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関連審決 無効2000-40006
関連ワード 考案 /  図面 /  構造 /  設定登録 /  進歩性(3条2項) /  一致点の認定 /  新規性(3条1項) /  きわめて容易 /  請求項 /  実施例 /  同一の作用効果 /  特定 /  明細書 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 13年 (行ケ) 496号 審決取消請求事件
原告 大湖産業株式会社
訴訟代理人弁理士 楠本高義
被告 株式会社パロマワークス訴訟承継人ユニテックパロマ株式会社
訴訟代理人弁理士 宮崎伊章
同 中川信治
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/08/24
権利種別 実用新案権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 (1) 特許庁が無効2000-40006号事件について平成13年9月21日にした審決を取り消す。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告 主文と同旨
当事者間に争いのない事実等
1 特許庁における手続の経緯等 原告は,考案の名称を「遮蔽用品取り付け器具」とする登録第3054948号の実用新案(平成10年6月15出願(以下「本件出願」という。同出願に係る願書に添付された明細書及び図面を併せて,「本件明細書」という。),平成10年10月7日設定登録。以下「本件登録」という。請求項の数は18である。)の実用新案権者である。
株式会社パロマワークスは,平成12年2月1日,本件登録に対し,その請求項10ないし17を無効にすることについて,審判を請求した。特許庁は,これを無効2000-40006号事件として審理し,その結果,平成13年9月21日,「実用新案登録第3054948号の請求項10ないし請求項17に係る各考案についての実用新案登録を無効とする。」との審決をし,同年10月4日,その謄本を原告に送達した。
原告は,本審決取消訴訟を提起し,その係属中,被告は,株式会社パロマワークスを合併し,本訴訟を承継したものである。
2 実用新案登録請求の範囲(別紙1,2参照) (1) 請求項10 窓枠等に接合固定される固定板,該固定板に対して略直角方向である上板,及び該固定板並びに上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と,該側板に対して近設される近設板,及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
(2) 請求項11 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,及び該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,締結操作により該支持部材を該側板に対して摺動させることが可能であるとともに該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記締結具の締結操作を行って該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
(3) 請求項12 窓枠等に接合固定される固定板,該固定板に対して略直角方向である上板,該固定板並びに上板に対して略直角方向である側板,及び該上板の中央付近から略直角方向に延びる雌螺子から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と,雄螺子形状を成しており下から該支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
(4) 請求項13 窓枠等に接合固定される固定板,該固定板に対して略直角方向である上板,及び該固定板並びに上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と,該側板に対して近設される近設板,及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され,該上板又は/及び該支持板が,1又は2以上の凸部を備えた遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該桟木に設けられた係合溝に係合することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
(5) 請求項14 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,及び該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され,該上板の少なくとも略水平方向両端に,該上板と略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合することを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
(6) 請求項15 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,及び該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と,該側板に対して近設される近設板,及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,該桟木の側面を前記側板に密着させることを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
(7) 請求項16 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板,及び該上板の中央付近から略直角方向に延びて該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することとなる雌螺子から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,雄螺子形状を成しており下から該支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される締結具とから構成され,該上板の少なくとも略水平方向両端に,該上板と略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合するとともに,該桟木の側面を前記側板に密着させることを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。
(8) 請求項17 窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,該固定板並びに上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる2枚の側板,及び該上板の中央付近から略直角方向に延びて該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することとなる雌螺子が一体に形成されて成る固定部材と,該側板に対して摺動可能に係合される2枚の近設板,及び該近設板が両端に略直角方向に固定された支持板が一体に形成されて成る支持部材と,雄螺子形状を成しており下から該支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される締結具とから構成され,該上板の略水平方向両端に,該上板と略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる2個の凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して上下方向に摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記2個の凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合するとともに,該桟木の側面を前記2枚の側板に密着させることを特徴とする遮蔽用品取り付け器具。(以下,順に「本件考案10」,「本件考案11」・・・「本件考案17」という。) 3 審決の理由 審決の理由は,別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本件考案10ないし14は,「公告編號243656[中華民國專利公報](以下「引用例」という。)に記載された考案(審決は,後記のとおり,引用例から,公知考案1ないし8(以下,まとめて「公知考案」ということもある。)を認定し,本件考案10に対応するものとして「公知考案1」を,本件考案11に対応するものとして「公知考案2」を,というように,それぞれ対応させている。)に基づき当業者がきわめて容易考案することができたものであり,本件考案15ないし17は,公知考案及び実願昭54-154785(実開昭56-73488号)のマイクロフィルム(以下「甲5公報」という。)に記載された技術に基づき,当業者がきわめて容易考案することができたものであるから,いずれも実用新案法3条2項により,実用新案登録を受けることができないものであるとして,本件考案10ないし17について,本件登録を無効としたものである。
4 審決が認定した,公知考案1の内容,本件考案10と公知考案1との一致点・相違点 (1) 公知考案1の内容(別紙3参照) 「窓枠等に接合固定される下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向である凹型板,及び該凹型板に対して略直角方向であるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して近設されるスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面に対して略直角方向である位置制御片から成る昇降固定台と,該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具。」(審決書7頁〜8頁) (2) 本件考案10と公知考案1との一致点 「窓枠等に接合固定される固定板,該固定板に対して略直角方向である上板,及び該上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と,該側板に対して近設される近設板,及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(審決書8頁) (3) 本件考案10と公知考案1との相違点 「相違点1 本件(請求項10)に係る考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(1)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。」(審決書8頁) (以下,上記相違点1を「相違点1」という。) 5 審決が認定した,公知考案2の内容,本件考案11と公知考案2との一致点・相違点 (1) 公知考案2の内容 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板,及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と,締結操作により該昇降固定台を該L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることが可能であるとともに該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,前記ねじの締結操作を行って該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(審決書9頁〜10頁) (2) 本件考案11と公知考案2との一致点 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,及び該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,締結操作により該支持部材を該側板に対して摺動させることが可能であるとともに該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記締結具の締結操作を行って該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(審決書10頁) (3) 本件考案11と公知考案2との相違点 「相違点1 本件(請求項11に係る)考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(2)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。」(審決書10頁) 6 審決が認定した,公知考案3の内容,本件考案12と公知考案3との一致点・相違点 (1) 公知考案3の内容 「窓枠等に接合固定される下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向である凹型板,該凹型板に対して略直角方向であるL型ガイド柱摺動面,及び下方に延びる面の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設したねじ孔から成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面に対して略直角方向である位置制御片から成る昇降固定台と,雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔に螺入されるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,前記ねじを捻回させて該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(審決書11頁) (2) 本件考案12と公知考案3との一致点 「窓枠等に接合固定される固定板,該固定板に対して略直角方向である上板,該上板に対して略直角方向である側板,及び雌螺子から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と,雄螺子形状を成しており下から該雌螺子に螺入される締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(審決書11頁〜12頁) (3) 本件考案12と公知考案3との相違点 「相違点1 本件(請求項12に係る)考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(3)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点2 本件請求項12に係る考案においては,雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びるように設けられ,締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し,公知考案3においては,ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され,ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点。」(審決書12頁) (以下,上記相違点2を「相違点2」という。) 7 審決が認定した,公知考案4の内容,本件考案13と公知考案4との一致点・相違点 (1) 公知考案4の内容 「窓枠等に接合固定される下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向である凹型板,及び該凹型板に対して略直角方向であるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して近設されるスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面に対して略直角方向である位置制御片から成る昇降固定台と,該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成され,該凹型板が1の凸部を備えた遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該レールスライダ台を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該単レールスライダ台に設けられた係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書13頁) (2) 本件考案13と公知考案4との一致点 「窓枠等に接合固定される固定板,該固定板に対して略直角方向である上板,及び該上板に対して略直角方向である側板から成る固定部材と,該側板に対して近設される近設板,及び該近設板に対して略直角方向である支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され,上板が1の凸部を備えた遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該桟木に設けられた係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書13頁〜14頁) (3) 本件考案13と公知考案4との相違点 「相違点1 本件(請求項13に係る)考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(4)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点3 本件請求項13に係る考案においては,上板又は/及び支持板が,1又は2以上の凸部を備えているのに対し,公知考案4においては,凹型板(上板)が1の凸部を備えているものの2以上の凸部を備えてなく,又,位置制御片(支持板)が1又は2以上の凸部を備えていない点。」(審決書14頁) (以下,上記相違点3を「相違点3」という。) 8 審決が認定した,公知考案5の内容,本件考案14と公知考案5との一致点・相違点 (1) 公知考案5の内容 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板,及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と,該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成され,該凹型板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該単レールスライダ台の上面に設けられた該単レールスライダ台の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書15頁) (2) 本件考案14と公知考案5との一致点 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,及び該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成され,該上板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書15頁〜16頁) (3) 本件考案14と公知考案5との相違点 「相違点1 本件(請求項14に係る)考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(5)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点4 本件(請求項14に係る)考案においては,上板の少なくとも略水平方向両端に,該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有するのに対し,公知考案(5)においては,凹型板(上板)に凸部を有するものの,そのような構成を有しない点。」(審決書16頁) 9 審決が認定した,公知考案6の内容,本件考案15と公知考案6との一致点・相違点 (1) 公知考案6の内容 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板,及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面から成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して近設されるスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と,該昇降固定台を該位置決め台へ摺動可能に留めるねじとから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(審決書17頁) (2) 本件考案15と公知考案6との一致点 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,及び該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板から成る固定部材と,該側板に対して近設される近設板,及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,該支持部材を該固定部材へ摺動可能に留める締結具とから構成される遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する遮蔽用品取り付け器具」(審決書18頁) (3) 本件考案15と公知考案6との相違点 「相違点1 本件(請求項15に係る)考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(6)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点5 本件(請求項15に係る)考案においては,桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,該桟木の側面を側板に密着させるのに対し,公知考案(6)においては,このような構成を有しない点。」(審決書18頁) (以下,上記相違点5を「相違点5」という。) 10 審決が認定した,公知考案7の内容,本件考案16と公知考案7との一致点・相違点 (1) 公知考案7の内容 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板,及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となるL型ガイド柱摺動面,及び下方に延びる面の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設したねじ孔から成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して摺動するスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる位置制御片から成る昇降固定台と,雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔に螺入されるねじとから構成され,該凹型板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,前記雄螺子形状のねじを捻回させて該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該単レールスライダ台の上面に設けられた該単レールスライダ台の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書20頁) (2) 本件考案16と公知考案7との一致点 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる側板,及び雌螺子から成る固定部材と,該側板に対して摺動する近設板,及び該近設板に対して略直角方向であり該窓枠等に固定された際に略水平方向となる支持板から成る支持部材と,雄螺子形状を成しており下から該雌螺子に螺入される締結具とから構成され,該上板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書21頁) (3) 本件考案16と公知考案7との相違点 「相違点1 本件(請求項16に係る)考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(7)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点4 本件(請求項16に係る)考案においては,上板の少なくとも略水平方向両端に,該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる凸部を有するのに対し,公知考案(7)においては,凹型板(上板)に凸部を有するものの,そのような構成を有しない点。
相違点5 本件(請求項16に係る)考案においては,桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,該桟木の側面を側板に密着させるのに対し,公知考案(7)においては,このような構成を有しない点。
相違点6 本件(請求項16に係る)考案においては,雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びて固定板が窓枠等に固定された際に上板から垂下することとなるように設けられ,締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し,公知考案(7)においては,ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され,ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点。」(審決書21〜22頁) (以下,上記相違点6を「相違点6」という。) 11 審決が認定した,公知考案8の内容,本件考案17と公知考案8との一致点・相違点 (1) 公知考案8の内容 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる下方に延びる面,該下方に延びる面に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略水平方向となる凹型板,及び該凹型板に対して略直角方向であり該下方に延びる面が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる2枚のL型ガイド柱摺動面,及び下方に延びる面の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設したねじ孔が一体に形成されて成る位置決め台と,該L型ガイド柱摺動面に対して摺動可能に係合される2枚のスライダレール縦面,及び該スライダレール縦面が両端に略直角方向に固定された位置制御片が一体に形成されて成る昇降固定台と,雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔に螺入されるねじとから構成され,該凹型板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる単レールスライダ台を前記位置決め台と前記昇降固定台との間に保持し,前記雄螺子形状のねじを捻回させて該昇降固定台を前記L型ガイド柱摺動面に対して上下方向に摺動させることにより,該単レールスライダ台を挟持して該単レールスライダ台を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該単レールスライダ台の上面に設けられた該単レールスライダ台の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書23頁) (2) 本件考案17と公知考案8との一致点 「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる固定板,該固定板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略水平方向となる上板,該上板に対して略直角方向であり該固定板が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる2枚の側板,及び雌螺子が一体に形成されて成る固定部材と,該側板に対して摺動可能に係合される2枚の近設板,及び該近設板が両端に略直角方向に固定された支持板が一体に形成されて成る支持部材と,雄螺子形状を成しており下から該雌螺子に螺入される締結具とから構成され,該上板に凸部を有する遮蔽用品取り付け器具であり,遮蔽用品の上辺方向に延びる桟木を前記固定部材と前記支持部材との間に保持し,前記雄螺子形状の締結具を捻回させて該支持部材を前記側板に対して上下方向に摺動させることにより,該桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,前記凸部を該桟木の上面に設けられた該桟木の長手方向の係合溝に係合する遮蔽用品取り付け器具」(審決書24頁) (3) 本件考案17と公知考案8との相違点 「相違点1 本件(請求項17に係る)考案においては,側板が,固定板並びに上板に対して略直角方向であるのに対し,公知考案(8)においては,L型ガイド柱摺動面(側板)は凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向ではない点。
相違点5 本件(請求項17に係る)考案においては,桟木を挟持して該桟木を略水平方向に支持する際に,該桟木の側面を側板に密着させるのに対し,公知考案(8)においては,このような構成を有しない点。
なお,公知考案8において,L型ガイド柱摺動面(側板)を2枚とする構成が開示されており,相違点としては上記のとおりとなる。
相違点6 本件(請求項17に係る)考案においては,雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びて固定板が窓枠等に固定された際に上板から垂下することとなるように設けられ,締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し,公知考案(8)においては,ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され,ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点。
なお,公知考案8において,ねじ孔(雌螺子)を位置決め台(固定部材)に一体に形成する構成が開示されており,相違点としては上記のとおりとなる。
相違点7 本件請求項17に係る考案においては,上板の略水平方向両端に,該上板と略直角方向であり固定板が窓枠等に固定された際に該上板から垂下することなる2個の凸部を有するのに対し,公知考案8においては,凹型板(上板)に凸部を有するものの,そのような構成を有しない点。」(審決書24〜25頁)
原告の主張の要点
審決は,本件考案12,15ないし17(以下,一括して「本件考案12等」という。)の進歩性を否定するにあたり,公知考案3,6ないし8(以下,一括して「公知考案3等」という。)の認定を誤る(取消事由1)とともに,相違点1,2,5及び6についての判断を誤った(取消事由2ないし5)ものであるから,違法として取り消されるべきである(なお,審決が,公知考案10,11,13及び14の進歩性を否定した点については,その理由として説示するところに容認し難い点はあるが,その結論自体については争わない。)。
1 取消事由1(公知考案3等の認定の誤り) (1) 公知考案3等を構成する位置決め台における締付片は,下方に延びる面の下部を単に内側に折り込んで形成されるものではなく,下方に延びる面の下部を内側に90度折り込んで形成されるものであり,また,昇降固定台は,スライダレール縦面,及び位置制御片の他に,スライダレール縦面の中央上部を外側に90度折り曲げねじ孔が穿設された固定片を備えて構成されるものである。
しかし,審決の認定は,位置決め台と昇降固定台のそれぞれについて,以上の点の構成要件が脱落しており,かかる公知考案3等の認定を誤っている。
(2) 被告は,原告が主張する公知考案3等の上記(1)の構成は,相違点1の認定に与える影響は格別ないとみるべきである,と主張している。しかし,この追加構成は,相違点1及び2の認定に影響を与えるものである。
(3) 本件考案12等の「固定板」,「上板」,「側板」,「固定部材」,「近設板」,「支持板」,「支持部材」,「締結具」及び「桟木」が,それぞれ公知考案3等における「下方に延びる面」,「凹型板」,「L型ガイド柱摺動面」,「位置決め台」,「スライダレール縦面」,「位置制御片」,「昇降固定台」,「ねじ」及び「単レールスライダ台」に対応するとの認定につき,用語が対応するという意味で認めるが,このことは,それぞれの構成の機能・作用等が一致することまで認めるものではない。
2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り) (1) 審決は,相違点1について, 「上記公知考案1において,本件請求項10に係る考案における側板に対応する部材としてL型ガイド柱摺動面が記載されている。このL型ガイド柱摺動面(側板)は,L型ガイド柱摺動面(側板)に近設されるスライダレール縦面(近設板)を介して昇降固定台(支持部材)を摺動させるものであるが,L型ガイド柱摺動面(側板)は,下方に延びる面(固定板)の両側にそれぞれ内側に向けて凹陥して相互に対向して形成されている(請求書11頁28,29行,第3図参照)。換言すると,L型ガイド柱摺動面(側板)は,凹型板(上板)に対して略直角方向であるが,下方に延びる面(固定板)に対しては略直角方向ではなく,下方に延びる面(固定板)と平行に形成されている。 しかしながら,L型ガイド柱摺動面(側板)を,下方に延びる面(固定板)と平行に形成するか,あるいは下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向に形成するかといったようなことは,具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項といえるものであり,L型ガイド柱摺動面(側板)を,下方に延びる面(固定板)と平行に形成するのに代えて下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向に形成するようなことに格別の困難性を見出すことはできず,このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。」(審決書9頁) と判断し,本件考案3等についても,上記判断を援用している。しかし,この判断は誤っている。
(2) 公知考案3等のように,L型ガイド柱摺動面を下方に延びる面に対して平行に形成すると,L型ガイド柱摺動面に摺動するスライダレール縦面と位置制御片とが直角に交わり,その交線が単レールスライダ台の長手方向と平行になるから,スライダレール縦面と位置制御片とが連接し,折り目が単レールスライダ台の長手方向と平行になる。本件考案12等のように,側板を固定板に対して略直角方向に形成すると,固定板に摺動する近設板と支持板とが直角に交わり,その交線が単レールスライダ台の長手方向と直交するから,近設板と支持板とが連接し,折り目が桟木の長手方向と直交する。このような折り目の方向の違い(桟木の長手方向と平行か直交か)により,本件考案12等は,本件明細書に記載されているように,桟木の側面を側板の側面に密着させた状態に固定することができ(甲第2号証15頁,段落【0060】参照),固定された桟木が下方に力を受けるなどして支持板が下方に押されたときに,折り目が開くように曲げられることがない。これは,公知考案3等では達成できない作用効果を奏する。
(3) L型ガイド柱摺動面は,下方に延びる面の両側端部をそれぞれ内側に向けて凹陥させて形成したものであり,L型ガイド柱摺動面に昇降固定台のスライダレール縦面が嵌合する構成となっている。「凹陥」程度の幅で嵌合しているL型ガイド柱摺動面とスライダレール縦面は,安定性が悪いだけでなく,位置制御片に作用する力が,平行方向にあった両者のスライド方向を斜めに交差する方向に変えるため,途中で締め付けられなくなる。これに対して,側板及び近設板は,充分な幅を備え,相互に嵌合しているため,両者は安定したものとなり,支持板に作用した下向きの力によって両者が噛み合って動かなくなるということはない。
(4) 相違点1は,単なる設計事項の領域を超えているというべきである。本件考案に係る製品が販売されてから,公知考案3等の構成の製品が市場からほとんどなくなっており,この商業的成功は本件考案進歩性を証明するものである。
(5) したがって,審決が,相違点1に関して,本件考案12等からもたらされる効果も格別なものとはいえず,いずれも,公知考案3等に基づいてきわめて容易考案をすることができたものであるとした判断(審決書9頁,13頁等参照)は,誤りである。
3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り) (1) 審決は,相違点2について, 「桟木(単レールスライダ台)を挟持して桟木(単レールスライダ台)を略水平方向に支持するために,締結具(ねじ)を捻回させて支持部材(昇降固定台)を側板(L型ガイド柱摺動面)に対して摺動させるのに際し,上記公知考案3における,ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され,ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される構成に代えて,本件請求項12に係る考案におけるような,雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びるように設けられ,締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される構成を用いるようなことは,具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎず,この点に格別の困難性を見出すことはできず,このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。」(審決書12頁) と判断している。しかし,この判断は誤っている。
(2) 相違点2に係る構成は,本件明細書に記載されているように,「桟木22を遮蔽用品取り付け器具10へ確実に固定でき,スクリーン12を窓枠14へ安定して固定することができ」(甲第2号証14頁)という作用効果を実現するものであるから,具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項であるとの判断は誤りである。
この作用効果を具体的に説明すると,次のとおりとなる。本件考案12においては,上板の一部と,桟木の側面と,支持板の一部と,雌螺子とで,これらをこの順で巡る中空の長方形が形成され,一対の非常に短い腕で上下から桟木が挟持されているのに対し,公知考案3等においては,下方に延びる面(固定板)の下部を内側に90度折り込んだ締付片と,スライダレール縦面の中央上部を外側に90度折り曲げた固定片とが重ねられ,ねじで締結されて層状の板状物となっているため,凹型板,単レールスライダ台の側面,位置制御片,スライダレール縦面,締付片と固定片とが重なった層状の板状物,下方に延びる面とで,これらをこの順で巡る中空の六辺形が形成されており,一対の長い,しかも一部で折れ曲がった腕で上下から単レールスライダ台が挟持されている。
本件考案12の挟持力は,公知考案3に比較して強力である。
(3) 被告は,公知考案3は,昇降固定台(支持部材)を上へ摺動させて,雄螺子によって留めることにより桟木を挟持することができ,昇降固定台(支持部材)の摺動によって容易に桟木を固定でき,スクリーンの窓枠への固定を容易かつ迅速に行うことができ,また,昇降固定台(支持部材)を桟木の挟持部材に圧接することにより,桟木がずれるのを摩擦力によって防止しており,桟木を確実に固定でき,スクリーンを窓枠へ安定して固定できるから,本件考案12と同一の作用効果を達成している,と主張している。
しかし,公知考案3では,本件考案12により実現可能となった「側板による密着」や,「折り目」のできかたや,上記相違点2に係る構成が実現されないのであるから,前記の「桟木22を遮蔽用品取り付け器具10へ確実に固定でき,スクリーン12を窓枠14へ安定して固定することができ」るという作用効果が得られないことは,明らかである。
(4) 以上のとおり,審決の「全体として,本件請求項12に係る考案によってもたらされる効果も,公知考案3から,当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって,格別なものとは言えない。したがって,本件請求項12に係る考案は,公知考案3に基いて,当業者がきわめて容易考案をすることができたものであり,実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。」(審決書13頁)とした点は誤りである。
4 取消事由4(相違点5についての判断の誤り) (1) 審決は,相違点5について, 「上記甲第11号証(判決注・甲5公報)によると,「窓枠等に接合固定されて略鉛直方向に固定されることとなる取付部,該取付部に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略水平方向となる,カーテンレールの上面と係合するブラケット本体の上片と,同下面と係合する爪片,及び該上片に対して略直角方向であり該取付部が窓枠等に固定された際に略鉛直方向となる,カーテンレールの該取付部側と反対側の側面と係合する挟片とカーテンレールの該取付部側の側面と係合する側片から成るブラケット本体と,該窓枠等に固定された際に略水平方向となる爪片,及び挟片から成るスライド部材と,該スライド部材を該ブラケット本体へ摺動可能に留めるビスとから構成されるカーテンレール用ブラケットであり,カーテンレールを前記ブラケット本体と前記スライド部材との間に保持し,該スライド部材を摺動させることにより,該カーテンレールを挟持して該カーテンレールを略水平方向に支持する際に,該カーテンレールの該取付部側の側面をカーテンレールの該取付部側の側面と係合するブラケット本体の側片に密着させるカーテンレール用ブラケット」が,本件考案の出願前に公知であり,カーテンレールの上面及び側面をブラケット本体の上片,側片及び挟片とスライド部材の挟片で規制し,同カーテンレールの下面をブラケット本体とスライド部材の各爪片で規制していることが示されている。そして,上記甲第11号証における,カーテンレール,ブラケット本体,スライド部材は,請求項15に係る考案における,桟木,固定部材,支持部材に対応することから,カーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体(固定部材)の側面に密着させる技術手段が開示されているものと認められる。 してみると,公知考案6におけるような遮蔽用品取り付け器具において,上記甲第11号証におけるようなカーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体(固定部材)の側面に密着させる点に着目してその技術手段を採用し,本件請求項15に係る考案におけるように構成するようなことは,公知考案6の遮蔽用品取り付け器具及び甲第11号証のカーテンレール用ブラケットのいずれも技術的に互いに近縁関係にあり,しかも公知考案6に甲第11号記載の技術手段を適用することに特段の阻害する要因もないことからすると,格別の困難性を見出すことはできず,当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。」(審決書18頁〜19頁) と判断し,本件考案16及び17についても,上記判断を援用している。しかし,この判断は誤っている。
(2) 甲5公報のブラケット本体(別紙4参照)は,一枚の板を折曲して,爪片から挟片,中央部,取付部を経て受部に至る折曲げ構造となっており,カーテンレールの一側面は,該ブラケット本体の,折曲して形成されたカーテンレールの取付部側の側片部分の側面と平行に配置されて,該側面に密接している。これに対し,本件考案15においては,固定板並びに上板に対して略直角方向の側板が,桟木の側面に密着させられており,桟木の側面は,固定板の面と平行であるから,側板は桟木の側面に対して直角に配置されている。
本件考案15では,桟木を側板で挟持する力の方向は,側板の面方向であり,この挟持力が大きくなった場合,もしくは,異常な外力が壁に向かう水平から斜め下方向に側板にかかった場合,側板は,座屈するまではその側板にかかる力に耐える。他方,甲5公報のブラケットにおいては,前記の場合,その力は,折曲された板の面に対して略直角方向に働くので,その板の面が曲げられて塑性変形されるまで,その板の面にかかる力に耐えるに止まる。一般に板状の部材を座屈させる力は,曲げて塑性変形させる力より,はるかに大きいから,本件考案15は,きわめて安定した状態で,又,強力な挟持力で桟木を把持することができる。
したがって,本件明細書に記載されているように,「・・・本考案の遮蔽用品取り付け器具10によれば,桟木22の側面を側板34の側面密着部35に密着させた状態に固定することができる。・・・これにより,遮蔽用品取り付け器具10によって桟木22を安定した状態に挟持することができる。」(甲第2号証15頁 【0060】参照)と記載されているように,本件考案15により,桟木22を安定した状態に挟持することができる,という作用効果が実現されるのである。
(3) 被告は,審決が甲5公報を引用したのは,そこにカーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体「固定部材」の側面に密着させる手段が教示されている点にあり,その手段を公知考案6に適用すれば,当業者であればきわめて容易考案できると判断したのであると主張している。
しかし,公知考案6に,単レールスライダ台(桟木)をL型ガイド柱摺動面(側板)に密着させようとしても,引用例の第四図Aから明らかなように,公知考案6においては,単レールスライダ台と,L型ガイド柱摺動面と略面一に連接している下方に延びる面との間の隙間には,ねじ4,もくねじ5,締付片223,固定片33が介在しており,それらを取り除かないかぎり密着させる構造は実現されず,また,L型ガイド柱摺動面と単レールスライダ台を密接させようとすると,L型ガイド柱摺動面を間にしたU字の曲り構造(内側に向けて凹陥した構造)のスライダレール縦面の単レールスライダ台側の面が,単レールスライダ台と,L型ガイド柱摺動面とで挾まれ,これが障害物となってこの密接ができない。このような構造にかかわる本質的な諸問題を克服して,公知考案6において「密着」させる構成が当業者により設計事項として達成されるものではない。
(4) 以上のとおりであるから,審決の,「全体として,本件請求項15に係る考案によってもたらされる効果も,公知考案6及び上記甲第11号証記載の技術手段から,当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって,格別なものとは言えない。したがって,本件請求項15に係る考案は,公知考案6及び上記甲第11号証記載の技術手段に基いて,当業者がきわめて容易考案をすることができたものであり,実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。」(審決書19頁)とした点は誤りである。
したがって,本件考案16及び17についても,その進歩性を否定した審決の判断は,誤りである。
5 取消事由5(相違点6についての判断の誤り) 審決は,相違点6について, 「桟木(単レールスライダ台)を挟持して桟木(単レールスライダ台)を略水平方向に支持するために,雄螺子形状の締結具(ねじ)を捻回させて支持部材(昇降固定台)を側板(L型ガイド柱摺動面)に対して摺動させるのに際し,上記公知考案7における,ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され,ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される構成に代えて,本件請求項16に係る考案におけるような,雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びて固定板が窓枠等に固定された際に上板から垂下することとなるように設けられ,締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される構成を用いるようなことは,具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎず,この点に格別の困難性を見出すことはできず,このようなことは当業者が必要に応じてきわめて容易になし得た程度のことである。」(審決書22頁) と判断し,本件考案17についても,上記判断を援用している。しかし,この判断は誤っている。その理由は,取消事由3(相違点2についての判断の誤り)と同旨である。
したがって,本件考案16及び17について,その進歩性を否定した審決の判断は,誤りである。
被告の反論の要点
1 取消事由1(公知考案3等の認定の誤り)に対して 原告は,審決の認定した公知考案3等の構成そのものと,相違点1の認定については認めているから,原告の主張する公知考案3等の具体的追加構成が,前記相違点1に与える影響は格別ないとみるべきである。
2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り)に対して (1) 原告の主張は,公知考案3等はスライダー縦面と位置制御片との折り目が単レールスライダ台の長手方向と平行になるのに対して,本件考案12等は,近設板と支持板との折り目が単レールスライダ台の長手方向と直交するため,桟木の側面を側板の側面に密着状態にできること,及び上記「折り目」が公知考案3等と比べて曲がり開くことがないことを根拠としている。
しかし,「側板による密着」の構成は,本件考案15,16及び17にだけ記載されているものであり,この構成に係る相違点は,相違点5として摘示されている。相違点1に係る構成が設計事項であるといえるか否かの判断において,考慮すべき構成ではない。
(2) 「折り目」についても,本件明細書中には記載されておらず,出願当初において,設計事項を超える,顕著な構成ないし効果として認識されていたものとはいえない。また,上記近設板と支持板との「折り目」は,公知考案3等のL型ガイド柱摺動面(側板)を,下方に延びる面(固定板)と平行にするのに代えて,下方に延びる面(固定板)に対して略直角方向に形成することによって自ずと達成される構成であり,上記「折り目」をつくるために採用された格別の構成ではない。そして,そのような変更自体がきわめて容易であれば,「折り目」は変更に伴い自ずと達成される構成であるから,考案することが格別困難なものとはいえない。
3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り)に対して 原告は,相違点2に係る螺合構成は,顕著な作用効果を実現するための新規な構成であるとしている。
しかし,公知考案3も昇降固定台(支持部材)を上へ摺動させて,雄螺子によって留めることにより桟木を挟持することができ,昇降固定台(支持部材)の摺動によって容易に桟木を固定でき,スクリーンの窓枠への固定を容易かつ迅速に行うことができるものである。また,昇降固定台(支持部材)を桟木の挟持部材に圧接することにより,桟木がずれるのを摩擦力によって防止しており,桟木を確実に固定でき,スクリーンを窓枠へ安定して固定できる。
公知考案3の効果は,本件考案12と異なるものではなく,相違点2は,単なる設計的事項に過ぎない。
4 取消事由4(相違点5についての判断の誤り)に対して 審決は,甲5公報に,カーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体(固定部材)の側面に密着させるという技術思想が開示されており,その技術思想を公知考案6に適用することは,当業者であればきわめて容易に推考できると判断したものである。
5 取消事由5(相違点6についての判断の誤り)に対して 取消事由3(相違点2についての判断の誤り)が理由がない以上,取消事由5も理由がない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(公知考案3等の認定の誤り)について (1) 原告は,公知考案3等の認定について,その構成として,位置決め台における締付片が,下方に延びる面の下部を内側に90度折り込んで形成されていること,昇降固定台は,スライダレール縦面の中央上部を外側に90度折り曲げネジ孔が穿設された固定片を備えていることが認定されるべきである,と主張している。
しかし,引用例に記載された考案の認定においては,引用例に記載されている構成の細部に至るまで,そのすべてを摘示して認定する必要はない。新規性進歩性が問題となっている考案との対比において,その新規性進歩性の検討のために必要な事項を抽出した上で,引用例に記載された考案を認定すれば足りる。
本件考案12等において,締結具により,支持部材を,固定部材に摺動可能に留めることは共通の構成であるものの,その締結具について,さらに具体的な構成を規定しているのは,本件考案12(「雄螺子形状を成しており下から該支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入される締結具」),本件考案16及び17(本件考案12の前記構成と「前記雄螺子形状の締結具を捻回させて」)だけである。したがって,本件考案12等に共通する構成と比較すべき公知考案3等の認定において,位置決め台における締付片は,下方に延びる面の下部を内側に折り込んで形成されるものであることを示す以上に,折り込まれる角度まで認定する必要はない。また,本件考案12等において,昇降固定台(支持部材)を,位置決め台(固定部材)に取り付ける態様も特定されていない以上,公知考案3等の昇降固定台が,固定片を備えることの認定も,ましてやその折り曲げ方向及び角度の認定も不要である。
そして,締結具の構成について具体的な構成が記載されている本件考案12と公知考案3,本件考案16と公知考案7,並びに本件考案17と公知考案8との対比において,審決は,本件考案12に関し,相違点2として 「本件請求項12に係る考案においては,雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びるように設けられ,締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し,公知考案3においては,ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され,ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点」(審決書12頁) を挙げ,あるいは,本件考案16及び17に関し,相違点6として 「本件(請求項16に係る)考案においては,雌螺子が上板の中央付近から略直角方向に延びて固定板が窓枠等に固定された際に上板から垂下することとなるように設けられ,締結具が雄螺子形状を成しており下から支持板に貫通されるとともに該雌螺子に螺入されるのに対し,公知考案(7)においては,ねじ孔(雌螺子)が下方に延びる面(固定板)の下部を内側に折り込んだ締付片に穿設され,ねじ(締結具)が雄螺子形状を成しており下から該ねじ孔(雌螺子)に螺入される点」(審決書21頁〜22頁) を挙げ,締結具の構成において異なる点を相違点として摘示しているのであって,相違点の看過はない。
(2) 以上のとおりであるから,審決に公知考案3等の認定の誤りがあり,相違点の看過があるとは認められない。
また,原告は,公知考案3等と本件考案12等との一致点の認定において,構成・機能に関して,個々の語の実質的な対応関係を争うかのごとき主張をしているが,原告は,それについて具体的な相違点の看過を主張するものではなく,審決が,一致点の認定の前提とした個々の部品の対応付けは,窓枠等への固定の有無,部品の一面が延びる方向,他の部材との接合関係,動作(摺動等),機能(桟木・単レールスライダ台を含めた遮蔽用品の保持)等に着目してなされた適切なものであるから,この点においても審決に相違点の看過があるとは認められない。
(3) 以上のとおりであるから,公知考案3等の認定の誤りを根拠に,本件考案12等を無効とした審決の判断の誤りをいう原告の主張は,理由がない。
2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り)について (1) 公知考案3等の構造において,L型ガイド柱摺動面は,昇降固定台のスライダレール縦面と摺動関係にあればよく,下方に延びる面と平行に形成する代わりに,略直角方向に形成しても構わず,かつそのように構成することが困難であるとは認められない。そうすると,上記事項が設計事項であることを前提とし,容易性を判断した審決の判断に誤りがあるとすることはできない。
原告は,上記事項は設計事項でないことの理由として,側板を固定板に対して略直角方向に形成することの作用効果をいうものである。しかし,原告の主張のような作用効果の差が,仮に認められるとしても,当該作用効果は,側板を固定板に対して略直角方向に形成すれば,当然に奏されるものと認められるから,この作用効果をもって,相違点1に係る構成が設計事項ではない,とすることはできない。
(2) 原告は,「折り目」や「桟木の側面が側板に密着」により,安定した固着ができる,とする。しかし,L型ガイド柱摺動面を下方に延びる面と略直角方向に形成することは設計的事項に過ぎず,そうすれば,「折り目」は,当然にできることになる。このような設計事項に当然に伴われる作用効果をもって,進歩性を基礎付ける顕著なものということはできない。
また,「桟木の側面が側板に密着」の点は,相違点5に係る構成として摘示されているものであり,かつ,相違点1に係る構成が,当然にそのような構成を伴っているとは認められない(本件考案12の実用新案登録請求の範囲には記載されていない。)から,そもそも相違点1において検討すべきものではない。原告の主張は,本件明細書に「安定した固定」という作用効果さえ記載されていれば,それに役立つあらゆる構成を,本件考案12の構成要件として読み込める,といっているに等しいものであり,到底採用できない。
(3) 原告のいう作用効果の差(挟持力の強弱)は,原告自身が主張するとおり,L型ガイド柱摺動面の形状(幅)や,本件考案12等における側板,近設板の幅等により左右されるものと認められる。そして,本件考案12等においても,公知考案3等においても,それらについて何ら具体的な特定はなく,当業者が適宜設定できる事項であることは明らかである。本件考案12等と公知考案3等の比較を,実施例の記載や添付図面だけに依拠してすべき理由はない。原告が,本件明細書に記載された本件考案12等の作用効果として,公知考案3等と比較して具体的に主張するところは,結局,本件明細書の記載や引用例1の添付図面に示された構成に依拠したものに過ぎない。そうすると,作用効果に差があるという主張の前提自体も成り立たないのである。
本件考案3等に係る製品の商業的成功についても,相違点1に係る構成のみにより達成されたものと認めるべき証拠はないから,採用することはできない。
(4) 以上のとおりであるから,相違点1についての判断の誤りを根拠に,本件考案12等を無効とした審決の判断の誤りをいう原告の主張は,理由がない。
3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り)について (1) 本件考案12と公知考案3とは,支持部材(昇降固定台)を側板(L型ガイド柱摺動面)に対して摺動させる手段が,雄螺子を雌螺子(ねじ孔)に垂直方向に螺入させるものである点で共通している。
公知考案3において,ねじ孔(雌螺子)を上板(凹型板)に設け,雄螺子を支持板(位置制御片)の位置から貫通させるようにしても,何らかの支障が生じるものではなく,また,作用効果(固定)について,顕著な差があると認めることもできない。そうすると,雌螺子(ねじ孔)を固定部材(位置決め台)のどの位置に設けるか,雄螺子を支持板(位置制御片)のどの位置から貫通させるかという程度のことは,具体的な構成を考慮するのに際しての設計的事項に過ぎないといえる。
審決の判断に誤りはない。
(2) 原告は,引用例に示される図において,凹型板,単レールスライダ台の側面,位置制御片,スライダレール縦面,締付片と固定片とが重なった層状の板状物,下方に延びる面とで,これらをこの順で巡る中空の六辺形が形成されているが,本件考案12では,上板,桟木の側面,支持板,雌螺子とで,これらをこの順で巡る中空の長方形が形成され,一対の非常に短い腕で上下から桟木が挟持されている,したがって,本件考案12は桟木を確実に固定でき,スクリーンを窓枠へ安定して固定することができるという作用効果を奏するから,相違点2は設計的事項でないと主張している。
しかし,公知考案3において,ねじ孔(雌螺子)を上板(凹型板)に設け,雄螺子を支持板(位置制御片)の位置から貫通させるようにすれば,位置決め台の下方に延びる面及び昇降固定台のスライダレール縦面を折り曲げる必要はなくなり,凹型板,単レールスライダ台の側面,位置制御片,雄螺子及びねじ孔(雌螺子)とで,これらをこの順で巡る中空の長方形が形成されることになる。原告の主張する作用効果は,設計的事項に当然付随する程度のものに過ぎない。
(3) 以上のとおりであるから,相違点2についての判断の誤りを根拠に,本件考案12を無効とした審決の判断の誤りをいう原告の主張は,理由がない。
4 取消事由4(相違点5についての判断の誤り)について (1) 審決は,甲5公報について,「カーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体(固定部材)の側面に密着させる技術手段が開示されているものと認められる。」(審決書19頁)と認定しており,これに誤りはない(甲第5号証第3図参照)。
公知考案6において,引用例の第三図,第四図からは,スライダレール縦面の側面,すなわちL型ガイド柱摺動面(側板)の桟木(単レールスライダ台)側の面は,その桟木に直交する方向の寸法次第では(寸法を長くすれば),桟木に容易に密着し得ることは明らかであり,L型ガイド柱摺動面を下方に延びる面と略直角方向に形成すれば(取消事由2において検討したとおり,そのように形成することは設計事項である。),その寸法が長くなることは明らかである。そして,ある部材を保持する際に,できるだけ多くの面で保持すればより安定することは,当業者のみならず一般人でもきわめて容易に思いつくことである。
したがって,甲5公報を参酌して,公知考案6において,L型ガイド柱摺動面の桟木側の面を,桟木に密着させようとすることは,当業者がきわめて容易に推考できることである,と認められる。
(2) 原告は,甲5公報におけるブラケット本体の側面は,ブラケット本体自身を折曲して形成され,カーテンレール取付部側の側面と平行に配置されて密着しているものであるから,桟木の側面と,側板の面とが直角に交わって密着した本件考案15とは耐力性の作用効果がまったく異なり,その構成もまったく異なる,と主張している。
しかし,審決が,甲5公報から抽出する周知技術は,前記のとおり,桟木の側面に密着して保持する,というものである。その構成の抽出ないし公知考案6への適用に,原告が指摘するような,甲5公報の記載の考案と本件考案15との考案の構成の差異は,何ら障害となるものではない。
(3) 原告は,公知考案6に,単レールスライダ台(桟木)をL型ガイド柱摺動面(側板)に密着させようとしても,引用例の第四図Aから明らかなように,ねじ4,もくねじ5,締付片223,固定片33,スライダレール縦面の単レールスライダ台側の面などが障害物となり,この密接ができないと主張している。
原告の主張は,引用例の第四図Aに示される公知考案6,すなわち,L型ガイド柱摺動面が下方に延びる面に平行になっており,ねじ孔を締付片に設け,雄螺子を固定片から貫通させることを前提としたものである。しかし公知考案6において,L型ガイド柱摺動面を下方に延びる面と略直角方向に形成すること,ねじ孔を凹型板に設け,雄螺子を位置制御片から貫通させるようにすることは,当業者が必要に応じてきわめて容易になし得る程度のことであることは,前記のとおりである。そして,このように構成した公知考案6においては,締付片223,固定片33は存在せず,ねじ4,もくねじ5が障害物となるとはいえず,スライダレール縦面は下方に延びる面と略直角方向であって障害物にはならないから,甲5公報に記載された,カーテンレール(桟木)の側面をブラケット本体(固定部材)の側面に密着させる技術手段が適用可能であることは明らかである。
また,引用例の第四図Aの構成をそのまま採用するとしても,締付片,固定片,L型ガイド柱摺動面の桟木に直交する方向の寸法次第では,密着させることは十分可能である,と認められる。
(4) 以上のとおりであるから,相違点5についての判断の誤りを根拠に,本件考案15ないし17を無効とした審決の判断の誤りをいう原告の主張は,理由がない。
5 取消事由5(相違点6についての判断の誤り) 取消事由3について述べたとおりである。
したがって,相違点6についての判断の誤りを根拠に,本件考案16及び17を無効とした審決の誤りをいう原告の主張も理由がない。
6 結論 以上のとおりであるから,原告主張の取消事由は,いずれも理由がなく,その他,審決には,取消しの事由となるべき誤りは認められない。
よって,原告の本訴請求を棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 佐藤久夫
裁判官 設樂隆一
裁判官 高瀬順久
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