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事件 |
平成
13年
(ネ)
4897号
実用新案移転登録手続請求控訴,実用新案移転登録抹消登録請求控訴事件
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控訴人(原審甲事件原告・乙事件原告) 株式会社ヴァンガード 訴訟代理人弁護士 佐瀬正俊、米川勇、島由幸 被控訴人(原審甲事件被告) 株式会社サテライトインテリジェンス 被控訴人(原審乙事件被告) B 被控訴人ら訴訟代理人弁護士 中野正人 被控訴人ら補助参加人 C 訴訟代理人弁護士 水澤恒男、鈴木英夫 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2002/03/26 |
権利種別 | 実用新案権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
本件控訴を棄却する。 控訴費用は、参加によって生じたものも含め控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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控訴人の求めた裁判
「原判決を取り消す。 被控訴人株式会社サテライトインテリジェンスは、控訴人に対し、原判決別紙目録1記載の実用新案権について、移転登録手続をせよ。 被控訴人株式会社サテライトインテリジェンスは、控訴人に対し、原判決別紙目録2記載の実用新案権について、移転登録手続をせよ。 被控訴人Bは、原判決別紙目録1記載の実用新案権について、平成12年7月11日受付、受付番号000871の移転登録の抹消登録手続をせよ。 被控訴人Bは、原判決別紙目録2記載の実用新案権について、平成12年7月11日受付、受付番号000871の移転登録の抹消登録手続をせよ。」との判決。 |
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事案の概要
控訴人は、控訴人が被控訴人らに対し、@控訴人は、被控訴人会社(被控訴人株式会社サテライトインテリジェンス)から、平成9年6月28日に、本件各実用新案登録(原判決別紙目録1、2記載の実用新案登録)を受ける権利を譲り受けた、 A被控訴人会社代表者Aは、被控訴人会社の資産全体が控訴人の資産であるような外観と控訴人が本件各実用新案権の権利者であるような外観を作出したから、本件各実用新案権は、控訴人が有すると評価すべきである、B被控訴人会社から被控訴人Bへの本件各実用新案権の移転は、虚偽表示であるか、そうでないとしても、被控訴人Bは、背信的悪意者である、と主張して、本件各実用新案権について、被控訴人会社に対しては、移転登録手続をすることを、被控訴人Bに対しては、平成12年7月11日受付、受付番号000871の移転登録の抹消登録手続をすることを求めたが、原判決は、控訴人の請求をすべて棄却した。 事案の概要及び争点並びに争点に関する当事者の主張は、原判決事実及び理由の第2、第3に示されているとおりである。ただし、控訴人は、当審において次の主張を追加した。 (1) 被控訴人会社は、平成9年6月ころ、控訴人に対して、本件各実用新案登録を受ける権利を対価1480万7966円で譲渡し、控訴人は、平成9年8月から平成10年5月までの間に、被控訴人会社に対して合計1480万7966円を支払った。 (2) 仮に、被控訴人会社から控訴人に対する本件各実用新案登録を受ける権利の譲渡に、取締役会の承認が必要であるとしても、これがないことによる譲渡の無効を、被控訴人会社が主張することは信義則上許されない。 すなわち、控訴人の現在の代表取締役らの立場からすれば、本件実用新案権に基づく商品の製造が主たる営業である控訴人に本件実用新案が帰属するとのA(当時の控訴人代表者)の言葉を信頼して控訴人の株式を購入し、同社の立直しをしていたのに、控訴人は実はその権利を有していない会社であったということになってしまう。これでは詐欺行為にあったも同然である。控訴人は、本件実用新案を所有するなどして初めて主たる営業行為ができるからである。控訴人の取締役や取引先の多大な犠牲の下に、被控訴人会社の利益、ひいてはAの利益の保全を図ることは、 信義則に著しく反し、被控訴人の本件実用新案の譲渡について取締役会の承認がないという内部関係の問題を主張して、被控訴人らが譲渡の無効を主張することはできない。 |
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当裁判所の判断
当裁判所も、(1) 本件各実用新案登録を受ける権利が被控訴人会社から控訴人に譲渡された事実は認められず、(2) 仮に、控訴人主張のように、平成9年6月28日付けの委任状による譲渡が認められとしても、当時、Aは控訴人及び被控訴人会社双方の唯一の代表者であったから、この譲渡には商法265条1項所定の取締役会の承認が必要であり、それがされない限り譲渡は無効であるが、取締役会の承認手続はされていない、(3) 被控訴人会社は控訴人に対して本件各実用新案権を黙示的に譲渡したとまで認めることはできない。(4) 仮に、被控訴人会社が控訴人に対して本件各実用新案登録を登録日までに黙示的に譲渡したと認められるとしても、 上記(2)におけると同様、譲渡には、取締役会の承認が必要で、それがない限り無効であるところ、取締役会の承認手続はされていない、と認定、判断するものであるが、その理由の詳細は、原判決事実及び理由中の第4(12頁6行目から17行目までを除く。)に示されているとおりである。 控訴理由は、原判決の上記認定、判断に誤りがあるとし、かつ、前記第2の(1)、(2)の主張を追加するものであるが、控訴理由において控訴人が主張するところにかんがみても、引用した原判決の上記理由に誤りがあるとすることはできない。 また、上記第2の(1)の事実、すなわち、控訴人は平成9年8月から平成10年5月までの間に、被控訴人会社に対して、平成9年6月ころ被控訴人会社から譲渡された本件各実用新案登録を受ける権利の対価として合計1480万7966円を支払ったとの事実に関しては、これを認めるべき証拠はない。なお、原審で、口頭弁論終結後に弁論再開申立書とともに提出された甲第31号証添付の被控訴人会社名義預金通帳写しには、控訴人から被控訴人会社に対して、平成9年8月から平成10年5月までの間に総額1480万7966円の振込があったとの記載があり、甲第31号証(D作成の陳述書)には、同額が、控訴人主張の本件各実用新案登録を受ける権利の対価として振り込まれたとの陳述記載がある。しかし、この振込額が、本件各実用新案登録を受ける権利の対価として振り込まれたとの主張事実は被控訴人らにおいて否認しているところであり、同額が上記預金通帳写しのとおり振り込まれたことは事実としても、これが、控訴人主張の趣旨で振り込まれたことを認めるべき客観的な証拠はなく、預金通帳写しの上記記載をもってしても、控訴人主張のように、本件各実用新案登録を受ける権利が譲渡されたことを認めることはできない。また、甲第31号証の陳述記載をもってしても、この事実を認めるに足りず、他にこの事実を認めるべき証拠はない。 さらに、原判決認定の事実関係からすれば、本件各実用新案登録を受ける権利譲渡に関し、被控訴人らにおいて取締役会の承認がないことによる無効を主張することが信義則に反するものということはできず、他に、そのように判断すべき事実関係は認められない。上記第2の(2)の控訴人の主張も理由がない。 |
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結論
以上のとおりであって、本訴請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。 |
裁判長裁判官 | 永井紀昭 |
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裁判官 | 塩月秀平 |
裁判官 | 古城春実 |