り付けた場合には,証拠(検甲1,検乙1)と弁論の全趣旨によると,当接側縁部15'aは,固定体の側縁部2bより,板体の側に出ていて,被告製品2の当接側縁部15'aは,板体に接しているものと認められるから,部材14bと固定体上面,当接側縁部15'aと板材が同時に係止して,荷重を分散支持するものと認められる。したがって,被告製品2は,本件考案の構成要件オを充足すると認められる。
未使用状態では本件考案の構成要件を充足しないとしても,本件考案が想定している状況における使用において,充足するのであるから,構成要件を充足するということができる。
なお,被告製品2において,部材14bは把持体を取付体に固定する固定ピンの頭部であるが,本来,固定ピンの頭部を,取付体とわずかなすきましかないほど大きなものとする必要はないと認められることからすると,被告製品2は,大きな荷重がかかった場合に,荷重の分散支持を可能とするために,固定ピンをこのような形状にしたとも考えられる。
(4) 弁論の全趣旨によると,被告製品2は,本件考案の構成要件ア,イ及びカの各要件を充足するものと認められる。
(5) 以上によると,被告製品2は,本件考案の構成要件を全て充足し,その技術的範囲に属するものと認められる。
4 争点(4)について 均等が成立するためには,本件実用新案登録請求の範囲第1項に記載された構成中の被告製品と異なる部分が考案本質的部分ではないことを要するが,この考案本質的部分とは,本件実用新案登録請求の範囲に記載された考案の構成のうちで,本件考案特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的な部分,言い換えれば,この部分が他の構成に置き換えられるならば,全体として本件考案の技術的思想とは別個のものと評価されるような部分をいうものと解するのが相当である。
前記のとおり,本件考案は,ア「略T字形状の当接片」を連結体に設けることで荷重を分散支持する,イ固定片に替えて「支持体」を用いることで,連結体の固定体に対する支持強度を向上させるという二つの作用によって,支持強度が弱いという従来の揺動クランプの問題点を解決したものと認められ,この点が本件考案の技術的思想の中核をなす特徴的部分,すなわち本質的部分というべきである。
そうすると,被告製品1において,従来技術の固定片に比べてそれ自体の支持強度が向上したとは認められない構成部分14及び14'を用いることは,本件考案と同一の解決原理に属するものということはできず,本件考案とは本質的部分について相違するというべきである。したがって,均等の成立を認めることはできない。
よって,被告製品1は本件考案技術的範囲に属しないから,被告製品1についての請求は,その余の点を判断するまでもなく,いずれも理由がない。
5 争点(5)について 以上のとおり,被告製品2は,本件考案技術的範囲に属するから,被告による被告製品2の販売は本件実用新案権を侵害するものである。そして,被告には侵害行為について過失があったものと推定されるから,被告には,この侵害によって生じた損害を賠償すべき責任がある。
(1) 証拠(乙21の1,4,6,8,10及び12,乙22)によると,被告は,本件考案の公告日である平成6年12月21日から平成11年12月31日までの間に,被告製品2を21万6973個販売し,その売上高は合計で1億0228万8000円であったことが認められる。
そこで,本件実用新案権の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額について検討するに,証拠(乙27ないし29)と弁論の全趣旨によると,ホリー株式会社は,従来の揺動クランプの支持強度を向上させる実用新案(実願昭59ー124874)について,その実施料率を販売価格の3パーセントとして,被告及び岡部機工株式会社に実施許諾をしたこと,この許諾契約の締結当時,被告は,現在と同様に,揺動クランプを岡部機工株式会社に製造させ,これを買い取った上,子会社である岡部北海道販売株式会社等に販売していたこと,以上の事実が認められる。上記の実施料率は,円満にライセンス契約が締結された事例についての実施料率であるから,実用新案権を侵害した本件について,同じに考えなければならないということはないが,同業者間の実用新案権についての実施料率として,参考にすべきものということができる。
そして,この事実に加え,被告製品2は,本件考案をそのまま使用した実施品であること,その他本件に現われた事情を考慮すると,本件実用新案権の実施に対し受けるべき金銭の額は,販売価格の5パーセントとするのが相当である。
以上によると,原告の受けるべき実施料相当の損害金は,1億0228万8000円に5パーセントを乗じた511万4400円となる。
(2) 原告が,本件訴訟の提起,維持のために弁護士である原告訴訟代理人を選任し,原告訴訟代理人が弁理士である補佐人を選任したことは当裁判所に顕著であるところ,本件事案の性質,内容,審理の経過,訴訟の結果及びその他の事情を考慮すると,被告には,本件実用新案権侵害行為と相当因果関係のある損害(弁護士,弁理士費用)として,100万円を賠償する義務があるものと認める。
(3) 原告は,平成11年6月8日からの遅延損害金を請求しているが,被告製品2は,同日より後においても,販売されていたから,同日より後に販売されたものについては,販売日からの遅延損害金を請求することができるにすぎない。しかし,正確な販売日を認めるに足りる証拠はないので,別紙遅延損害金計算書のとおり,乙25により認められる鉄骨用クランプの毎月の売上額に基づいて,被告製品2の平成11年における各月の販売額を推定し,平成11年6月以降に販売されたものについては,販売月の翌月1日からの遅延損害金を認容することとする。
6 差止請求について 弁論の全趣旨によると,被告は,すでに被告製品2を販売していないものと認められる。しかし,前記第2の1(4)の事実に弁論の全趣旨を総合すると,被告は,平成11年12月まで,被告製品2を子会社に製造させて販売していたこと,被告は,本件実用新案権の侵害を認めて被告製品2の販売をやめたのではないこと,以上の事実が認められるから,被告製品2の製造,販売の差止請求は,これを認めることができる。しかし,被告が被告製品2を使用していた事実を認めるに足りる証拠はないから,被告製品2の使用の差止請求については,認られない。
7 よって,原告の本訴請求は,主文掲記の限度で理由がある。
追加
別紙実開昭六一-三九七四七号公報の図面別紙遅延損害金計算書別紙原告物件目録11図面第1図は,揺動クランプの外観斜視図,第2図は,第1図の揺動クランプの連結体と把持体を90度反時計方向に回転した状態を示す同クランプの外観斜視図,第3図は第1図の縦断面図,第4図は第2図の縦断面図である。
2構造(1)所定板材Sに固定される開口部2を有する側面略コ字形の固定体1と,固定体1に揺動自在に軸着された連結体10と,連結体10に取り付けられて所定管材Pを把持する把持体20とから成る揺動クランプである。
(2)連結体10を,把持体20が取り付けられる取付板11と,固定体1を両側から挟装する一対の両側板12とで断面略下向コ字形に形成してある。
(3)連結体10を揺動せしめて固定体1が固定された板材Sに対して垂直或いは水平に位置した際に固定体1上面或いは側面に衝接して連結体10を係合支持する固定片対応部材14を前記取付板11下面に設けてある。
(4)ア固定体1の開口部2の上縁部2aと側縁部2bとは略直角をなしている。
イ両側板12には,当接側縁部15a,15b,15'a及び15'bを有する略T字形状の当接片16を設け,当接片の当接側縁部15aと15b,15'aと15'bとは互いに略直角をなす。
ウ連結体10が板材Sに対して垂直に位置した際に,前記上縁部2aと当接側縁部15a,側縁部2bと当接側縁部15bとは略一致し,連結体10が板材Sに対して水平に位置した際に,前記上縁部2aと当接側縁部15'b,側縁部2bと当接側縁部15'aとは略一致する。
(5)固定体1が固定された板材Sに対して把持体20が垂直あるいは水平のいずれの位置にあっても,固定片対応部材14と当接片16とが同時に固定体1と板材Sにそれぞれ係止する。
注把持体20は,取付板11に回動自在に取り付けられる。
第1図第2図第3図第4図別紙原告物件目録21図面第1図は,揺動クランプの外観斜視図,第2図は,第1図の揺動クランプの連結体と把持体を90度反時計方向に回転した状態を示す同クランプの外観斜視図,第3図は第1図の縦断面図,第4図は第2図の縦断面図である。
2構造(1)所定板材Sに固定される開口部2を有する側面略コ字形の固定体1と,固定体1に揺動自在に軸着された連結体10と,連結体10に取り付けられて所定管材Pを把持する把持体20とから成る揺動クランプである。
(2)連結体10を,把持体20が取り付けられる取付板11と,固定体1を両側から挟装する一対の両側板12とで断面略下向コ字形に形成してある。
(3)連結体10を揺動せしめて固定体1が固定された板材Sに対して垂直或いは水平に位置した際に固定体1上面或いは側面に衝接して連結体10を係合支持する固定片対応部材14a及び部材14bを前記取付板11下面に設けてある。
(4)ア固定体1の開口部2の上縁部2aと側縁部2bとは略直角をなしている。
イ両側板12には,当接側縁部15a,15b,15'a及び15'bを有する略T字形状の当接片16を設け,当接片の当接側縁部15aと15b,15'aと15'bとは互いに略直角をなす。
ウ連結体10が板材Sに対して垂直に位置した際に,前記上縁部2aと当接側縁部15a,側縁部2bと当接側縁部15bとは略一致し,連結体10が板材Sに対して水平に位置した際に,前記上縁部2aと当接側縁部15'b,側縁部2bと当接側縁部15'aとは略一致する。
(5)固定体1が固定された板材Sに対して把持体20が垂直あるいは水平のいずれの位置にあっても,固定片対応部材14a及び部材14bと当接片16とが同時に固定体1と板材Sにそれぞれ係止する。
注把持体20は,取付板11に固定して取り付けられる。
第1図第2図第3図第4図別紙被告物件目録11図面第1図は,揺動クランプの外観斜視図,第2図は,第1図の揺動クランプの連結体と把持体を90度反時計方向に回転した状態を示す同クランプの外観斜視図,第3図は第1図の縦断面図,第4図は第2図の縦断面図,第5図は第1図及び第3図の状態における固定体1開口部2の上縁部2aと当接側縁部15aとの位置関係を示す参考図第6図は第2図及び第4図の状態における固定体1開口部2の上縁部2aと当接側縁部15'bとの位置関係を示す参考図である。
2構造(1)所定板材Sに固定される開口部2を有する側面略コ字形の固定体1と,固定体1に揺動自在に軸着された連結体10と,連結体10に取り付けられて所定管材Pを把持する把持体20とから成る揺動クランプである。
(2)連結体10を,把持体20が取り付けられる取付板11と,固定体1を両側から挟装する一体の両側板12とで断面略下向コ字形に形成してある。
(3)連結体10を揺動せしめた際に固定体1上面或いは側面に衝接する一対の固定片14及び14'を,前記取付板11の揺動方向の両端部を下方に屈曲して垂設してある。
(4)固定体1の開口部2の上縁部2aと側縁部2bとは略直角をなしている。両側板12には,当接側縁部15a,15b,15'a及び15'bを有する略T字形状の当接片16を設け,当接片の当接側縁部15aと15b,15'aと15'bとは互いに略直角をなすように構成されている。
(5)第1図,第3図及び第5図に示す如く,連結体10を揺動せしめて固定体1が固定される板材Sに対して垂直に位置せしめたとき,当接側縁部15aは固定体1開口部2の上縁部2aよりも僅か上方に上縁部2aと略平行に位置し,当接側縁部15bは固定体1開口部2の側縁部2bと略平行に位置して固定体1開口部2の奥まで差し込まれた板材Sの端面に係止する。連結体10を時計方向に揺動させようとする荷重が管財Pに働いたとき,固定片14が固定体1の上面に衝接した状態となっても板材Sの上面と当接側縁部15aとの間には若干の間隙が残り,固定片14と当接側縁部15aとが同時に固定体1と板材Sとにそれぞれ係止することはない。
第2図,第4図及び第6図に示す如く,連結体10を揺動せしめて固定体1が固定される板材Sに対して水平に位置せしめたとき,当接側縁部15'bは固定体1開口部2の上縁部2aと略平行に位置し,当接側縁部15'aは固定体1開口部2の側縁部2bと略平行に位置して固定体1開口部2の奥まで差し込まれた板材Sの端面に係止する。連結体10を反時計方向に揺動させようとする荷重が管財Pに働いたときでも,固定片14'と当接側縁部15'aとが同時に固定体1と板材Sとにそれぞれ係止することは稀である。
注把持体20は,取付板11に回動自在に取り付けられる。
第1図第2図第3図第4図第5図第6図別紙被告物件目録21図面第1図は,揺動クランプの外観斜視図,第2図は,第1図の揺動クランプの連結体と把持体を90度反時計方向に回転した状態を示す同クランプの外観斜視図,第3図は第1図の縦断面図,第4図は第2図の縦断面図,第5図は第1図及び第3図の状態における固定体1開口部2の上縁部2aと当接側縁部15aとの位置関係を示す参考図第6図は第2図及び第4図の状態における固定体1開口部2の上縁部2aと当接側縁部15'bとの位置関係を示す参考図である。
2構造(1)所定板材Sに固定される開口部2を有する側面略コ字形の固定体1と,固定体1に揺動自在に軸着された連結体10と,連結体10に取り付けられて所定管材Pを把持する把持体20とから成る揺動クランプである。
(2)連結体10を,把持体20が取り付けられる取付板11と,固定体1を両側から挟装する一体の両側板12とで断面略下向コ字形に形成してある。
(3)連結体10を揺動せしめた際に固定体1上面或いは側面に衝接する一対の固定片14a及び14'aを,前記取付板11の揺動方向の両端部を下方に屈曲して垂設してある。
(4)固定体1の開口部2の上縁部2aと側縁部2bとは略直角をなしている。両側板12には,当接側縁部15a,15b,15'a及び15'bを有する略T字形状の当接片16を設け,当接片の当接側縁部15aと15b,15'aと15'bとは互いに略直角をなすように構成されている。
(5)第1図,第3図及び第5図に示す如く,連結体10を揺動せしめて固定体1が固定される板材Sに対して垂直に位置せしめたとき,当接側縁部15aは固定体1開口部2の上縁部2aよりも僅か上方に上縁部2aと略平行に位置し,当接側縁部15bは固定体1開口部2の側縁部2bと略平行に位置して固定体1開口部2の奥まで差し込まれた板材Sの端面に係止する。連結体10を時計方向に揺動させようとする荷重が管財Pに働いたとき,固定片14aが固定体1の上面に衝接した状態となっても板材Sの上面と当接側縁部15aとの間には若干の間隙が残り,固定片14aと当接側縁部15aとが同時に固定体1と板材Sとにそれぞれ係止することはない。
第2図,第4図及び第6図に示す如く,連結体10を揺動せしめて固定体1が固定される板材Sに対して水平に位置せしめたとき,当接側縁部15'bは固定体1開口部2の上縁部2aと略平行に位置し,当接側縁部15'aは固定体1開口部2の側縁部2bと略平行に位置して固定体1開口部2の奥まで差し込まれた板材Sの端面に係止する。連結体10を反時計方向に揺動させようとする荷重が管財Pに働いたときでも,固定片14'aと当接側縁部15'aとが同時に固定体1と板材Sとにそれぞれ係止することは稀である。
注把持体20は,2個の固定ピンにより取付板11に固定して取り付けられる。
2個の固定ピンは,固定体1が固定された板材Sに対して把持体20が垂直あるいは水平のいずれの位置にあっても,固定ピンの頭部14b及び14'bが固定体1に衝接することのないように取り付けられている。
第1図第2図第3図第4図第5図第6図別紙物件目録11図面第1図は,揺動クランプの外観斜視図,第2図は,第1図の揺動クランプの連結体と把持体を90度反時計方向に回転した状態を示す同クランプの外観斜視図,第3図は第1図の縦断面図,第4図は第2図の縦断面図である。
2構成(1)所定板材Sに固定される開口部2を有する側面略コ字形の固定体1と,固定体1に揺動自在に軸着された連結体10と,連結体10に取り付けられて所定管材Pを把持する把持体20とから成る揺動クランプで,(2)連結体10を,把持体20が取り付けられる取付板11と,固定体1を両側から挟装する一対の両側板12とで断面略下向コ字形に形成し,(3)ア連結体10を揺動せしめて固定体1が固定された板材Sに対して垂直に位置した際に固定体1上面に衝接して連結体10を係合支持する構成部分14を前記取付板11の一端部に折り曲げて形成すると共に,連結体10を揺動せしめて固定体1が固定された板材Sに対して水平に位置した際に,固定体1側面に衝接して連結体10を係合支持する構成部分14'を前記取付板11の他端部に折り曲げて形成し,イ把持体20は,取付板11に回動自在に取り付けられ,(4)ア固定体1の開口部2の上縁部2aと側縁部2bとは略直角をなし,イ両側板12には,当接側縁部15a,15b,15'a及び15'bを有する略T字形状の当接片16を設け,当接片の当接側縁部15aと15b,15'aと15'bとは互いに略直角をなすように構成された(5)揺動クランプ第1図第2図第3図第4図別紙物件目録21図面第1図は,揺動クランプの外観斜視図,第2図は,第1図の揺動クランプの連結体と把持体を90度反時計方向に回転した状態を示す同クランプの外観斜視図,第3図は第1図の縦断面図,第4図は第2図の縦断面図である。
2構成(1)所定板材Sに固定される開口部2を有する側面略コ字形の固定体1と,固定体1に揺動自在に軸着された連結体10と,連結体10に取り付けられて所定管材Pを把持する把持体20とから成る揺動クランプで,(2)連結体10を,把持体20が取り付けられる取付板11と,固定体1を両側から挟装する一対の両側板12とで断面略下向コ字形に形成し,(3)ア連結体10を揺動せしめて固定体1が固定された板材Sに対して垂直に位置した際に固定体1上面に衝接して連結体10を係合支持する構成部分14aを前記取付板11の一端部に折り曲げて形成すると共に,連結体10を揺動せしめて固定体1が固定された板材Sに対して水平に位置した際に,固定体1側面に衝接して連結体10を係合支持する構成部分14'aを前記取付板11の他端部に折り曲げて形成し,イ把持体20は,2個の部材14bにより取付板11に固定して取り付けられ,(4)ア固定体1の開口部2の上縁部2aと側縁部2bとは略直角をなし,イ両側板12には,当接側縁部15a,15b,15'a及び15'bを有する略T字形状の当接片16を設け,当接片の当接側縁部15aと15b,15'aと15'bとは互いに略直角をなすように構成された(5)揺動クランプ第1図第2図第3図第4図
裁判長裁判官 森義之
裁判官 岡口基一
裁判官 男澤聡子
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