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関連ワード 技術的範囲 /  間接侵害 /  考案 /  構造 /  物品 /  補正 /  新規性(3条1項) /  特定 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 14年 (ネ) 1053号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 黒沢建設株式会社
訴訟代理人弁護士 及川昭二
補佐人弁理士 石井良和
被控訴人 住友電気工業株式会社
訴訟代理人弁護士 花岡巖
同 唐澤貴夫
同 飯塚暁夫
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2002/09/30
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 控訴人 (1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人は、控訴人に対し、1599万6900円及び内金559万2000円に対する平成12年11月14日から、内金1040万4900円に対する平成13年6月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用は、第1、2審を通じ、被控訴人の負担とする。
(4) (2)につき仮執行宣言 2 被控訴人 主文と同旨
事案の概要
1 控訴人は、名称を「PCストランドの端部定着構造」とする考案の実用新案権者であり、被控訴人は、雄コーンであるノコバウエッジを製造、販売している。
本件は、被控訴人の上記製品(以下「被控訴人製品」という。)が本件考案技術的範囲に属し、その製造、販売が上記実用新案権(以下「本件実用新案権」という。)を侵害するとして、控訴人が、被控訴人に対し、不法行為による損害賠償を求めている。
原審は、被控訴人製品が本件考案技術的範囲に属さず、その製造、販売が本件実用新案権を侵害しないとして、控訴人の請求を棄却した。
本件の当事者間に争いのない事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、
次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する。
2 原判決の補正 (1) 原判決3頁2行目の「本件考案」の次に「の実用新案登録請求の範囲」を加える。
(2) 同頁23行目、同5頁3行目、同頁20行目、同6頁8行目、同7頁11行目及び同8頁9行目の「被告製品」の次に、いずれも「を使用したPCストランドの端部定着構造」を加える。
(3) 同4頁9行目の「雄コーン」の次に「である被控訴人製品」を加え、14行目の「を定着するためのノコバウエッジ」を「定着構造」に改める。
(4) 同7頁9行目の次に、以下のとおり付加する。
「通常の定着加重に相当する押圧力では、雄コーンの突起によってPCストランドの樹脂被覆部に残された突起の跡は、ずれることなく直線的な状態であり、雄コーンの分割体の間に、幅約1mm程度の筋状の盛り上がりは形成されない。
また、硬化したエポキシ樹脂は、拘束硬化により鋼板さえもへこませることのできる硬度を有するから、エポキシ樹脂であっても、PCストランドの表面のめくり上げを押さえることができる。」 (5) 同8頁9行目の次に以下の項を付加し、10行目の「(3)」を「(4)」に改める。
「(3) 被控訴人製品が雄コーンであることについて (被控訴人の主張) 本件考案は、種々の構成要件によって特定されたPCストランド・コンクリートに設けた支圧板、雌コーン及び特定の楔状複数割雄コーンによって構成される、特定態様の定着構造であって、雄コーンである被控訴人製品のみによりこのような定着構造を構成することはできないから、被控訴人製品は本件考案技術的範囲に属しない。
(控訴人の主張) 控訴人は、被控訴人が、本件第1回弁論準備手続期日において、被控訴人製品はアンカーの定着にしか使用しないものであると認識していると述べたからこそ、間接侵害については主張しないと陳述したものであるが、被控訴人が、控訴人の直接侵害の主張は失当であると主張するのであれば、控訴人は、間接侵害の主張を留保する。」
当裁判所の判断
1 被控訴人製品がPCストランドの端部を定着するために使用する楔状の雄コーンであるノコバウエッジであることは、当事者間に争いがない。そうすると、被控訴人製品の構造が本件考案に係る実用新案登録請求の範囲に記載された構成要件C(以下、単に「構成要件C」などという。)の「雄コーン」に該当するかどうかはさておいても、被控訴人製品の構造が構成要件Bの「支圧板」、構成要件B、Cの「雌コーン」等の構成要件を具備しないことは明らかであって、被控訴人製品がこれらの構成要件を具備することをうかがわせる証拠はない。
したがって、被控訴人製品自体が本件考案技術的範囲に属するとはいえない以上、その余の点について判断するまでもなく、被控訴人による被控訴人製品の製造、販売行為は控訴人の本件実用新案権を侵害するものではないから、控訴人の請求は理由がない。
2 なお、控訴人は、被控訴人が控訴人の直接侵害の主張は失当であると主張するのであれば、間接侵害の主張を留保すると主張するので、この点について判断する。
(1) 記録に照らすと、本件訴訟の経緯は、以下のとおりである。
ア 控訴人は、訴状において、イ号物件を、「被控訴人製品」すなわち「PCストランドの端部を定着するために使用する楔状の雄コーンであるノコバウエッジ(商品名・AFLO-OC-NOK)」と表記する一方で、「被控訴人製品を使用したPCストランドの端部定着構造」の趣旨でも用いているところ、被控訴人の答弁書において、このような用語の混同は理解に苦しむところである旨の指摘を受けながら、原審口頭弁論期日及び本件第1回口頭弁論期日においては、上記混同を解消しないまま、被控訴人製品ないし被控訴人製品を使用したPCストランドの端部定着構造が本件考案技術的範囲に属することを主張し、被控訴人製品が本件実用新案権に係る物品の製造にのみ使用する物に当たるとの、いわゆる間接侵害(実用新案法28条)の主張はしなかった。
イ 控訴人は、本件第1回弁論準備手続期日において、「本件請求は、被控訴人製品自体が本件考案技術的範囲に属することに基づくものであり、いわゆる間接侵害の主張はしない」と陳述し、受命裁判官は、弁論準備手続を終結した。
ウ 被控訴人は、弁論準備手続終結後の本件第2回口頭弁論期日において、
雄コーンである被控訴人製品のみにより、PCストランド・コンクリートに設けた支圧板、雌コーン及び特定の楔状複数割雄コーンによって構成される本件考案に係るPCストランドの端部定着構造を構成することはできないと主張した。
エ 控訴人は、同口頭弁論期日において、「控訴人は、被控訴人が、本件第1回弁論準備手続期日において、被控訴人製品はアンカーの定着にしか使用しないものであると認識していると述べたからこそ、間接侵害については主張しない旨陳述したものであるが、被控訴人が、控訴人の直接侵害の主張は失当であると主張するのであれば、控訴人は、間接侵害の主張を留保する」と主張したが、被控訴人製品が本件実用新案権に係る物品の製造にのみ使用する物に当たること、すなわち、
被控訴人製品が、本件考案に係る、表面に樹脂被覆層を有するPCストランドの端部定着構造以外に他に用途がないことなど、間接侵害を基礎づける具体的主張をせず、その立証方法も提出しなかった。
オ 当裁判所は、同口頭弁論期日において、口頭弁論を終結した。
(2) このような本件訴訟の経緯に照らすと、控訴人は、当裁判所が口頭弁論を終結した本件第2回口頭弁論期日において、単に「間接侵害の主張を留保する」と主張したにとどまり、原審及び当審の審理を通じ、間接侵害を基礎付ける具体的主張を何らしていないのであるから、控訴人が留保し得る間接侵害の主張はなく、控訴人の「間接侵害の主張を留保する」との上記主張は、訴訟上意味のないものというほかはない。したがって、本件において、実用新案法28条所定の間接侵害の成否につき判断する限りではない。
なお、控訴人は、上記のとおり、被控訴人が、本件第1回弁論準備手続期日において、被控訴人製品はアンカーの定着にしか使用しないものであると認識していると述べたからこそ、間接侵害については主張しない旨陳述したと主張する。
しかしながら、被控訴人の上記陳述は、本件第1回弁論準備手続期日調書に記載がないので、この陳述がされたことの立証はない上、仮に、控訴人が間接侵害の主張をする意思を有し、被控訴人が上記のとおり陳述したのであれば、控訴人は、被控訴人の上記陳述を受けて、間接侵害の主張をし、又はその主張を準備する旨の陳述をするはずである。ところが、控訴人は、被控訴人の上記陳述がされたにもかかわらず、「いわゆる間接侵害の主張はしない」との陳述をしたのであるから、結局、
控訴人が間接侵害の主張をする意思を有しなかったことに変わりはない。また、被控訴人が単に「被控訴人製品はアンカーの定着にしか使用しない」との陳述をしただけでは、実用新案登録請求の範囲に記載された特定かつ複数の構成を要件とする本件考案について、被控訴人製品が本件実用新案権に係る物品の製造にのみ使用する物に当たるとの不利益陳述をしたということもできないから、控訴人がこの陳述を援用したところで、間接侵害についての自白が成立するものでもない。
(3) 付言するに、たとえ、当裁判所が本件第2回口頭弁論期日において口頭弁論を続行し、その後の口頭弁論期日において控訴人が間接侵害を基礎付ける具体的主張をしたとしても、控訴人は、原審及び当審を通じ、間接侵害の主張を一切しなかったばかりか、かえって、本件弁論準備手続期日において、「いわゆる間接侵害の主張はしない」と陳述したにもかかわらず、その後の本件第2回口頭弁論期日において、単に「間接侵害の主張を留保する」と主張し、間接侵害を基礎付ける具体的な主張立証をしなかったものであるから、このような原審以来の本件訴訟の経緯に照らすと、控訴人の間接侵害の主張は、時機に後れた攻撃方法(民事訴訟法157条1項)として却下を免れないか、又は著しく訴訟手続を遅滞させることとなる訴えの変更(同法143条1項)としてその変更が許されないことは明らかである。
3 以上のとおりであるから、控訴人の請求を棄却した原判決の結論は相当であって、控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき、民事訴訟法67条1項本文、61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 岡本岳
裁判官 長沢幸男
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