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関連ワード 実施許諾 /  相当な対価 /  実施料相当額 /  考案 /  考案者 /  構造 /  実施許諾(実施の許諾) /  通常実施権 /  請求項 /  転用 /  特定 /  請求の範囲 /  利益額 / 
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事件 平成 13年 (ワ) 20929号 実用新案権報酬金請求事件
原告A
同訴訟代理人弁護士 石川隆
被告 中央建鉄株式会社
同訴訟代理人弁護士 矢田次男
同 黒岩俊之
同 野村裕
同 村上 嘉奈子
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2003/11/26
権利種別 実用新案権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,原告に対し,金120万円及びこれに対する平成13年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを10分して,その9を原告の,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
被告は,原告に対し,金4298万7581円及びこれに対する平成13年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は,原告が被告の従業員として職務考案をし,被告が出願した別紙実用新案権目録記載の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい,同実用新案権に係る考案を「本件考案」という。)について,原告が被告に対して,実用新案法11条3項が準用する特許法35条3項の規定に基づき,本件考案についての実用新案登録を受ける権利の譲渡等の対価の支払を求めている事案である。
1 前提となる事実(証拠等は各項の末尾に付した。) (1) 当事者 被告は,建設工事に伴う近隣の土地又は建物等への被害状況の調査及びこれらの被害の補償についてのコンサルタント等を業とする株式会社である。
原告は,昭和55年10月に被告に入社し,技術部に属して,現場調査,建物調査,事前調査,事後調査,被害調査等の業務を担当した後,平成2年には,取締役に就任し,平成8年には,被告の中央研究所の所長に就任し,現在も被告の従業員である。また,原告は,平成6年6月1日から平成8年5月31日までの間,被告の関連会社である有限会社中建エンジニアリングの代表取締役を務めていた。(争いのない事実,乙24) (2) 被害予測システム(後記CADAP)の開発 原告は,平成3年ころ,建設工事に伴う周辺の土地又は建物への影響及び予想される被害状況等の解析調査の精度を高めるため,過去の工事における被害状況等を解析して数値化し,コンピューターを利用して建設工事による周辺の土地又は建物等への影響を予測するシステム(Computer Aided DAmage Prediction,頭文字をとってCADAP(キャダップ)と称した。以下「CADAP」という場合がある。)の開発を始め,平成8年ころ実用化に成功したが,その後もその精度を高めるための改良を加えている。
CADAPは,以下の4つのステップから構成されている。
ア 被害発生源を予測するステップ(第1のステップ) 学術研究,論文,研究成果,経験則に基づき,被害発生の原因となる可能性のある各種条件を分類列挙し,その中から,現場の工事内容に該当する各種条件を個々的に選択して,被害要因であるかどうかを選定するステップである。
イ 影響度を予測するステップ(第2のステップ) 土質,工法に応じた各種条件を入力する入力手段,その入力により土質の層毎の工事の影響範囲を解析する解析手段,その解析手段の結果に基づき工事の影響範囲を表示する表示手段からなる装置で,同装置には,入力されたパラメータを記憶する入力データ記憶手段と解析手段の解析結果を記憶する解析結果記憶手段を具備し,両手段の内容は互いに関連して記憶され,データベース化される。工事現場の条件をコンピュータの指示に従って,メニューから選択して入力することにより,影響度の範囲を表示された画面で,専門的知識がなくとも,簡便に予測することができる。
ウ 建物被害を予測するステップ(第3のステップ) 振動被害と沈下被害とを区別して,建物の構造,用途,仕上げ及び経過年数等の諸条件の入力手段,工事の地盤に与える影響範囲の解析結果に基づき,その建物の被害を解析する解析手段,その解析手段の結果に基づく建物被害を表示する表示手段からなる建物被害の予測をするステップである。入力された諸条件を記憶する入力データ記憶手段と建物被害の解析結果を記憶する解析結果記憶手段とを具備し,両手段の内容は互いに関連して記憶され,データベース化されている。
このステップにより,沈下被害について,沈下により建物内に生ずる傾斜量と基礎の変形量との関係が明らかになり,被害内容が基礎の損傷と相関し,建物の様式,経過年数,浴室の位置及び面積などによって主要部における被害の発生を具体的に予測することが可能となった。また,振動被害については,阪神淡路大震災の時の被害調査をもとに軽微な振動レベルの範囲に限定することで建築工事と同程度の影響とみなし,振動被害に転用することができることに着眼し,振動量と被害程度の標準化により,建物の固有周期と屋根や経過年数などの建物使用との相関性,振動量と建物変位量と被害程度についての相関性を明らかにし,建物被害を具体的に予測可能とした。
エ 補償額を算定するステップ(第4のステップ) 建物構造,用途,延べ面積,経過年数に応じたパラメータの入力手段,その入力による上記の建物被害額算定の解析手段,その解析手段による解析結果に基づいた建物被害額算定の解析手段,その解析手段の結果に基づく被害額算定を表示する表示手段からなる被害額を予測するステップである。入力されたパラメータを記憶する入力データ記憶手段と被害額算定の解析結果を記憶する解析結果記憶手段とを具備し,両手段の内容は互いに関連して記憶され,データベース化されている。
建物の沈下修正か否かで補償額に大きく左右することに着眼し,木造住宅の沈下修正を要する限度値を既存の研究や独自の分析から設定し,判定基準と判定技法を工夫し,また,補償額を左右する項目を分析して明確化し,これらについてタイプ別に基準面積当たりの予想補償額単価の標準化を図った。
(3) 本件考案 本件考案は,土木工事等を行う前にその工事が周囲に与える影響を事前に解析する影響解析装置,すなわち,第2のステップに関する考案である。
原告は,平成10年6月,本件考案をした。本件考案の実用新案登録請求の範囲の記載は,別紙実用新案権目録該当欄のとおりである。同考案を実施したシステムをCADAP.JR(キャダップ・ジュニア)と称している。以下「CADAP.JR」という場合がある。)。従来,大規模な工事では,工事が周辺に与える影響を事前に解析するため,FEM(有限要素法)の解析方法を用いて周辺地盤の沈下量の予測を行い,工事の影響範囲の算定を行うのが一般的であったが,従来の解析方法で影響範囲を予測するには,高度の専門的知識を必要とし,また多大な費用と日数とを要するという問題点があった。また,小規模な工事では,工事内容や土質条件等によって合理的な検討がされているわけではなく,経験則に基づいて工事現場から掘削深さと同程度の距離を隔てた範囲を工事の影響が及ぶ範囲と見込んでいたことから,予測していなかった被害が発生し,その対応に苦慮するという問題もあった。本件考案は,これらの問題を解決し,土質に関するパラメータを当該土質の層毎に入力する入力手段とその入力手段から入力されたパラメータに基づいて前記層毎に工事の影響範囲を解析する解析手段とその解析結果に基づいて,工事の影響範囲を表示する表示手段を具備することなどを特徴とし,土木工事が周囲に与える影響の範囲を合理的な方法によって専門的な知識を必要とせず,簡便かつ迅速に,しかも低コストで解析することができる影響解析装置を提供するものである旨が考案の詳細な説明に記載されている。
本件考案は,被告の業務範囲に属し,かつ,原告の職務に属するものである。(争いがない事実,甲1,2,乙1) (4) 実用新案登録を受ける権利の譲渡 原告は,平成10年9月16日ころまでに,本件考案について,実用新案登録を受ける権利を被告に譲渡した(争いがない)。
(5) 本件考案の実施 被告は,平成10年から平成12年までの間に,本件考案に係るCADAP.JRを含むCADAPを利用して建設工事に伴う土地又は建物等の被害状況の予測調査を行うとともに,本件考案の実施として,本件考案の実施品である装置を製造し,これを使用して建設工事に伴う土地又は建物等の被害状況の予測調査業務を行った(争いがない)。
争点及びこれに関する当事者の主張
(原告の主張) (1) 相当な対価の算定方法について 使用者は,職務考案については,実用新案法11条3項が準用する特許法35条1項の規定に基づき,従業員から譲渡を受けると否とにかかわらず,当然に通常実施権を有している。そこで,本件考案の譲渡に係る相当な対価は,本件考案を独占的に使用することによって受ける被告の利益相当分を基礎として,これに原告の貢献度の割合を乗じることにより算定すべきである。 本件において,被告は,本件考案を自ら実施しているのみであり,第三者に実施権を付与しているわけではない。
そうすると,本件考案の譲渡に係る相当な対価は,@第三者に使用許諾することにより得られる仮定の実施料相当分,及び,A原告が独占権である本件考案を実施することによって得る利益増加分の合計額を基礎として,その額に原告の本件考案における貢献度の割合を乗じて,算定すべきである。
(2) 相当な対価の額 被告は,被害状況の調査業務をするに当たり,CADAP.JRを単独で使用するのではなく,CADAP全体を使用しており,その振り分けは必ずしも明確に峻別できない。しかし,第1,第3及び第4のステップに関する部分も原告が発案したものであり,CADAPを使用した調査業務全体により得た利益額に寄与しているから,本件考案に係る相当な対価を算定するに当たっては,CADAP.JRのみならず,CADAP全体を考慮すべきである。
ア CADAPによる売上額等 (ア) CADAPを使用した調査業務による売上額 被告のCADAPを使用した調査業務による売上額は,平成10年度が2301万9000円,平成11年度が2405万2000円,平成12年度が4631万4000円であり,これらの3年間の売上額の平均額は,3112万8333円である。
CADAPは,被害の内容及びその補償額の予測をするものであって,被害調査の前提として必要不可欠であるから,被告が第三者に独占的に使用させるならば,当該第三者は,上記金額と同額の売上額を見込むことができる。
(イ) 本件考案の寄与による売上額の増大 被告は,本件考案の存在及び使用により,同業他社と差別化して,顧客を獲得することができ,営業上多大の利益を得ている。本件考案は,営業を有利に展開することができるという面で,被告の収益の増加に寄与している。
被告の総売上額は,平成10年度が24億7200万円,平成11年度が24億3400万円,平成12年度が25億1200万円であり,これらの3年度の総売上額の平均額24億7267万円からCADAPを使用した調査業務の売上額の平均額である3112万8333円を控除すると24億4154万1667円となる。
そうすると,本件考案が,被告の総売上額に寄与した割合を5パーセントとし,仮に,第三者が本件考案を独占的に使用したときの売上額の増大への寄与分を被告の売上額の増大への寄与分の3分の1とすると,本件考案を第三者に使用させた場合における売上額の増大への寄与分は,4069万円となる。
イ 実施料率 本件考案は,コンピューターのソフトウェアを主要な要素とするものであるから,その実施料率は,発明協会発行の実施料率第4版の電子計算機,その他の電子応用装置の項を参照すると12・47パーセントとするのが相当である。
ウ 原告の貢献割合 本件考案は,建築工事に伴う近隣の土地又は建物への被害を予測するシステムに係るものであって,専ら原告の能力と思考によって考案された。原告は,日本建築学会等に多くの論文を発表し,地盤変動,振動の被害については,専門的知識と能力を有していたことからも明らかなように,本件考案の完成には,原告個人の努力と能力が,貢献したものであって,本件考案についての原告の貢献度は80パーセントを超えるということができる。
(3) 結論 以上によれば,相当の対価の額は,実用新案権の存続期間である6年分を基礎とすると,合計4298万7581円となる。
(31,128,333+40,690,000)×6×0.1247×0.8=42,987,581 (被告の反論) (1) 原告主張に係る相当の対価の額については争う。
(2) 相当の対価の額の算定に当たっては,次の点を考慮すべきである。
ア CADAPによる売上額等 (ア) CADAPによる売上額 原告の主張する額は,CADAP全体を使用することによる売上額であって,本件考案を使用することによる売上額ではない。本件考案の寄与度を最大限考慮しても,本件考案を使用することによる売上額は,CADAP全体の売上額の3分の1を超えることはない。
(イ) CADAPの寄与による売上額の増大 被告の営業において,本件考案を使用するのではなく,単に,販売促進のためのツールとして利用した経緯はある。しかし,本件考案を販売促進のためのツールとして利用したことと売上額増大との間には因果関係はない。
イ 実施料率 本件考案の貢献度を最大限考慮しても,実施料率は,本件考案を実施することによる売上額の3パーセントを上回るものではない。
ウ 原告の貢献 本件考案については,被告が相当の研究費及び人件費を支出していることから,被告の寄与度は50パーセントを下回ることはない。また,研究所における他の研究員の貢献も評価する必要がある。被告は,原告の本件考案等の貢献に配慮し,原告を取締役の地位に就けるなど,相応の待遇をしている点も考慮すべきである。このような観点を総合すると,本件考案についての原告の貢献度は30パーセントを上回ることはない。
争点に対する判断
1 相当な対価の額について 本件考案の譲渡に係る相当な対価の額について判断する。
(1) 職務考案に係る実用新案登録を受ける権利が承継された場合に「相当の対価」の額は,その考案により使用者等が受けるべき利益の額及びその考案がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めるべきとされているところ(実用新案法11条3項,特許法35条4項),使用者は,職務考案について無償の通常実施権を有する(実用新案法11条3項,特許法35条1項)から,特許法35条4項の「使用者等が受けるべき利益の額」とは,考案を単に実施することによって使用者が受ける利益の額と解すべきではなく,実用新案登録を受ける権利を承継して,当該考案を独占的に実施する権利を有することによって受けるべき利益の額(増加額)と解するのが相当である。そして,本件のように,被告が,本件考案を自ら実施するのみで,第三者に実施の許諾をしていない事案においては,考案を独占的に実施する権利を有することによって受ける利益の額は,被告が第三者に対し,本件考案の実施を許諾したと仮定した場合に得ることができる実施料相当額を基準として算定するのが相当である。
(2) そこで,被告が第三者に対し本件考案の実施を許諾したと仮定した場合に得ることができる実施料相当額について検討する。
ア 本件考案の実施による被告の売上額 証拠(甲20,乙4,5,7ないし12,14,15,18,19)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,これに反する証拠はない。
(ア) 被告は,平成10年から平成12年までの間に,以下のとおり,CADAPのシステムを活用して建設工事に伴う土地又は建物等の被害状況の予測調査の業務(以下,順次「平成10年度調査業務@」「平成10年度調査業務A」などという。)を受注した(なお,被告が,以下のとおり,被害状況の予測調査業務を受注したことについては,当事者間において争いがない。調査業務の中には,委託者等を特定することができないものもあるが,調査業務の売上額の認定を左右するものではない。)。
a 平成10年度 @ 件 名 小浮気地区(桜井邸)家屋調査及び解析業務 委託者 首都高速道路公団,吉田組 金 額 930万円 A 件 名 JR宇野線大元駅付近連続立体交差事業仮線設置に伴う列車振動の予測検討業務 委託者 岡山県 金 額 285万円 B 件 名 深川地区下水道建物等調査業務のうちの因果関係の解析業務 委託者 広島市 金 額 94万円 C 件 名 三重県立高茶屋病院整備に伴う近隣家屋調査等委託業務 委託者 三重県 金 額 170万円 D 件 名 間々田第2処理分区新設工事第2工区に伴う山留鋼矢板引抜による周辺地盤沈下検討業務 委託者 株式会社斎藤組 金 額 20万円 E 件 名 「綾瀬川放水路工事」の施工に起因して生じた建物等の損害の因果関係検討業務 委託者 国 金 額 100万円 F 件 名 福岡市高速鉄道3号線別府工区建設工事に伴う周辺への影響解析業務 委託者 株式会社奥村組 金 額 30万円 G 件 名 草津川放水路伯母川工損調査業務 委託者 国 金 額 70万円 H 件 名 北部排水区(第38工区)工事に伴う振動影響予測業務 委託者 大東市 金 額 40万円 I 件 名 新川地下駐車場整備工事に伴う周辺建物への影響予測検討業務 委託者 株式会社錢高組 金 額 100万円 b 平成11年度 @ 件 名 (仮称)神保町マンション新築工事に伴う周辺建物への影響予測検討業務 委託者 村本建設株式会社 金 額 20万円 A 件 名 平成10年函館江差自動車道上磯町新久根別橋工事の建物等の損害の因果関係検討 金 額 35万円 B 件 名 グランドステージ中野新築工事に伴う中間調査業務 金 額 10万円 C 件 名 御前山ダム建設工事原石山周辺建物等影響調査業務 委託者 国 金 額 380万円 D 件 名 (仮称)弦巻2丁目住宅地開発工事に伴う事後調査結果被害判定に関する検討業務 委託者 株式会社奥村組 金 額 120万円 E 件 名 事業損失マニュアル作成業務 委託者 国 金 額 50万円 F 件 名 道路建設による周辺建物への沈下及び振動被害の因果関係検討業務 委託者 国 金 額 500万円 G 件 名 室蘭工水配水管敷設室蘭幹線幌別地区7工区工事に伴う周辺建物への影響予測検討業務 金 額 10万円 H 件 名 埼玉・戸塚T他工事に伴う振動影響予測業務 金 額 39万5000円 I 件 名 北部幹線水路(大津工区その1)工事に係る近接家屋影響評価業務 委託者 国 金 額 450万円 J 件 名 北部排水区(第38工区)工事に伴う振動影響予測業務 金 額 20万円 K 件 名 藤田用排水機上建設工事用道路による周辺への影響検討業務 委託者 国 金 額 35万9000円 L 件 名 日新技研叶V工場振動抑止対策検討業務 金 額 15万円 M 件 名 戸田川改良工事に伴う地質調査及び検討委託業務 委託者 名古屋市 金 額 90万円 N 件 名 大島川西支川護岸建設工事(その6)に伴う周辺建物等の影響範囲検討業務 委託者 株式会社錢高組 金 額 30万円 c 平成12年度 @ 件 名 福知山ダム建設工事による周辺建物被害に関する検討業務 金 額 10万円 A 件 名 保木地区情報BOX設置工事による周辺建物被害検討業務 金 額 10万円 B 件 名 大京観光朝霞台ライオンズマンション建築工事に伴う解体振動の影響検討業務 委託者 大京観光 金 額 20万円 C 件 名 橋本道路地下水影響検討業務(追加工事を除く。) 委託者 国 金 額 2200万円 D 件 名 埼北幹線Uその1栄〜小室1工区周辺建物等への影響評価検討 委託者 日本鋼管工事 金 額 620万円 E 件 名 春日・和歌山道路建設工事(朝日地区)の施工に伴う水枯渇等の影響に関する因果関係検討業務 委託者 国 金 額 50万円 F 件 名 八潮排水機場増設工事及び関連工事の施工に起因して生じた建物等の損害の因果関係検討業務 委託者 国 金 額 180万円 G 件 名 道路建設工事に伴う周辺建物への影響検討業務 委託者 竹田測量 金 額 20万円 H 件 名 藤代駅南口土地区画整理事業工事に伴う周辺への影響解析検討業務 委託者 藤代町 金 額 571万4000円 I 件 名 大和郡山市山本様・福井様宅現況調査検討業務 金 額 20万円 J 件 名 五月丘団地解体工事に伴う工事振動による周辺建物への影響検討業務 委託者 都市整備公団 金 額 30万円 K 件 名 田島立体工事及び関連工事に関わる事業損失因果関係検討業務 委託者 国 金 額 100万円 L 件 名 川内地区下水道築造工事11-1号工事に伴う影響範囲の検討業務 委託者 阿佐南市 金 額 100万円 d 以上の合計額 7575万8000円 (イ) 前記(ア)の調査業務の中の平成10年度調査業務B,同D及び同Hについては,CADAP.JRを使用した調査業務であるといえるから,これらの調査業務の売上額154万円については,本件考案を実施したことによる売上額であると認めることができる。
これに対し,前記(ア)の調査業務のうち,前記平成10年度調査業務B,同D及び同Hの調査業務を除いたその余の調査業務については,CADAP.JRを使用した調査業務だけではなく,CADAP全体を使用した調査業務やその他の業務(建物の現況調査等)を含んでいるということができ,その合計額は7421万8000円である。そこで,これらの調査業務の売上額のうち,CADAP.JRを使用した調査業務による売上額部分を算定する。被告の業務態様,CADAPシステムの内容,上記の各調査業務の受注内容など一切の事情を考慮すると,被告の受注した調査業務全体に対するCADAP.JRを使用した調査業務部分の割合は,30パーセントと認定するのが相当である。そうすると,上記調査業務の売上額7421万8000円に0.3を乗じた2226万5400円をもって本件考案を実施したことによる売上額であると認めるのが相当である。
(ウ) 以上によれば,平成10年から平成12年までの3年間に本件考案を実施したことによる売上額は,2380万5400円となるから,これを1年当たりに換算すれば,平均793万5133円(円未満切り捨て)となる。
なお,原告は,被告は,同業者との間の競争において,本件考案の存在,使用が,他業者との差別化を図り,顧客獲得に威力を発揮し,営業上の利益を得たので,被告の収益全体のうちの一定割合についても,本件考案による寄与分として考慮すべきである旨主張し,証拠(甲13,22)によれば,被告が,本件考案を有していること等を営業活動に利用したことがうかがわれる。しかし,「使用者等が受けるべき利益の額」の算定に当たり,本件考案を調査業務の受注活動で利用したことによる営業面での利益を考慮するのは,妥当とはいえないので,この点の原告の主張は採用できない。
イ 実施料額 (ア) 第三者が実施した場合の売上額 本件考案は,被告が自ら実施しているのみであって,第三者に対して実施許諾をしているわけではない。第三者が本件考案を使用したと仮定した場合に見込まれる売上額については,被告が現実に使用した実績を除いて,他に参考とすべき適切な証拠は存在しない。弁論の全趣旨によれば,被告が調査業務を受注するに当たって,特異な営業活動をしていたとの事実を認めることはできないので,第三者が本件考案を実施したと仮定した場合の売上額は,被告が本件考案を使用した売上額とほぼ同額であると推定することができる。以上の観点を考慮すれば,第三者が実施した場合の仮定的な売上額を800万円と認定するのが相当である。
(イ) 実施料率 本件考案を第三者に実施許諾したと仮定した場合の実施料率を検討する。CADAPシステムの内容,本件考案の内容,CADAP.JRの被害予測システム全体との密接な関係や位置づけ等一切の事情を考慮すると,実施料率は,本件考案を使用した業務による売上額に対する5パーセント(CADAPを使用した調査業務による売上額に対するおおむね1.5パーセント)と認めるのが相当である。
ウ 被告の貢献度 前提となる事実及び証拠(甲20ないし22,乙24ないし26)によれば,@原告は,昭和55年に被告に入社して以来,一貫して,建設工事に伴う土地又は建物の被害状況に関連した調査,技術開発の業務を担当してきたこと,A原告は,平成8年3月ころ,被害状況等の解析の精度を大幅に高めるための被害予測システム(CADAP)全体の実用化を成功させたこと,B原告は,CADAPを基礎として,コンピューターによる解析装置の開発を続け,入力条件,表示の図案等を発案して,本件考案を行ったこと,C本件考案は,CADAPのステップの一つに係るものではあるが,CADAP全体についても原告が開発していること,他方,D原告は,平成8年以降,被告の中央技術研究所の所長に就任したが,被告の研究設備及び被告の従業員の協力を得て,本件考案を開発した側面もあること,Eコンピュータープログラムの諸費用を負担したのは被告であること等の事実が認められる。これらの諸事情を総合考慮すると,本件考案についての被告の貢献度は,50パーセントとするのが相当である。なお,被告は,原告を被告の取締役に就任させたことなど原告が本件考案を行ったことに対して相応の対価を支払った旨主張する。しかし,原告は,本件考案を行う前である平成6年から被告の取締役に就任していた事実に照らして,被告の同主張をそのまま採用することはできない。
エ まとめ したがって,原告が本件考案についての実用新案登録を受ける権利を被告に譲渡した対価の額は,本件考案の実施による前記の売上額800万円に実施料率5パーセントを乗じた額に,さらに,本件実用新案権の存続期間が6年であることから6を乗じた上で,被告の貢献度である50パーセント分を控除した金額である120万円とするのが相当である。
8,000,000×0.05×6×0.5=1,200,000 2 結論 以上によれば,原告の本件請求は,被告に対し,金120万円及びこれに対する平成13年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由がある。
追加
(別紙)実用新案権目録登録番号登録第3057775号登録日平成11年3月10日考案の名称影響解析装置出願日平成10年9月16日実用新案権者被告考案者原告実用新案登録請求の範囲請求項1土質に関するパラメータを,当該土質の層毎に入力する入力手段と,前記入力手段から入力されたパラメータに基づいて前記層毎に工事の影響範囲を表示する表示手段とを具備することを特徴とする影響解析装置。
請求項2前記解析手段は,前記層の土質に応じて異なる解析を行うことを特徴とする請求項1記載の影響解析装置。
請求項3前記解析手段は,前記工事の工法に応じて異なる解析を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の影響解析装置。
請求項4前記入力手段から入力されたパラメータを記憶する入力データ記憶手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の影響解析装置。
請求項5前記解析手段の解析結果を記憶する解析結果記憶手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の影響解析装置。
請求項6前記入力データ記憶手段の内容と前記解析結果記憶手段の内容とは互いに関連して記憶されてデータベース化されていることを特徴とする請求項5記載の影響解析装置。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 榎戸道也
裁判官 武智克典
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