• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 無効2004-40004
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17行ケ10085審決取消(実用新案)請求事件 判例 実用新案
平成17行ケ10061審決取消(実用新案)請求事件 判例 実用新案
平成17ネ10033実用新案権侵害差止等請求控訴事件 判例 実用新案
関連ワード 考案 /  構造 /  設定登録 /  進歩性(3条2項) /  きわめて容易 /  請求項 /  容易に想到 /  明細書 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 17年 (行ケ) 10151号 審決取消(実用新案)請求事件
原告 株式会社古川代表者代表取締役 P1
訴訟代理人弁理士 加藤久
同 弁護士 高橋浩文
被告 久鼎金實業股 有限公司 (審決書上の表示 久鼎金属実業股ふん有限公司) 代表者代表公司負責人 P2
訴訟代理人弁理士 森本義弘
同 板垣孝夫
同 笹原敏司
同 原田洋平
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2005/09/22
権利種別 実用新案権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2004-40004号事件について平成17年1月12日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,被告が有し考案の名称を「二輪車の取り外し可能ハンドル」とする後記実用新案権につき,原告が実用新案登録無効審判請求をしたところ,特許庁が審判請求は成り立たないとの審決をしたことから,請求人たる原告がその取消しを求めた事案である。
当事者の主張
1 請求の原因 (1) 特許庁における手続の経緯 被告は,名称を「二輪車の取り外し可能ハンドル」とする考案につき,平成12年3月14日に実用新案登録出願をし,平成12年6月28日に特許庁から設定登録を受けた(実用新案登録第3071713号。甲2。以下「本件実用新案登録」といい,本件実用新案登録に係る考案を「本件考案」という。)。
原告は,平成16年6月7日,本件実用新案登録につき無効審判請求をし,特許庁は,これを無効2004-40004号事件として審理した上,平成17年1月12日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(甲1。以下「本件審決」という。)をし,その謄本は平成17年1月24日原告に送達された。
(2) 考案の内容 本件考案は,請求項数2から成り,その内容は下記のとおりである(以下,請求項1の考案を「本件考案」という。)。
記 「【請求項1】自転車またはハンドル付スケートボードの取り外し式ハンドル部分である,ハンドル支え棒及びハンドルを係合するT字型連接管から構成される二輪車の取り外し可能ハンドルにおいて,縦管には,横管まで延びた導入溝が形成され,上記ハンドル支え棒上段の導入溝に対応する突起部を有し,位置調節が可能な快速取り外し装置が設けられ,上記二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体は,弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外した後,ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有することを特徴とする二輪車の取り外し可能ハンドル。」 「【請求項2】前記二輪車の取り外し可能ハンドルは,前記定位体前端に鈎部が設けられていることを特徴とする請求項1記載二輪車の取り外し可能ハンドル。」 (3) 審決の内容 ア 本件審決の内容は,別紙審決写しのとおりである。その理由の要旨は,請求人主張の下記無効理由1,2は,いずれも理由がないとしたものである。
記 〈無効理由1〉 本件考案は,審判甲2(本訴甲3)に記載された考案と,審判甲3ないし8(本訴甲4ないし9)に記載された考案又は周知技術に基づいて,当業者がきわめて容易に想到をすることができた(実用新案法3条2項)。
〈無効理由2〉 本件考案は,審判甲1(本訴甲2)に記載された考案(本願の明細書中に記載された従来の技術)と,審判甲5ないし8(本訴甲6ないし9)に記載された考案又は周知技術に基づいて,当業者がきわめて容易に想到をすることができた(実用新案法3条2項)。
引用書証は下記のとおり。
記 審判甲1(本訴甲2):登録実用新案公報第3071713号 審判甲2(本訴甲3):米国特許第5,927,733号明細書 (1999年7月27日発行) 審判甲3(本訴甲4):中華民国専利公報 公告番号第242855号 (1995年3月11日発行) 審判甲4(本訴甲5):実願平4-79863号(実開平7-14913号公報)のCD-ROM (平成7年3月14日発行) 審判甲5(本訴甲6):中華民国専利公報 公告番号第224658号 (1994年6月1日発行) 審判甲6(本訴甲7):昭和41年6月15日日刊工業新聞社発行「機械設計データブック」10〜11頁 審判甲7(本訴甲8):1985年6月15日理工学社発行「メカニズムの事典」36〜37頁 審判甲8(本訴甲9):1979年9月15日技報堂出版株式会社発行の「MECHANISM」358〜359頁 イ なお,本件審決は,審判甲2(本訴甲3)に記載された考案を引用考案とした上,本件考案とでは,次のような一致点と相違点があると認定した。
〈一致点〉 「自転車またはハンドル付スケートボードの取り外し式ハンドル部分である,ハンドル支え棒及びハンドルを備えるT字型連接管から構成される二輪車の取り外し可能ハンドル」である点。
〈相違点1〉 本件考案は,ハンドルをT字型連接管に対して「係合」するとともに,「二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体は,弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外した後,ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有する」ものであるのに対し,引用考案は,垂直ハンドル34を伸縮自在の上部32Bに「固定」しており,前記「定位体」に対応する構成を備えていない点。
〈相違点2〉 本件考案は,「縦管には,横管まで延びた導入溝が形成され,ハンドル支え棒上段の導入溝に対応する突起部を有し,位置調節が可能な快速取り外し装置が設けられ」ているものであるのに対し,引用考案は,前記「導入溝」や前記「快速取り外し装置」に対応する構成を備えていない点。
(4) 審決の取消事由 本件考案と引用考案との一致点及び相違点が本件審決認定のとおりであることは認めるが,本件審決には,以下のとおり認定判断に誤りがあり,違法として取り消されるべきである。
ア 取消事由1(相違点1の認定判断の誤り) (ア) 本件審決は,実願平4-79863号(実開平7-14913号公報)のCD-ROM記載の折畳杖のゴム紐について,「甲第4号証(判決注・本訴甲5)のゴム紐は,複数の部材がバラバラにならないようにするために設けられたものではな」く(8頁下2行〜下1行)と判断して,前記折畳杖の構成を引用考案の二輪車のハンドルに適用できるような動機付けはなく,当業者といえども,「弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外」すことのできる構成とすることができたとはいえない旨(9頁4行〜7行)判断している。
しかしながら,前記折畳杖は,「上部筒体,中間筒体,下部筒体とがそれぞれソケット・プラグ管継手で連結され,所望の長さの杖本体を構成し,この杖本体の各管継手部は常時はゴム紐7の引張力で脱落を防止するように作用する。」(本訴甲5【0007】)もので,ゴム紐で連結された結果,杖として使用しない状態において,上部筒体,中間筒体,下部筒体とがバラバラにならないように繋がる機能を有するものであるから,「甲第4号証(判決注・本訴甲5)のゴム紐は,複数の部材がバラバラにならないようにするために設けられたものではない」とした本件審決の上記判断は誤っている。
また,本件考案の課題の一つである自転車やスケートボードのハンドル体積を減らための手段として,ハンドル自体を折り畳んだり,ハンドルを取り外すものとすることは,特開平7-52863号公報(甲12),特開2000-233785号公報(甲13),実開平5-58588号公報(甲14)に記載されているように,当業者にとって当然に着想しうることにすぎない。
したがって,前記折畳杖の構成を「複数の部材がバラバラにならないように」する目的をもって引用考案の二輪車のハンドルに適用できる動機付けがあり,当業者にとって引用考案の固定ハンドル(垂直ハンドル)を「弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外」すことのできる構成とすることは,きわめて容易であったというべきである。
(イ) 本件審決は,「甲第5号証(判決注・本訴甲6)には「可動ピンによって受け溝に枢支されたハンドルを折り畳んだ後に移動しないように引掛けて固定できるようにするため,収納用引掛リングをハンドルホルダーの適宜な部位に設けた折畳式ハンドル」が,記載されていることが認められる。」(9頁8行〜11行),「(ホ) 以上のとおり,上記甲第4号証(判決注・本訴甲5)及び甲第5号証(判決注・本訴甲6)のいずれにも,取り外し式ハンドルが垂れた状態で置かれるため,揺れて衝突し,破損することを防止するとの技術課題は記載も示唆もされていない。」(9頁19行〜21行)と認定判断している。
確かに,本訴甲5(審判甲4)及び本訴甲6(審判甲5)には,「取り外し式ハンドルが垂れた状態で置かれるため,揺れて衝突し,破損することを防止するとの技術課題」は記載されていないが,このような「破損することを防止する」との技術的課題はあらゆる装置についていえる一般的な課題,すなわち装置の構成を考える場合における自明な課題にすぎない。
本訴甲6(審判甲5)記載の折畳式ハンドルは,本件考案の構成と全く同じ「左右に夫々半円形のハンドルホルダー」であって,しかも「ハンドルを引っ掛けて固定できるようにした」ものであり,取り外したハンドルを固定する目的をもって引用考案に前記折畳式ハンドルの上記構成を適用して,相違点1に係る本件考案の構成とすることは,当業者にとって何ら困難性はなく,きわめて容易であった。
(ウ) 以上のとおり,相違点1に係る本件考案の「二輪車の取り外し可能ハンドルに嵌合されている定位体は,弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外した後,ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円形のハンドルホルダーを有する」との構成は,本訴甲4ないし6(審判甲3ないし5)に記載ないし示唆されており,しかも相違点1による「ハンドルの体積を減らすと同時に取り外したハンドルを簡単に収納でき,ハンドルの着脱効果を上げる」との効果(審決の9頁23行〜24行)は,本訴甲4ないし6(審判甲3ないし5)からも当然に期待できる程度のものにすぎない。
したがって,相違点1に係る本件考案の構成は本訴甲3ないし6(審判甲2ないし5)から当業者がきわめて容易に想到できたものである。
イ 取消事由2(従来技術の公知性の判断の誤り) (ア) 株式会社Aが本件実用新案登録出願前に作成した売出期間が2000年(平成12年)1月1日から4日までのチラシである甲15に記載された「ローラースルー」と表示された商品は,被告及びB株式会社が原告に対し提訴した大阪地方裁判所平成15年(ワ)第13028号実用新案権侵害差止等請求事件(以下「別件訴訟」という。)の訴状(甲10)の中で,被告が1999年4月ころから製造輸出していたと主張する商品名「RAZOR」と同一商品である。
加えて,被告は,別件訴訟の準備書面(2)(甲11)の中で「1999年4月頃より,原告久鼎が製造,輸出し,2003年5月頃より原告Bが輸入しているのは,あくまで実用新案権に係るハンドルホルダー14が取り付けられていないキックスケ一ターであり,その後に原告Bが販売するに至った本件実用新案権に係るハンドルホルダー14が付けられた『別紙物件目録(1)記載の原告ら商品』とは異なるものである。」と主張していることからすれば,「RAZOR」すなわち「ローラースルー」は,上記「実用新案権に係るハンドルホルダー14が取り付けられていないキックスケーター」であって,本件実用新案登録出願前に公然と知られていたというべきである。
そして,「RAZOR」すなわち「ローラースルー」は,本件考案の構成のうち,「ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有する」もの以外のその余の構成をすべて備えたものと考えるのが相当である。
したがって,本件審決が「前記甲第9号証(判決注・本訴甲10)及び甲第10号証(判決注・本訴甲11)によっても,前記「RAZOR」又は「JDRAZOR」という遊技・スポーツ用具,或いは「実用新案権に係るハンドルホルダー14が取り付けられていないキックスケータ」なるものが,いかなる構成を備えるものであるのか,及びこれらと前記従来技術とされる技術事項との関連についても何等明らかでない。」(12頁10行〜14行)として,本件考案の構成のうち,「ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有する」もの以外のその余の構成が公知であったことを否定した判断は誤りである。
(イ) 以上のとおり,「RAZOR」すなわち「ローラースルー」は,本件考案の構成のうち,「ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有する」もの以外のその余の構成をすべて備えるものであって,本件実用新案登録出願前にこれが従来技術として公知であったから,前記アと同様の理由により,本件考案の定位体の構成は,当業者にとってきわめて容易に想到できたものである。
ウ 取消事由3(相違点2の認定判断の誤り) 本件審決は,「(ニ) また,甲第3号証(判決注・本訴甲4)に記載のクイックリリースクランプは,自転車に用いることは示唆されているものの,それを自転車の何処に用いるかは記載されておらず,かつ,少なくとも「(快速取り外し装置が)ハンドル支え棒上段の導入溝に対応する突起部を有し」たものではない。」,「(ホ) そして,本件考案は,前記相違点2に係る構成を備えることから,「連接管5の縦管51とハンドル支え棒3を組み合わせた場合,がたつきが生じない。」・・・という作用効果を奏するものである。」,「(ヘ) 以上のとおり,前記相違点2に係る構成については,甲第3号証(判決注・本訴甲4)及び甲第6〜8号証(判決注・本訴甲7〜9)の何れにも記載ないし示唆されていないこと明らかであって,かつ,甲第4,5号証(判決注・本訴甲5,6)の何れにも記載ないし示唆されていないことも明らかである。したがって,請求人の提出した前記甲各号証の記載から,前記相違点2に係る構成を当業者といえどもきわめて容易に想到できたとすることはできず,請求人の前記主張を受け入れることはできない。」(10頁24行〜38行)と判断している。
しかしながら,本訴甲4(審判甲3)記載の「自転車に用いるクイックリリースクランプ(快速取り外し装置)」について,本件審決の判断のとおり,この快速取り外し装置を自転車の何処に用いるかは本訴甲4に記載されていないものの,相違点2に係る本件考案の快速取り外し装置は,同装置の本来の機能を発揮させワンタッチで取り外しを可能にする目的をもって用いられているにすぎず,本件考案の用い方自体に特に考案の成立する余地はない。
また,相違点2に係る本件考案の「縦管には,横管まで延びた導入溝が形成され,上記ハンドル支え棒上段の導入溝に対応する突起部を有」するとの構成について,かかる構成の技術的意味は,本件審決のとおり「縦管は前記ハンドル支え棒に対して,軸方向の移動と同時に回転方向の移動も確実に拘束される」また「連接管5の縦管51とハンドル支え棒3を組み合わせた場合,がたつきが生じない」ものであって,「がたつきを生じさせない」ために「溝と突起」の構造とすることは,本訴甲7ないし9(審判甲6ないし8)に記載されているように,技術分野を超えてスライド可能な部材をがたつきを生じさせないようにするための周知・慣用技術にすぎないし,このような突起を快速取り外し装置自体に設けることについても,上記効果以上のものは期待できず,したがって技術的意味はなく,この点に考案の成立する余地もない。
したがって,相違点2に係る本件考案の構成は本訴甲4(審判甲3)及び本訴甲7ないし9(審判甲6ないし8)から当業者がきわめて容易に想到できたものにすぎない。
2 請求原因に対する認否 請求原因(1)ないし(3)の各事実は認めるが,同(4)は争う。
3 被告の反論 (1) 取消事由1に対し ア 本件審決は,「甲第4号証(判決注・本訴甲5)の折畳杖は,折り畳んで袋等に収納した杖を,単に取り出すだけで杖として使用できるようにすることを前提とするものであるから,甲第4号証(判決注・本訴甲5)のゴム紐は,複数の部材がバラバラにならないようにするために設けられたものではなく」(8頁34行〜37行)と判断しているのであり,本件審決の上記判断に誤りはなく,本訴甲5(審判甲4)のゴム紐7は,複数の部材がバラバラにならないようにすることを目的として設けられたものでないことは明らかである。
また,仮に本訴甲5(審判甲4)のゴム紐7のみならず,複数の部材を結び付けた紐は,当然にこれらの部材が散逸しないように繋げる機能を有するのであるとすれば,複数の部材を結び付けた紐は,いかなるものであっても,引用考案の固定ハンドルを「弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外」すことのできる構成とするための動機付けとなることになり,不合理である。
しかも,前記折畳杖は,互いにゴム紐により強く引っ張られることで杖を構成している各筒体部分を,折り畳んで袋等に収納しようとするときにゴム紐の引張力に抗して無理矢理に折り畳まなければならず,このようなものを本件考案の二輪車のハンドルに適用すること自体,何ら意味をなすものではない。
また,本件考案の課題は,ハンドルを取り外し構造とすることを前提として,そのときの紛失の防止と衝突による破損の防止とを図ろうとすることにあり,ハンドルの体積を減らすことは本件考案の課題ではなく,その効果であって,引用考案の取り外しの行えない固定式のハンドルは,このような前提自体を欠くものであるから,本件考案の課題を導き出すことはできないし,本訴甲12ないし14記載の折畳式ハンドルの構成によっても,同様に,本件考案の課題を導き出すことはできない。
イ したがって,本訴甲5(審判甲4)記載の折畳杖の構成を「複数の部材がバラバラにならないように」する目的をもって引用考案の二輪車のハンドルに適用できる動機付けがあり,当業者にとって引用考案の固定ハンドル(垂直ハンドル)を「弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外」すことのできる構成とすることは,きわめて容易であったとの原告の主張は失当であり,また,相違点1に係る本件考案の構成が本訴甲3ないし6(審判甲2ないし5)から当業者がきわめて容易に想到できたものということはできない。
(2) 取消事由2に対し 本訴甲15には「ローラースルー」と表示された商品の小さな写真が掲載されているのみであり,これだけでは,「ローラースルーと表示された商品」がいかなる構成を備えるものであるのか,明確でないのであるから,「ローラースルー」が,本件考案の構成のうち,「ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダー」以外のその余の構成をすべて備えていたということはできない。
また,本件考案の定位体の構成が,原告が主張するように当業者にとってきわめて容易に想到できたということもできない。
(3) 取消事由3に対し 本件審決は,本件考案は単に周知・慣用技術である突起と溝とを設けただけのものではなく,快速取り外し装置の突起部が,ハンドル支え棒上段に設けられた第1の導入溝と,縦管に形成された第2の導入溝との両者に嵌合することによって,「連接管5の縦管51とハンドル支え棒3とを組み合わせた場合にがたつきが生じない」という作用効果を奏するものであることにより(10頁の(ホ)欄),相違点2に係る本件考案の容易想到性を否定したものであって,本件審決の上記判断に誤りはない。
当裁判所の判断
1 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(考案の内容),(3)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,原告主張の本件審決の取消事由(請求原因(4))について,以下,順次判断する。
2 取消事由1(相違点1の認定判断の誤り)の有無 (1) 原告は,本件審決が,本訴甲5(審判甲4)記載の折畳杖のゴム紐について「複数の部材がバラバラにならないようにするために設けられたものではない」とした上で,前記折畳杖の構成を引用考案の二輪車のハンドルに適用できるような動機付けはない旨(審決8頁下2行〜下1行,9頁4行〜5行)判断したのは誤りであり,前記折畳杖の構成を複数の部材がバラバラにならないようにする目的をもって引用考案の固定ハンドル(垂直ハンドル)に適用し,本件考案の「弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外」すことのできる構成とすることは,当業者にとってきわめて容易であった旨主張する。
ア 本件実用新案登録の明細書(甲2)には,@ 【従来の技術】として「従来の自転車または,ハンドル付スケートボードは,ハンドルが一体成型で,使用しない場合には空間を取り,たいへん不便である。また,使用しない場合には外せるような構造のものもある。一般に,その取り外し式ハンドルには,独立式と連体式の二種の形態がある。そのうち,独立式ハンドルは,左右ハンドルが完全に単独の物体で,連体式ハンドルは,ロープによって,左右ハンドルが両端に固定されており,ハンドルを外した後もロープによって繋がっている。これにより,ハンドルを外した後もロープによって,ハンドル棒に係止される。」(段落【0002】),A 【考案が解決しようとする課題】として「しかし,前者の独立式ハンドルは,ハンドルを取り外すと,車体から完全に離れてしまうので,ハンドルを紛失しないようにしなければならないため,不便である。」,「また,後者の連体式ハンドルは,ロープにハンドルが連なって,垂れた状態で置かれるため,揺れて衝突し,ハンドルが破損する原因になっている。」,「そこで,本考案は,上記課題を改善した二輪車の取り外し可能ハンドルを提供することを目的とする。」(以上,段落【0003】〜【0005】),B 【課題を解決するための手段】として「上記目的を達成するため,本考案の二輪車の取り外し可能ハンドルは,縦管にはめ込み,ネジで固定される定位体を有し,この左右のハンドルホルダーに左,右ハンドルを取り外した接合管を係止することによって,縦管に直接係止し,ハンドルの体積を減らすと同時に取り外したハンドルを簡単に収納でき,ハンドルの着脱効果を上げることを特徴とする。」(段落【0006】),C 【考案の効果】として「以上説明したように,本考案の二輪車の取り外し可能ハンドルは,両側のハンドルホルダーに左,右ハンドルを取り外した接合管を係止することによって,縦管両側に直接係止させることを特徴とする。これにより,ハンドルの体積を減らすと同時に取り外したハンドルを簡単に収納でき,ハンドルの着脱効果を上げるのに効果的である。」(段落【0015】)との記載がある。
これらの記載及び甲2の【図1】ないし【図4】によれば,本件考案(請求項1)に係る二輪車の取り外し可能ハンドル部分は,弾性ロープによって連接された左右ハンドル,このハンドルを係合するT字型連接管及びハンドル支え棒から成り,T字型連接管の縦管に嵌合される定位体を有し,この左右のハンドルホルダー(定位体)に取り外した左,右ハンドルの接合管を係止することによって,T字型連接管の縦管に直接係止し,ハンドルの体積を減らすと同時に取り外したハンドルを簡単に収納でき,ハンドルの着脱効果を上げることを特徴とするものであることが認められる。
イ 一方,実願平4-79863号(実開平7-14913号公報)のCD-ROM(本訴甲5・審判甲4)の明細書には,@ 【考案が解決しようとする課題】として「しかし,上記折畳杖は石突にゴム紐の一端を取り付けるため,該石突を強固な材質で構成しなくてはならず,石突きの目的であるスリップ防止,緩衝に適したゴムなどの弾性材を使用できないという課題を有している。」,「また,上記従来の折畳杖は,ハンドルと石突との間を両者を引き合うゴム紐で連結するのに煩雑な作業が必要で,・・・・ゴム紐を連結しなくてはならず作業の煩雑性から高価なものとなるという課題を有していた。」,「そこで,本考案は上記課題を解決すべくなされたもので,石突にゴム等の弾性材が使用でき,製造が容易な折畳杖を提供することを目的としたものである。」(以上,段落【0003】〜【0005】),A 【作用】として,「それ故,本件考案折畳杖は,上部筒体,中間筒体,下部筒体とがそれぞれソケット・プラグ管継手で連結され,所望の長さの杖本体を構成し,この杖本体の各管継手部は常時はゴム紐7の引張力で脱落を防止するように作用する。」(段落【0007】),「また,袋等に収納した杖を使用する場合は,袋より折り畳んだ杖を取り出すと,各筒体はゴム紐で引っ張られ,この際に,ソケット・プラグ管継手が先端方向に拡径されたソケットと先端が縮径されたプラグとが対になっているので,自然に両者が連結され,単に取り出すだけで杖として使用できる状態となる作用を呈する。」(段落【0009】),B 【考案の効果】(段落【0024】)として「本考案折畳杖は上記のごときであるので,常時は各管継手が連結されて杖として使用でき,不使用時は管継手部をゴム紐の付勢力に抗して外して折り畳むことができるのは従来と同じであるが,本考案は,ゴム紐7を石突体3に連結せずゴム紐ストッパー8を使用しているため,石突体3にスリップを防止でき,緩衝作用を有した弾性材質を使用できる効果を有する。」との記載がある。
これらの記載によれば,本訴甲5(審判甲4)の考案に係る折畳杖は,上部筒体,中間筒体,下部筒体とがそれぞれソケット・プラグ管継手で連結され,所望の長さの杖本体を構成し,常時はゴム紐7の引張力で各管継手が連結されて杖として使用でき,不使用時は管継手部をゴム紐の付勢力に抗して外して折り畳むことができ,更に袋より折り畳んだ杖を取り出すと,ゴム紐の作用により自然に上記各筒体とソケット・プラグ管継手が連結され,単に取り出すだけで杖として使用できる状態となることが認められる。
ウ 本件審決は,「甲第4号証(判決注・本訴甲5)の折畳杖は,折り畳んで袋等に収納した杖を,単に取り出すだけで杖として使用できるようにすることを前提とするものであるから,甲第4号証のゴム紐は,複数の部材がバラバラにならないようにするために設けられたものではなく,しかも,折り畳まれた状態の各筒体部分は,互いにゴム紐により強く引っ張られた状態で連結されており,これらが揺れて衝突したりする虞の全くないものであるとともに,折り畳まれるのは,ハンドルではなく,あくまでも中間筒体および下部筒体部分である。」,「したがって,甲第4号証(判決注・本訴甲5)に記載の前記折畳杖の構成を引用考案の二輪車のハンドルに適用できるような動機付けはなく,当業者といえども,「弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外」すことのできる構成とすることができたとはいえない。」(以上,8頁下2行〜9頁7行)と判断している。
そこで検討するに,前記イ認定のとおり,本訴甲5の折畳杖は,上部筒体,中間筒体,下部筒体とがそれぞれソケット・プラグ管継手で連結され,所望の長さの杖本体を構成し,常時はゴム紐7の引張力で各管継手が連結されて杖として使用でき,不使用時は管継手部をゴム紐の付勢力に抗して外して折り畳むことができ,更に袋より折り畳んだ杖を取り出すと,ゴム紐の作用により自然に杖本体の各筒体とソケット・プラグ管継手が連結され,単に取り出すだけで杖として使用できる状態となるものであり,上記折畳杖のゴム紐は,上記作用を有するものであって,複数の部材がバラバラにならないようにすることを直接の目的として設けられたものではなく,上記作用により,結果的に,上記折畳杖の各筒体等を連結させ,これらがバラバラにならないような効果をもたらすにすぎない。本件審決の「ゴム紐は,複数の部材がバラバラにならないようにするために設けられたものではなく」との上記認定判断も,これと同趣旨のものと理解することができ,誤りということはできない。
また,前記ア認定のとおり,本件考案に係る二輪車の取り外し可能ハンドルの構成は,取り外し可能ハンドル部分は,弾性ロープによって連接された左右ハンドル,このハンドルを係合するT字型連接管及びハンドル支え棒から成り,T字型連接管の縦管に嵌合される定位体を有し,この左右のハンドルホルダー(定位体)に取り外した左,右ハンドルの接合管を係止することによって,T字型連接管の縦管に直接係止するというものであり,【考案が解決しようとする課題】は「・・・独立式ハンドルは,ハンドルを取り外すと,車体から完全に離れてしまうので,ハンドルを紛失しないようにしなければならないため,不便である。」,「・・・連体式ハンドルは,ロープにハンドルが連なって,垂れた状態で置かれるため,揺れて衝突し,ハンドルが破損する原因になっている。」ことである。
これに対し本訴甲5(審判甲4)の折畳杖の構成は,上記のとおりであって,本件審決が認定するように「折り畳まれた状態の各筒体部分は,互いにゴム紐により強く引っ張られた状態で連結されており,これらが揺れて衝突したりする虞の全くないものであるとともに,折り畳まれるのは,ハンドルではなく,あくまでも中間筒体および下部筒体部分」であること,【考案が解決しようとする課題】は,「・・・上記折畳杖は石突にゴム紐の一端を取り付けるため,該石突を強固な材質で構成しなくてはならず,石突きの目的であるスリップ防止,緩衝に適したゴムなどの弾性材を使用できないという課題」(段落【0003】),「また,上記従来の折畳杖は,ハンドルと石突との間を両者を引き合うゴム紐で連結するのに煩雑な作業が必要で,・・・・ゴム紐を連結しなくてはならず,作業の煩雑性から効果なものとなるという課題」(段落【0004】)であること(前記イ)からすれば,本件考案と本訴甲5の考案(審判甲4)とでは,基本的な構成及び【考案が解決しようとする課題】において共通するところがないというべきである。
さらに,引用考案と本件考案は,「自転車またはハンドル付スケートボードの取り外し式ハンドル部分である,ハンドル支え棒及びハンドルを備えるT字型連接管から構成される二輪車の取り外し可能ハンドル」である点で一致するものの,引用考案のハンドルは固定されており,左右ハンドルが弾性ロープによって連接された構成を有していないこと,原告主張の本訴甲12(特開平7-52863号公報),同甲13(特開2000-233785号公報),同甲14(実開平5-58588号公報)に記載された発明又は考案は,いずれもハンドルを折り畳む構成のものであり,ハンドルを取り外すものはないことに鑑みれば,「前記折畳杖の構成を引用考案の二輪車のハンドルに適用できるような動機付けはなく,当業者といえども,「弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から外」すことのできる構成とすることができたとはいえない。」とした本件審決の前記認定判断に誤りはないというべきである。
したがって,原告の前記主張は採用することができない。
(2) 次に,原告は,本訴甲6(審判甲5)記載の折畳式ハンドルについて,本訴甲6には「取り外し式ハンドルが垂れた状態で置かれるため,揺れて衝突し,破損することを防止するとの技術課題」は記載されていないものの,このような「破損することを防止する」との技術的課題は装置の構成を考える場合における自明な課題にすぎないこと,前記折畳式ハンドルは,本件考案の構成と全く同じ「左右に夫々半円形のハンドルホルダー」であって,しかも「ハンドルを引っ掛けて固定できるようにした」ものであることからすれば,取り外したハンドルを固定する目的をもって引用考案に前記折畳式ハンドルの上記構成を適用して,相違点1に係る本件考案の構成とすることは,当業者にとって何ら困難性はなく,きわめて容易であった旨主張する。
そこで検討するに,本訴甲6(審判甲5)記載の請求項1は「それぞれに枢支された2つのロッド体からなるハンドルと,上部に受け溝及び上部押圧板が設けられたハンドルホルダーと,を含み,前記受け溝の両端には,それぞれに可動ピンが設けられ,これらの可動ピンがそれぞれ前記ハンドルの2つのロッド体の適切な部位を貫通することによって,このハンドルを回動可能に受け溝に枢支し,前記上部押圧板が接合素子により受け溝の後側に枢支され,かつこの上部押圧板の前端に締付素子が設けられ,上部押圧板が前記受け溝に覆うときに,締付けることが可能にし,この上部押圧板が受け溝上に覆う時にできた収納空間および受け溝を締付けるときの緊迫力により,ハンドルを展開するときにその状態を安定に維持できることを特徴とする折畳式ハンドル。」,請求項2は「前記ハンドルホルダーの適宜な部位に収納用引掛リングを設けることによって,ハンドルを折り畳んだ後に移動しないように引掛けて固定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の折畳式ハンドル。」というものである。
また,本訴甲6(審判甲5)の第一図ないし第三図によれば,この折畳式ハンドルは,ハンドルの2つのロッド体が,可動ピンによって,ハンドルホルダーの受け溝に枢支され,ハンドルが回動可能な構成になっており,ハンドルを展開する場合においても,ハンドルを取り外すものではないこと,ハンドルは弾性ロープで連接される構成となっていないこと,ハンドルを折り畳む場合には,上部押圧板の前端の締付素子を緩めて上部押圧板を一度外して,ハンドルを折り畳んだ後,上部押圧板を元に戻す動作を必要としていること,折り畳んだハンドルは,上部押圧板が受け溝上に覆う時にできた収納空間及び受け溝を締付けるときの緊迫力により,相当程度拘束される構成されており,収納用引掛リングの有無にかかわらず,少なくとも,ハンドルが揺れて衝突し,ハンドルが破損するおそれはないことが認められる。
加えて,本訴甲6(審判甲5)には「取り外し式ハンドルが垂れた状態で置かれるため,揺れて衝突し,破損することを防止するとの技術課題」は記載されておらず,その示唆もないことをも考慮すれば,引用考案(甲3)に前記折畳式ハンドルの上記構成を適用して,相違点1に係る本件考案の構成のうち,弾性ロープによって連接された左右ハンドルを横管内部の接合孔から取り外すことのできる構成とすることが,当業者(その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者)にとってきわめて容易であったものとは認めがたい。
したがって,原告の前記主張は採用することができない。
(3) 以上のとおり,原告主張の取消事由1は認めることができない。
3 取消事由2(従来技術の公知性の判断の誤り)の有無 原告は,本訴甲15(本件実用新案登録出願前に作成されたチラシ)に記載された「ローラースルー」と表示された商品は,本訴甲10(別件訴訟の訴状)において被告が1999年4月ころから製造輸出していたと主張する商品名「RAZOR」と同一商品であり,「RAZOR」すなわち「ローラースルー」は,本件考案の構成のうち,「ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有する」もの以外のその余の構成をすべて備えるものであって,本件実用新案登録出願前にこれが従来技術として公然と知られていたから,本件審決が,「前記「RAZOR」又は「JDRAZOR」という遊技・スポーツ用具,或いは「実用新案権に係るハンドルホルダー14が取り付けられていないキックスケーター」なるものが,いかなる構成を備えるものであるのか,及びこれらと前記従来技術とされる技術事項との関連についても何等明らかでない。」(12頁10行〜14行)として,本件考案の構成のうち,「ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有する」もの以外のその余の構成が公知であったことを否定した判断は誤りであり,前記2(1)と同様の理由により,本件考案の定位体の構成は,当業者にとってきわめて容易に想到できた旨主張する。
しかしながら,本訴甲15に「ローラースルー」として記載された商品の写真からは,その内部構造は明らかではなく,そもそもハンドルが取り外し可能なのかどうかも不明であり,「ローラースルー」が本件考案の構成のうち,「ハンドルの接合管を係止するための,左右に夫々半円弧形のハンドルホルダーを有する」もの以外のその余の構成をすべて備えているものとは到底認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって,本件審決の上記認定判断に誤りはなく,その余の点について判断するまでもなく,原告主張の取消事由2は理由がない。
4 取消事由3(相違点2の認定判断の誤り)の有無 原告は,相違点2に係る本件考案の快速取り外し装置は,同装置の本来の機能を発揮させワンタッチで取り外しを可能にする目的をもって用いられているにすぎず,本件考案の用い方自体に特に考案の成立する余地はなく,また,相違点2に係る本件考案の「縦管には,横管まで延びた導入溝が形成され,上記ハンドル支え棒上段の導入溝に対応する突起部を有」するとの構成の技術的意味は,がたつきを生じさせないためのものであるが,「溝と突起」の構造とすることは,本訴甲7ないし9(審判甲6ないし8)に記載されているように,技術分野を超えてスライド可能な部材をがたつきを生じさせないようにするための周知・慣用技術にすぎないし,このような突起を快速取り外し装置自体に設けることについても技術的意味はなく,この点に考案の成立する余地はないから,相違点2に係る本件考案の構成は,本訴甲4(審判甲3)及び本訴甲7ないし9(審判甲6ないし8)から当業者がきわめて容易に想到できたものである旨主張する。
しかしながら,本訴甲4(審判甲3)記載の請求項1及び2は,自転車に用いるクイックリリースクランプ(快速取り外し装置)の位置決め構造に係る考案であるが,同甲4には,クイックリリースクランプを自転車のどの部位に用いるか,その作用・効果について明記されておらず,がたつきを防止する記載ないし示唆もないのであるから,仮に原告が主張するように「がたつきを生じさせない」ために「溝と突起」の構造とすることは周知・慣用技術(本訴甲7ないし9)であるとしても,上記考案に上記周知・慣用技術を適用して,相違点2に係る本件考案の「縦管には,横管まで延びた導入溝が形成され,上記ハンドル支え棒上段の導入溝に対応する突起部を有し,位置調節が可能な快速取り外し装置が設けられ」との構成を得ることが当業者にとってきわめて容易であったものとは認められない。
したがって,原告主張の取消事由3も理由がない。
5 結論 以上によれば,原告の本訴請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 大鷹一郎
裁判官 長谷川浩二
  • この表をプリントする